Vaporwave から FutureFunk 、Citypop への流れ
インターネット時代のカルチャーとして登場した Vaporwave は、その後いくつかのサブジャンルとなっていくのですが、その中でも FutureFunk 、 Citypop は、それぞれがひとつのジャンルとして確立している感があります。
このページでは、 FutureFunk を中心に、 Vaporwave 、Citypop とのつながりを示すようないくつかの楽曲や面白いと思った話を紹介します。
FutureFunkって?
日本の80年代の歌やアニソンをサンプリングして、チョキチョキして作成した楽曲のことです。
Vaporwave の脱アート化というか、大衆化というか、チョキチョキする手法は残して、めちゃくちゃ聴きやすくしたって感じです。
動画も基本的にはアニメの動画をチョキチョキしたものなので、親にみられたら恥ずかしいレベルです。
今となっては、そのつながりは明確ですが、当時はあまりはっきりとは気付きませんでした。
マクロス 82-99 「A Million Miles Away」
「マクロス 82-99」 は、Vaporwave から FutureFunkへの流れを作ったアーチストのひとりです。名前の意味不明なところは Vaporwave よろしく、ですね。
1曲目は、山下達郎さんの曲を使っており、Citypop への流れも示しています。
全体的に聴きやすくオサレなので、これが Vaporwave なのかい?といわれたら、賛否あるのかも知れませんが、Vaporwave の大御所アカウントから公開されているので、そうなんだろうと判断してよいと思います。
Vaporwave のオサレ化が始まったぞ、ということで紹介しました。
Future Girlfriend 音楽 「Shade Of Emotions」
FutureFunk の楽曲における有名曲という訳ではないのですが、わたくしが聴き始めたころ、とてもぐっときた一曲なので、紹介します。
当時、キズの入ったCDをラジカセで再生したような単語にもならない言葉の繰り返しで進行するこの曲は、かなり衝撃的でした。
原曲は「この美術部には問題がある」というアニメの「ココロパレット」の水樹奈々さんバージョンです。(本当?)
日本人なら歌詞を認識できるだけに、ここまでチョキチョキできないでしょうね。かといって原曲へのリスペクトがないわけでもなく、冒頭のおっさんの掛け声には、なにか熱いものを物語っている気がします。
ちなみに、わたくしがこの曲を聴きまくっていたときに、ふたりめの子供が産まれました。それもあってか今でもこの曲を聴くのですが、よい曲なのでもっと流行ればいいのに、とは思いますね。
android 52 「super anime groove 3d would」
(どれが公式か判断できなかったため、リンクなしです。)
「ニセコイ」の「リカバーデコレーション」が原曲で、いかにも FutureFunk って感じになっています。
気になって調べたところ、この「リカバーデコレーション」は、FutureFunk 界の大御所アーチストである「ミカヅキ BIGWAVE」が「kosaki groove」という曲名でリミックスを作っていました。さらにまた別のアーチストが「super anime groove v2」という曲を出していました。
これらはそれぞれ各曲の要素を汲んでるようでもあり、原曲→リミックス→リミックスv2→リミックスv3って感じで作られているのではないかと推測します。
さらには、このv3のテンポを落として原曲っぽくしたものもあり、いろいろいいませんけど、インターネットのカルチャーなのだなーって思いました。
松原みき 「真夜中のドア」
(たぶん公式で公開された動画はないので、リンクなしです。)
Citypopといえば、山下達郎さんと竹内まりやさんの楽曲のこと、と今後語られていくと思いますが、わたくしがおもしろいと思ったのは、この松原みきさんの曲です。
近年のCitypopブームは、過去の楽曲のリメイク(Vaporwave)→大衆化(FutureFunk) →原曲への回帰(Citypop)として説明が成り立つ気はしますが、一方で、過去の忘れられた、埋もれた楽曲を現代に蘇らせたのは、YouTubeのレコメンド機能であるという説があります。
本当でしょうか。
ただ、話としてはおもしろいと思います。
YouTubeのレコメンド機能は、何度かその仕組みを改善しているらしいのですが、「10分以下の短い動画」「ジャンル・曲調の似た動画」「サムネイルの似た動画」を抽出するようになったという仮説があります。
このいってしまえば、この無機的なアルゴリズムが、竹内まりやさんに関連する動画として、松原みきさんを抽出した、というだけです。
ただ、松原みきさんの「真夜中のドア」は、1979年に日本でリリースされた曲ですが、30年後の2009年頃にYouTubeにアップロードされ、その後あまり目立たなかったものの、さらに10年後の2019年になって英語圏のユーザーから爆発的に視聴された(たしか2019年の一年間で1700万回の再生回数)という事実は、"リアル超時空シンデレラ"という感じで、胸が熱くなります。
その要因は、Citypopブームなのか、YouTubeのレコメンド機能なのか、その他、近年のリバイバルブームなのか、なんなんでしょうね。
おわりに
わたくしの知る FutureFunk はアニソンばかりで、あまり例を挙げると、アニメ大好きな人って思われそうで、どっちにも悪い気がするため、これで終わりです。
あと、書きませんでしたが「One More Time」で有名な「Duft Pank」は、時代を先取りすぎて、未来人かよって思います。