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オリジナルストロベルボード「スジオカボード-ホワイト1.6mm-」パフォーマンスレビュー

【物理で見るバスケ】エントレのぱらとです。
これまでいくつかレビューを書いてきた代用ストロベルボード「スジオカボード」。
今回はスジオカボードの派生モデルであるスジオカボード「ホワイト1.6mm」のレビューをしていきます。

メッシュ形状に加工された樹脂繊維にPPを浸漬させて平板状に加工した所謂「化繊ボード」であるノーマルのスジオカボードに対して、スジオカボードブルーでは樹脂シートに不織繊維が貼り付けられており、それをストロベルボード状に加工したものです。

普通にバッシュを履いているプレイヤーからすると馴染みのないアイテムだと思いますが、シューフィッティングの基本が抑えられたうえでバッシュの機能適合の概念が理解できている人には有用すぎるアイテムです。

作製元はいつも通りフットプロンプター(https://footprompter.com/)の関さん。

Xのバッシュ好き界隈を中心に盛り上がりを見せているとはいえ、インソール交換やシューレース交換のようなフィッティング調整方法と比べると一般的でないアイテムと言える、代用ストロベルボード。
とりあえず使っておけばOK、のような便利アイテムでもないのでスジオカボードの特性をよく理解したうえで使用することが大事になってきます。

スジオカボードがどんな部材でどんな原理によって効果を発揮するのか?についてはこちら↓↓↓の記事で詳細にまとめているので、まずスジオカボードとはどんなものか知りたい!という人は読んだうえでこのレビューを読んでみてください。

スジオカボードがどんなものか分かったうえで、スジオカボード選びの参考としてこのレビューが役立てば幸いです。
これまでレビューした他のスジオカボードについてはこちらの記事でまとめています。

今回のレビューでは以下モデルで評価を進めました。

・LeBron21 EP
・Game1
・Luka3 PF
・Harden vol.8

レビュー内容はスジオカボード使用による機能特性の変化に関する記述が中心です。
そのため、モデル自体の機能特性や特徴に関する内容は少なめですがご了承ください。


1.ディテール、使用方法

スジオカボード1.6㎜の仕様としては、0.8㎜として提供されているスジオカボードを2枚張り合わせストロベルボード状に加工されたものです。

通常のものは1.5㎜厚なので厚みとしては1㎜の違いですが、1.6㎜は張り合わせ仕様という事で、これまでレビューしてきたスジオカボードは材質の違いはあるものの仕様としては3種類の仕様があるということが言えます。

1枚モノ(単層成型品):スジオカボード1.5㎜、0.8㎜等
1枚モノ(複層成型品):スジオカボードブルー、サマー等
張り合わせモノ(単層成型接着):スジオカボード1.6㎜、スジオカーボン等

今回の1.6㎜は2枚のシートを張り合わせて作るという点ではスジオカーボンに近い作りです。
張り合わせになったり、複層成型品になったとしても基本的なスジオカボードとしての特性は変わりませんが、厚みや材質の違いによって少しずつ表情が違うというのがスジオカボードの面白い所です。

【仕様】
厚み:1.6mm(0.8㎜厚の張り合わせ、実測値平均1.63mm±0.03mm)
足型:ストレート(スジオカ、KOBE型)
※足型の違いについては冒頭のスジオカボード1.5㎜レビューを参照。

【使用方法】
シューズのインソールを外しストロベルボードの上に設置したうえでインソールを入れて使用します。
特に裏表はありませんが、使うたびに裏表が入れ替わるのはよろしくないので最初に裏表を決めて目印をつけておくと良いでしょう。

3.効果確認、使用感

ここからはいつも通り、物性的評価と着用時の感性的評価の2つの面からスジオカボードの特性を見ていきます。

物性評価①荷重に対するミッドソール圧縮量の変化

物性的評価としてスジオカボードブルーを入れる事で荷重に対して沈み込みがどの程度低減されるのかをまずは評価しました。
評価方法はノーマルのスジオカボードの時と同様に荷重に対してどれくらいミッドソールが圧縮されるか(変形するか)を機械的に測定する方法。

