31_重症脳障害・心肺停止【救急救命士国家試験対策】
国家試験定期試験出題内容のまとめ
【重症脳障害・心肺停止】
1. 意識障害
意識障害の要素: 覚醒障害、認知機能障害、意識の狭窄の3つの要素が含まれる。
一次性脳病変: 脳に原因がある器質的病変で意識障害を発症。
二次性脳病変: 全身的な要因が脳機能に影響し、意識障害を発症。
低血糖: 血糖値が55mg/dL程度で交感神経症状、50mg/dLで中枢神経症状が出現し、30mg/dL未満で意識障害が明らかになる。
脳血流量の低下: 高度の血圧低下や頸部血管の圧迫で意識障害が発生。
せん妄: 急性の脳機能障害で意識狭窄、妄想や幻覚、不安などを伴う。
遷延性意識障害: 会話や自力移動ができないが、自律神経機能は保たれる。
2. 頭蓋内圧亢進
原因: 脳実質容積の増大、脳脊髄液の増加、頭蓋内血液量の増加、占拠性病変など。
症候: 頭痛、嘔吐、うっ血乳頭が見られる。
大後頭孔ヘルニア: 延髄が圧迫され、呼吸停止を引き起こす。
鉤回ヘルニア: 一側の散瞳と反対側の片麻痺を認めた場合に疑われ、搬送を急ぐ。
クッシング徴候: 血圧上昇と徐脈が特徴的で、頭蓋内圧亢進で見られる。
水頭症: 脳脊髄液の産生過剰、通過障害、吸収障害による脳室・くも膜下腔の拡大。
3. 心肺停止とその原因
心肺停止の病態: 致死的不整脈、低心拍出量、呼吸不全などが原因。
心停止の種類: 心室細動、無脈性心室頻拍、無脈性電気活動、心静止に分類される。
致死的不整脈: 心室期外収縮の多源性、連発、RonTなどは心室細動に移行しやすい。
急性大動脈解離: 破裂による失血や心タンポナーデで心肺停止を引き起こす。
透析治療中のリスク: 慢性腎不全の患者は心肺停止のリスクが高い。
胸骨圧迫時の冠血流量: 理想的条件下で正常安静時の5~35%に達する。
4. その他の緊急時対応
心拍再開後の高血糖: 予後不良であることが多い。
救急現場での重要観察: 発症の急性度、既往歴、同時発生する他の症状の確認が必要。
目撃、心原性、心室細動: これらの条件を満たす場合、生存率や社会復帰率が高い。
問題
意識障害には、________の障害、認知機能の障害、意識の狭窄の3つの要素が含まれる。
脳血流量は、高度の________や頸部血管の圧迫などでは血流が保てなくなり、意識障害をきたす。
血糖値がおよそ________mg/dL程度にまで下がると発汗、振戦などの交感神経症状が出現する。
血糖値が________mg/dL程度になると中枢神経症状が出現し、皮膚の冷汗や手指振戦をみる。
血糖値が________mg/dL未満で意識障害が明らかになると考えてよい。
一次性脳病変とは脳に原因となる________病変があって意識障害を発症するものである。
二次性脳病変とは全身的な要因が________に影響を与えて意識障害をきたすものである。
頭蓋内圧を上昇させる理由に、脳実質容積の増大、________の増加、頭蓋内血液量の増加、占拠性病変がある。
頭蓋内圧亢進による意識障害の理由に脳血流の減少と________がある。
クッシング徴候は________と血圧上昇である。
頭蓋内容積のうち脳実質が約________%を、脳脊髄液と頭蓋内の血液が約________%ずつを占める。
脳脊髄液の産生過剰、通過障害、吸収障害のいずれもが原因となり、脳室やくも膜下腔が拡大して________を呈する。
慢性頭蓋内圧亢進の症候は、________、嘔吐、うっ血乳頭の3つである。
大後頭孔ヘルニアは________が圧迫され、呼吸中枢の障害で呼吸停止をきたす。
中心性ヘルニアでは意識障害は早期にみられ、瞳孔はある程度までは両側ともに________し、麻痺や異常肢位に関しても両側性の障害を認める。
意識障害の傷病者で一側の散瞳と反対側の片麻痺を認めたら、________を疑って搬送を急ぐべきである。
もうろう状態とは________、急性アルコール中毒などでみられる。
せん妄とは急性の脳機能障害で意識狭窄、受容の一つの型であり、________によく見られる。
せん妄では、妄想、幻覚、錯覚、不安、________などを伴う。
遷延性意識障害とは、会話、自力移動、食事、排泄のコントロールなどはできないが、________、循環、消化吸収などの自律神経機能は保たれる。
