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16_損傷と治癒・死【救急救命士国家試験】


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国家試験定期試験出題内容のまとめ

【損傷と治癒・死】

1. 創傷(皮膚・軟部組織の損傷)

  • 創傷: 皮膚や軟部組織の損傷。

  • 治癒過程:

    1. 炎症期

    2. 増殖期

    3. 成熟期

  • : 皮膚の連続性が断たれた損傷。

  • : 皮膚の連続性が維持された損傷。

2. 創傷の治癒の種類

  • 一次治癒: 汚染が少なく、速やかに修復される創傷。例:鋭利な刃物による切創。

  • 二次治癒: 創縁が離れ、感染が起こりやすい。ケロイドを残して治癒する。

3. ケロイド

  • ケロイド: 過剰に形成された肉芽組織による隆起した瘢痕。

4. 創傷治癒の影響要因

  • ステロイド薬の内服: 創傷治癒を遅延させる因子。

  • 顔面: 血流が豊富なため、他の部位に比べて治癒が早い傾向がある。

  • 湿潤環境: 創傷治癒には湿潤環境を保つことが推奨される。

5. 骨折

  • 骨折: 骨の解剖学的連続性が断たれた状態。

  • 骨折の修復過程:

    1. 炎症期

    2. 修復期

    3. 再構築期

6. 死の判定

  • 死の三徴:

    1. 心拍動の停止

    2. 呼吸の停止

    3. 瞳孔の散大と対光反射の消失

  • これらが不可逆的と判断された時点で心臓死と判定される。

  • 脳死: 多くの場合、頭蓋内圧亢進によって引き起こされる。

7. 死後変化

  • 死後硬直: 心停止後約30分~2時間で顎関節から始まる。

  • 死斑: 心停止後30分で薄く現れ、2時間ではっきりし、6〜10時間で著名となる。

    • 突然死: 死斑の出現は早く、程度が強い。

    • 失血死: 死斑の出現は遅く、程度が弱い。

  • 体温の低下: 心停止後、体温は徐々に環境温に近づく。

  • 乾燥: 心停止後、皮膚や粘膜から水分が蒸発し、乾燥が始まる。

8. 明らかな死(社会死)

  • 医師によらずに死亡を判断できる状態を明らかな死といい、これを社会死とも呼ぶ。

9. 死亡診断書(死体検案書)の意義

  • 医学的・法律的な証明: 人間の死亡を証明する。

  • 統計資料: わが国の死因統計作成に使用される。

10. 異状死体

  • 以下の状況で発見された死体を異状死体と呼ぶ。

    1. 純然たる病死以外の状態が認められる場合。

    2. 死因不詳の死体。

    3. 不自然な状況や場所で発見された死体。




問題

  1. 皮膚、軟部組織の損傷は、________と呼ぶことが多い。

  2. 創傷の治癒過程は、大きく________期、増殖期、成熟期の三段階に分けられる。

  3. 皮膚の連続性が断たれた損傷を________、維持された損傷を________という。

  4. 創傷の治癒は、大きく________治癒と________治癒に分けられる。

  5. 汚染が少なく、速やかに修復される創傷の治癒を________治癒という。

  6. 創縁が離れ、感染が併発しやすい創傷の治癒を________治癒という。

  7. 二次治癒では欠損部分に________を残して治癒する。

  8. ________とは、過剰に形成された肉芽組織によって隆起した瘢痕をいう。

  9. 好中球や________は、傷ついた細胞や細菌を貪食する。

  10. 創傷部の皮膚には、発赤、________、疼痛などの炎症の徴候を確認できる。

  11. 骨の解剖学的連続性が断たれた状態を________と呼ぶ。

  12. 骨折の修復過程は、大きく________期、修復期、再構築期に分けられる。

  13. 鋭利な刃物による________は、鈍麻な凶器による挫創に比べ一次治癒しやすい。

  14. 血流の豊富な________はその他の部位に比べて損傷の治癒が早い傾向がある。

  15. ________薬の内服は治癒を遅延させる因子である。

  16. 創傷の治癒には、________環境を保つことが推奨されている。

  17. 「明らかな死」を除けば、死の判定は、________によってなされる。

  18. 脳死を人の死とみなすのは________を前提とする場合に限られる。

  19. 脳死の多くは________内圧亢進によって引き起こされる。

  20. 脳死状態が長く続いた患者の脳は________の状態にある。

  21. わが国では、いわゆる「死の三徴」である①心拍動の停止、②呼吸の停止、③________の散大と対光反射の消失の3つを確認し、かつそれが不可逆的であると判断した時点をもって________死と判定されるのが一般的である。

