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【東映の貴重映像】銀座ローズさん、東郷健さん、奈良林祥ドクター【戦後のLGBT】

Amazon Primeビデオの「東映オンデマンド」チャンネルで、超貴重映像が鑑賞できます。

『セックスドキュメント 性倒錯の世界』(1971年)
監督の中島貞夫さんは、先日2023年6月11日、亡くなられたようです。

ナレーターやインタビュアーの差別的な言動には、時代を感じます。ただ、銀座ローズさんの動く姿が見られるなど、とても貴重です。
紹介いたします。


8分~12分頃 奈良林祥ドクターによる見解の陳述

当時、奈良林祥ドクターは代表的な性科学コメンテーターとして活躍していたようですね。次のような見解を陳述しています。

・性倒錯といえば、同性愛、服装倒錯、サディズム、マゾヒズム。

・生育環境によって「男を愛せない」「女を愛せない」異常者、性倒錯者がある程度出てくるのは仕方がない。  
 
・大人になることを拒否している人々の性的放蕩のパターン。
人間はみな最初は同性愛者。ホルモンの影響で、異性愛になる。
極端に子供のころに可愛がられたりすると、無意識の抑圧で異性愛でなくなる。

・服装倒錯は、自分の中に女をつくる。自分の中に性の内部循環をつくる。これは必ずしも同性愛とは違う。

13分ごろ 東郷健さんの「おかまの党」

東郷健さんが白装束の和服で街頭演説する映像。S7、加古川市生まれ。関西学院大学商学部。銀行勤めのち「ゲイバー」。
東郷健のゲイバーにはウィッグの女装子あるいはトランスの子も従業員として働いていたことが確認できます。

20分ごろの歌
「男が男を愛し合う。女が女を愛し合う。愛し合うのはいいじゃないの~争い合うよりいいじゃないの~」

23分ごろ 丹波篠山のトランスの子の手術の映像

FFS(二重)と豊胸手術の映像。
「どうしても、手術で苦痛があっても、女になりたい」
インタビュアー「自分が男であることがいやか」
「あんまりよくわからないんだけど」
インタビュアー「すごく大きな変化だなあ」
「気持ちの変化で言えば、そちらの方がずっと楽だと思うし」
今じゃありえん演出。。

28分ごろ 銀座ローズさん「性転換第一号」

「浅草の片隅のキャバレー」の動画。
(きれいな人だなあ。貴重な映像)
「愛する夫のために」糠漬けをつくる映像。
夫のインタビューも貴重。
「最初見て女性だと認識した。その後3年間くらいは一緒に歩くのが少し恥ずかしかった。子供を持ちたいという悩みが亡くなってからは、老後、ある程度の余裕があればいいと思うようになった。」
妹はレズビアンカップル。
(「兄ローズ」というナレーションがうざい)
「満州から引き揚げた際の不摂生な生活が」といった歴史を感じさせるフレーズがよい。
「武藤家の墓」の前で踊るローズさん。

45分 小説家の戸川昌子氏

「異常か正常かは、個人的な、主観的なものである。女同士で結びついてもなお結婚の形態をとりたがったり、片方が男ぶりたがったりするのは、間違っていると考える。もっとクリエイティブに。詩人や小説家になる土壌が日本にあればいいのに、という希望的観測をしている。たいていの人は二人で水商売とかしてるのが、私は不満。もっと研ぎ澄まされた純粋な生活を行うべき。」
(LGBTに創造性を期待するよくある偏見ですね。歴史史料としてはやはり貴重。)

50分目のナレーション (宗教?)

「人間にとって宗教とは、セックスとは、革命とは、文明とは、平和とは、自由とは、愛とは、死とは」
なぜ最初に「宗教」が来たのだろうか

66分目のナレーション
「宗教のように、セックスには団結性がありますからね」
やはりまた「宗教」。戦後が新宗教の時代だったことを想起させます。このビデオが作られたのは1971年。高度経済成長期に、主婦層を中心に、創価学会や立正佼成会が大躍進した時期でした。

なお。55分以降は入れ墨やBDSMや責め絵など。性的少数者(いわゆるLGBT)の資料としては特に見どころはありません。そういえば「性倒錯」というタイトルのビデオでした。

80分目のナレーション 「戦前のように男らしく女らしくがはっきりしていた頃は」

令和の現在は「昭和のように男らしく女らしくがはっきりしていた頃は」という表現をしますね。
令和の次の時代には「令和のように男らしく女らしくがはっきりしていた頃は」などという表現がされるようになるのでしょうか。

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