アドヴィックスカップ2024~「ロコ・ソラーレ」シーズン初戦について

今年も「北海道カーリングツアー2024」がスタートしました。すでに8月8日には「稚内みどりチャレンジカップ2024」が開幕していて、男子は「コンサドーレ札幌」、女子は「中部電力」が優勝を飾っています。そして、8月22日に開幕したのがタイトルにもある「アドヴィックスカップ2024」になります。事前に「ロコ・ソラーレ」のシーズン最初の大会であることが発表されており、とても楽しみにしておりました。今回は同チームおよびシーズン初戦について書いてみたいと思います。

①アドヴィックスカップとは
アドヴィックスカップとは、北海道北見市常呂町にある「アドヴィックス常呂カーリングホール」で2014年から毎年夏に開催されている「北海道カーリングツアー」の中の一大会となります(大会の詳細はこちらをご参照ください)。
 同会場は「ロコ・ソラーレ」の活動拠点でもあり、2019年から2023年の間に3連覇を飾っている大会でもあります(2020年、2021年はCOVID-19と改修工事のために中止)。毎年日本選手権で優勝を争うような強豪チームがシーズン序盤の大会として選ぶことが多く、特に近年は非常にレベルの高い試合が見られることが多くなりました。
 海外のチームも参加しており、特に2024年は女子のチーム世界ランキング3位で、昨年のカーリング最高峰の大会として知られるグランドスラム「ナショナル」で初優勝、世界選手権では3位と大躍進を遂げた「チーム・キム・ウンジ」が参加していて、注目度が高いです。「ロコ・ソラーレ」とは長年のライバルで、国際大会やグランドスラムで何度も対戦しているため、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

②「ロコ・ソラーレ」について
2023年シーズンはグランドスラム「カナディアンオープン」の初優勝や、「北京五輪」の銀メダルなど、大躍進を遂げた2022年シーズンに比べると、非常に苦しんだ年と言えます。投石フォームの見直しなどの様々な理由から、出場大会をセーブした結果、ここ数年はコンスタントに結果を出していた「グランドスラム大会」でプレーオフ進出をすることが出来なくなり、長年トップ10を維持していたチーム世界ランキングもシーズン終了時には12位まで落ちてしまいました。
 また、その不調から、一時はグランドスラム最終戦「プレイヤーズチャンピオンシップ」に出場するためのランキングポイントを維持することが難しい位置にまでランキングを落としてしまい、ヨーロッパの大会に出場してポイントを稼いだ結果、同大会の出場は果たすことが出来ましたが、日本選手権の準備が十分に出来ない状態で臨んだ結果、順位は4位となり、3連覇を果たすことが出来ませんでした。長年維持して来た日本代表も若手チームの「SC軽井沢クラブ」の女子チームに譲ることとなり、2026年のミラノ五輪に向けて課題を残すシーズンとなってしまいました。
 そんな中で臨む2024年シーズンですが、スキップの藤澤五月選手の「例年より早くシーズンインし、準備して来た」という3大会連続の五輪出場に向けて、非常に頼もしい言葉を聞くことが出来たのは嬉しかったです。また、ランキングポイントを稼ぐため、また、来年2月の日本選手権に向けて、より多くの大会に出場する予定であることも発表されていて、非常に期待が持てるシーズンになるのではないでしょうか。一ファンとして、試合がたくさん見られることが嬉しいですし、とても楽しみです。

③シーズン初戦について
ここでは「ロコ・ソラーレ」がシーズン最初の大会として出場している「アドヴィックスカップ2024」の初戦について書いていこうと思います。今大会の詳しいレギュレーションについてはこちらをご参照ください。
 初戦で対戦したのは東京を拠点にしている「GRANDIR」です。フォースでスキップを務めるのは大関結選手で、サードを務める石垣真央選手は2018年に「チーム富士急」の一員として日本選手権を優勝した経験がある実力者です。昨年の日本選手権にも出場しており、シーズン初戦としてはなかなか手強い相手との対戦となりました。
 LSD(詳しくはこちら)の結果、「ロコ・ソラーレ」が不利な先行、「GRANDIR」が有利な後攻となりました。LSDに強い「ロコ・ソラーレ」としては意外なスタートとはなり、ドローに不安があるのかなと少し思いましたが、それを払拭させるような素晴らしいパフォーマンスを見ることが出来ました。
 序盤から「ロコ・ソラーレ」は得意なセンター線を中心に押し気味に試合を展開し、第1エンドでは1点のスチールに成功します。第2エンド以降は後攻の際には2点、3点を獲得する一方で、先行の際には1点を取らせるというセオリー通りの試合を展開。ショットにもほとんどミスがなく、終始ドローに苦しんだ「GRANDIR」とは対照的な結果となりました。
 この試合唯一のミスはスコア6-3、後攻で迎えた第7エンド。このエンドは無理に複数点を取りに行く必要がなく、スチールされなければ問題がないというミッションでした。後攻側が1点でも取ればスコア7-3と4点差になり、最終第8エンドを迎えずしてコンシード勝利濃厚な試合展開でしたが、ラストロックの藤澤五月選手の1点を取るためにNo.1ストーンを作りに行ったショットがスルーとなってしまい、1点スチールされるという課題が残るエンドとなりました。結果、スコアは6-4と2点差になりました。
 最終8エンドは2点差で後攻という非常に勝率の高い場面で迎えたものの、近年はノーティックルール(センター線上に掛かったストーンは先行チームのセカンドの1投目まで触ることもずらすことも出来ないため、ハウス内に石が溜まりやすくなる)の影響で、試合展開によっては、2点スチールされることも十分に考えられるため、7-3に出来なかったという点では課題を残す試合になったと言えます。反面、切り替えも素晴らしく、「GRANDIR」の粘りを受け止めながら、1点スチールまでならOKというシンプルなミッション(相手のハウス内の石がどんな配置でも残り1つになった時点で勝利確定)をしっかり達成出来たことで、6-4というスコアでの勝利を得ることが出来たという点では素晴らしい試合でした。
 同大会はリードを務める吉田夕梨花選手が急遽欠場することになり、鈴木夕湖選手、吉田知那美選手、藤澤五月選手の3人で投石するということで、スイープも含めて体力的に厳しい試合でしたが、昨シーズンのような疲れやフォームの乱れは見られず、しっかりと準備して来たことが伺える試合になっていたと感じました。ちなみに次戦の相手は同じロコグループに所属している妹分の「ロコ・ステラ」で、8/23の14時開始となります。北海道カーリングツアーのYouTubeチャンネルにて無料配信されるため、お時間のある方はぜひご覧になって見てはいかがでしょうか。




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