市民による目撃がある、心原性、救急隊到着時________か無脈性心室頻拍の3つの条件を満たす場合生存率、社会復帰ともに高い。
消防庁は全国の心肺停止傷病者のデータを________様式に準じて収集している。
急性中毒のうち________、麻薬、フグ毒では舌根沈下による気道閉塞や呼吸停止を引き起こす。
心室期外収縮のうち________、連発、RonTなどは心室細動に移行しやすい。
心肺停止に至る病態として________、低心拍出量、呼吸不全がある。
突然の心停止は________によることが多い。
突然の心停止の場合直後に________が見られる。
急性大動脈解離では破裂による失血や________で心肺停止を生じる。
透析治療を受けている________傷病者は心肺停止のリスクが高い。
心停止は心電図上________、無脈性心室頻拍、無脈性電気活動、心静止に分類する。
胸骨圧迫中に生じる冠血流量は理想的条件下で正常安静時の________%である。
脳は________に最も弱い臓器である。
心拍再開後________を呈する予後は不良である。
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解答
意識障害には、覚醒の障害、認知機能の障害、意識の狭窄の3つの要素が含まれる。
脳血流量は、高度の血圧低下や頸部血管の圧迫などでは血流が保てなくなり、意識障害をきたす。
血糖値がおよそ55mg/dL程度にまで下がると発汗、振戦などの交感神経症状が出現する。
血糖値が50mg/dL程度になると中枢神経症状が出現し、皮膚の冷汗や手指振戦をみる。
血糖値が30mg/dL未満で意識障害が明らかになると考えてよい。
一次性脳病変とは脳に原因となる器質的病変があって意識障害を発症するものである。
二次性脳病変とは全身的な要因が脳機能に影響を与えて意識障害をきたすものである。
頭蓋内圧を上昇させる理由に、脳実質容積の増大、脳脊髄液の増加、頭蓋内血液量の増加、占拠性病変がある。
頭蓋内圧亢進による意識障害の理由に脳血流の減少と脳ヘルニアがある。
クッシング徴候は徐脈と血圧上昇である。
頭蓋内容積のうち脳実質が約80%を、脳脊髄液と頭蓋内の血液が約10%ずつを占める。
脳脊髄液の産生過剰、通過障害、吸収障害のいずれもが原因となり、脳室やくも膜下腔が拡大して水頭症を呈する。
慢性頭蓋内圧亢進の症候は、頭痛、嘔吐、うっ血乳頭の3つである。
大後頭孔ヘルニアは延髄が圧迫され、呼吸中枢の障害で呼吸停止をきたす。
中心性ヘルニアでは意識障害は早期にみられ、瞳孔はある程度までは両側ともに縮瞳し、麻痺や異常肢位に関しても両側性の障害を認める。
意識障害の傷病者で一側の散瞳と反対側の片麻痺を認めたら、鉤回ヘルニアを疑って搬送を急ぐべきである。
もうろう状態とはヒステリー、急性アルコール中毒などでみられる。
せん妄とは急性の脳機能障害で意識狭窄、受容の一つの型であり、高齢者によく見られる。
せん妄では、妄想、幻覚、錯覚、不安、興奮などを伴う。
遷延性意識障害とは、会話、自力移動、食事、排泄のコントロールなどはできないが、呼吸、循環、消化吸収などの自律神経機能は保たれる。
市民による目撃がある、心原性、救急隊到着時心室細動か無脈性心室頻拍の3つの条件を満たす場合生存率、社会復帰ともに高い。
消防庁は全国の心肺停止傷病者のデータをウツタイン様式に準じて収集している。
急性中毒のうち睡眠薬、麻薬、フグ毒では舌根沈下による気道閉塞や呼吸停止を引き起こす。
心室期外収縮のうち多源性、連発、RonTなどは心室細動に移行しやすい。
心肺停止に至る病態として不整脈、低心拍出量、呼吸不全がある。
突然の心停止は致死的不整脈によることが多い。
突然の心停止の場合直後に死戦期呼吸が見られる。
急性大動脈解離では破裂による失血や心タンポナーデで心肺停止を生じる。
透析治療を受けている慢性腎不全傷病者は心肺停止のリスクが高い。
心停止は心電図上心室細動、無脈性心室頻拍、無脈性電気活動、心静止に分類する。
胸骨圧迫中に生じる冠血流量は理想的条件下で正常安静時の5~35%である。
脳は虚血に最も弱い臓器である。
心拍再開後高血糖を呈する予後は不良である。
練習問題
問題1
意識障害には含まれない要素はどれか?
