新すばらしきこのせかい FIELD WALK RPGと10年前の渋谷
2007年7月27日。
ニンテンドーDSで一本のゲームソフトが発売されました。
渋谷を舞台としたそのゲームは、当時中学生だった僕の心をガッツリと掴み、その後も今に至るまで離してくれません。
高校生の時には初めての聖地巡礼で渋谷に行きました。大学生の時にはソシャゲ版でランキング上位を争いました。そして社会人になってからはコラボカフェやグッズ発売を通じて交友関係を広げることができました。
そんなすばらしい経験をたくさんくれた、僕にとって人生で一番ハマったゲームが「すばらしきこのせかい」です。
このゲームの完成度は本当に高く、敵味方共に魅力的なキャラクター、驚きに溢れたシナリオ、DSの機能をこれでもかと利用するシステム、とどれをとっても一級品です。
また、ゲーム内での渋谷の再現度もかなりのもので、初めて渋谷を訪れた僕は一切迷うことなく各スポットを回れたほどでした。
世界中にファンがいるというのも頷けます。
そして2021年7月27日。
14年の時を経て、新作「新すばらしきこのせかい」が発売となりました。途中、ソシャゲ版やリメイクを挟んではいましたが、そんなものでファンが満足するはずはありません。
この日を境に、僕を含めたファンたちはタイトル通り新しい「すばらしきこのせかい」にのめり込んでいったのでした。
ゲーム内容はファンの期待を裏切らないもので、というかむしろ期待を軽々と超えるほどにすばらしいもので、前作を踏襲しつつもちゃんと新しい、そんな「すばらしきこのせかい」となっていました。
2021年はこの新作発売の他にアニメ化というビッグイベントもあり、まさにすばせかイヤーと呼ぶに相応しい年です。
そしてその2021年最後に控えていたイベントがタイトルにも挙げた「新すばらしきこのせかい FIELD WALK RPG」でした。
「ゲームの様な世界を現実に!」
をコンセプトに企画されたこのイベントは、「すばらしきこのせかい」のゲームそのものを手掛けたスクウェア・エニックスによって運営されており、どう考えても面白くならないはずがありません。
そもそもイベント内容からして、「現実の渋谷の街を歩きながら、死神のゲームの協力者としてキャラクターと共にミッションを攻略していく」というファン垂涎のものですから、楽しめないなんてことはありえないのです。
軽い気持ちでイベントに参加してみたら、予想を遥かに上回る面白さだったので、このネツを伝えるべく体験レポにしようとしたのですが、体験レポと言うよりは、作品と渋谷への愛を思うままに書き殴っただけの何かとなってしまいました。まあそれだけこのイベントがファン心理をくすぐりまくってくれたということです。
残念ながらイベントはもう終了してしまいましたが、またなにか動きがあるんじゃないかと一縷の望みをかけて過度なネタバレはしません。
あと10年前に初めて渋谷探訪した際の写真があるので、記録も兼ねて今の渋谷と比較しながら見れるようにしておきます。
渋谷駅で降り、物語の始まりの場所「スクランブル交差点」へ。
FIELD WALK RPG自体は渋谷マルイからのスタートとなるのですが、ファンとしては、始まりの象徴としてのこの場所は欠かせません。天気は快晴、良い街歩き日和になりそうです。
10年前はこんな感じ。
再開発が進み、街並みがガラリと変わった印象のある渋谷ですが、建物自体はあまり変わっていないようです。なにげない街の広告たちが時の流れを感じさせてくれます。109の広告なんて「探検ドリランド」から「iPhone13」ですからね。
ゲーム中はマップに目的地と自分の現在位置が表示され、左上にはミッション内容が通知されています。基本的にはミッションの流れに沿ってゲームを進めていくことになりますが、以下のマップに示す各地にはキャラクターの等身大POPが立っていたり、特徴的なシンボルが設置されており、ゲームがある程度進行してからそのポイントに行くと、小話を聞くことができたり、EXミッションのヒントが掴めるようになっています。
驚いたことにイベント発生地点は渋谷の主要な施設をほぼ網羅しています。これを回収するとなると、自然と渋谷のあちこちを歩き回ることになり、それがゲームへの没入感、まるで本当にUGのゲームに参加しているかのような感覚を深めてくれます。
また、移動中に特定の場所に近づくと不意にキャラクターが話しかけてくれるイベントが発生することがあります。これは現地参加組だけの特権ですが、こういった小さな演出が本当に嬉しく、「自分は今、死神のゲームに参加しているのだ」と、ファン心理をくすぐりまくってくれました(現地に来られないファンのために、途中からWEB版が公開されました。このような運営の対応がまた非常にすばらしい!)。
開始地点のマルイではツイスターズのメンバーがお出迎え。
