エレサモ制作についてダラダラと語る
どうも。Elementis Summoner制作者のねぎさんです。
和歌山で活動するゲーム作成サークル、wakyamAAA gamesに所属しています。
Elementis SummonerはTCG風の2人対戦型カードゲームです。
TCGのルールがベースになっており、32種類という極めて狭いカードプールでありながら「構築」・「駆け引き」・「運」といったカードゲームの魅力を感じられるルールに仕上げました。
ルールとカードリスト
作成するにあたり、まず大きな問題は費用でした。
TCGのように広いカードプールからデッキを構築するゲームは、作成にかかるコストが大きすぎるため、私の資金力では不可能です。
販売価格も大変なことになってしまいそうです。
そこでTCGのルールをベースにし、極限までカードプールとデッキ枚数を少なくするという方法をとることにしました。
カードは32種類
最初に決めたのはカード枚数です。印刷のコスパを優先して32枚に決めました。
広いカードプールのTCGでも実際に使われるカードの種類は限られ、似たカードも沢山あるのでこの枚数でも可能だと判断しました。
デッキ枚数10枚
山札という概念を無くしました。
デッキは全部手札に持ってゲームを始め、ターン開始時のドローの代わりに使用済みカードを1枚だけ手札に戻せるというルールです。
作成にあたって特に意識した点
以下の5点を満たせるように考えました。
・ルールや効果をわかりやすく
・プレイ時間を短く
・手札事故が無く読み合い中心
・全カードに役割がある
・構築や戦略に幅がある
ルールや効果をわかりやすく
カードゲームはルールが複雑で覚えるのが大変ですし、プレイヤーでも難しい裁定がたくさんあります。
この問題を解決するため、可能な限り単純化しようと試みました。
単純化は小箱ゲームとして販売し、遊んでもらうためにも必須だと考えました。
単純化した内容を書き並べてみます。
カード種類
クリーチャーやモンスターにあたる「サモン」
自分のターンに使用する魔法「マギア」
相手の攻撃を防ぐ手段「レジスト」
の3種類だけに絞りました。
「サモン」のパワー
攻撃力と守備力をパワーという1つの数値にまとめることで、バトル時の勝ち負けをわかりやすくしました。
カードテキスト
3秒で読めるくらい短く、効果は単純なものに限定しました。
タップ・レスト・オジギなどのカードが横向きの状態は「ヨコ向き」とそのままの表現にしました。
対象・条件と効果のテキストボックスをわけることでカード効果を理解しやすくしました。
カードの使い方
カードの種類ごとに使える場面を決めて例外は作らないことにしました。
スタック等
「レジスト」によって相手ターンに攻撃を防ぐ手段はありますが、カードの応酬が起こらないテキストや仕組みにしました。
スタック理論やチェーンや優先権については考えなくても大丈夫です。
効果発動や処理の順番
能力や効果の処理タイミングができるだけ重ならないようにし、また重なっても処理の順番に関わらず処理後の状態が変わらないようにしました。
どの順番で効果を処理しても結果が同じなので、疑問が生まれません。
カードを32枚に絞ったことで、ルールとして定めずとも、細かい調整が可能になったことは思わぬ副産物でした。
プレイ時間を短く
授業の合間の休憩時間に遊ぶカードゲームって最高ですよね?
