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弁天湯に行ってきた話


今週は、いけるかなぁ。
と週の頭に銭湯の予定を考えてしまう。
私の銭湯予定は、基本的に財政とネタ政による。
一か月に5万出費したらかなりの方。実家生だから。そうなってたら翌月に給料が振り込まれて、あれ、先月とトータルが変わってないって感じて、働くってなんだろうって小さくなってしまいたくなる。あの感覚は味わいたくない。
ネタができていないなら、銭湯にいってないで考えないと。前日の夜になって桃沢さんに泣きついて、3時間しか眠れずにライブを迎えて、なんのためになにしてんだって精神ごと倒れそうになるのは最悪だ。


「つるくん、金曜はスタンピード見に行けるの?」

おっと。
秀才の双子の勝どきに住んでる方からLINEがきた。
たしか公開日なんだったね。ONE PIECEの新作。
ONE PIECEはGOLDをみんなで見てから、そういうジャンプ系はみんなで見るみたいな流れになってるんだった。
気にしているのは主に双子だけど。

「尾身君が月曜がいいらしい。」
「むむ。」
「二人で話し合ってくれ。」
「いや、俺は最悪見なくてもいいから月曜行ってきな。」
「じゃ金曜なんの映画みる?」
「映画だけ残るのかよ。」

という具合の流れで

「じゃあそろそろ俺100軒目を迎えそうだから、北千住に付き合ってくれ。」
「おう。」

となった。

そう、まもなく私が回った銭湯の数が100軒に到達しそうなのだ。
ちなみにスーパー銭湯や同じ銭湯の重複はカウントしていない。純粋に100軒。
そしてここのところ大田区大連戦と小杉湯もあって、かなり、100軒目をアニバーサリーする準備ができあがってきてる。
これは大御所に出向きたい。 


そして前日木曜。
明日せっかく勝どきがいるしこうたくんも来るかなぁ。と思い、こうたくんに連絡。

「明日勝どきと風呂行くけどくる?」
「今日行こうよ。」

二言目から雲行き怪しい。

「いや、今日はネタ作る。」
「だめ、今日。」

こうなったらこうたくんは赤子だ。何を言っても聞く耳を持たない。

「帰宅して急いで飯食べて待ってるね。」

待つな。

「いつごろくるんだろう?」

あと私が車を出すことに感謝とかして。

ただ、今日は本当に外出はできない。
そう思った私は、粘ってみる。

「いや今日はほんとに無理。」
「ネタつくる。」

そして

「明日勝どきと風呂行くから明日にしてよ。」

と提案に移ってみる。
四半世紀生きた経験として、拒否より提案の方が相手を動かしやすいのである。

「21時から予定あるから都心にして。」

勝訴。

こうして北千住をおあずけにし
確か銭湯がいっぱいあるんだよなぁあの地帯、という記憶だけで東新宿にしてみる。

当日。

バイトの休み時間に銭湯を探す。こんな気持ちのないやつにも時給はでるんだから社会は寛大だ。
東宝湯が休み。
金沢浴場は行った。

”弁天湯” 

まぁここにしてみようか。
行ってない中じゃ一番近いし。
バイトを早々に済ませ移動、到着。

東新宿の個室のトイレで下痢を済ませて出てみると、ばったり勝どきに出会う。

「おお、何してんだよ。」
「おう。」

改札をでてこうたくんに会う。

「おう。」
「北千住にすればよかったのに。」
「ええ!!!!あなたが予定あるって言ったんじゃん!!!!!」

これがこうたくん。このジャブも慣れたもんだ。

前日の文句を勝どきに説明しながら弁天湯へ。
話をしてたらだんだんと北千住への愛おしさが増してきた。くそう。なんで今日は東新宿なんだ。私のアニバーサリーが!!

わりと歩く。
いや、そもそも最寄り駅じゃないんだなさては。


到着。

おおおおお。

思わぬでかさに目を奪われる。
東新宿なんて新宿からほど近いから、きっとビル型銭湯だろうと思っていたら 宮造りがお出まし。
なんだい。
おおおおおなんて思っちゃったよ。こっちゃアニバーサリーロスでふてくされてたのに。

入る。

入って左手にフロント。
入浴と、サウナ。
勝どきはガリガリ一人暮らしだから体力なんてノミくらいしかないのだけれど、こうたくんはサウナ好きだからサウナに一直線。別に合わせる必要なんてないのに勝どきは群がりたがりだから頑張ってサウナつけちゃってた。かわいいなぁ。

