アルゴグラフィックスカップ~プレーオフ 決勝 北海道銀行リラーズ戦 20240901~
■北海道銀行リラーズについて
「SC軽井沢クラブ」スキップの上野美優選手ともプレーした経験がある若手の注目株のチームです。今シーズンは非常に好調な印象で、今大会は予選リーグで中部電力、フォルティウスの両方に勝利しているだけではなく、準決勝では「ハ・スンヨン」を接戦の末に下して勝ち上がって来ています。先日開催された「アドヴィックスカップ」でも対戦していて、その際は「ロコ・ソラーレ」が勝利をしています。
特徴としては攻守にバランスの取れていて、比較的オーソドックスな戦術を好みます。ジュニア時代から活躍していた選手達で構成されていて、非常に連携が取れているチームです。楽しく伸び伸びプレーするところは「ロコ・ソラーレ」に近いところはあるかもしれません。昨年の日本選手権では惜しくも準優勝でした。もう少し海外遠征などで経験を積むと、伸びが期待出来るでしょう。
今回はいくつかのポイントで試合を振り返ってみようと思います。
■ロースコアの試合
両チームの対戦はオーソドックスな戦術を好むチーム同士のため、接戦になることが多いのですが、今回も序盤からロースコアの接戦となりました。第1エンド後攻で迎えた「ロコ」が、藤澤選手のピールを狙ったラストロックがノーズヒットしてしまい、1点を取ってしまった後は、2エンド以降も非常にクリーンかつロースコアな展開で試合が進みました。
正直、もう少し攻撃的に行けた部分はあったのかもしれませんが、決勝で使われたBシートの曲がりをつかむのが非常に難しそうでしたので、リスクを考えると致し方なかったのかもしれません。
■Bシートの曲がりの難しさ
この試合は終始アイスの曲がりに苦戦している場面が多く、特に後半は両チーム共にアジャストするのが難しそうな印象を受けました。ただ、その中でも藤澤選手が第6エンドで決めたフリーズは素晴らしかったですし、その他にも要所要所で素晴らしいショットはあったと思います。悔やまれる場面があるとしたら、第7エンドで、もう少し曲がりにアジャスト出来ていて、ランバックがしっかり決まっていたらというところでしょうか。
■初めての複数点
試合が動いたのは2-2で迎えた第6エンド。センター線で攻め続けていた北海道銀行フォースの田畑選手の1投目が奥に行ってしまったことで、すかさず藤澤選手が1投目でフリーズに成功し、No.1を獲得したことで、2点目の布石となりました。藤澤選手がラストロックでしっかりドローを決めて、この試合最初の複数点を獲得します。また、直後の第7エンドではサイドガードへのカマーがしっかり決まったことで北海道銀行が2点パターンを作り、4-4の同点、ロコが後攻で最終エンドを迎えることとなりました。
■同点で後攻を迎えた際の勝利期待値の低さ
試合は北海道銀行のNo.1を打ち出そうとした藤澤選手のショットがスルーをしてしまい、4-5で北海道銀行の勝利となりました。シーズン初タイトル、チーム世界ランキングに絡むポイントが掛かっていたロコとしては悔しい敗戦となってしまいましたが、改めて同点で後攻を迎えた際の勝利期待値の低さを感じてしまいました。
ロコとしては第7エンドで確実に1点を取らせるか、ブランクを選択させるエンドにしなければいけませんでした。先行なら2点以上のリードで最終エンド、後攻なら1点以上のリードで最終エンドを迎える方が勝利期待値は高くなります。ノーティックルールが採用されたことで、スチールされる率が高くなったことも影響してそうですね。
■4人での初大会は準優勝でカナダ遠征へ
今シーズンの「ロコ・ソラーレ」はより多くの大会に出場して試合経験を積むことを表明していますが、この後は元々拠点を置いているカナダに遠征に向かうことが予想されます。
昨シーズンは大会を絞り過ぎたことで、上手く感覚が掴めない試合が散見され、日本選手権も十分な準備が出来ずに4位で終わってしまいましたが、今シーズンは確実に経験を積むことで、グランドスラム大会、来年の日本選手権、3大会連続のオリンピック出場に向けて、決して理想的とは言えないものの、課題点も含めて前向きな気持ちでスタート出来る大会になったのではないでしょうか。