Superfeet FLEX-thin-パフォーマンスレビュー
物理で見るバスケ分析でおなじみ、EN-TRAIN ぱらとです。
これまで40種類以上のインソールを試してきた私ですが、突き詰めてインソールを吟味した結果、バッシュに使うインソールというと基本的にSuperfeetのGREENかSIDAS Action3Dを使うため最近はあまり新しいインソールを試していませんでした。
普段使いではSuperfeetの他のシリーズ(Blue/Black/Carbonなど)を使うことが多く、これはこれで安定感があるためインソール選びは余計なモノは試さなくても良いかな、というのが最近の正直な感想です。
そんな中、以前から気になりつつ試してなかったな、ということでGREENの買い足しついでに購入したインソールが今回レビューするFLEXシリーズです。
フォーム素材ベースのインソールは過去に色々失敗しているのでもう購入しない、と考えていましたがFLEXシリーズは他のインソールと比べて少し気になる仕様だったので購入、今回のレビューに至ります。
先に1つ言っておくと、このnoteでのレビューはバスケで使うことを目的に書いています。
そしてFLEXシリーズはthin(yellow)と同時にno mark(orange)も購入していますが、no markはレビュー候補に挙がりませんでした、その事実だけでまずは1つお察しください。
Superfeet FLEX-thin-
Superfeet FLEXシリーズはアメリカを拠点としたインソールメーカーのSuperfeet社が足病医学に基づいて作成したインソールです。
バイオメカニズムに基づいてデザインされた形状が足を適切にサポートするように設計されており、今回レビューするFLEXシリーズはよりアクティブな使用を想定したクッションモデルの位置づけです。
普段、私がTwitterや公式LINEでオススメしているGREENは位置づけとしては万能モデルでスポーツだけでなくウォーキングや立ち仕事などの普段使いにも適しているとされています。
しかし、万能モデルの位置づけでありながらGREENは王道モデルとも言える性能で多くのバッシュの性能を最大限引き出すことが可能な仕様のインソールとなっています。
このことはバッシュ選びのための私の知識を全て詰め込んだnoteにも詳しく解説しているので気になる方は参照してみてください。
Superfeetに使用されているスタビライザーの作りは素晴らしくGREEN以外もバスケで使うことは十分可能な仕上がりになっている、という中でFLEXシリーズはフォーム材料をベースとしたインソールになっています。
フォーム系のインソールは基本的に失敗することが多いと分かっていながら購入に至ったFLEX-Yellow-の詳細を見ていきましょう。
インソール構成
FLEXシリーズの構成はベースとなるフォーム素材に対して内側アーチ~踵外側までをグルっと囲うヒールサポートパーツが配置された構成になっています。
フォーム素材はAerospring Comfort FoamというSuperfeet社の他のフォーム系インソールでも使われている素材が使われています。
材質としてはGREENなどにも使われているHDPE系に近いグレードの発泡率違いの素材と予想されますが詳細は調べても出てきませんでした。
足裏に接する表面はSuperfeetお馴染みの抗菌・消臭仕様のPE生地となっています。
各部詳細
前足部はGREENと同様に足裏をサポートする部品はないので純正インソールのようにフォーム素材と表面生地のみで足裏をカバーする形。
中足部~後足部にかけてはエッジを囲うようにPAのスタビライザーが配置されていてその上をSuperfeetお馴染みの深めのヒールカップ形状で成形されたフォーム素材が足を支える形となっています。
前足部のフォーム厚はFLEXシリーズ最薄の3mm、ちなみに同シリーズのno martkが4mm、maxが5mmとなっています。
このフォーム厚の差について、数字に表すと1mmずつの差ですが、インソール厚の場合1mmの違いでも乗り心地やシューズ内空間を埋める強さ(圧迫率)は大きく変わるのでこのラインナップは個人的に良いと思います。
フォーム素材の硬度は約60°となっていて、バッシュ好きの間でよく話題に上がるZOOM BB NXTのREACTインソール(約55°)よりもやや硬めの仕上がり。
PAで形成されたスタビライザー一般的なPAと同程度の硬さなので硬すぎず柔らかすぎず、フォーム素材の変形に対して喧嘩しないように感がられた設計となっています。
例によってSuperfeetのサイジングはヒールカップに踵が綺麗に収まるかどうかで判断する必要があるのでPAのスタビライザーが表立って出てこないFLEXシリーズもサイズ合わせの際は注意したいところです。
使用感
ここからは実際にバスケに使用してみた感想をまとめます。
フォームの感触(乗り心地)
インソールをシューズに入れて足入れしてみて感じるのは思ったよりも沈み込みは感じないということ。
一般的なフォーム系インソールに比べると同じ厚みでも変形しにくく弾性係数は高めに感じます。
もちろん、GREENなどの高密度PEに比べると沈み込みを感じますがGREENだとペラペラに感じて不安がある、足腰へのダメージが多く少し衝撃吸収よりにしたいという場合に選択肢としてあがってきそうです。
変形量は最低限のため変形によってシューズとの一体感を高めてくれるような効果はあまり感じられません。
フォーム厚3㎜なのでGREENの4㎜よりも薄く、SIDASのAction3Dと同等の厚みです。
そのため、フォアの空間を埋めるという点ではGREENのような沈み込みがほぼない高密度PEのようなインソールと同様の空間を埋める履き方が求められます。