画像では隠していますが、吹き出しの中にはQRコードが描かれており、これを読み込むことでゲームが進行していきます。マルイの開店時刻である11時にあわせて訪れたのですが、ここがゲームの開始地点ということもあり、他の参加者の方々も10名ほどおられました。
直近で開催されていた一番くじの商品である「推しが尊いTシャツ」を来ている人の姿もチラホラあり、全力でUGの世界を堪能しに来ていることが伺えました。
実は僕もツイスターズのメンバーがプリントされたTシャツを着ている上に、ジュピモンのマスクを着けての参加だったため、仲間を見つけて嬉しくなったものです。
過去に開催されたコラボカフェのときなんかもそうでしたが、こうやってファンが集う場が提供されるというのは堪らないですね。特に「すばらしきこのせかい」はゲーム内容は抜群に素晴らしいのに、非常に残念なことに知名度が追いついていない(と僕は思っている)ので、自分以外のファンを確認できるのは大変ありがたいです。
ここで自らの境界を超えて、他の参加者の方々に話しかければ世界が変わったりしていたのかもしれませんが、感染症のあれや僕自身のシャイボーイさが相まって、残念ながら新たな交流を生み出すことはできませんでした。次回こそは必ず…!
ツイスターズの三人に話しかけた後は、早速ノイズとのバトルが始まります。どうやら今日のミッションはスキャンが出来なくなってしまったリンドウたちに変わり、UGに連れてこられた「協力者」であるプレイヤーがスキャンを行うことで、ツイスターズの助けとなってノイズを倒していくというもののようです。
仮とはいえツイスターズの一員として、現実の渋谷を冒険するというのは実に得難い経験で、ただの雑魚ノイズ戦でもワクワクが止まりません。
バトルは各キャラクターが所持しているバッジを選択し、サイキックでノイズの弱点を突きダメージを与えることで進んでいきます。序盤は簡単なものですが、後半になると、新たなバッジを手に入れる必要が出てきたり、バッジの選択順が重要になったりしてきます。
正しいバッジを選べなかったときにはノイズからの反撃を受けてしまい、TEAM HPが減ってしまいます。ノイズの弱点がわからないときは、近くのキャラクターに聞いてみるなどして情報収集をした上で挑むようにしましょう。
もしHPが減ってしまった際には、各地に散りばめられたハンバーガーショップに駆け込むようにしましょう。ここでは減ったHPを回復させることができます。
今更ですが、HPが0になったらどうなっていたのでしょうか。折角だから試しておけばよかったな…。
マルイでのミッションはチュートリアルみたいなものなので、そう手こずることもなく終えられると思います。
5Fにはゲーム内でも度々登場する壁グラが再現されたグラフティが展示されています。これはイベントが終わってからも、引き続き残されるようになったそうなので、今後渋谷へ赴いた際には見に行くことが習慣となりそうです。
マルイでのミッションを終えると、メインのミッション3つが開放されます。
攻略する順番は関係ないため、ひとまず一番近いMODIから片付けていくことにしました。
近い、と言うかもうマルイの目の前にあるので一瞬で到達できます。
実はMODIになってから初めて渋谷に来たのですが、ゲーム内で何度も通った場所だからか、初めてという感覚はありませんでした。
渋谷の空気とかいうぼったくり商品を買いまくった記憶が呼び起こされます。
10年前はまだマルイシティでした。
ゲームの方でも旧作では「カドイ前」として出てましたね。
MODIに入ると立て看板が登場。
ミッションにはなんら関係はありませんが、ふとした瞬間にこういうものが目に入ると、「ああ、自分は今渋谷でゲームに参加しているんだな…」と強く実感できます。
MODI 2階には「東京アニメセンター」が入っており、ミナミモトがとあるアドバイスをしてくれます。ゲームの進行状況によってセリフが変化していくため、何度かセリフを聞きに来るのも良いでしょう。ミナミモトのお墨付きが出たらGOです。
他のキャラクターPOPについても、進行状況次第でセリフが変化するため、繰り返しスキャンしてみることで、ゲームをより楽しむことができるでしょう。
目的地である7Fでは、カリヤとカノンから情報を引き出すことで、ミッションを進めていきます。
僕はここで、改めてこのイベントは本当にファンを思って作られた、素晴らしいものだと実感しました。なぜなら、ここで与えられたミッションが「街中の女性にインプリントを行い、女性を移動させることでノイズを倒すための新しいバッジを手に入れる」だったからです。
「インプリント」を駆使して物語を進めていくなんて、まるっきりゲームと同じ体験にテンションは高まる一方です。僕は今、ツイスターズの一員なんだ!
