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59_熱中症・偶発性低体温症【救急救命士国家試験対策】

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国家試験・定期試験出題内容のまとめ

【熱中症】

  1. 熱中症の定義

    • 暑熱環境による急性障害の総称。脱水や高体温が特徴的。

  2. 体温調節中枢

    • 視床下部にある体温調節中枢が高度で複雑な調節を行う。

  3. 体温に影響を与える因子

    • 環境、熱生産、循環、代償の各因子が体温調節に影響。

  4. 暑熱環境下の体温上昇

    • 環境温度と体温の差が小さくなると熱放散が低下。

    • 高湿度や無風状態では、汗の蒸発が阻害され、体温低下が困難。

  5. 重症の熱中症

    • 昏睡(JCS300)、腋窩温40℃以上、収縮期血圧90mmHg未満→最重症で死亡リスクが高い。

  6. 緊急度・重症度の判断ポイント

    • 意識、体温、発汗の有無が重要。

  7. 他疾患との判別

    • 熱中症に似た症状を持つ疾患(感染症、中毒、脳卒中、向精神薬悪性症候群など)との判別が困難な場合あり。

  8. 初期評価の流れ

    • 病院前では、初期評価、全身観察、問診と情報収集を行う。病院内では中心部体温の測定で重症度を判断。

【熱中症の分類】

  1. I度:軽度の症状(めまい、立ちくらみ、筋肉痛など)

  2. II度:中等度の症状(頭痛、吐き気など)

  3. III度:重度の症状(意識障害、肝臓や腎臓の障害など)

  4. IV度:最重度の症状(深部体温が40℃以上、意識レベル(GCS8点未満))


【低体温症】

  1. 低体温症の定義

    • 中心部体温が35℃以下に低下することによる全身的障害。

    • 偶発的に生じたものを偶発性低体温症と呼ぶ。

  2. 低体温症のメカニズム

    • 熱産生の減少熱喪失の亢進体温調節異常の3因子が関与。

    • 中枢神経障害や脊髄損傷によって体温調節が異常となり、リスクが高まる。

  3. 軽度低体温症(35~32℃)

    • 交感神経刺激により頻脈・頻呼吸を引き起こす。

  4. 高度低体温症(28℃未満)