沈み込みによって足裏の余計な空間を埋めるという点では純正インソールによく使用されるPUでできたオーソライト系の素材の方が優秀です。
アーチサポート
GREENに乗りなれた人にとっては馴染み深いアーチサポートです、アーチボリューム的にはBlueの方が近いかもしれません。
GREENのように大型のスタビライザーは使用されていませんがフォーム形状とPAのスタビライザーによって乗った時のサポート感はGREENに近いものを感じました。
ただし、バスケで遠慮なく動いてみるとGREENなどで感じる中足部の捻じれ抵抗は感じられずバッシュ本来の剛性に頼ったサポートとなります。
バッシュの変形しやすさによっては足裏に空間ができることもあったので全体的なサポート力でいうとやはり大型スタビライザーを配置したインソールに比べると劣ります。
ヒールカップ
ヒールサポートについてもアーチサポート同様、静荷重の状態ではGREENのような安心感を感じられる仕上がりになっています。
踵骨周りの足の形状を正しく保ってくれる+踵の衝撃が伝わる部分はPAスタビライザーが配されておらず全てフォーム素材によって構成されているので衝撃吸収性はGREENよりも上です。
他社インソールにあるような衝撃吸収のための軟質フォームが踵に配置された構成ではないので不自然な衝撃吸収ではなくバッシュと一体になった自然な衝撃吸収性能の向上が感じられます。
また、PAスタビライザーはエッジがしっかりたっているので他社インソールで時たま起きる踵周りのサポートパーツの浮きやズレ、ひどい時は破損という不具合は全く感じません。
この点はGREENなどを使っていても感じるSuperfeetの素晴らしい部分だと思います。
ただし、表面の抗菌PE地はGREEN同様かなり滑るのでインソールのサポート自体は優秀でもバスケの動きの中では踵のブレ(横滑り)を感じることがあります。
ロックダウンの甘いモデルにこれを入れるとフィットしていても踵がブレる、ということが起きる可能性が高いのでご注意ください。
屈曲性
前足部にはサポートパーツは配置されていないインソールなのでMP関節の屈曲性は自然で特に影響が出ることはありません。
インソール裏にはフレックスグルーブのような模様がデザインされていて屈曲しやすいように設計されているのかなと思いましたが屈曲性にはほとんど影響していない(あってもなくても変わらない)と思われます。
どちらかというと屈曲や垂直荷重圧縮時のフォームの逃げ場として意図されたグルーブだと思われます。
パフォーマンスへの影響
パフォーマンスへの影響を見るため以下のバッシュに入れて試してみました。
【NIKE】
・Kyrie Infinity
・Why not Zer0.4
・Lebron17 low
・Lebron18
・Lebron19
・Lebron19 low
【Adidas】
・T-MAC3
・D.O.N Issue#2
【PUMA】
・All Pro
・Court Rider
静荷重時の基本的な形状やサポート感がGREENと似ているためか、使っていてどうしてもGREENの感触と比べて劣っていると感じてしまうのが正直な感想です。
GREENと比べて沈み込みやすさ、反応の遅れを感じる仕様ですがアーチをしっかり立てられなかったり、関節固定がきちんとできないタイプのプレイヤーはアーチサポート、ヒールカップによる衝撃吸収性能を活かして快適に動きやすいと思われます。
普段からミスサイジングでバッシュを履いている人だとGREEN以上にコンフォートな表面加工になっている影響もあってシューズ内で足がズルズルと滑って不快に感じるかと。
強度の低いバスケではアグレッシブな反応がない分、ゆるりと動ける感じがあったので疲労感やダメージも少なく動くことができました。
シューズとの相性を見ていく際はGREENと同様に過度なアーチサポートがないこと、前傾が強すぎないこと、フォアの空間が元々大きくないことに注意すれば概ね外れの相性を引くことはないかと思います。
耐久性
フォーム系の材質ですが独立気泡型のPE系材料のおかげで繰り返し使用によるへたり(圧縮)はほとんどおきません。
ヒールストライクをほとんどしないプレイスタイルなので厚みのあるヒール側の圧縮については検証不足感はあるかもしれませんがバッシュのヘタリ以上にサイジングの変化は感じていないので全体的に圧縮に強いのは間違いなさそうです。
逆に言うとフォームの感触の項でも述べたように圧縮変形することによって足裏との密着度を高める効果はなくフォーム厚も3㎜と薄いのでフォア空間が大きくなりやすいことに注意しないといけません。
純正インソールが厚いタイプのモデルに入れる場合サイズダウンを念頭に置く必要がありますが、私のような甲高の足型だとアーチボリュームによる中足部の圧迫増に気を付ける必要があるので感覚としてはやはりGREENと相性を見ていく時と近いです。
まとめ
基本的な性能はさすがSuperfeetと思わせてくれる仕上がりとなっていますがGREENに乗りなれている、GREENの反応が丁度良いと感じる人にとってはネガティブな感想がでやすいインソールかなと思います。
シューズ内空間の埋め方を調整するという点でBlueやBlackなどを活用してスタビライザーのボリュームを調整する方がパフォーマンス面では有利だと思うのであまり積極的に入れる必要はないのかな、というのが総評です。
AJ1のようなミッドソール厚が極端に薄いモデルでバスケがしたいけどバッシュの反応がアグレッシブすぎる、と感じる人は入れてみる価値があるかもしれません。
個人的には基本的なサポート効果はGREENにも劣らないことから普段履きのシューズに入れることをお勧めしたいインソールだなと感じました。
価格的にはGREENが買えてしまうのでSuperfeet未体験の方はまずはGREENから、既にSuperfeetインソールの良さを知っているという方は購入検討しても良いかなと思います。