アドヴィックスカップ2024〜予選リーグ第2戦 ロコ・ステラとの新シーズン初のロコダービー
ロコ・ソラーレがシーズン最初の大会として参加しているアドヴィックスカップ2024の予選リーグ第2戦が8/23の午後に行われましたので、レビューを書いてみたいと思います。
①ロコ・ステラについて
元々は一般社団法人ロコ・ソラーレの若手育成のために作られたセカンドチームです。昨シーズンまでは理事の本橋麻里氏も選手としてチームに加わっており、リザーブの選手を含めた5人体制で日本選手権の出場を果たしたことは記憶に新しいと思います。今シーズンはその本橋氏が選手を休業し、理事に専念することが公式発表されています。今大会は、新メンバーの荻原詠理選手が2025学生強化チームに加わったため、3人体制での出場となりました。
近年はスキップの佐々木穂香選手を中心に、チームが成熟して来ており、強豪が相手でもあと一歩というところまで迫れるようになって来ました。コミュニケーションも活発で、今シーズンの飛躍が楽しみなチームです。
8/23に行われた予選リーグ、昨年の日本選手権優勝チームであるSC軽井沢クラブ戦は、6-6で最終エンド後攻、ラストロックのドローを決めれば勝利というところまでこぎ着けましたが、ウェイトが足らず、ストーンがショートしてしまい、6-7と惜敗となりました。最終エンドのショット選択が勝敗を分けたと思います。
強豪に勝つには、なるべく早くアイスにアジャストする必要があるのはもちろんですが、戦術の幅を増やして行くこと、局面にあったショット選択をして行くことが今後の課題になって来ると感じました。
②今シーズン初のロコダービー
前置きが長くなりましたが、今シーズン初のロコダービーについて触れて行きます。ロコ・ソラーレも今大会は3人体制で出場しているため、3人対3人というかなり珍しい布陣での対戦となりました。LSDの結果、ステラが先行、ソラーレが後攻で試合開始となりました。
第1エンド序盤は、先行のステラがストーンをハウス内に入れたため、打ち合いによりブランクエンドになるような流れがありましたが、ステラの石がサイドに寄ったのを見計らい、ソラーレはサイドにガードストーンを置き、攻める展開に切り替えました。これは局面によってベストな選択をするというソラーレの強さのひとつでしょう。
結果、サイドで優位に進めたソラーレが複数点のパターンを作り、しっかり2点を獲得することに成功しました。この2点先制で波に乗ったという印象的を持ちました。その後のエンドでも先行時には1点を取らせ、後攻時には3点という理想的な展開を作って行きました。ステラも要所で粘りを見せ、良いショットはありましたが(特に第2エンドの攻められた中での1点は素晴らしかった)、アイスの曲がりを読み切れず、ランバックやダブルテイクアウトがなかなか決まらなかったり、局面でのショット精度と、アイスリーディングに差を感じました。
ソラーレも、大きなミスがあったのは3エンドの知那美選手のダブルテイクを狙おうとした際のスルーと、9点リードとなった6エンドのみで、それ以外のエンドでもカードの位置が思うように行かなかったり、ドローが少しズレてしまったり、ストーンを押し下げる場面でノーズヒット(ストーンを正面に当てる)の際のウエイトのミスがあったりと、小さなミスはありましたが、勝負を左右するような重要な場面でのミスは見られませんでした。アイスリーディングも6エンド以外は完璧で、序盤からしっかりアジャスト出来ていた印象でした。
試合を決定付けたのはスコア5−1、ソラーレ先行、ステラ後攻で迎えた第5エンドでした。センター付近に固まったソラーレのストーンをステラはなかなか動かすことが出来ず、ハウス内の石がソラーレが5個のみという中、ステラのラストロックで1点を取りに行ったドローが伸び過ぎてスルーとなってしまい、ヒットアンドステイなど、決めるべきショットをしっかり決め続けたソラーレが5点のスチールに成功しました。この時点のスコアが3エンドを残して10−1と、ソラーレの勝利を決定づけるエンドとなりました。
ソラーレとして少し緩みを感じたのはこの試合最後のエンドとなった第6エンドでした。藤澤選手の残り2投まではヒットが狙った通りに決まらなかったり、ドローを狙おうとしてガードに当たってしまったりと、らしくないミスが散見されました。24日のSC軽井沢クラブ戦に向けて、しっかり修正欲しいところではあります。試合はこの第6エンドでステラが2点を獲得して10−3となったところでコンシード(相手の勝利を認める行為)となりました。
ステラとしては決して内容は悪くはなかったものの、決めるべき場面で決めるべきショットが決まらなかったり、優先すべきミッションが曖昧なままストーンを投じている場面が見受けられたところは今後の課題だと思います。スキップの佐々木選手としては、前述した第5エンドのスルーがなければというところでしょう。
スコアだけ見れば、先輩のソラーレの完勝とはなりましたが、ストーンがハウスに溜まるエンドが多かったり、レベルの高いセンター線の攻防など、非常に濃い内容の試合だったと思います。チームが3人だからこそのプレーも面白かったです。ステラの予選リーグは同日の夜に行われたグランディール戦で終わってしまいましたが(大会初勝利。素晴らしかった)、ソラーレの予選最後の試合となるSC軽井沢クラブ戦が8月24日の10時30分に行われます。お時間のある方は北海道カーリングツアーのYouTubeチャンネルにて生配信されますので是非ご覧ください。