なんなくミッションをクリアし、新バッジを入手しました。
新たなバッジを手に入れ戦力が強化された今、サメノイズごときが我々ツイスターズを阻めるわけがありません。一瞬で撃破し、次のノイズが潜むMAGNET 7Fに向かいます。
MAGNETにも立て看板がありました。
どうやらこの立て看板、MODIにあったものとあわせて後日プレゼント企画に使われたようですね。ハロウィンに企画された「死神を探せ!」イベント(渋谷の街中にパーカー死神が出現、彼らが持つQRコードを読み込むことで参加できる)の参加者に抽選で当たったとか。
ハッキリ言って欲しすぎるし、渋谷をうろつくパーカー死神の姿も見たかったので「死神を探せ!」イベントにはめちゃくちゃ参加したかったのですが、距離の壁は大きく、参加は叶いませんでした。何度かやってくれたら良かったのになー。
MAGNET店内はコラボカフェの様相を呈しており、各テーブルは「すばらしきこのせかい」一色です。
ここはフードコート形式なのですが、各店では「死神チャレンジ!」と題された特別メニューなんかもあり、まさにイベント参加者のための食事処です。ちょうどお昼時でしたので、ここで腹ごしらえを済ませてからミッションを再開することにします。
MAGNETではクボウから出されるスタンプラリーを埋めていく形でミッションが進んでいきます。
これがまた新鮮で、スキャンするのはこれまでのようなQRコードではなく、MAGNET館内にあるアートグラフィティです。
館内は至るところにアートが描かれており、これをスキャンすることでスタンプラリーを埋めていきます。
はじめこそ「こんなものほんとにスキャンできるのか…?やり方あってるんだろうか…?」と不安になったものですが、やってみるとあっさりスキャンでき、「こんな簡単に認識してくれるのか!」と妙な驚きがありました。
アートをスキャンするたび、クボウがスタンプを押してくれるのですが、これがまたクセが強いものばかり。「すばらしきこのせかい」のLINEスタンプとか出てくれないかなあ。出たらこのクボウの顔もぜひ載せてほしい。
そんな調子でスタンプを埋め、新しいバッジを入手したところでノイズとのバトル。クボウの廃棄とどっちが早いかという速度でゾウノイズを蹴散らしたのでした。
最後はLOFT 6Fです。
余談ですがイベント期間終了後に渋谷に行ってみると、クボウが廃棄されていました。当然っちゃ当然なのですが、少しさみしいですね。
LOFTではウヅキが待ち構えていました。
個人的な話になってしまうのですが、旧作から新作にかけて一番良い成長をしたなあと思うのがウヅキです。
上昇志向の塊だった彼女は、努力を重ね渋谷死神の中でも高い地位となり、スーツの似合う素敵な女性になりました。シイバ率いる新宿死神たちに渋谷をいいようにされてしまいましたが、新宿には天使もいたわけですからこれはどうしようもなかったことでしょう。むしろ、よくぞここまで渋谷を守っていたものです。
物語の終盤、渋谷がピンチだと知ったウヅキは立場をかなぐり捨てて渋谷を守るために奔走します。参加者と協力してでも渋谷を守ろうとする、その清濁併せ呑む姿に、彼女の成長を感じずにはいられませんでした。
かと思えば、ラストシーンでカリヤとラーメンに行くやり取りには変わらないものもあり、それが一層魅力を際立たせていたように思います。
そんなウヅキからはお使いのミッションが言い渡されます。
これは実際にLOFTの各売り場に隠されているモノを探し出し、そのQRコードを読み込むことで進めていくことができます。どうやら必要なモノは人によって違うらしく、11個の中からランダムに選ばれた6個が表示されているようです(幻の12個目のアイテムもあるとか)。
密にならないように配慮されたものらしいですが、うまく対処したものです。実はこれまで倒してきたノイズも色分けされており、赤・青・黄の中から振り分けられたノイズのQRコードを読み込んでいました。もちろん、これも密対策です。
目当てのモノは関連する売り場に目立つように置かれているものもあれば、自然と馴染むように置かれているものもあり、モノによっては結構手こずります。
特に僕は探しものが苦手なので、ぬいぐるみがない、ない、と言いながら同じところをぐるぐると何回も回るハメになってしまったのでした(別に隠されているわけでもなく、めちゃくちゃ普通に置いてあった)。
