多様性を推進するプロジェクト『パラちゃんねる』~歪む人材業界と目指すべき姿~
みなさん、こんにちは!!管理人の中塚翔大です。
2020年4月にスタートした多様性を推進するプロジェクト『パラちゃんねる』は、2021年2月16日にコラムサイトをOPENしました。
これまで第一弾のラジオ、第二弾のコラムサイトを運営しており、2022年1月には第三弾となる求人サイトをOPENします!
私たちは、多様性を推進するプロジェクト『パラちゃんねる』を通じて『誰もが特性を活かせる、多様な選択肢のある社会』の推進を目指します。
社会的弱者とは?
~社会課題に目が向くきっかけとなった新卒時代~
新卒入社した頃、私は大きな希望を胸に抱き、人材派遣会社に足を踏み入れました。そして未熟ながらも、新人研修で「社長になる」と公言するほどの熱意を持っていました。しかしその直後、リーマンショックによる景気の急降下が起きたのです。
リーマンショックとはアメリカの住宅バブル崩壊をきっかけに起きた金融危機のこと。リーマン・ブラザーズは、負債総額約6000億ドル(約64兆円)というアメリカ合衆国の歴史上、最大の企業倒産となりました。
相次ぐ派遣切り、受注の極端な減少。
私の希望と熱意は絶望に変わりました。
人材派遣のメリットは、いつでも自由に人材を増減できること。恒常的な⇒に人件費を削減したいときや、季節で商品の生産量が大きく変化するときに活躍するのが派遣という形態です。
しかし、この形態ゆえのデメリットもあります。不景気の兆候が見え始めると、各所で派遣契約の終了が相次ぎ、特に2008年のリーマンショックではそれが顕著でした。年末年始には生活が困窮する方々に向けて「派遣村」が開設され、炊き出しが行われるという状態でした。
新卒1年目の私も影響を受け、飛び込み営業を続けること1561件でやっと1本目の成約でした。私が欲しかったものは知識や解決策でしたが、社会は努力と根性を求めているような気がしました。「頑張ればできる」という姿勢しか許されず、ただ社会の波から落ちないように、がむしゃらに仕事をこなすことしかできず、結果も出ませんでした。
入社してから4ヶ月の月日が経ち、それでも成果の出ない私は、先輩の担当する企業を引き継ぐことになりました。しかし先輩も不景気の中で売り上げを失いたくないため、引き継がれた企業は軒なみ派遣契約終了間際の状態でした。
派遣契約の終了とは、つまり期間満了ということです。実質、解雇とは異なりますが、契約を打ち切られた側にとってはクビ以外の何ものでもなかったのです。
当時の私は何もできず無力でした。
何もできないし、誰のことも救えない。
自分のことすら救えないのです。
そして、「社長になるぞ!」と公言していただけに、毎日過度なプレッシャーを感じていました。いつの間にか不眠症になり、営業に行かず こっそり、小さなカフェで泥のように眠り、また夜は緊張して眠れません。この悪循環でずっと成果は出ず、ストレスはピークとなり、朝起きると枕にたくさんの髪が抜け落ち、気付くと涙や冷や汗が出るようになっていきました。当時は何故か病院に行くという発想がなく、一生懸命ながらもぼんやりとした矛盾を抱えた毎日を過ごしました。今思えば自律神経失調症やうつ病 だったのかもしれないと感じています。
そんな中、ぼんやりした頭で、ふと派遣先の職場を見渡すと、発達障害の特性を隠している方々がいることに気づきました。そして会社に隠れて心療内科に通う方も。みんながみんな、何かをひた隠しにして能力を活かせていない場面を目にしました。
「隠しごとなく、生き生きと働ける社会にしないとダメなんだろうな...」と思いながらも、
無力感と絶望に勝てず、ただ自分の心身に起きる異変に耐えるしかありませんでした。
社会には個人の思いや努力とは関係なく、抗うことのできない大きな力が存在しているのかもしれないと感じました。
そして社会的弱者とは個々人のことを指しているのでなく、結果的に環境から作り出されたカテゴリーなのだと思いました。
誰もが時と場合、つまり「環境」によって「社会的弱者」とカテゴライズされる可能性がある。
だから働く「環境」が何よりも重要ということを痛感したのです。
また、才能と社会適合はある意味、相反するもので、才能があればあるほど社会適合とは遠い状態になる可能性もあります。
私はもともと、バランスをとって生きる人間でした。一点突破はできないし、秀でた才能があるのかと聞かれたら、答えはノーです。
でも、この持ち前のバランスを取る性格で、環境を作ることはできます。
一点突破した方も、発達の特性が強い方も、過去の私のように生きづらさが大きくなってしまった人も、誰もが生き生きと働ける社会にしていけることを強く願い、私は障害者雇用に焦点を当てて、行動し始めました。
人材業界は時代遅れ?