「シャンプーリンスは中にありますけど、シャンプーか、ボディソープか、化粧水、パック、髭剃り、歯ブラシ、この中から好きなの一つどうぞ。」

ですって。
こんなの初めてだよ。
しかも中にあるとかも言ってくれて。
絶対パックだよ。絶対顔面パック。

しかしサウナ900円はちょいと高いな?
ケチが発端で始まった銭湯好きなもんだから、そこはやはりピクッとなる。


脱衣所へ。

ゆったり過ごせるサイズ。
白いロッカー。
白は汚れが目立つから年季を感じちゃうけど、それがいきすぎないと見事な味だと思う。

え。
ちょっと待って。
俺のロッカー、奥にコンセント刺すところあるじゃん。

え!!!
全部のロッカーの中にコンセント刺すところあるじゃん!!!
時代!!
時代を取り入れるの早っ!!!
100軒めぐって初めてみたわこんなの。すげぇぇ。
フロントで充電器かしてくれんの。
唯一銭湯に足りなかった機能じゃん。
これは発明だ。

そんで天井みたら折り上げ格天井でやんの。
ひゅー。

いざ浴室へ。

手前にバーッとカラン。
そりゃそうだ。
そして壁画は。

おっと!?
風神と雷神ですか。
こりゃまたトリッキーなのできたなぁ。
個人的にベストは富士山だけど、こういうのも色だなぁ。
で、壁画の下、目線よりも高い位置になにやら電飾が。
よく見ると電飾の上にビニールシートのようなものをかぶせてあり、そこに鳥獣戯画のかえるやら兎やらが描かれて照らされている。
ははぁー。これも珍しい。
そもそも一番奥の壁画が書いてある壁が、反り経つ壁の上の方みたいに、返しがついてるのもあまり見ない。その一番出っ張ってるところに電飾があるんだからまじまじと見てしまう。見させられたなこれは。やりおる。

壁画を眺めるのもほどほどに、体を洗う。
なんかこうたくんと勝どきがうろうろ着席したなと横目で見つつ、空いてる近い場所に座る。
ひねる。
あれ!おい!!!
シャワー激弱席じゃんかここ!!!
だからうろついたのか!!!
いや、よく見たらシャワーのヘッドにばらつきありすぎるじゃん。
全然統一感ない。
リサイクルショップにあったやつ全部買ったみたいな。
すごいな。
あ、おそらくこれがオリジナルだってやつもあることにはあるけど。
めっちゃはずれじゃんここ。楽しいなぁ。これすら楽しいなぁ。


体を洗い湯舟へ。

まずは奥のでかいところ。

おお。
思いのほか親切な温度。
40度くらいか。
あぁでもちゃんと入ったらもうちょっと高いな!
これあるのよ。これ銭湯あるある。足だけ入ってちょうどいいと思った湯舟、全身入るとちょうどよくない。

湯舟は左から全身マッサージ(壺湯)、ハイパワー風呂、座風呂、寝風呂、ミクロバイブラ、宝寿湯(漢方)の並び。
全身マッサージとかは自分で起動させる式。
ただこれも一味違う。
通常だと、駅のトイレの呼び出しボタンみたいなやつを押したらジェットが出てくるところを、七色に光るセンサーに手をかざせばよいという方式。七色に光るもの、浴室にないのよ普通。あってもえっちなのよ。
すべてのマッサージ系が、思ってるより強めで長め。愛情かなぁ。
寝風呂でセンサーに手をかざしてから、ジェットが出てくるまでの数秒、ちょっとドキドキする。そんでここの寝風呂、思ったよりスタートダッシュすごいから全員びっくりしちゃった。心臓に悪い。

寝風呂に寝たら、入口側の壁にも壁画を発見。
私のウィークポイント。これやられたら無条件で好きになっちゃうのよ。なーちゃん出てたらテレビ見ちゃうのと一緒で。
近所の公園と神社を描いているらしいが、メインの風神雷神の絵よりもリアルな絵で、カラフルで、かなりいい。両A面シングルって感じ。もうこの言葉やめません?