そうやって苦労しながらもなんとかウヅキのお使いを済まし、新たなバッジを入手しました。
もう大体わかっていると思いますが、新たな力によりペンギンノイズは一瞬で塵と化したのでした。
MODI、LOFT、MAGNETのノイズを3体とも倒すと、ラストミッションの通知が来ます。これを始めてしまうと他のミッションが受けられなくなってしまうため、やり残しがある場合はこの段階で済ませておきましょう。
メインストーリーである3体のノイズ討伐の他に、渋谷のどこかに潜むあるノイズを討伐するEXミッションが存在しています。
EXミッションの情報は各地にいるキャラクターPOPや街中のシンボルから集めることができるので、FIELD WALK RPGを満喫したい方はぜひ集めるようにすることをオススメします。
商業施設内にしれっとキャラクターPOPが設置されており、なかなか目を引きます。こうやって各キャラクターから情報を集めたり、時にはハチ公像なんかをスキャンすることで、EXミッションのヒントや小話を聞くことができます。
なかには単なるスキャンだけで終わらず、スキャンによって手に入れた死神のメモを元にさらなる情報を得るためのミッションが始まることもあります(ネタバレ防止の為ラスト2つを削除)。
目的地に着いて、さあ終わり!次の施設へ!で終わらせることをせず、こうやって遊び心を取り入れながら施設内を巡らせる取り組みは、一見煩わしく思えますが、実際に参加してみると今まで知らなかったお店を見つけることができたりして結構楽しいものです。
街歩きを楽しみながら、その街の新たな魅力を知っていく。聖地巡礼と地域振興を両立させるために、FIELD WALK RPGはかなり有効な施策なのではないでしょうか。
そうやって楽しんでいるうちにEXミッションの情報も集まり、最難関と銘打たれたノイズ討伐が完了です。
これでもうやり残したことはないので、ラストミッションを攻略しに宮下パークへと向かいます。
宮下パークへ到着。
別日に撮った写真なので晴れ渡る青空が広がっていますが、実際はもう夕方のいい時間なので結構暗くなっていました。リスタートを使ったとかそういうわけではありません。
あまり遅くなってもあれなので、急いで参加者バッジを探します。
10年前はこんな立派な建物はなく、宮下公園という名のほぼ通路じゃないの?って感じの細長い公園でした。
ゲーム内の描写も旧作の方は通路みたいなマップになっていましたね。この10年で一番変わったところかもしれません。
なんかこのまま見つけられないんじゃないか?ってくらい彷徨うハメになったのですが、なんとか見つけることができ、ラストミッション開始です。
イベントの中でこのQRコードを見つけるのが一番難しかったと思うのですが、他の参加者の方はあっさり見つけることが出来ているのでしょうか。少し気になります。
宮下パークはラストミッションにふさわしく、施設内にいる3体のノイズをすべて討伐しなければなりません。情報をくれるのもカリヤ、カノン、ウヅキ、と皆勢揃いです。
彼らから得られる情報を元に、これまでのMODI、LOFT、MAGNETで手に入れてきたバッジを駆使し、弱点を突いてノイズを蹴散らしていきます。ノイズもパワーアップしており、作中でもボスとして登場した恐竜ノイズ、フグノイズ、サソリノイズの3体を相手取ることになります。
ここからは今までの戦闘とは異なり、バッジの使用順も重要となってくるので、綿密な情報収集が必要です。
ぶっちゃけてしまうとこのあたりはゲームにのめり込みすぎて全然スクショが撮れていません。なんとか雰囲気が伝わっていることを願います。
3体のノイズを倒して終わりかと思っていたのですが、嬉しいことになんとまだ続きが。本当にユーザーを楽しませてくれるイベントです。
今度こそ本当のラスボス戦ということで気合が入ります。
ラスボス戦では再度の情報収集が必要となるため、カリヤ、カノン、ウヅキらからまた話を聞いてみます。それにしても情報をくれる3人のうち、2人が死神って…。
最後はツイスターズみんなの力を合わせる熱い展開で、不覚にもぐっとこみ上げてくるものがありました。
今日一日リンドウたちと共に渋谷の街を練り歩いてきた僕には、これまでの没入感も相まって、もう完全にツイスターズの一員としての自覚が芽生えており、まるで本当に彼らと共に戦っているかのようでした。
ということでゲームクリア。