A) 覚醒の障害
B) 認知機能の障害
C) 意識の狭窄
D) 記憶喪失
E) 言語障害
答え: D) 記憶喪失
問題2
脳血流量が保てなくなる原因として正しいものはどれか?
A) 高血糖
B) 血圧低下
C) 高血圧
D) 高カルシウム血症
E) 低酸素血症
答え: B) 血圧低下
問題3
交感神経症状が出現する血糖値はどのくらいか?
A) 70mg/dL
B) 60mg/dL
C) 55mg/dL
D) 40mg/dL
E) 30mg/dL
答え: C) 55mg/dL
問題4
中枢神経症状が出現する血糖値はどれか?
A) 50mg/dL
B) 60mg/dL
C) 70mg/dL
D) 80mg/dL
E) 90mg/dL
答え: A) 50mg/dL
問題5
意識障害が明らかになると考えられる血糖値はどのくらいか?
A) 50mg/dL
B) 40mg/dL
C) 30mg/dL
D) 20mg/dL
E) 10mg/dL
答え: C) 30mg/dL
問題6
一次性脳病変とは何に原因がある意識障害か?
A) 全身的要因
B) 脳の器質的病変
C) 心臓の異常
D) 腎臓の疾患
E) 肝臓の機能不全
答え: B) 脳の器質的病変
問題7
頭蓋内圧を上昇させる理由として正しくないものはどれか?
A) 脳実質容積の増大
B) 脳脊髄液の増加
C) 頭蓋内血液量の増加
D) 頭蓋内空気の増加
E) 占拠性病変
答え: D) 頭蓋内空気の増加
問題8
クッシング徴候の特徴として正しいものはどれか?
A) 頻脈と血圧低下
B) 徐脈と血圧上昇
C) 頻脈と血圧上昇
D) 徐脈と血圧低下
E) 血圧正常と頻脈
答え: B) 徐脈と血圧上昇
問題9
脳脊髄液と頭蓋内の血液が占める頭蓋内容積の割合はどれか?
A) 脳脊髄液10%、血液20%
B) 脳脊髄液10%、血液10%
C) 脳脊髄液20%、血液10%
D) 脳脊髄液30%、血液20%
E) 脳脊髄液40%、血液40%
答え: B) 脳脊髄液10%、血液10%
問題10
大後頭孔ヘルニアで障害される呼吸中枢が存在する部位はどこか?
A) 小脳
B) 延髄
C) 橋
D) 脊髄
E) 大脳
答え: B) 延髄
問題11
せん妄の特徴として正しいものはどれか?
A) 急性の脳機能障害で意識狭窄が起こる
B) 慢性的な脳機能障害で記憶喪失が起こる
C) せん妄では脳波が正常である
D) 若年者に多く見られる
E) せん妄では運動機能が急激に低下する
答え: A) 急性の脳機能障害で意識狭窄が起こる
問題12
鉤回ヘルニアの特徴的な症状はどれか?
