
お46話・女の子におんぶしてもらいたい男子~冷たい断り方した女子がおんぶしてくれた
一時期住んでたことのある横浜の某商店街をひさしぶりに歩いてると、中学3年ときに片想いしてフラれた憧れの元同級生女子ユミコとバッタリ会った。お13話で書いた片想い相手ミツエは中学2年までいた東京都内の中学においてで、中学3年からボクは横浜へ転校、ユミコに一目惚れ、告白し、かなり避けられる形でふられたのだった。
ユミコも、自分のやったその冷たいふりかた に後ろめたさもあったようで、卒業後たまたまどこかで会ったりすると、彼女はそんな言いたげな目をしていて、今回もそうだった。
転校生にいきなり告白されて、ビビっちゃったかもね、いま思うと。
「ユミコさん、中学んとき、ボク告白するの早すぎたかな。ボク転校生で、友達あんまりいなくて横浜にも溶け込んでなくて、出遅れてる、とかで、焦ってたみたい、あと一年しないで卒業で、お別れっておもうと」
「私のほうこそ、あんな断わりかたしちゃって申し訳ない気持ちで」
当時ボクは、まず告白のラブレターを出して、その中で、直接会っても伝えたいので会ってほしいと書いていたのだ。
それにたいして、ユミコは、ほかの女子2人をボクのもとへ派遣し、その2人がボクに「ユミコからの伝言だけど、断わりますって」と。
ボクは、付き合ってほしいとか要求したわけでもなく、
ボクのことを好きになってほしいと求めたわけでもなかった、それらはムリだと思ってたから、そんなことを今回は伝えた。ユミコは
「私ひどいよね、クロ君に嫌われるどころか、恨まれてもしかたない」
「凄くショックだったけど、ますますユミコさんのこと好きになっちゃって、憧れになっちゃったよ、ほとんど会話もしたことないのに、あんなに人を好きになるなんて、いい中3年時代を、ありがとう、だよ、いまもこうしてユミコさんと、そのことで会話してて、あのときのこと思い出してドキドキしてきちゃった」
「ありがとう、クロ君と付き合ってればよかったかなあ」
「そう思ってくれるだけで、ボクの心は中学3年にもどっちゃったよ、で、ひとつお願いがあるんだけど」
「なに?」
「中学んとき学校でやってほしかった、ちょっとしたこと」
「なんだろ、中学生がやること?」
「ユミコさん、ボクをおんぶしてください」
「えっ、私がおんぶするの?」
「うん、じゃあ乗るよ」
ボクは細身のユミコに飛び乗ると、ユミコはキッチリと、両手でボクの両足を持ってくれた。
「ユミコさんのうちまで、おんぶで連れてって」
「ええっ、商店街の向こう側よう、ムリ」
「いけるとこまででも」
憧れの片想いのユミコがいまボクをおんぶして歩いてくれてる。ユミコはボクのこと好きでないどころか、避けてたのに、そのユミコがいまボクをおんぶして歩いてくれてる。こんな夢のようなことが実現可能だったとは、自分の人生に感動だ。
ユミコの背中が汗ばみはじめてきた。片想いのユミコの汗は、好きでもないボクを楽させて気持ちよくさせるためにかいてくれてる汗。
中学のときは話し相手もしてくれなかった憧れの女の子が、おんぶしてくれる、時がたつって、こういうことが実現してしまうもんだったんだ、
ボクは、ユミコのおんぶに揺られて、うっとりし感慨にふけり、中学時代のユミコを想像して、ニヤニヤしていた。
ユミコは「重くてもうダメかも、手がしびれてきた」
ボクは「ありがとう、夢が叶った」と言って、とりあえず降りたが
「少しやすんだら、もう一回おんぶして、おねがい」
「もうムリ」
「おねがい」
「・・・」
「おねがい、ふられてからも、ずーっと好きだったの、おねがい」