11時からゲームを開始していたので、約6時間ゲームを楽しんでいたことになります。途中休憩を挟んでたとはいえ、これは街歩きイベントとしてはかなりのボリュームなのではないでしょうか。
メインシナリオをクリアするだけなら2時間程度で終わるらしいのですが、正直それだけで終わるはずがないと断言できます。EXミッションも気になるし、そもそも街歩きの最中に気になるところが出てくるので絶対に寄り道をしてしまうからです。
しかもこれで完全クリアではないですからね。EXミッションはクリアすることが出来ましたが、各施設で条件を満たしたときにもらえる「限定ノベルティカード」集めが残っています。
プレイの合間にちょいちょい集めてはいたのですが、全14枚もあるカードを集めるには圧倒的に時間が足りず、こちらは後日にまわす事になってしまいました。
というわけで、アナザーデイ。
カード集めが目的ではありますが、どちらかといえばこの日の目的は「ゲームで見た、あの渋谷を歩く」ことにあります。
というわけでカード集めにはあまり触れず、舞台探訪としての渋谷散策を主軸とします。
「104ビル前」からスタートです。
新作ではマップが3Dになったこともあり、旧作ではいけなかった「あの建物の裏側」に行けるようになっていたのが地味に嬉しいポイントでした。
ここなんて、思わずジャンプしたくなります。
そのまま道玄坂を上っていきます。自分は今、ゲームの舞台と同じ場所を歩いているのだと思うと、妙に気持ちが昂ぶってきます。
昂ぶった気持ちのまま、ひとまずO-EAST方面へ目指します。
作中では「酔いどれ百軒街」となっていましたが、実際には「しぶや百軒店」なんですね。
こういうゲームとリアルのちょっとした差を見つけるのも、舞台探訪の醍醐味です。
10年前の道玄坂はこんな感じでした。
なんの変哲もなく、道玄坂だと教えてもらわなければ何もわからないレベルです。10年前の僕にアドバイスできるなら、もっと目印を入れて写真を撮りなさいと言ってあげたいです。
道玄坂を上り、路地に入っていくとお目当てのO-EASTが。
正式には「TSUTAYA O-EAST」なんですね。と思って「O-EAST」でぐぐってみたらそこには「Spotify O-EAST」の文字が。もはや何が真実なのか分かりません。
この辺はがっつりラブホ街なので、カメラ片手にあちこち写真を撮りまくってる間、なんかすげー気まずかったです。
10年前の看板は「Shibuya O-EAST」でした。
通りを挟んだ向かいには「O-WEST」があります。2012年にはO-WESTで「すばらしきこのせかい」のライブが実際に行われており、大変な盛り上がりをみせたようです。
僕も行きたかったのですが、なぜか日程がド平日だったため見送ったという悲しい過去があります。それ以来一度もライブイベントは企画されていません。またやってくれねえかなあ。今なら何が何でも行くのに。
ゲーム内では「O-EAST」からは「104」に戻るルートしかありませんが(旧作だと「A-EAST」→「渋急」→「104」)、実際にはこのまま「千鳥足会館」まで抜けていくことが出来ます。
この角度からカメラを構えてみましたが、残念ながら女の子は見えませんでした。
10年前も写真を撮っていたのですが、なんかピンポイントでちとせ会館を撮ったものしかありませんでした。
10年前の僕には引きの絵で撮るということも教えてあげなければならないようです。
そしてとうとう、聖地の中の聖地とも言うべき宇田川町へ。
ファンにとってこの場所は、本当に色んな意味をもった特別な場所だと思います。間違いなく物語のキーを握る場所です。
10年の間に柵の塗り直しや階段の整備なんかがあったようですね。
全体的に小綺麗になっている印象です。勝手なことを言わせてもらうと、宇田川町には雑多なイメージがあるので、ちょっと汚れていたほうが魅力的だと思います。
楽しみにしていた壁グラですが、なんと綺麗サッパリ塗りつぶされていました。もうここには何もありません。
落書き禁止のポスターが哀愁を誘います。
去年はまだグラフィティがあったはずですが、一体いつの間に…。
10年前はこんなにも魅力的なグラフィティで溢れていました。
僕はこの場所が好きで、何かの用事で東京に来ることがあれば毎回のように足を運び、この変化していく絵を眺めて帰っていました。
時間があくたびに誰かが元の絵を上描きするように新しい絵を付け加えており、来るたびに違った顔をみせてくれるこの壁は、まさに人の意志がぶつかり合い、変化を続ける渋谷を象徴する存在だったと思います。
