土の中

彼の背中は、私が知っていた頃よりも小さくなっていた。

「弱りましたね。まるで虫の息。」

部屋には飲み散らかした缶酎ハイがところせましと転がっている。

「えぇ、まぁ楽しくやってますよ。」

震える膝を撫でながら彼は笑った。



カーテンの隙間から除く日差しは、いつにもまして眩しかったように思える。

異臭と埃、髪の毛が絡みついた衣服。

キッチンには真っ黒になった食器がいくつも流し台に放置されていた。

もうすっかりこの部屋は馴染み深かった頃とは顔を変えていた。

この部屋に忘れ物はもうないんだろう。

靴を履き、溜まったチラシを足でよけながら玄関を出た。


「それでは、お元気で。頑張って。」

「…大丈夫だよ。」

彼の部屋を後にし、鍵を置いてきた。

外はもう、寒くなり始めていた。

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