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「愛着仕様」のある心地よい暮らし

友人宅で出会った、あったかい「愛着仕様」

 先日、コロナ禍でなかなか会えなかった友人宅に久々にお邪魔しました。温かい足元に目を落とすと、年代物の30㎝角ほどの箱型温風機が。

 小さいけれどしっかり仕事をしてくれているヒーター。聞いてみると、友人が一人暮らしを始めた時、上京したお母さんが「寒い!」と心配してくれて、近所の電気屋さんで急遽買ってくれたものだそうです。

 コンパクトで持ち運びがしやすいこの小さな温風機は、その後も友人の引っ越しのたびにお供して、なくてはならない冬の相棒に。経年劣化でコンセントの接触が悪くなった時は、新幹線に乗って実家に持ち帰り、修理して使っているそうです。

 修理代や交通費(!)を考えれば、買い替えるという選択もありそうですが、この温風機は友人にとって唯一の「愛着仕様」なのでしょう。あたたかい風にのせて、お母さんの温かい気持ちもふんわり運んでくれました。

モノ×人との関わり=愛着仕様

 考えてみると、モノに愛着がわくのは、モノに人との関わりがあるから。友人と温風機のこれまでのストーリーを聞いたことで、足元を温めてくれる単なるモノが、心もホッコリさせてくれる愛しい一品に見えてきます。

 そう考えると、手作りのモノ、クラフトマンシップが感じられるモノ、 自分がアレンジしたモノなど、「愛着仕様」のパターンはたくさんあります。

 コロナ禍で自宅にいる時間が増えたことで、暮らしの見直しを迫られた私たち。身近なモノへの意識も変化しているのかもしれません。

 今は第4次ブームだそうですが、DIYの流行も「愛着仕様」の1つのパターンですね。

ゆるかなつながりが「愛着」を深める

 私の「愛着仕様」は、以前も書いた愛車「みどり号」。 

 個人で自転車屋さんを営む店主さんが、Used部品も使いながら、心を込めて作ってくれた自転車です。質実剛健ですが、安全性は◎。乗り心地も軽くて最高なので、「このままどこまでも行けるのでは、、」という誘惑にかられてしまいます。

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「愛着」の源泉は、みどり号の成り立ちや性能はもちろん、タイヤの空気を入れたり、メンテナンスのために時々訪れる自転車屋の店主さんとの関係です。自転車を介した「ゆるやかなつながり」が、愛着度を高めてくれています。

 その自転車屋さんには、私のようなお客さんがたくさん訪れて、世間話をしてから帰っていきます。話をするために「お客さん用の椅子」が置いてあるのも、心優しい気配り。お客さんそれぞれが「愛着仕様」を大切にしているのだと思います。

 たまたま見つけた最近のニュースには、ママチャリで12年かけて地球2周分を走った90歳の方が紹介されていました。この方にとっては、このママチャリがまさに「愛着仕様」なのでしょうね!



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