特に好きだったのが、手前に写っている落ち行く世界を描いたグラフィティでした。問答無用で世界観を提示してくるこの絵に惹かれたものでしたが、晩年は上描きされまくってほぼ原型をとどめていない状態になっており、更にはトドメとばかりにすべてのグラフィティが消されてしまったのでもう見る術はありません。
悲しいことではありますが、これもなにかの始まりなのだと思うとワクワクしている自分もいます。人の思いが絶えることはありませんから、ここでまた何か新しいことが始まるのでしょう。
そのままPARCO方面に抜けていくと見慣れた光景が。
幽川舎とのバトルを思い出させてくれますね。
奥の階段を上っていくと、作中と全く同じつくりの空間が広がっていたので驚かされました。本当に街の再現度が高いゲームです。
渋谷パルコは2019年にリニューアルされたばかりで、建物全体がキレイで新しいです。
シリーズを通して街の移ろいを感じられるのも、本作の魅力の一つですね。
旧作では「モルコ前」として登場していました。
マブスラの大会が開かれていたこの場所ですが、それなりの広さがあるため、当時も何かしらの催し物が開かれていたようです。
書いていて気がついたのですが、この看板の「C」ってアレですね。全ミッションをやった方なら分かると思います。
今日ではめっきり見なくなってしまった電話ボックスですが、ありがたいことにここではまだ健在です。
新作でもしっかりと存在をアピールしてくれたこの電話ボックスは、地味ながらもシリーズを通して重要な場所であるように思います。
10年前から変わらずそこにある…、と思っていたのですが、よく見ると土台の形が全然違いますし、パルコとの距離感もおかしいです。
移動したのか、はたまた実はこの通りには電話ボックスが2つあるのか、次に渋谷に行くときに確認せねば…。
パルコからセンター街へ抜けようとすると、スペイン坂を通ることになります。
通るたびに「いったいどこにスペイン要素が…?」と思っていたのですが、どうやら「スペイン坂」という名前は、昭和50年に「阿羅比花(あらびか)」という店の店主が付けたのが始まりのようです。以降は周辺住民も建物を南欧風にするなどして協力していたとか。
言われてみれば、この通りは他の通りとは違った雰囲気を醸し出しており、細部に目を凝らすと異国感のある箇所なんかも残っています。スペイン料理の店もありますしね。
10年前からお店の入れ替わりはあるものの、通りの雰囲気は変わっていないように思えます。
現在と10年前の写真両方に映っている「スペイン料理 びいどろ」がめちゃくちゃ気になってきたので今度行ってみようと思います。
こうやって気になるところがどんどん増えていく。改めてFIELD WALK RPGはすばらしいイベントでした。
センター街へ。
何年か前に「バスケットボールストリート」として改名されていた気がしますが、結局浸透することはなく、未だに「センター街」の方が支配的ですね。
10年前も賑わっていました。
何かがある!というような場所ではありませんが、多種多様な店にあふれており、買い物するには便利な場所です。なんとなくブラブラしたくなる空気が出ていますね。
そのまま駅まで戻ってハチ公を見に来ました。
FIELD WALK RPGではこいつもスキャン対象だというのですから驚きです。
10年前から変わらず鎮座しております。
ハチ公自身は変わりありませんが、周辺の景色は随分と変化しました。
喫煙所は閉鎖され、東急5000系電車「青ガエル」も移設されました。街が新しくなっていくのはワクワクさせてくれることではありますが、一方で少しさびしいものもあります。
旧作では来られなかった、駅の東側にも新作からは来られるようになりました。ヒカリエ前です。
新作では今まで行けなかった場所に行けるようになる!というのは、ありきたりかもしれませんがテンションが上ってしまうものですね。
旧作発売時点では、ここにあったのは無骨でボロくなった歩道橋でしたが、この10年できれいに整備され首都高下歩道橋として少し洒落た、円環状の歩道橋として生まれ変わっていました。
ここでリョウジは店を出していたわけですが、写真奥には渋谷警察署が鎮座しており、こんなところで露店なんてやってたら一瞬で警察官が駆けつけてきそうです。なかなか大胆なやつですね。
