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テニスのコーチはパラリンピック のコーチにすごく似ている

『心を強くする「世界一のメンタル」50のルール』

大阪なおみを世界一に導いたサーシャコーチのコーチングスタイルが分かる一冊である。メンタルの話より、まず一番に感じたことは、

------「ものすごくパラ選手に対するコーチングに似ている

ということだ。
よくよく考えていくとテニス界No.1のコーチのある1点が、パラコーチとよく共通しているということに気がついた。ずばりその点について話していく。
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常にそばにいる

2018年、サーシャコーチは大阪なおみ選手と353日共に過ごしている。つまり、1年でなおみ選手と別行動をとったのはたったの13日。驚くほど一緒にいることが分かる。なおみ選手と一緒にいすぎて、サーシャコーチの妹の結婚式でさえ参加できなかったと言っている。ましてや友人の結婚式には全く参加できないようである。それほどの覚悟を持ってなおみ選手のために、自分の実生活を犠牲にしてきたということである。

その点においてパラコーチはサーシャコーチとよく似ている。パラコーチもほとんどの自分の時間を削って選手と向き合っている人が多いのではないか。もちろんコーチにもよるし、選手がの障害の度合いにもよる。しかし、特に選手の障害が重度の場合はコーチが常にそばにいるケースが多い。本当に365日共にしているのではないか、という人もいる。

というのも、障害者スポーツの世界では家族が介護者兼コーチをしていることがよくあるからだ。つまり、スポーツの場ではコーチ、家に帰れば介護者ということもよく耳にする。

具体的に話していくと、例えば息子が重度の脊髄損傷車いすパラスイマーであるとすれば、父か母が、家ではトイレでの排便ケアや着替えなどを手伝い、プールに行けば入水の補助と泳ぎの指導、帰宅すれば柔軟トレーニングの補助やマッサージケアなどを行う。ということは、1日中一緒にいることが普通となってくる。いってしまえば、サーシャコーチよりもパラコーチは選手と長い時間を過ごしているかもしれない。

そのように常にそばにいて、選手と深く、長い時間かかわる指導スタイルはテニスコーチとパラコーチの共通する点と言える。
しかし、テニスコーチとパラコーチの間には少し意識の違いはあるかもしれない。

パラコーチの場合は常にそばにいるというより、常にそばにいざるを得ない、ということだろう。どうしても障害ゆえに自分ひとりではできないことは日常生活で出てくる。そこのサポートは、パラコーチにとっても介護としての日常なので、コーチングとして意識していない可能性が多い。一方、サーシャコーチのようなテニスコーチは、選手とそばにいることがコーチとしての役目である、と捉えている。

つまり、常にそばにいるという点は同じでも、コーチングをしている意識があるかどうかとういう観点からみると違いが生じている。極端に言えば、365日選手のことを考え一緒にいることが大切と思うか、一緒にいてもコーチングとプライベートを区別するかの差である。

コーチングする時としない時を分けたい指導者もいるし、日常とプライベートを区別したい指導者もいる。それは選手に合わせていく必要があるだろう。しかし、選手のそば寄り添うということはパラスポーツにかかわるコーチにとって重要である。テニスコーチの指導等、まだまだ参考になることがあるかもしれない。

ーーーー編集長


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