さあ、900円のサウナだ。
勝どきはもうのぼせはじめてる。馬鹿だなぁ。

浴室が上から見て□だとして、上辺と右辺に風呂がばーっとあって、さっき紹介したのは上辺で、右辺には露天風呂と水風呂があって、そのまま右辺を□から下へつきだしたところにサウナがある。こんな説明でわかるわけない。行って。いいから。

サウナに入る前はからだを拭きましょう。
自分のためにも周りのためにも。

入る。

もぅわぁっ

あ、暑いぞ。

中には一人。
座れる人数は大体6人くらいか。
下段に座ると、お、テレビがある。
サウナの大きさに適切なでかさのテレビ。いいね。
砂時計式のみで、分の時計がないのは残念だけど、入口に時計がかけてあり、中から頑張れば見えるよ~っと言ってるようだ。

暑い。

勝どきは少し先に入ったので少し先に出る。
先に入ってた男性も退室。

え。
いや何度よこれ。

温度計を見てびっくり。
99度指してる。

「99度!?」
「熱いよね。」
「熱いと思ったわ。」

こうたくんも4分足らずで汗だく。

「ちょだめだ出るわ。」

これはなかなかのサウナが現れた。
99度にしてるとこなんかあるんだ。
沸騰するじゃんもう。

水風呂へ。
三人は入れるくらいのサイズ。

「うあぁぁぁぁっ、がっ、でやあっ!!!」

これがいいんだよ。この叫びが。
ちょうどいい冷たさだと思ったら、全身入って1分するころには少しぬるめかと思うのも銭湯あるある。
18度くらいかなぁ。
私はありですぬるめ。永遠いられるので。
ただサウナ激熱だったからなぁ。

勝どきはここで脱落。
一人で脱衣所へ。
だからやめとけばよかったのに。背伸びするから。

こうたくんと二週目へ。
高級国産牛を破格で提供する店を見ながら耐えしのぐ。
さっきよりは温度が下がってる。んん。一時的な99度だったのか。
最近一番館に行って思ったけど、一回行っただけでその店の味を判断するのは早計だ。チェーンなら当たり前ではあるんだけど。
どうも一番館の定食についてくるスープおいしくないんだよなあ。きくらげ卵炒めを食べるところでしかない。

しっかり整えて水風呂へ。勝どき君はなんの抵抗か、まだパンツしか履いてなかった。

露天へ。

露天といえどさすがにご時世、天井はふさがれている。見えちゃうから仕方ない。
ただ外気が入ってる場所だから、開放感はもちろんある。
ホルミシス療法と、ラドンの効能のポスターを一読。いや、ラドン温泉なのかと思ったら「今日の露天風呂 OKINAWA」って書いてあるんかい。ぶったまげた。


上がる。

いやー入ったなーと時計を見たら、脱衣所の時計がすげぇ。
木製?の、横幅でいうとブリぐらいある、形でいうとスマブラの”戦場”みたいな、仕掛け時計が飾られてる。うわぁ。これは、雰囲気を崩さないトーンで、いいなぁ。
え!ていうか!
今20時10分で、この時計一時間に一回音楽流れてたってことは、10分前に大行進が見れたんじゃん!!!
あーーー!
ここまで楽しんだんだからそれも見たかった。。。
こうたくんと二人で落胆。

「おお、なんかピーピーなってたよ。」

時計だけ優越された。

おげ。
フロントに出たら脱臭機を発見してしまった。

「アウターとか着てたらね、そこに入れてからお風呂入って、脱臭しておけるの。」

と番台のおばちゃん。

「うおお。すげぇ。」

年上にうおお、すげぇはないよね私。
でもこれまた初めて見た。脱臭。必須科目ではあるんだよな実は。小杉湯といい。


休憩スペースはソファーで10人くらい座れるのかな。
テレビがあって。雑誌もあって。
見つけちゃったから濃厚牛乳飲んじゃうよね。実は牛乳めっちゃ好きだから。
それ以外も色んな瓶牛乳があったな。野菜ジュースもあったし。
で、よく見たらテレビの上にモニターがあって、隣のコインランドリーの様子が見れるわけ。ここで涼みながら、自分の洗濯が終わったら出ていける仕様なの。コインランドリー使わないけど、これほどありがたいものはないだろうとわかるよ。家と一緒だもんこうなったら。洗濯待ってる間ソファーでテレビ見るって。


あれ。
北千住に行けないと膨れてたわりに、すっかりご機嫌になってる。
あんまり個性だすもんだから、おぼれちゃったよ。良さに。
調べたら創業自体は昭和32年からやってるらしい。もうかれこれ64年!?長いなぁ。それでこの時代に合わせた進化だもの。柔軟だ。こんないいなんて思わなかった正直。

こうたくんが新宿で待ち合わせだからと新宿駅まで歩き、駅で別れる。飯も食わないんだって。なんだ、我々はおともか。
勝どきと二人でBEAMSの前の町中華へ。
レバーのから揚げが最高に当たりだった。
銭湯と飯、二つ当てて初めて最高の夜なんだ。
今回は大当たり。

すっかりだ。
風呂に入ってから、別人のように人生を楽しんでる。
簡単すぎて頭が痛いが。
銭湯の大勝利ってところにしておく。

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