間違い探しやりましたねえ。
ここではススキチと戦ったり、アナザーデイの"ヤツ"と戦ったりと中々イベントが多い場所です。
どうやら今は渋谷地区浄化対策推進中のようです。
浄化されないよう、価値のある渋谷にしていかなければ。
歩道橋は渋谷ストリームに直結しており、そのままストリームに入ることが出来ます。
個人的には、ストリーム内にある「TORQUE TABLE」のノベルティカード回収が一番難易度が高いと思います。まず店の場所がめちゃくちゃわかりにくいし、店自体から漂う上品なオーラに圧し潰されそうになったからです。
それでも「どうせ店員も他の客も僕に興味などない」と、世界の真理を思い出すことでどうにかカードを回収することが出来ました。こういうところは自分でも褒めてあげたいと思います。
ストリーム周辺は暗渠となった渋谷川が見られるスポットでもあり、旧作・新作ともに重要な意味を持つ場所となっていました。
オシャレスポットの一角を担うためか、川べりにはライトアップのためと思われる電球がいっぱいぶら下がっていました。
10年前は干上がりそうな汚えドブ川でした。
こうしてみると再開発で随分とキレイになったものです。まあこちらのほうが人が寄り付かず、神秘的と言えなくもないですが…。
渋谷駅ガード下をくぐり、駅へと戻ります。
新作では出番のない場所でしたが、旧作では渋谷川へと繋がる場所として登場しています。
ただのガード下なので10年の比較もあまり意味はありません。
左の柱に描かれている落書きが、この場所の変わらなさを物語っています。
ガード下を抜けると西口バスターミナルに到着。
一見広く見えるが、実際に移動できる範囲は細長くて小さいという印象は旧作でも新作でも変わりません。
この場所も10年間あまり変わっていないように見えますが、奥に見える東急百貨店東横店が昨年閉館し、現在工事中となっております。
跡地にはスクランブルスクエアの2期棟が建設予定となっており、また新しい渋谷を見せてくれそうです。
そのまま駅を飛び越え、タワレコまでやってきました。
こうやって一日渋谷を歩いてみると、渋谷は小さい町だと実感します。もちろん、僕が巡った箇所は偏っているので、これだけで渋谷を論じるには早計ですが、それでも主要な施設は小さなエリアに密集しているなという印象です。
そしてその小さなエリアに人もまた密集することが、渋谷という雑多で混沌とした、魅力のある街を作り上げていっているのでしょう。
10年前からは看板のデザインが変わっていました。
この場所はビイトとライムにとってはただただ悪夢の場所という感じですが、そんなビイトとライムの元気な姿を見られたのも、新作の魅力の一つだったのではと思います。
宮下公園自体がきれいになった、というか生まれ変わったというレベルで変化したため、宮下公園ガード下もきれいになっていました。
なんか壁一面にグラフィティが施されています。
旧作では登場していたこの場所ですが、新作では出番がなく、ここからキャットストリートまで直通で行けるようになっています。
10年前は何も描かれていない、本当にただのガード下でした。
渋谷はあちこちに落書きのようなグラフィティに溢れていることを思うと、感動的なまでに何もありません。
キャットストリートまでやってきました。
10年前からキャットストリートとしてあったのでしょうが、なぜか10年前の僕はここを見つけることが出来なかったため、今回が初探訪となります。この分かれ道を見たときは痺れたね。
キャットストリートは元々、渋谷川遊歩道として暗渠化された渋谷川の上に整備されたものです。
作中でも特別な意味を持つ渋谷川、その上に作られた遊歩道に羽狛さんが店を構えていたことを思うと、色々妄想が膨らみますね。
旧作ではここがマップの終端でしたが、新作ではここから更に原宿まで抜けていけるようになっています。やはり新エリアはテンション上りますね。
原宿までの道すがら、東急プラザが見られます。
その奇っ怪さに、ゲームの中にしか存在していないオリジナルの建物ではないかと半信半疑でしたが、実際に目の辺りにするとやはり奇っ怪で、どこか現実離れしたものを感じさせてくれます。
こういうアンバランスさが、現実とゲームの境界を曖昧にさせてくれるのかもしれません。
というわけで、竹下通りを抜けて原宿に到着です。
渋谷はどこも見どころたっぷりで、すっかり暗くなってしまいました。今日一日ずっと感じていたことですが、やはりこのゲームはマップの再現度が非常に高い。