A) 両側性の散瞳
B) 両側性の麻痺
C) 一側の散瞳と反対側の片麻痺
D) 片側の縮瞳と対側の麻痺
E) 両側性の意識低下
答え: C) 一側の散瞳と反対側の片麻痺
問題13
せん妄で見られない症状はどれか?
A) 妄想
B) 幻覚
C) 錯覚
D) 昏睡
E) 不安
答え: D) 昏睡
問題14
遷延性意識障害で保たれている機能はどれか?
A) 自力移動
B) 記憶機能
C) 呼吸、循環、消化吸収などの自律神経機能
D) 会話能力
E) 自発的な行動
答え: C) 呼吸、循環、消化吸収などの自律神経機能
問題15
救急隊到着時に見られることで生存率や社会復帰率が高くなる条件はどれか?
A) 無脈性電気活動
B) 心静止
C) 心室細動
D) 徐脈
E) 頻脈
答え: C) 心室細動
問題16
急性中毒で舌根沈下による気道閉塞や呼吸停止を引き起こすものはどれか?
A) 麻薬
B) 鎮痛剤
C) 抗生物質
D) 血圧降下薬
E) 抗てんかん薬
答え: A) 麻薬
問題17
心肺停止に至る病態として含まれるものはどれか?
A) 貧血
B) 低心拍出量
C) 高血糖
D) 腎不全
E) 胃出血
答え: B) 低心拍出量
問題18
急性大動脈解離が引き起こす心肺停止の原因として正しいものはどれか?
A) 高血糖
B) 低血糖
C) 心タンポナーデ
D) 気管支炎
E) 胃潰瘍
答え: C) 心タンポナーデ
問題19
透析治療を受けている傷病者が心肺停止のリスクが高いのはどの疾患か?
A) 肝硬変
B) 心不全
C) 慢性腎不全
D) 糖尿病
E) 高血圧
答え: C) 慢性腎不全
問題20
心停止の際、心電図上で見られる波形に含まれないものはどれか?
A) 心室細動
B) 無脈性心室頻拍
C) 無脈性電気活動
D) 心静止
E) 頻脈
答え: E) 頻脈
参考文献:救急救命士標準テキスト
救急救命士試験対策に最適!『救急救命士 基礎から応用まで 試験対策問題集』のおすすめポイント
救急救命士を目指している学生の皆さんに、講義での学習に加えてしっかりとした試験対策ができる問題集をご紹介します!その名も『救急救命士 基礎から応用まで 試験対策問題集』です。
この問題集は、従来の国家試験過去問だけに頼らない、国家試験の過去問題を20年分徹底分析により国家試験に出題される問題が作問されています。過去問に加え、オリジナル問題を豊富に収録しており、救急救命士の学生が定期試験や国家試験に必要な知識をしっかり身につけられる内容です。現場で役立つ知識も含まれているので、試験対策だけでなく、実務にも直結する1冊です。
この問題集の魅力
全7巻、1800問以上の問題を収録! 解剖生理、外傷、処置、症候、疾病、特殊病態など、救急救命士に必要な広範な知識をカバーしています。
オリジナル問題多数!
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主な対象者
専門学校・大学の学内試験を控えている学生
国家試験対策の基礎固めをしたい学生
救急救命士養成課程前の救急隊員
効率的な学習の3ステップ
講義の復習
授業で強調された内容をメモし、理解できなかった部分は講師に質問!参考書や資料を活用して理解を深めましょう。問題を解く
問題を解くことで理論を実践に結びつけ、時間制限を設けることで試験本番への準備が整います。特に間違えた問題を重点的に復習することが重要です。解答と選択肢を見直す
間違えた問題を振り返り、なぜ間違えたのかを理解して次に活かしましょう。微妙な選択肢の違いにも注目し、落とし穴に気づく力をつけていきます。
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「聴いて学ぶ」救急救命士標準テキスト
31_重症脳障害・心肺停止
①音声解説
②聞き流し1問1答
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