    • 呼吸停止、心室細動、心静止(しんせいし)に至る危険性がある。

  5. 熱産生のメカニズム

    • 中心部体温が35℃まで低下するとシバリングによる熱産生が最大化。

    • シバリング(骨格筋のふるえ)によって熱産生が生じる。

  6. 偶発性低体温症の症状

    • 体温が32℃以下では、心電図上にJ波(オズボーン波)を呈することが多い。


問題

  1. 熱中症とは、________によって生じる急性障害の総称であり、複数の異なる病態を含む。

  2. 重症の熱中症では、________によって脱水が進行して高体温を生じる。

  3. 視床下部にある________は、高度で複雑な体温調節を行う。

  4. 体温に影響を与える因子には、________、熱生産、循環、代償がある。

  5. 暑熱環境では、体温と環境温度の差が小さくなるため、________の効率が低下して体熱が蓄積しやすくなる。

  6. 湿度が高い場合や、風がない場合は、汗が蒸発しないため、________による体温低下作用を生じにくい。

  7. 昏睡(JCS300)、腋窩温で________以上、収縮期血圧________mmHg未満の熱中症は最重症であり、死亡する危険がある。

  8. ________、体温および発汗の有無は、熱中症の緊急度・重症度を判断するうえで重要である。

  9. 意識障害に高熱を伴う疾患、すなわち________、中毒、脳卒中、向精神薬による悪性症候群などは、熱中症との判別が困難な場合がある。

  10. 熱中症の判断では、________、全身観察、問診と情報収集を行う。

  11. 本来、熱中症では________を測定して重症度を判断する。

  12. JCS________以下の意識障害を認める場合は、II度熱中症と判断する。

  13. 高度低体温(________℃未満)では呼吸停止、心室細動、心静止に至る。

  14. 中心部体温が________℃以下に低下することによって生じる全身的障害を低体温症という。

  15. 治療上の意図によらず偶発的に生じた低体温症を________という。

  16. 視床下部にある________が体温低下を感知する。

  17. 偶発性低体温症には熱産生の________、熱喪失の________、体温調節異常の3因子が関与する。

  18. 中枢神経障害や________では体温調節異常を生じるため、偶発性低体温症の危険が高まる。

  19. 軽度低体温(____________℃)では交感神経刺激によって頻脈・頻呼吸を生じる。

  20. 高度低体温とは体温が________℃未満のことである。

  21. 中心部体温が________℃まで低下すると、シバリングによる熱産生量は最大となる。

  22. 運動神経系を介する骨格筋のふるえ(________)によって熱産生が生じる。

  23. 体温が________℃以下の偶発性低体温症では、心電図上に特徴的なJ波(________)を呈しやすい。

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解答

  1. 熱中症とは、暑熱環境によって生じる急性障害の総称であり、複数の異なる病態を含む。

  2. 重症の熱中症では、暑熱環境によって脱水が進行して高体温を生じる。

  3. 視床下部にある体温調節中枢は、高度で複雑な体温調節を行う。

  4. 体温に影響を与える因子には、環境、熱生産、循環、代償がある。

  5. 暑熱環境では、体温と環境温度の差が小さくなるため、熱放散の効率が低下して体熱が蓄積しやすくなる。

  6. 湿度が高い場合や、風がない場合は、汗が蒸発しないため、気化熱による体温低下作用を生じにくい。

  7. 昏睡(JCS300)、腋窩温で40℃以上、収縮期血圧90mmHg未満の熱中症は最重症であり、死亡する危険がある。

  8. 意識、体温および発汗の有無は、熱中症の緊急度・重症度を判断するうえで重要である。

  9. 意識障害に高熱を伴う疾患、すなわち感染症、中毒、脳卒中、向精神薬による悪性症候群などは、熱中症との判別が困難な場合がある。

  10. 熱中症の判断では、初期評価、全身観察、問診と情報収集を行う。

  11. 本来、熱中症では中心部体温を測定して重症度を判断する。

  12. JCS1以下の意識障害を認める場合は、II度熱中症と判断する。

  13. 高度低体温(28℃未満)では呼吸停止、心室細動、心静止に至る。

  14. 中心部体温が35℃以下に低下することによって生じる全身的障害を低体温症という。

  15. 治療上の意図によらず偶発的に生じた低体温症を偶発性低体温症という。

  16. 視床下部にある体温調節中枢が体温低下を感知する。

  17. 偶発性低体温症には熱産生の減少、熱喪失の亢進、体温調節異常の3因子が関与する。

  18. 中枢神経障害や脊髄損傷では体温調節異常を生じるため、偶発性低体温症の危険が高まる。

  19. 軽度低体温(35〜32℃)では交感神経刺激によって頻脈・頻呼吸を生じる。

  20. 高度低体温とは体温が28℃未満のことである。

  21. 中心部体温が35℃まで低下すると、シバリングによる熱産生量は最大となる。

  22. 運動神経系を介する骨格筋のふるえ(シバリング)によって熱産生が生じる。

  23. 体温が32℃以下の偶発性低体温症では、心電図上に特徴的なJ波(オズボーン波)を呈しやすい。



練習問題

問題1

熱中症とは、暑熱環境によって生じる急性障害の総称であり、複数の異なる病態を含む。重症の熱中症で脱水が進行するのはどれか?
A. 低体温
B. 高体温
C. 低血糖
D. 高血圧
E. 低酸素

答え: B
重症の熱中症では、暑熱環境によって脱水が進行して高体温を生じる。


問題2

体温調節を行う中枢はどこにあるか?
A. 小脳
B. 延髄
C. 視床下部
D. 脊髄
E. 大脳皮質

答え: C
視床下部にある体温調節中枢は高度で複雑な体温調節を行う。


問題3

熱中症の原因となる暑熱環境で、体熱が蓄積しやすくなるのはなぜか?
A. 汗の分泌が増える
B. 体温と環境温度の差が大きくなる
C. 熱放散の効率が低下する
D. 血流が増加する
E. 新陳代謝が活発になる

答え: C
暑熱環境では、体温と環境温度の差が小さくなるため、熱放散の効率が低下して体熱が蓄積しやすくなる。


問題4

湿度が高い場合や風がない場合、体温低下作用を生じにくい理由はどれか?
A. 汗の蒸発が遅くなる
B. 体熱の放出が増える
C. 汗の分泌が抑制される
D. 血流が減少する
E. 新陳代謝が低下する

答え: A
湿度が高い場合や風がない場合は、汗が蒸発しないため、気化熱による体温低下作用を生じにくい。


問題5

昏睡、腋窩温で40℃以上、収縮期血圧90mmHg未満の熱中症はどのような状態か?
A. 軽度
B. 中等症
C. 重症
D. 最重症
E. 回復期

答え: D
昏睡(JCS300)、腋窩温で40℃以上、収縮期血圧90mmHg未満の熱中症は最重症であり、死亡する危険がある。


問題6

熱中症の緊急度・重症度を判断するために重要な要素はどれか?
A. 意識、体温、発汗の有無
B. 血圧、脈拍、呼吸数
C. 瞳孔反応、痛覚、反射
D. 血糖値、尿量、酸素飽和度
E. 血液ガス分析、電解質バランス、肝機能

答え: A
意識、体温および発汗の有無は、熱中症の緊急度・重症度を判断するうえで重要である。


問題7

熱中症と判別が困難になる疾患はどれか?
A. 感染症、中毒、脳卒中
B. 骨折、捻挫、脱臼
C. 心筋梗塞、狭心症、動脈瘤
D. 気管支炎、肺炎、胸膜炎
E. 糖尿病、脂質異常症、メタボリック症候群

答え: A
感染症、中毒、脳卒中は、意識障害に高熱を伴う疾患であり、熱中症との判別が困難な場合がある。


問題8

熱中症の重症度を判断する際に測定するべきものは何か?
A. 皮膚温
B. 中心部体温
C. 外気温
D. 血圧
E. 脈拍

答え: B
本来、熱中症では中心部体温を測定して重症度を判断する。


問題9

JCS1以下の意識障害が認められる熱中症の分類はどれか?
A. I度熱中症
B. II度熱中症
C. III度熱中症
D. IV度熱中症
E. 低体温症

答え: B
JCS1以下の意識障害を認める場合は、II度熱中症と判断する。


問題10

低体温症はどの中心部体温以下で生じるか?
A. 37℃
B. 36℃
C. 35℃
D. 34℃
E. 33℃

答え: C
中心部体温が35℃以下に低下することによって生じる全身的障害を低体温症という。


参考文献:救急救命士標準テキスト



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「聴いて学ぶ」救急救命士標準テキスト

59_熱中症・偶発性低体温症
 ①音声解説
 ②聞き流し1問1答

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