アドヴィックスカップ2024〜予選リーグ第3戦 SC軽井沢クラブとのリベンジマッチ
①現在までの予選リーグの結果とプレーオフ
ここまで予選リーグ2連勝と好調な滑り出しを見せているロコ・ソラーレは、上位6チームによるプレーオフ進出は決定しましたが、上位2位以内に入れば準決勝進出が決定となるため、8月24日の午前中に行われる予選最終戦、SC軽井沢クラブ戦は非常に重要な試合となります。
以下のリーグ・トーナメント表を確認すると、すでに韓国のトップチーム「キム・ウンジ」が3連勝でDSC(ドローショットチャレンジの略で、毎試合実施しているLSDの平均値)も22.58(単位はcm)と高記録を達成しているため、おそらく1位通過が濃厚です。
一方で、ロコ・ソラーレは「SC軽井沢クラブ」との試合に勝てば3連勝となり、同じく3連勝で終えている「フォルティウス」のDSCが50.46のため、これを上回れば2位以内の通過が決定します。ロコ・ソラーレの現在までのDSCは不明ですが、3戦を終えた「グランディール」のDSCが36.3のため、これと同じくらいの数値を記録していれば、2位での予選通過も見えてくるでしょう。今回は3人での参加のためか、LSDに苦しんでいる印象があるので厳しいかもしれません。
②SC軽井沢クラブについて
元々は現在はサードを担当している金井亜翠香選手がスキップを務めていたチームです。昨シーズンに世界ジュニア選手権で活躍した上野姉妹が加わったことで、姉の上野美憂選手がスキップを務めるようになりました。また、日本選手権では「ロコ・ソラーレ」を始め、強豪チームを次々と撃破し、初優勝と躍進を遂げたチームです。
同年に開催された世界選手権では外国遠征の経験の少なさから思うような結果が得られませんでしたが(各国代表はいずれもほとんどがグランドスラム大会の常連で、同大会未経験の「SC軽井沢クラブ」には非常に厳しかった)、今大会もここまで2連勝と好調さは維持しているという印象です。
上野美優選手がスキップになってから変わったのは、アイスリーディング能力が向上したことと、戦術幅が広がったことでしょうか。大ベテランの西室淳子選手の存在も大きく、非常にバランスが良いチームでもあります。
ちなみに同名の男子チームがあったり(一昨年は日本選手権を制し、日本代表となり、昨年はグランドスラム大会に初参戦しています)、元々ジュニア世代に力を入れているチームでもあります。上野姉妹はその成果のひとつと言えるでしょう。
③リベンジマッチ
ロコ・ソラーレにとっては、昨シーズンは日本選手権を含めて連敗している相手のため、リベンジマッチということになります。来年2月の日本選手権でもライバルとなる可能性が非常に高いため、現状どこまで仕上がっているかを確認するための試合とも言えます。
鍵となるのはやはりアイスリーディングです。昨シーンのロコ・ソラーレは参戦大会を絞ったために、思うような結果が得られず、苦しんだシーズンだったことは別の記事で書きましたが、今シーズンのここまでの2試合を見ると、三人ではあるものの、しっかり準備して来たことが伺えるパフォーマンスが見られたため、昨シーズンの対戦結果はあまり参考にはならないのではないでしょうか。
ロコ・ソラーレには長年の海外遠征による豊かな経験が大きな武器であることは多くの皆様がご存じでしょう。これは他のどのチームにも負けないものであり、カナダを拠点にさまざまなアイスに触れて得た経験は何事にも代えがたいでしょう。次の項目では、この経験を生かしてリベンジを果たせたかどうかを書いて行こうとと思います。
④SC軽井沢クラブ戦について
ここでは試合内容について触れていきます。LSDの結果、第1エンドはロコが先行、SC軽井沢が後攻。ハウスに入ったストーンを打ち合う展開が続き、ブランクエンドで第2エンド。ロコは得意なセンター線でNo.1,2を作り続け、SC軽井沢に1点を取らせる形を作っていく。ここでのフリーズ合戦は非常に見応えがありました。
