マケンジー・コーン選手のすご技とは。
リオパラリンピック金メダリストのMcKenzie Coan (マケンジー・コーン)選手。昨年の世界選手権でも優勝している。
車いすに乗ってにこやかに観客へ手を振りながら登場する姿がまず思い浮かぶ。そして、自信に満ちあふれているオーラ。厳しい練習をこなしたのだろうと簡単に予想できる。自分のメダル獲得を確信しているようなそんな表情が印象的な選手だ。
マケンジー選手の試合映像を見て、気が付いたことがある。
ずばり、『泳ぎのパターン』が独特である、ということだ。
マケンジー選手の2016年リオパラリンピックと2019年世界選手権をじっくり確認してみたところ発見できた。特に400mという中距離だとわかりやすい。
今回は、その発見についてお伝えできればと思う。ぜひ、S7選手や車いす選手は参考にしていただきたい。超マニアックなパラ水泳ファンの方以外は興味のない記事になる、と断言しておこう。
1.泳ぎのリズムは「トトントトン」
基本、マケンジー選手は4ビートである。1ストロークのうちに4回キック打つのだが、そのキックが「トトントトン」とリズミカルだ。
弱いキック1回、強いキック1回、そのあと反対の脚で、弱いキック1回、強いキック1回を繰り返す。つまり「ト(弱)トン(強)、ト(弱)トン(強)」というキックの特徴がある。
もっと具体的に言うと、右手を水の上で回している時(リカバリー)に、左足で軽いキックを1回打つ。その後、右手を水に入れた時に、左足で強いキックを1回打つ。反対も同様で、左手を水の上で回している時は、右足で軽いキックを1回打ち、次に左手を水に入れた時に、右足で強いキックを1回打つ。
これは、呼吸を支えるキックと前へ進むキックを使い分けていると考えられる。軽いキックは呼吸を支えるキック。強いキックは前へ進むキックである。
キックは強く打てばよいわけではないことが健常の水泳でも言われている。力が強くなるほど、膝は曲がり水の抵抗を受けやすい。よって、マケンジー選手は無駄にキックを打たないで、呼吸をする際のキックはなるべく軽く速いキックを打つようになったのかもしれない。これは、400mで長い距離を泳ぐために有効かもしれない。
2.呼吸は3回に1回と見せかけて○○
これがとても面白い発見だった。結論、マケンジー選手は右右、左左、右右、左左呼吸という規則に従い呼吸している。実は珍しいスタイルである。
400mを泳ぐ選手はたいてい呼吸は、一定方向、なおかつ2回に1回、4回に1回である。つまり、右右右右、か、左左左左、か、右左右左で呼吸をする選手がほとんどだ。
しかし、マケンジー選手は違う。右右、左左、右右、左左呼吸という規則に従い呼吸であった。マケンジー選手にとって、右右、左左、右右、左左呼吸が呼吸時の抵抗を軽減させることと息を整えるバランスをとることができる理由からベストなのだろう。
常に右左右左と呼吸をするということは、3回に1回呼吸以上であるということだ。これは結構きつい。水泳選手ならわかると思うが、400m続けてこの呼吸方法はバテやすい。そこでマケンジー選手は呼吸が苦しくなりそうなタイミングで、2回に1回呼吸を挟むというテクニックを使っている。かなりどの選手にとってもマネできれば有効的であろう。
まとめ
・キックは4ビートで、弱いキック1回、強いキック1回、そのあと反対の脚で、弱いキック1回、強いキック1回を繰り返す。
・呼吸は右右、左左、右右、左左呼吸
2016年リオの400自由形S7決勝のタイムも載せておく。5分05秒77で金メダルを獲得している。
実は、日本の木村敬一選手とトレーニングしていた。その様子が実に面白い。興味がある方はぜひ下のURLをのぞいてみてください。
木村選手のnote
https://note.com/keiichikimura/n/nf76a1253ca52
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編集長
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