32.【遊園地&プール】と【研究所】
アッチノ世界には、ゲームセンター以外にも遊べる場所はある。
それは遊園地とプール。
二つは一体型の施設になっている。
遊園地のテーマは【アッチノ世界】らしい。
見た夢をアタシが何度も思い出したり、考えることが多いせいか、この施設にはアッチノ世界に出てくる場所をパロディーに模したアトラクションが設置されている。
覚えているのは……
問題を解きながら【学校】の中を進むジェットコースター。
【黄色いサル】を何匹倒せるか挑戦できるシューティングゲーム。
【鏡越しの双子】のようにセピア色の記念写真が撮れたり、美味しいロールケーキが食べられるお店。
他にももっとたくさんあるとは思うけど、アタシはまだこのぐらいしか体験していない。
もう一つのプールには、小さな【アッチノ世界地図】を模した場所がある。
【どこでもトンネル】のウォータースライダーや、【墨色ワールド】の中にある真っ暗なプール。
遊んで楽しむのはいいけれど、夢中になり過ぎて周りが見えなくなってしまったら御用心。
いつか見た夢の中で目撃したことがある。
『○○がいなくなった』
プールで遊んでいる人達が騒いでいた。
気になりながらも、アタシはウォータースライダーの階段を上った。
滑り終えて辺りを見渡すと、アタシの前に滑ったはずの人がゴール地点にはいなかった。
何だか凄く気になって、もう一度ウォータースライダーを滑ってみた。
すると、途中で軌道が変わって、さっきのゴール地点とは違う場所に出た。
そこは水族館にありそうな広場だった。
今にもペンギンが出てきそうな雰囲気。
水の引いた場所には、ウォータースライダーで連れて来られた人達がわらわらと立っていた。
その先で頭から足先まで水色の防護服を着た人達が歩き回っている。
小さな電子辞書のような物を持った防護服の人が、連れて来られた人達の何かをチェックしていた。
それが通ると、メガネケースのような形をした大きな容器が次から次へと用意されていく。
みんな動揺はしているけれど、不思議なことに誰も抵抗はしない。
連れて来られた人達は、一人ずつ立った状態で容器に入れられ、ゆっくり横に倒すと流水プールみたいな場所に浮かべて順に流されていく。
流された先にはトラックが待機していた。
どこかに運ぶのか、どんどん容器を積んでいく。
どこに行って何をされるのかわからない。
でも、この状況は確実に良いものでないのはわかる。
アタシは絶対に捕まりたくなくて物陰に隠れながら、この場からどうやって逃げようか考えていた。
ウォータースライダーを滑ってここに辿り着いたから、バレずに最初にいたプールに戻るのは簡単ではない。
容器を運ぶトラックがあるということは、外に通じている場所があるはず……。
そう思って、アタシはトラックの向いている方向に全速力で走ってみた。
夢の中なのに、裸足で走っているのが足の裏から凄く伝わってくる。
少し走ると、一階部分が突き抜けになっている巨大な建物が現れた。
全体像がイメージできないぐらい大きい。
その一階部分には、防護服を着た人とオレンジ色の作業服を着た人達があちらこちらで何か作業をしている。
自分の格好を見ると水着……。
こんなんじゃ目立ってすぐに捕まってしまう。
慌てて近くにあった大きなポリバケツの裏に隠れてみた。
ふと見上げると、ポリバケツと蓋の間にオレンジ色の布が挟まっている。
蓋をそっと開けてみると、脱ぎ捨てられたような作業服がグチャグチャに詰め込まれていた。
服を取り出すと下には白いキャップも入っていた。
サイズは少し大きいけど、アタシはその場で着替えてキャップを深めに被り、何食わぬ顔で歩いてみた。
下を見ると床には、黄緑色のスライムのような物が至る所にへばり付いている。
他にもよくわからない毛の束や破片など、色々な物が転がっていて気持ちが悪い。
見ていられなくて顔を上げてしまった。
出入り口のような場所では、大量の檻が積まれたトラックが絶えず出入りしている。
その近くでは、防護服の人が金属の筒を運んでいるのが見える。
まるでSF映画とかに出てくる研究所みたいに思えた。
周りを見渡しながら歩いていると、防護服を着た人がこっちを向いている。
防護服の顔部分が光で反射しているせいで、アタシを見ているのか確認できない。
思わず顔を伏せてしまった。
多分、今のは凄く不自然だったと思う。
足元は裸足。
裸足はマズイよね……。
そう思った瞬間――
「おい、そこのキミ!」
やっぱり声をかけられた。
アタシは振り向きもせず走った。
「捕まえろ!」
怒鳴り声が後ろから迫ってくる。
アタシは外へ出ると、そのまま真っ直ぐ走り続けた。
少し進むと、高さの違うたくさんのビルが目の前に見えてきた。
あそこは商業ビル地帯だと思った。
ここならどうにか逃げ切れるかもしれない。
そう思って商業ビル地帯の中心部分に向おうとした瞬間、聴こえてくる足音がさっきと違うことに気が付いた。
息を呑んで振り向くと、後ろには見覚えのある人型ロボットがいた。
殺人ロードでもないのになんで!
体が一気に緊張し始める。
16.【XXロード : 危ない隠し芸】の時、ロボットの体は白色だった。
でも、なぜか今回は黒色。
製造元はあの研究所……?
そんなことを考えながら、とにかく走る。
今回もまたあのサーベルが出てくると思ったアタシは、少しでも逃げ込めそうな場所を探しながらビルの路地を何度も曲がった。
細い路地を見つけて入ろうとした瞬間、何かに足を摑まれて前へ倒れるように転んでしまった。
足首を見ると黒い鎖が巻かれている。
その先には黒色の人型ロボット。
「色違いは性能も違うの? もぉー!」
なんて一人で叫びながら藻掻いていると、裸足だったのが幸いしたのか鎖から足が抜けた。
そのままアタシは犬のような体勢で駆け出して、肩をぶつけながら細い路地を突き進み、転がるようにどこかに抜け出た。
すぐさま後ろを振り返ると、黒色のロボットは停まったまま路地の入り口の前で立っていた。
通れないなら飛んでくるかもしれない。
急いで逃げなきゃ……。
そう思って前を向くと、目の前には恐ろしい殺人ロードがあった。
何度も路地を曲がりすぎて辿り着いてしまったのか。
はたまた殺人ロードの方から出向いてくれたのか。そこにあったのは、また見覚えのある白いパーツのような物体。どちらにしても最悪な状況だった。ゆっくりと上を見上げると、陽射しに光る白色のロボットがアタシを見下ろしていた。
来た道を慌てて振り返ると、路地の入り口にいたはずの黒色のロボットがアタシの真後ろに立っていた。
驚きのあまり、アタシは座ったまま後ずさる。
同時に背後から、カランと何か金属製の物が落ちるような軽い音がした。
こちらに転がってきた何かをチラッと見てしまった。
そこにあったのは、また見覚えのある白いパーツのような物体。
ゆっくりと上を見上げると、陽射しに光る白色のロボットがアタシを見下ろしていた。
左腕のサーベルを二、三度回すように動かしながら、アタシに向って振り下ろした瞬間――
汗だくで目が覚めた。
毎回、追われて……襲われて……悪夢ばかり。
この夢は色んな意味で恐ろしい繋がりを見せてくれたような気がする。
っていう夢でした。
別サイト初回掲載日:2011年 01月30日
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