・評価結果
スジオカボードでは通常時と比べてミッドソールの圧縮量が約10~11%低減するという結果に。
(モデルによってバラつきはあるので、圧縮低減率は前後する点にはご注意ください。)
ノーマルのスジオカボード(1.5㎜)では7~9%圧縮量が低減することが確認されていたので、低減率としてはノーマルスジオカボード以上ということが分かりました。

・結果から分かること(考察)
厚みとしてはノーマルスジオカボードから0.1mmの違いですが、張り合わせ仕様であることが影響してか、想定よりも圧力に対して抵抗する性能が高まりやすかったのではと考えます。

物性評価②屈曲性(ソール剛性)の変化

反発力の評価に続いてソール剛性がどの程度向上するのか評価しました。

・評価結果
こちらの結果は通常のスジオカボード同様、ほとんど変化なし。
シューズ自体のソール剛性に影響はほとんど与えられない結果に。

・結果から分かること(考察)
ソール剛性への影響がほとんどないことはこれまでのスジオカボードの測定でと流れは同じなので特に驚きはありません。

なぜ剛性には影響がないのか?という原理については冒頭で紹介した解説記事「スジオカボードが起こす物理的原理と効果」に詳しく書いてありますので、気になる人は読んでみてください。

物性値としての変化は確かにほとんどないんですが、実際に使用してみるとソール剛性の変化は体感できるのが面白いところであり、スジオカボードの素晴らしいところでもあります。

これまでのスジオカボード関連の記事を読んでいる人からすると、物性値的な違いは正直あまりないというのが結論だったりします。
恐らく今後新しいスジオカボードが開発されたとしてもそれは大きく変わらないと思われます。
そのため、スジオカボードのレビューとしてはこの後の実使用感の内容が結構参考になりやすいと言えます。

ちょっとエントレらしさ、、、としては弱いかもしれませんが、今後もお付き合いいただけると幸いです。

感性評価:実使用感

ここからは実際に着用した際の感触について、フィッティング・ソールの反応(反発性、ソール剛性)・グリップの3点でまとめていきます。

【フィッティング】
スジオカボードはもでるに関わらず一定の厚みによって通常時に比べてシューズ内空間を高さ方向で埋めてくれるのが特性と言えます。
また、単純に高さをかさ増しするわけではなく、荷重によって若干足の形に合わせて変形してくれる特性を持っているのでスペースの埋め方が通常インソールのように自然です。

スジオカボード1.5㎜と比べるとこの1.6㎜は張り合わせ仕様のため、単純に1.6㎜厚として機能するのではなく0.8㎜+0.8㎜として機能するので1.5㎜よりもスペースの埋め方がナチュラルに感じられます。

上記説明だと高さを埋める性能のナチュラルさの違いについて、数値的に例えてみると、1.5㎜のナチュラルさが1として単純に1.5㎜⇒1.6㎜にすると約7%性能が向上して1.07になるイメージ(単純な数値差)なんですが、実際の着用感としては0.8㎜厚が0.6ぐらいのナチュラルさがあってそれを重ね合わせる事で1.2ぐらいのナチュラルさを発揮してくれるように感じます。
空間を埋めるナチュラルさを数値に例える形なので少し分かりづらいと思いますが、単純に厚みが1.5㎜⇒1.6㎜になったのとは違う、ということを理解していただければ十分です。

さらにフィッティング面で話していくと、空間を埋めるナチュラルさとしては1.5㎜よりも上でありますが、厚みに0.1㎜の追加があるので空間を埋める微調整としては少し効きにくくなっていると言えます。
フォア空間の余剰が大きいモデルには効果的とも言えますが、元々ある程度フィッティングが良いモデルに対して入れてしまうと足部機能を低下させる原因にもなるので注意が必要かなと思います。

ブルーのような調整の振り幅は期待できませんが、その分確実に高さを埋めたいという場合には1.5㎜以上に頼りになるモデルと言えると思います。

【ソールの反応(反発性、剛性)】
ソールの反応の変化については基本的なところは1.5㎜厚と同じ、と考えて良いのが1.6㎜モデルだと思います。
ただ、張り合わせ仕様ということもあって少しずつ表情の違いがあるのでそのあたりを中心にお話していきます。