  22. 死後硬直は心停止後約________分〜________時間で顎関節から出現しはじめることが多い。

  23. 死斑は心停止後________分で薄く出始め、時間ではっきりとし、〜________時間で著名となる。

  24. 心停止後、血液循環は停止し血管内血液は重力に従って下方に溜まる。これを体表からみたものが________である。

  25. 突然死の場合、死斑の出現は早く、程度も________。一方、失血死の場合、死斑の出現は________く、程度も________。

  26. 死後硬直の出現は死体温や環境温が________と早い。

  27. 心停止後、体表面の粘膜や皮膚から水分が蒸発することで________がはじまる。とくに角膜、________、________などで乾燥が早い。

  28. 心停止後、体温は徐々に________に近づく。

  29. 医師によらなくても、死亡していると判断できる状態が、いわゆる「________な死」であり、「________死」ともいう。

  30. 死亡診断書(________)は2つの大きな意義をもつ。1つは、人間の死亡を医学的・法律的に証明することであり、もう1つは、わが国の________作成の資料となることである。

  31. ①純然たる病死以外の状態が認められた場合、②まったく________の死体、③________な状況・場所などで発見された死体。________(外傷など不慮の事故による死亡)を異状死体という。

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解答

  1. 皮膚、軟部組織の損傷は、創傷と呼ぶことが多い。

  2. 創傷の治癒過程は、大きく炎症期、増殖期、成熟期の三段階に分けられる。

  3. 皮膚の連続性が断たれた損傷を、維持された損傷をという。

  4. 創傷の治癒は、大きく一次治癒と二次治癒に分けられる。

  5. 汚染が少なく、速やかに修復される創傷の治癒を一次治癒という。

  6. 創縁が離れ、感染が併発しやすい創傷の治癒を二次治癒という。

  7. 二次治癒では欠損部分にケロイドを残して治癒する。

  8. ケロイドとは、過剰に形成された肉芽組織によって隆起した瘢痕をいう。

  9. 好中球やマクロファージは、傷ついた細胞や細菌を貪食する。

  10. 創傷部の皮膚には、発赤、腫脹、疼痛などの炎症の徴候を確認できる。

  11. 骨の解剖学的連続性が断たれた状態を骨折と呼ぶ。

  12. 骨折の修復過程は、大きく炎症期、修復期、再構築期に分けられる。

  13. 鋭利な刃物による切創は、鈍麻な凶器による挫創に比べ一次治癒しやすい。

  14. 血流の豊富な顔面はその他の部位に比べて損傷の治癒が早い傾向がある。

  15. ステロイド薬の内服は治癒を遅延させる因子である。

  16. 創傷の治癒には、湿潤環境を保つことが推奨されている。

  17. 「明らかな死」を除けば、死の判定は、医師によってなされる。

  18. 脳死を人の死とみなすのは臓器移植を前提とする場合に限られる。

  19. 脳死の多くは頭蓋内圧亢進によって引き起こされる。

  20. 脳死状態が長く続いた患者の脳は融解壊死の状態にある。

  21. わが国では、いわゆる「死の三徴」である①心拍動の停止、②呼吸の停止、③瞳孔の散大と対光反射の消失の3つを確認し、かつそれが不可逆的であると判断した時点をもって心臓死と判定されるのが一般的である。

  22. 死後硬直は心停止後約30分〜2時間で顎関節から出現しはじめることが多い。

  23. 死斑は心停止後30分で薄く出始め、2時間ではっきりとし、610時間で著名となる。

  24. 心停止後、血液循環は停止し血管内血液は重力に従って下方に溜まる。これを体表からみたものが死斑である。

  25. 突然死の場合、死斑の出現は早く、程度も強い。一方、失血死の場合、死斑の出現は遅く、程度も弱い

  26. 死後硬直の出現は死体温や環境温が高いと早い。

  27. 心停止後、体表面の粘膜や皮膚から水分が蒸発することで乾燥がはじまる。とくに角膜、口唇陰嚢などで乾燥が早い。

  28. 心停止後、体温は徐々に環境温に近づく。

  29. 医師によらなくても、死亡していると判断できる状態が、いわゆる「明らかな死」であり、「社会死」ともいう。

  30. 死亡診断書(死体検案書)は2つの大きな意義をもつ。1つは、人間の死亡を医学的・法律的に証明することであり、もう1つは、わが国の死因統計作成の資料となることである。

  31. ①純然たる病死以外の状態が認められた場合、②まったく死因不詳の死体、③不自然な状況・場所などで発見された死体。外因死(外傷など不慮の事故による死亡)を異状死体という。



