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[本業]“専業禁止”のen factoryで副社長を務める清水正樹さんのパラレルキャリア

清水正樹 プロフィール

大学在学中にWEB動画マーケティング事業で起業。その後、株式会社オールアバウトに新卒入社、メディア運営・EC事業の立ち上げなどに携わる。2011年に同社より株式会社エンファクトリーがスピンアウト。現在では同社の取締役副社長、株式会社ロベリア取締役、株式会社飼育係 代表取締役社長、合同会社flasco 代表。


新卒で入ったAll Aboutから分社化したen factoryに移籍、2年後に副社長に
ーen factoryに入社したきっかけは何でしたか?

新卒で就職活動をするときに「1つの業界や領域だけに留まりたくない」という気持ちが強かったので、幅広い業界のコンテンツや広告主に関われると思いAll Aboutに入社しました。

3年目に、在籍していたショッピングの事業部がAll Aboutから分社化することになったんですよ。All AboutのCFOで分社化後の会社の社長になる加藤健太さんからは「来なよ」と誘われましたが、新規事業開発の部門も掛け持ちしていたのでそこに残る選択肢もあったんですね。All About社長の江幡さんからも「好きにしていいからはっきりしろ」と言われていたのですが、どちらの道に行くかかなり悩みました。

気晴らしに幼馴染と大江戸温泉に行って、温泉に浸かりながらぼんやり考えていたら、幼馴染が「もともと自分で事業をやりたい、起業したいと思ってたんだから、それに近い方を選べば?」と言ってくれました。

ー起業したい気持ちは元々あったんですね。

大学生の時も、起業をして動画やWEB制作のビジネスをしていて、自分で何かつくるのが楽しかったんですよね。それから、分社化するのは自分がいたショッピング事業と、専門家マッチング事業の2つだったのですが、どちらも不採算事業だったので「残り少ないキャッシュの中で、なんとか成功させるもの面白そうだな」と思って、分社化した新しい会社に移籍を決めました。それが、今いるen factoryです。

ー最初から副社長だったんですか?

en factoryがスタートした時点では、管理職ですらなかったですよ。分社化して1年後に、ショッピング事業部を統括する上司が「チャンスをやるよ」って感じで、ご自身は独立されて僕に事業部を任せてくれたんです。そのタイミングで、ショッピング事業の担当執行役員になり、その翌年に副社長となり経営に携わることになりました。その間、早い段階でなんとかみんなで事業を立て直して黒字化して、増収増益を続けています。今は副社長ですが、40人程の小さな会社で結局自分で手を動かすので、昔も今もシームレスに動き回ってますね。今はショッピング事業の統括をメインに、副社長という立場で専門家マッチング事業を行う部門やコンサルティングや開発をする部門などにもCOOのような立場で携わっています。

画一化されすぎた世界はつまらない、小さくても個性的なものにスポットライトを
ースタイルストアではどんな方が働いているんですか?

一番多いのが、バイヤーですね。良質でこだわりのある商品を調達したり、つくり手と一緒にモノづくりをする職種です。それから、ECの基盤システムをつくるシステム担当、お客様とのチャネルであるカスタマーサポートと一緒に運営をしています。僕はもともといたマーケティング畑・企画畑を中心に、全体の統括マネジメントをしています。自分ひとりで考えることには限界があるので、みんなを巻き込んでそれぞれの強みを活かしながらチームで成果を出すプロセスは面白いですね。

ーショッピング事業では、具体的に何を販売してるんですか?

ショッピング事業の中核は、「スタイルストア」というECセレクトショップと、代官山にある店舗の運営ですね。小規模ながらいいものづくりをしている作家さん、デザイナー、小さいメーカーのアイテムを、つくり手のこだわりやストーリーとともに紹介しています。最近は、スタイルストアのお客様の声を集めて、つくり手の方と共同で商品開発にも取り組んでるんですよ。

最近清水が発案してクラウドファンディングしたお財布プロジェクト

ースモールなものづくりの魅力とは?

画一的なサービスはモノは便利でアクセスしやすいけど、それだけしか存在しなくなったら世の中つまらないですよね。やっぱり、日本の居酒屋が全部チェーンになったら萎えるじゃないですか(笑)。スモールビジネスが元気で、ある程度シェアを持つ方が面白いはずなんです。今は一度資本主義が行き過ぎて大企業にリソースが集結していますが、だからこそ「小さいけど面白いことやってるね」と思える、個性的なモノや人がもう一度注目する時代の流れが来ると思います。まだ知られていないけれどステキな商品を世に出して、反響が大きかったり売り上げが立ったり手ごたえを感じると嬉しいですね。


パラレルキャリアなら、自分が選んだフィールドで経験値を一気に増やせる

ーパラレルキャリアが、本業にも活きていると思いますか?

そうですね。本業のほかに仕事を持つことで、経験値もつながりも格段に増えます。例えば、本業で新規事業を3つ立ち上げて、社外でも3つ立ち上げたら、単純計算で2倍の経験をした訳ですよね。経験値も、関われる業種も、出会える人も増やせるのがパラレルキャリアのメリットだと思います。会社だと、会社の目標やビジョンに沿った事業にしか関われませんが、社外なら自分の興味の赴くままにどこにでも飛び込めるのも魅力ですね。企業にとっても、社員が自力で研修をうけてきてくれるようなものなので、予算を使わず社員の成長機会がつくれるのでおいしいと思います。en factoryは2011年の創業以来、「専業禁止」という理念を掲げていて、パラレルキャリアを実践する社員の成長も目の当たりにしています。本業をしている会社においても、自分の長い人生の中でも、複数のフィールドでの活動経験は活きてくると思いますね。

ーどんなパラレルキャリアが成長につながると思いますか?

それは本当に人それぞれですね。置かれている環境も本人の興味やスキルも違うので、自分に合ったドメインを見つけるのが一番だと思います。「副業」と一言でまとめても、時間を切り売りするものもあれば、自分のお金を突っ込んで事業をつくるような選択肢もありますしね。身銭を切るビジネスを経験すると、会社の予算を使っているだけでは身につかないシビアな感覚を味わえって得るものも大きいと思います。時間の切り売りをするタイプの副業でも、単価の上げ方を学ぶ、スキルの再現性を身につける、自分にないスキルを持った人とチームを組んで知見を広げるなど、成長の機会はいくらでもつくれます。NPO法人のように利益にはつながらない社会貢献の場を選ぶのもアリですね。「パラレルキャリアの王道」はないと思います。だから、ロールモデルになりそうな人の活動を広く知って、参考にしながら自分なりのパラレルキャリアを展開するのがいいと思います。

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3社にまたがって経営をする清水正樹さんのパラレルキャリアはこちら

文・編集:高村エリナ

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