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【第0444稿】野球小噺。「おばあちゃんが歴史好きとは限らない」
祖母がまだ健在だった頃の話。
数年ぶりに我が家に遊びに来ていた祖母が、テレビのチャンネル争いに参加した。
リビングにあるテレビは基本的に食事時のチャンネルを父が決める。が、その日は特に見たい番組が無かったのか、父はチャンネル争いから離脱。これはチャンスと思い、母は新聞を見ながら見たい番組を選び…そこでふと考え、声を出す。
「お義母さん、何か観たい番組ありますか?」
親族とはいえ来賓である。父方の祖母がいらっしゃっているので母も気を使ったのだろう。しかし祖母は、
「特にないねぇ。何か面白い番組あるかい?」
しめた!と思ったのか、母はここぞとばかりに自分が観ようと思っていた「徳川慶喜」の番組名を挙げた。
「NHKで慶喜やってますよ。あとは野球くらいですね」
すると祖母はこう言った。
「あ!そうそう、わたしヨシノブ観たいのよ!」
計画通り、とにやりとしたかは分からないが、母は予定通りNHKの徳川慶喜にチャンネルを合わせた。すると祖母が
「ヨシノブって言ったら高橋由伸でしょ!?」
祖母、巨人ファンだった。
結局徳川慶喜は録画し、祖母は中日vs巨人戦を楽しんだとさ。
時は1998年。高橋由伸が読売入団1年目の御話でございやす。
お後がよろしいようで。