【NY挑戦スピンアウト】欧州テキスタイルセミナーVol.3ラグジュアリーもコミュニティじゃんよ!の巻
こんにちは。
テキスタイルブランドPARANOMAD(パラノマド)の原田美帆です。
このnoteは京都・丹後の小さなテキスタイルファクトリーが挑戦するNYマーケット開拓の航海日記です。泥くさいホフク前進で進む日々を、ここに記録していきます。このnoteを通して、海外販路を目指す方とつながり、パラノマドを応援してくださっている方にオンタイムで活動をシェアし、アウトプットを通して挑戦と向き合う場にしていきたいと思っています。
欧州視察ツアー前、最後の講義!
11月24日から始まるロンドン・パリ・イタリアのテキスタイル市場リサーチ。事前に、現在高級インテリア市場はどのような可能性があるのか、日本と欧州・欧州内のデザイン文化の違い等を知るオンラインセミナーにも参加しています。今日の講義は3回目!来週の渡航を直前に控えて、現地でも講師をしてくださる建築家・ミラノ工科大学デザイン学部准教授Alessandro Biamonti(アレッサンドロ・ビアモンティ)さん、ビジネス+文化のデザイナー 安西 洋之さんによるzoom講義がありました。
第二回の講義の忘備録はこちら↓↓↓
ヨーロッパの布量
講義前半はアレッサンドロさんによる、ヨーロッパのインテリアシーンにおけるテキスタイルの使われ方のバリエーションを見せてもらいました。壁紙・カーテン・家具の張り地などが、それぞれの時代においてどのような変遷してきたのか。デザインだけではなく、空間への作用や文化・宗教的価値などの側面からもテキスタイルを見る目を鍛えられます。ヨーロッパで使われる布の量は日本のそれとは違って、た~~っぷりのドレープ(ひだ)が作られています。文化・意匠の差があるので、どちらがいいと言うものではないのですが。テキスタイルを作り、販売したい立場からすると「使用シーンが多様×布量が多い=出荷量めっちゃ量増えるやん」式がぼややんと見えてきちゃうんですね、泣。
ラグジュアリーは固有性から普遍性へ
今回の講義前に読んでおくように、と紹介された安西洋之氏によるラグジュアリー論。読み進める前に、リンク記事をご一読ください。オープンソースの記事です!
この記事を読んで一番気になったパートは、ラグジュアリーは今後、固有性から普遍性へと重きが置かれるようになるのではと言う示唆です。ローカルでものづくりをしていて、産地があって、販路を広げようとする。そうすると、地学や歴史に紐付けてその土地ならではの物語を伝えようとしますよね。私ももちろんその文脈で考えています。
このパートについて安西氏にもう少し話していただきたいと伝えたところ、さらに分かりやすく噛み砕いた説明をしていただきました。
世界中で戦争が起こっているような現代において「うちのところのローカルが世界で一番優れている」という主張では、世界は良い方向に向いていかない。
自社の製品だけを取り上げて世界一というより、他の地域との共通性を見出しつつ、その上で地域特性のポイントを示してあげる方が聞いている人も落ち着くでしょう、と。そのためにはどれだけ他の地域のことも知っているかが肝要になり、皆もっともっと勉強していかないといけない。世界との繋がりを示す中での固有性。
お互いを尊重できる関係性づくりのなかで生かされること。
ニューヨーク挑戦の大先輩・坂田織物さんは久留米絣の織元さんですが「絣を身近にする」をコンセプトに掲げて活動されてます。絣は海外でもたくさんの地域で作られていて、イカットと言う名前でも知られています。世界中に絣がある中で、その土地ごとに発展してきた固有性もある。どれもがローカルを写して、とても素敵なのです。有松絞りのラグジュアリーブランドSuzusanの村瀬さん(父)も絞りのシンポジウムを開催してきたと聞いたことがあります。
Suzusan 村瀬さん親子にインタビューした過去記事はこちらから↓↓↓
これってコミュニティじゃんよ
ラグジュアリーのあらたな方向性において、他者や世界との繋がりが示されたことは希望に思えます。テキスタイルは世界中で織られてきたその土地固有の文化ですが、シルクロードが絹織物を各地に伝播したように、過去から現在まで、西洋から東洋まで、もっともっと大きな文化人類学でもある。そんな存在をメタ認知できれば、自社だけの固有性とはいかほどのものか、と思わずにいられません。
しかしそれは、パラノマドにしかできない織物を磨ききっていないから、でもあります。大きな枠組みの中の、飛び抜けた個。他を切り離した存在ではなく、繋がりを底力にそれぞれが引き立て合う。そのようなことが、テキスタイルからできれば本当に素晴らしいと思います。がんばろう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。SHOPPE OBJECT、ニューヨークのマーケットについて質問、こんな情報が知りたい!リクエストなど気軽にコメントください
PARANOMAD
原田美帆