・反発性の変化
1.5㎜の反発性の変化は分かりやすく体感レスポンスを向上させてくれました。
1.6㎜もその感触にかなり近いものがありますが、フィッティングのナチュラルさの高さがそのままレスポンス向上率の低下に繋がっています。
スジオカボードが入る事で反発レスポンス向上は間違いなく起きていますが、1.5㎜と比較するとそれがマイルドになった形です。
加えて厚みの絶対値による接地感の遠さ、というのも1.5㎜よりも感じられるので、とにかく反発レスポンスを求める場合には注意が必要かもしれません。

ここでも単層で1.6㎜厚とせず0.8㎜厚を2枚としている違いがでているのかなと思います。

・剛性の変化
剛性の変化も基本の方向性は1.5㎜と同様にしながら、厚みの絶対値の部分がより効いてくる印象が強いです。
具体的にはMP関節の屈曲が強くなっていくほど、空間が埋まっていることによる足部の構造変化をより顕著に促してきます。
そのため、強く曲げるほどしっかり足部剛性を高めてくれて、結果的に着用しているバッシュの剛性が高まったようにかなり感じやすいです。

強く曲げると急に剛性が高まる感じは1.5㎜に比べるとやや顕著なので、少し注意しておく必要があります。
逆に言えば、余計な空間による反応の遅れはかなり消し込める効果が期待できるという事が言えます。

【グリップ】
剛性面の体感変化があると接地面への荷重量も変化するので、それに伴ってグリップ感も変わるのがスジオカボードの特徴です。
剛性面の変化で話した通り、1.6㎜はMP関節の屈曲が強いほど剛性の高まりも感じやすいので、グリップに必要な荷重も不足しやすくなる場合があるので注意が必要と言えます。
剛性をしっかり利用するために強く曲げたところ、荷重不足でグリップせず滑る、、、
みたいなことになる境界線をしっかり見極めたうえで利用することが大事になってきます。

4.耐久性

1.6㎜の耐久性は1.5㎜同様、十分に高いと言えます。
張り合わせ仕様による耐久性でのネガティブな面は10回以上の使用でも全く感じていないので、遠慮なくガンガン利用していって良いと言えます。

使用に伴うシワなどはすぐに発生しますが、使用に差し支える割れ・欠けといった現象はそうそう発生しません。
100㎏近い体重かつMP関節を強く屈曲させる動きが多い私が使用しての耐久なのでそれ以下の体格の人は安心して使用できると思います。
多少亀裂が入ったりしても使用自体は可能ですし、もし使用中に破断したとしてもインソールでしっかり抑えられているのでシューズ内で滑るといった不具合が起きる危険性も低いと思います。

ただし、これはシューズと足のサイジング・フィッティングが基本的にしっかり合わせられている場合になります。
屈曲点が合わなかったり、社外インソールのフィッティングが合わせらないまま使用していると割れ等に繋がりやすいです。

また、使用後はしっかりバッシュから取り出して風通しの良い所で乾燥させる等のアフターケアも大事なので怠らないようにしましょう。

耐久性の高い仕様とはいえ、樹脂材料である以上バッシュ同様消耗品なので屈曲部の折り目が強調されてペコペコに折れてしまったり破断した場合に買い替えが必要になるかと思います。
また、シューズフィッティングやサイジングが元々怪しい人の場合、屈曲部が適切でなかったり予測できない摩擦等の負荷が発生しボードの寿命が短い場合があるのでご注意ください。

5.お問い合せ、作製依頼に関して

ということでスジオカボードの派生タイプである「1.6㎜」のレビューをしてきました。
ここまでのレビューを読んでスジオカボードを作ってみたい!と思った方はフットプロンプター関さんまでご連絡ください。

使用にあたっての相談やモデルとの相性、着用者自信との機能適合に関する相談があればお気軽に私までご連絡ください。
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または各種SNSのDMで受け付けています。
それでは、今回のレビューが皆さんのバスケライフに役立つことを祈って〆たいと思います。

今回はこのあたりで。

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