この写真一枚をとっても、ここがあのミッションに出てきたところで、あれがキーとなっていた場所だ!と作中の思い出がスッと浮かんできます。
そしてそのゲームと現実の境界をFIELD WALK RPGが繋いでくれたのです。
ゲームと同じ場所に自販機があるというのも、小さいことではありますが重要なことです。こういった細かい点を積み重ねたところに、ゲームと現実を結びつける没入感が生まれるのでしょう。
おまけ
渋谷スクランブルスクエアからはにゃんタンやツグミと戦った、東急東横の屋上が見えます(工事中でした)。
これにて、アナザーデイ終了です。
FIELD WALK RPGを通じて、単なる聖地巡礼では見つけられなかったであろう渋谷をたくさん見つけることができました。
このイベントのすごいところは、作品内に出てきたスポットを巡るだけで終わらせず、ゲーム世界と現実世界とうまくリンクさせながら、あちこち回るようにすることで、現実世界の渋谷の魅力にも気付くことができるところです。
イベント内容自体が作品愛に溢れているのはもちろんで、そもそもまずゲーム開始前に専用アプリをダウンロードする時点で一発キメられてしまいます。なぜなら、あのRNSのアイコンが自分のスマホに表示されるようになるからです。
ここからすでにゲームが始まるのです。
その後は現実の渋谷で待ち受けるミッションの数々、ファンがこれにやられないはずがありません。しかもそのミッションは、単なる数合わせの焼き増しではなく、一つ一つが違ったアプローチでゲームの様な世界を現実にもってきてくれる。これ以上の体験があるでしょうか。
ボリュームに対するバランス感覚も絶妙でした。
サクッと楽しみたい人はメインミッションだけ進めれば良し、どっぷりとのめり込みたい人はノベルティカード集めも兼ねてEXミッション攻略に勤しむも良し。
それぞれにあったプレイスタイルが選べ、そのどれもがメインミッションの達成感、没入感を味わうことができる。一つのルートしか選ばせてくれない他のイベントも見習ってほしいところです。
もう一つ特筆するべきは運営の姿勢です。
社会情勢に配慮してWEB版の公開を決めてくれたことを中心に、とてもファンに寄り添った運営姿勢を貫いてくれていたと感じています。
公式アカウントを見ろ!それで全て伝わるから!という感じではあるのですが、それでもあえて説明させていただくと、細やかな情報発信により参加者を盛り上げてくれていましたと思います。
またハッシュタグ(#LIW)をよく拾ってくれるために他の参加者の感想や楽しみ方がよく見え、自分以外の視点を通じた渋谷を見せてくれました。
イベント終了とともにこの運営もなくなってしまうことが残念でなりません。
間違いなく、ファン交流のきっかけにもなっていた運営でした。
なんだか褒めてばかりになってしまいましたね。
正直こういったレポでは良い点ばかりを褒めるのではなく、悪い点をしっかりと指摘しなければフェアではないと考えているのですが、そう考えていてもなお、良い点ばかりしか浮かんでこないのです。
これは僕が「すばらしきこのせかい」の盲目的な信者だからというわけではなく(なぜならアニメの方はボロクソに扱き下ろしているから)、純粋にこのイベントから感じるエネルギーが凄まじかったからだと思います。
強いて悪い点をあげるとすれば、ゲーム終了後にストーリーの読み直しが出来ないこと(アーカイブ機能が欲しかった)、せっかくなので原宿方面でもミッションが欲しかったこと、くらいでしょうか。
どちらもないものねだりでしかありませんが、本当にこれくらいしか浮かんでこないのです。
如何にすばらしいイベントだったのか、僕の拙い文章で少しでも伝わっていると嬉しいですのですが。
これからの聖地巡礼・舞台探訪の企画はすべてこれを模範とすべき、むしろFIELD WALK RPGのスタイルがスタンダードとなるべきなのでは?強くそう感じさせてくれるイベントでした。
改めて。
本当に、本当にすばらしいイベントをありがとうございました!
FIELD WALK RPGのおかげで発見できた、新たな魅力をみせてくれた渋谷を、ネクやリンドウたちが守ってくれた渋谷を、これからもっともっと楽しみたいと思います。
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