同エンドでは、中心付近のアイスの曲がりにしっかりアジャストしたロコが終始優位に試合を運び、1点パターンを完成させます。結果、SC軽井沢スキップの上野美優選手のドローショットが短くなり、1点のスチールに成功。
ロコとしては、早い段階でアイスの曲がりを読み、中央付近に自分たちのストーンを残し続け、ドローの幅を狭められたからこそのスチールと言えますし、SC軽井沢としても、スチールはされたましたが、2点スチールの可能性もあった中で、1点に抑えられたという点では決して悪いエンドではありませんでした。
そして第3エンド。ここでもセンター付近を固めて試合を進めたロコが優位に試合を進めました。早い段階で作ったNo.1,2の前にガードを置いて守るだけのシンプルなショットが続きました。一方でランバックを強いられたSC軽井沢ですが、上手く決まらないという展開でした。
その後、スキップの上野選手のダブルテイクアウトなどで展開が少し変わり、SC軽井沢のNo.1ストーンがセンターのガード裏にしっかり隠れる形を作るものの、ロコのスキップ藤澤選手2投目の斜めのフリーズが弾き出せない絶妙な角度で止まり、SC軽井沢は使っていた反対のサイドから2点目のドローを狙うもウェイトが早かったのか決まらず1点止まり。ちなみにこの第3エンドの藤澤選手のフリーズが私にとってはこの試合のベストショットです。
第4エンドは後攻ながら得意なセンター付近で試合を展開し、No.1を確保し続け、最後のドローをしっかり決めて2点を獲得。鈴木夕湖選手の自分達のストーンにチップさせて、シューターがNo.1になるというショットが非常に素晴らしかったです。
第5エンドもセンター付近のNo.1の確保を皮切りにNo.1,2,3を確保し続ける展開。SC軽井沢にランバックを強いる展開でしたが、なかなか決まらず、優位に試合が進みます。ロコとしては、ダブルセンターガードでスチールまで見据えた展開でしたが、SC軽井沢のラストロックのスキップ上野選手のドローがしかり決まり1点を取らせた結果になりました。この時点でスコアは3-2。第6エンドはロコが後攻の状況で、ブランクとなり、3-2のまま第7エンドへ。
ここでSC軽井沢が意地を見せます。今まで上手くいっていたロコのセットアップが上手くいかなかった隙を突いて、センター付近に自分達のストーンをためる展開を作ったことで、見事1点スチールに成功。元々粘り強いチームではありましたが、スチールが必要なエンドで、自分達のストーンを残し続け、最終的に1点捥ぎ取ったところは素晴らしいと感じました。ロコとしても、2点以上のスチールを見ての藤澤選手のラストロックでしたが、しっかりダブルテイクを決めて1点スチールに留めたところはさすがでした。
試合はスコア3-3、SC軽井沢先行、ロコ後攻で最終第8エンドへ。ここではロコのセンター線のセットアップがしっかり決まり、センターにガードを置いて、No.1を守り続ける展開が続きます。その後、SC軽井沢がハウス内の石を触りにいく展開となり、何とかロコのストーンの裏に自分達のNo.1を確保するも、藤澤選手がラストロックのランバックをしっかり決めてNo.2として残っていたロコのストーンがNo.1となり、試合終了。スコアは4-3という接戦でした。
ロコとしては昨年連敗していたSC軽井沢を相手に、後攻時は全くチャンスを作らせなかったことは大きいですし、スコア以上に終始優位に進めていたと言っても過言ではない試合だったと思います。これで3連勝で、DSCの結果、全体3位でプレーオフ進出決定となりました。まずは北海道銀行リラーズとの準々決勝に臨むことになります。3人のためかLSDの不調は懸念材料ですが、試合に勝つことが重要なので、今後の展開を見守りたいと思います。最新のトーナメント表はこちらとなります。