ということで10分程度を目安としました。
作成初期はライフポイントが1で、「相手に一撃を与えたら勝ち」のルールで調整しており、短時間プレイを可能にしていました。
しかしライフポイントがある程度増えても短時間でゲームが成り立ち、数値次第で各カードの強さが変わる面白さがあったので、ライフポイントは自由に設定したりランダムで決めたりするルールに変更しました。
手札事故が無く読み合い中心
山札がなく全て手札に持ってゲームがはじまるので手札事故はありません。
相手の使用カードから残りの採用カードを読み、お互い手札を削りあう中でどちらが先に仕掛けるかのチキンレースがこのゲームの本質です。
仕掛けて倒しきれないとだいたい次のターンに負けます。
全カードに役割がある
各カードに代わりが効かない役割を与えています。言い換えると、全部のカードが何かしらの場面で強いカードにデザインしています。
正直なところカードプールに加えたいカードはまだまだ山ほどあるので、厳選した32枚となっています。
構築や戦略に幅がある
存在してほしいデッキタイプをいくつか決め、それらを中心にカードテキストを整えていきました。
具体的には、属性統一デッキ、高パワーサモンが主力のデッキ、手数で攻めるアグロデッキ、耐久力で粘るデッキ、バーンデッキ、ワンキルコンボデッキです。
友人達とのテストプレイでは自分の想定した枠にとらわれないデッキなども活躍しておりました。
バランス調整後、どのデッキも自分と相手の採用カード次第で活躍出来ることが確認できているので、色んな構築や戦略を試してもらいたいです。
世界観について
32枚で作ると決めた後、4属性×8枚でちょうど良いなと気づき、四大元素と魔法の世界にしようと決めました。
自分を召喚術師とし、呼び出したサモンと魔法で戦うという設定にしました。
サモンに殴られたら召喚術師はすぐに倒れちゃいそうなことが、低ライフポイントのルールにマッチして良いかなとも思いました。
サモンの名前
自分と相手が同じサモンを召喚することも考えられるので固有名詞を使用せず、精霊や幻獣の種族の名前を与えました。
これによりペガサスが没になりました。
用語の言語
四大元素の時代のヨーロッパを意識して用語やタイトルにラテン語を使用しました。
ただしカード名(特にマギアやレジスト)までラテン語にしてしまうと馴染みがなさすぎるので、英語風のカード名としました。
最終チェックまでレジストの綴りを間違えていたのはここだけの内緒です。
属性の特徴
火(Ignis)
とにかくパワーと火力でゴリ押しのイメージです。
高パワーと火力マギアが中心の攻撃的な属性にしました。
レジスト枚数を0枚とし、カード種類の偏りからも属性の特徴を感じられるようにしました。
風(Aer)
素早い攻撃や回避のイメージです。
パワーは控えめですが速攻性に優れる攻撃的なサモンを中心にしました。
マギアは低コストで攻撃的な効果を与えました。
レジストは回避に優れるというイメージからサモンの攻撃をかわせるようにしました。
水(Aqua)
相手の魔法を受け流し、自分のペースにもっていくイメージです。
サモンやマギアはルールをねじ曲げるような能力で相手の動きを制限できるようにしました。
水は火に強そうなのでレジストは対マギア用の効果を設定しました。
土(Terra)
相手の攻撃を防ぐのが得意なイメージです。
サモンには強固な壁、道連れ、ダメージ軽減と各種の防御能力を与えました。
レジストは自分がダメージを受ける時に軽減する基本的な効果とし、コストごとに3段階用意しました。
四大精霊
四大元素にはそれぞれに対応する四大精霊(サラマンダー、シルフ、ウンディーネ、ノーム)があるので、属性統一デッキの中心になれるように各属性の必要コストを減少する効果を与えました。
サモンの能力について
ゲームの性質上、徐々に手札が減っていきますので大型サモンを1ターン目に展開するのが自然な流れとなります。
大型サモンの能力はサモン自身にかかる強化能力とし、小型サモンには場に与える影響の大きい能力を与えました。
これにより、除去されたら後続が厳しい大型サモンを採用するか、小型サモンのみで場を固めていくかの選択肢が生まれました。
パワーの数値
パワーの数値が1違えばサモン同士のバトルに影響するので重要なのはもちろんですが、火力マギア耐性等で1ずつに明確な差をつけてバランス調整を行いました。
中心に考えられているのは以下のカードです。
・低コスト2ダメージのマギア
・高コスト3ダメージのマギア
・2ダメージ軽減のレジスト
・火力+2ダメージのサモン
遊び方について
短時間プレイのゲームなのでBO3が可能です。サイドデッキによる対戦間の入れ替えを採用したので構築の選択肢が増え、奥深さが増しました。
ライフポイントの数値によりカードの強弱が変わるのでライフポイントを変動させて気軽に違う環境でのゲームをプレイすることができます。
自由に構築するビルドルールは、「構築」が重視されますが、デッキがランダムのランダムルールでは「プレイ」が重視されます。
ランダムルールは、1戦ごとの運の要素が大きく一見ライトに遊べるルールですが、対戦ごとにカードが入れ替わるため、2戦目、3戦目と相手のデッキが透けてきます。ライフポイントがランダムなのも相まって最善の選択肢が毎ゲーム変わってくるため、プレイヤーの対応力が求められる遊び方です。
ライフポイントの決め方や、デッキの組み方等も公式ルールに囚われずに自由に決めて遊んでもらえたらと思います。
最後に
このゲームのルール原案は10年以上前に作った自作ゲームですし、世界観も随分寝かしていたものです。
技術の発達により絵が描けない私もAIの力でイラストを作成できるようになったことも後押しになりました。
しかし何よりも大きいのは、一緒に熱量を持ってゲーム作りに関わってくれた友人達に恵まれたことです。本当に感謝してます。ありがとー!
さぁ完成したし自分もElementis Summonerを遊び尽くすぞ!!