アルゴグラフィックスカップ2024 予選リーグ第3戦 フィロシーク青森戦

■フィロシーク青森の対戦
「フィロシーク青森」と言えば、一昨年の日本選手権でグランドスラム「カナディアンオープン」優勝後の凱旋大会となった「ロコ・ソラーレ」に勝利するなど、活躍し、最終順位は4位。旋風を巻き起こした存在として記憶に新しい人がいるかもしれません。
 昨年はクラウドファンディングで得た資金で海外を回り、経験を積んだものの、なかなか結果が出ず、日本選手権の出場も逃すという苦しいシーズンになってしまいました。新シーズンに入ってもなかなか勝てておらず、不調という印象です。「ロコ・ソラーレ」としてはしっかり勝利し、波に乗りたいところです。この試合もエンドごとに振り返って行こうと思います。

■第1エンド LSDの結果 先行フィロシーク 後攻ロコ・ソラーレ
ハウス内に入ったお互いのストーンを打ち合うというクリーンな展開でスタートしました。一時、複数点が入りそうな展開もありましたが、ちなみ選手のドローを狙った2投目が最初のエンドのため、ドローのラインの読みが難しく、スルーになったことで、当初の予定通りのクリーンな展開に戻り、ブランクエンドで終了。

■第2エンド 後攻 ロコ 0-0 先行 フィロシーク 
センター線で優位な形を作ろうとするフィロシーク、それを崩そうとするロコという構図が見られました。フィロシークは先行として良い形を作り続けますが、ゆうみ選手やちなみ選手のランバックなどでしっかり崩し、チャンスを作っていくという展開でした。
 ちなみ選手の2投目のランバック、シューターが飛ばしたい石に斜めに当たったことで、ハウス内のストーンを掠めてロコのストーンがNo.1になるというラッキーショットがあったのが面白かったです。また、藤澤選手1投目のNo.1をピールアウトするショットが素晴らしかったです。これによって、相手のNo.1をしっかり出すという形が作れ、2点獲得に繋がりました。藤澤選手がラストロックでヒットステイを決めて2点。

■第3エンド 先行 ロコ 2-0 後攻 フィロシーク青森
ロコのセットアップがしっかり決まり、先行がセンター付近で展開するという優位な形で進んで行きます。フィロシークはこの形を崩そうとするも、なかなかうまく行かず、ロコがNo.1を維持したまま試合が進んで行きます。
 フィロシークはランバックなど、確実に相手のストーンにはヒットはするものの、シューターがなかなか良い位置に残らないという惜しいショットが続きました。最終的にはロコがNo.1,2を維持したままフィロシークのラストロックのドローを強いる形になり、ウェイトが少し足らなかったのか、No.1になれず、ロコが1点をスチール。

■第4エンド 先行 ロコ3-0 フィロシーク 後攻
ロコとしては2点までなら取らせても良いというシンプルな目標でスタート。一方で2点を取りたいフィロシークという思惑が一致したエンドでした。フィロシークがロコのNo.1をヒットステイした後は、4人で3点を取られないようにどうすれば良いのかと話し合っていたように、いかにフィロシークのストーンを減らすのかという点にフォーカスしてプレーしていたように感じました。
 フィロシークは2点が欲しいから、ハウスを広く使いつつ、確実に自分達のストーンを打ち出してくるので、自分達のストーンがどの位置にあれば相手のショットを出来るだけ難しく出来るかという意図が見えました。この辺りは一見シンプルなのですが、自分達に有利なエンドコントロールをするためには重要な考え方であると改めて感じました。お互いの思惑通り、フィロシークがNo.2を持った状態でロコのNo.1を打ち出し2点を獲得。

■第5エンド 後攻 ロコ 3-2 先行 フィロシーク
2点リードのロコとしては、1点を取ればOKというエンド。早めにセンター付近に自分達のNo.1を確保し、相手に1点を取らせる形を作ろうとする展開。夜の時間帯のCシートは曲がりが難しいのか、両チーム思い通りにストーンを配置出来ない中で、ハウスの前にガードがたまる一進一退の攻防となりました。
 エンド終盤、ドローのラインがない中、フィロシークがタップバックでNo.1を作り出しますが、ストーンがオープンになってしまい、藤澤選手のラストロックで打ち出ししっかり1点。ガードにぶつかりそうなくらいスペースが狭かったですが、スイープが見事でした。

■第6エンド 先行 ロコ 4-2 後攻 フィロシーク
フィロシークに1点を取らせたいロコでしたが、セットアップこそ上手く行ったものの(2点リードのためセンター付近に2石のストーンを配置)、ガードの曲がりに苦戦し、思うように石が配置出来なかったり、相手のガードに当たってしまったりと難しい展開が続きます。展開が変わったのはちなみ選手の1投目。オープンになったフィロシークのストーンをヒットし、中央のセンターガード裏にロール出来たことで、フィロシークに難しいショットを強いることになり、ロコのペースになっていった印象でした。
 さらに素晴らしかったのは混んだ展開の中でのちなみ選手の2投目。相手のNo.2ストーンにしっかりフリーズ出来たことで、2点、3点を取る布石になったと感じました。これが決まったことで、藤澤選手の1投目が決まり、フィロシークの得点を抑える結果になりました。この時点でロコがNo.1,2,3を持つ形を作れました。
 勝負が決まったのはフィロシーク4th田中美咲選手のラストロックでした。ハウス内に残ったロコNo.1,2,3のストーンを見ながら、センターガードを交わして1点を取るためのドローを狙うものの、ウェイトが足りず、No.4の位置に止まってしまいました。ここでロコの3点スチールとなり、5点差となったことでフィロシークがコンシード。最終スコアはロコから見て7-2でした。

■総評
ロコとしては、決して思い通りに進んだ試合ではなかったものの、序盤からエンドコントロールをしっかり行い、終盤まで優位に推し進めていた試合でした。両チームともに後半に入ってからのアイスの曲がりに苦戦している印象はありましたが、決めるべきところでしっかりアジャストしていたのはロコであり、それが第6エンドのスチールに繋がったと感じました。
 決して思い通りに行かない展開の中で、最善のショットを選択し、それを決めるための布石を打っていく。それがロコの強さであり、まだまだ伸びるという気がしました。世界一という目標のために、1試合1試合が充実したものとなるよう願いつつ、応援して行きたいと思います。




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