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1年間、酒とつまみの絵を描いてみて気付いたこと

日々、酒やつまみの絵を描いてはtumblrというサイトにアップしています。

パリッコのタンブラー

誰に頼まれたわけでもなく、きっかけはふらりと寄った画材屋さんでモノクロの水性マーカーを見つけたことでした。
なんとなくおもしろそうだなと思い、試し描きをしてみると、まるで水彩絵の具のような味のあるタッチが気軽に描ける。
「こりゃいいや」と、何種類か購入し、好きな酒やつまみの絵を遊びで描き始めました。

こういったマーカーにはいくつか種類があるんですが、僕は現在「COLOR MASTER」というシリーズの「P-5 LIGHT GRAY」(濃いグレー)、「P-7 OYSTER GRAY」(薄いグレー)の2本で濃淡をつけています。
ちなみに主線は、昔から愛用している「Preppy」という万年筆の(03 細)というやつ。
どれも1本200円そこそこで買えるお手軽文房具たちです。

tumblrの更新を始めたのが2014年の4月25日。
1枚目は、大好きな稲田堤「たぬきや」の絵でした。

この絵には色々エピソードがあるのですが、それはまた機会があれば。
原画は今、たぬきやさんの壁に飾ってもらっています。
※片付けられてなければ


で、こういうのはとりあえず続けてみることが大事だと思い、1日1枚という目標を設定してみることに。

基本的に描くのは朝、起きてから仕事に行くまでの間で(僕は朝も夜も早いのです)、あまり細部にこだわらずサッサッサッと描いてしまうので、シンプルな絵なら10分ほど、描き込みの多いものでも30分くらいが所要時間。

それを続けて1年が経過したので、現時点で気付いたこと、良かったことなどを一度まとめてみようと思います。

ちなみに開始からちょうど365日目の2015年4月24日までにアップした絵は、計198枚。
当初の目標であった1日1枚にはおよばず、365÷2=182.5なので、ペース的には2日に1枚よりちょっとだけ多め、という結果でした。

では。


■1 単純に絵が上達した

アーカイブのページを見ると、日を追うごとにタッチが変わっていってますね。
またこれは自分にしかわからないかもしれませんが、何箇所か、少し何かをつかんだのか、グッと上達したように感じるポイントがあったりもします。

例えばイカのお寿司という共通モチーフでも、初期と数ヶ月後を比べると表面の照りが増していたり、

全く同じ「よね田」という店のつくねを描いてもデフォルメ感がまるで違ったり、

ホルモン刺だって、より艶めかしく描けるようになった気がします。

ただ、現在の画力に満足しているかというとそんなこともなく、もっと自分ならではのタッチを模索しつつ、省略できる部分は省略し(これが難しい)、より酒飲みの琴線に触れるような絵が描けるようになりたいな、と思っています。

精進あるのみ。


■2 精神衛生面にも良い効果があった

僕はジャンルを問わずものづくりが好きで、他にも音楽を作ったり、文章を書いたりと普段から色々やっています。

それら全てを“アウトプット”としてまとめると、自分でも異常だと自覚するほどこの“アウトプット癖”が過剰で、もはや依存に近いレベル。
なのでこの絵を描き始める前は「今日は仕事してただけで何も作ってないな」「ここ数日告知らしい告知もないな」などと鬱屈することも多かったのです。
あきらかにものづくり変態ですね。
しかし朝1枚の絵をアップするだけで、とりあえずのアウトプット欲が満たされることに気付きました。
これは精神衛生上大変良かったです。

まぁこんな話、誰にも共感してもらえないでしょうが。


■3 新しいキャラクターを思い付いた

このタッチの絵を描くようになったことがきっかけで、「酒たぬき よっ太」というキャラクターが生まれました。

僕はそれまで「クラブDJストーム」というWEB漫画も描いていたりしたんですが(これも終わったわけじゃないっす)、少年漫画風の絵柄であるというしばりがあったり、DJをやっているシーンをかっこよく描きたいという欲があったりして、ヘタクソなりに作画にはけっこう神経を使っていました。

ところが肩の力を抜いて酒の絵を描いてみると、こうやって遊び半分、気ままに描く絵も楽しいな〜と気付きました。

そこにかねてからの「酒好きたるもの、オリジナルのたぬきキャラのひとつくらい描けないといけないのではないか?」という謎の使命感が重なり、生まれたのがよっ太というわけです。

今は漫画になったり、Tシャツになったり、LINEスタンプになったりと気の向くままに楽しく描いており、「スタンプ使ってるよ!」なんて嬉しいお言葉をもらうことも増え、本当に嬉しく思っています。

※もちろんそういうのを経て、あらためてDJストームの続きも描き進めたいと思ってますので、よろしければそちらものんびりお待ち下さい!


■4 仕事にも少し活かせた

居酒屋に関する文章を書かせてもらうお仕事などをたまに頂くのですが、ありがたいことにそういう場でイラストなどを描かせてもらえる機会も出始めました。

「デイリーポータルZ」でライター玉置豊さんが書いてくれた記事「しみったれた先輩におごられるツアー」にもカットを使ってもらったり。


■5 個展を開催できた

これが一番信じられなかったことかもですが、大阪の「シカク」さん、中野の「タコシェ」さんからお話を頂き、なんと僕なんぞの個展を開いて頂きました。

シカク「酒とたぬき展」
タコシェ「パリッコ個展」

どちらも最高に楽しく、とても貴重な経験になりました。
ご来場頂いた方々、関係者の方々、ちょっとでも気にしてくださった方々、本当にありがとうございました!


■6 表現の幅が広がった気がする

僕は“居酒屋に関する同人誌”というクレイジーなブツを趣味で制作しています。
タイトルは「大衆酒場ベスト1000」で、現在第3巻まで発売中。

で、この最新第3巻では、作中の挿絵に加え、飲み歩き漫画も描き下ろしてみたんですが、これによって文章ばっかりだった本の敷居が下がった気がするし、少しは伝えられることの幅も広がった気がします。

この本の特設ページはこちら


と、最後は華麗に告知へとつなげましたが、以上が現在までのなんとなく思ったこと。
最近ちょっと更新ペースが落ちてしまってますが、引き続き楽しみつつ、末永く続けていきたいと思っているので、もしよかったらたまにはサイトを覗いてやってください〜。


最後に、これまで描いた中から割と気に入ってる絵を10枚くらい貼っておきます。

大阪・天満「堀内酒店」のおでん

石神井「伊勢屋」の鮎

町田「柿島屋」の肉ぬた

西荻窪「戎」のイカミミ刺

大阪・天満「ひろ」の串かつ

町田「あおば」のおしんこ

石神井「辰巳軒」のハムカツ

上井草「まいど」のシュウマイ

渋谷「キミドリ」のイカ丸干し

石神井「ほかり食堂」のウインナー炒め



おわり


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