練習問題

問題1

皮膚、軟部組織の損傷を何と呼ぶか?
A) 挫傷
B) 皮膚炎
C) 創傷
D) 瘢痕
E) 褥瘡

答え: C) 創傷


問題2

創傷の治癒過程で最初に起こる段階はどれか?
A) 増殖期
B) 修復期
C) 炎症期
D) 再構築期
E) 成熟期

答え: C) 炎症期


問題3

汚染が少なく、速やかに修復される創傷の治癒を何と呼ぶか?
A) 一次治癒
B) 二次治癒
C) 慢性治癒
D) 再生治癒
E) 成熟治癒

答え: A) 一次治癒


問題4

創傷が感染しやすく、創縁が離れた治癒過程を何と呼ぶか?
A) 一次治癒
B) 二次治癒
C) 再生治癒
D) 急性治癒
E) 局所治癒

答え: B) 二次治癒


問題5

過剰に形成された肉芽組織が隆起してできる瘢痕を何と呼ぶか?
A) 瘢痕
B) ケロイド
C) 傷
D) 創
E) 挫傷

答え: B) ケロイド


問題6

創傷部における炎症の徴候として該当しないものはどれか?
A) 発赤
B) 腫脹
C) 疼痛
D) 乾燥
E) 熱感

答え: D) 乾燥


問題7

創傷の治癒に推奨される環境はどれか?
A) 乾燥環境
B) 湿潤環境
C) 低温環境
D) 高温環境
E) 風通しの良い環境

答え: B) 湿潤環境


問題8

骨の解剖学的連続性が断たれた状態を何と呼ぶか?
A) 挫傷
B) 骨折
C) 打撲
D) 捻挫
E) 疼痛

答え: B) 骨折


問題9

骨折の修復過程において、最後に起こる段階はどれか?
A) 修復期
B) 成熟期
C) 増殖期
D) 再構築期
E) 炎症期

答え: D) 再構築期


問題10

脳死の多くの原因は次のうちどれか?
A) 血圧低下
B) 頭蓋内圧亢進
C) 心停止
D) 肝不全
E) 腎不全

答え: B) 頭蓋内圧亢進


問題11

脳死状態が続いた患者の脳の状態を何と呼ぶか?
A) 壊死
B) 融解壊死
C) 凝固壊死
D) 水腫
E) 石灰化

答え: B) 融解壊死


問題12

脳死を人の死とみなすのはどのような状況か?
A) 心臓移植が行われる場合
B) 臓器移植を前提とする場合
C) 呼吸停止の場合
D) 法的判定が行われた場合
E) 家族の同意が得られた場合

答え: B) 臓器移植を前提とする場合


問題13

「死の三徴」に含まれないものはどれか?
A) 心拍動の停止
B) 呼吸の停止
C) 瞳孔の散大
D) 瞳孔の収縮
E) 対光反射の消失

答え: D) 瞳孔の収縮


問題14

死後硬直が始まるのは心停止後どのくらいか?
A) 5分〜15分
B) 30分〜2時間
C) 3時間〜5時間
D) 6時間〜8時間
E) 10時間〜12時間

答え: B) 30分〜2時間


問題15

死斑がはっきりとするのは心停止後どれくらいか?
A) 10分
B) 30分
C) 1時間
D) 2時間
E) 6時間

答え: D) 2時間


問題16

突然死の場合、死斑の出現はどのように変化するか?
A) 早く、程度が強い
B) 遅く、程度が強い
C) 早く、程度が弱い
D) 遅く、程度が弱い
E) 出現しない

答え: A) 早く、程度が強い


問題17
失血死の場合、死斑の出現はどのように変化するか?
A) 早く、程度が強い
B) 遅く、程度が強い
C) 早く、程度が弱い
D) 遅く、程度が弱い
E) 出現しない

答え: D) 遅く、程度が弱い


問題18

医師が死亡判定を行わずに、明らかな死として認められる状態を何と呼ぶか?
A) 自然死
B) 社会死
C) 心臓死
D) 脳死
E) 法的死

答え: B) 社会死


問題19


死亡診断書の意義として該当しないものはどれか?
A) 死亡を医学的に証明する
B) 死因統計作成の資料となる
C) 生命保険の請求書類となる
D) 法的に死亡を証明する
E) 相続手続きに必要な証明書となる

答え: E) 相続手続きに必要な証明書となる


問題20

異状死体に該当するのは次のうちどれか?
A) 病死で死亡した人
B) 自然死した人
C) 不自然な状況で発見された死体
D) 高齢者の自宅での死
E) 病院で死亡した患者

答え: C) 不自然な状況で発見された死体

参考文献:救急救命士標準テキスト



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「聴いて学ぶ」救急救命士標準テキスト

16_損傷と治癒・死
 ①音声解説
 ②聞き流し1問1答

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