~まずは障害者雇用の領域を時代に乗せたい~
私が「働きやすい環境」について考えたとき、まず浮かんだのは「障害者雇用」でした。
まずは障害者領域でビジネスモデルを確立しようと決心し、会社を辞めて独立しました。
10年以上の人材業界経験で感じた強烈な違和感があり、それは「人材業界のサービスは時代遅れではないか」ということです。
私が新卒入社したのは2008年。このときの就活も、現代の2020年の就活も、使うツールの違いはあれど、作業は全く同じではないかと。
同様に中途の転職市場においても、求人サービスと人材紹介サービスの2本立てが継続し、求人サービスは求職者へ積極的にアピールしようと思えば、簡単に100万、200万という額が飛びます。
人材紹介サービスは成功報酬ですが、紹介料は100万円以上が当たり前です。さらに少子高齢化の進行により人材の価値が上がり、値上げする傾向にあります。しかしながら日本の転職回数は年々増加しており、転職リスクや度重なる紹介料は採用する企業が負うことになります。
結果的に多くの資金を投下できる企業だけが求職者の目に多く表示され、企業の受入れ体制や評判などは関係なく採用活動の機会が提供されています。つまり、お金をかけただけ有利ということです。
お金によるマッチング構造のため、企業や求職者の性質をより深く知る機会がなく、入社後の早期退職を助長する構図も生まれています。
一方で求職者も採用コストに見合う人材のみが選定される結果となり、一定の学歴、年齢、職歴数やスキル、資格などの目に見える数値を満たした人材のみの上積みをマッチングするだけの雇用が繰り返されています。
お金や表面的なスペックがなければ、選択肢がない構図は明らかにおかしいと私は感じております。
採用とは、人と企業のマッチングであり、「出会い」という観点からお見合いと表現されるケースが多いですが、ところで現在の婚活サイトなどは月数千円で活用でき、趣味や仕事などの共通点をもとに自由な出会いが創出されています。
私は、人材業界もこのように安価に、より本質を追求した形態にすべきでは、と考えています。
人材業界の起源を辿ると、新聞広告などの紙媒体であり、インターネットの無い時代には隣町ですら求人を届けることが困難でした。しかし2000年代にはインターネットの振興、2008年にはFacebookやTwitterなどSNSの登場、次いで2020年以降はInstagram、Tiktok、そして、clubhouseと、SNSが当たり前に活用される時代に突入しています。
つまり従来の広告媒体を通すことが必須の時代とは異なり、企業と個人を直接繋ぐツールが日本全体を網羅したことになります。
企業と個人が直接繋がる確率が上がるということは、マッチングコストが下がるため、婚活サイトと同様で安価な費用で運営ができるはずなのでは?と日に日に強く思うようになりました。
果たして費用を下げられない理由はどこにあるのか?
稼ぐためのビジネスモデルを意図的に変えていないのではないか?
私の会社は、握れば一瞬で潰れるほどの小さな企業ですし、挑戦する上で怖いものは何もありません。
安価な費用で一つのビジネスモデルが成り立てば、就職・転職市場はより活性化されるはずです。
このモデルが広まれば、その分削減された費用を研修や給与などの人材定着へ活用でき、転職リスクが上がる傾向を止められるのではないでしょうか。
この構想を実践するために作られた求人サイトが、障害者雇用に特化した『パラちゃんねる』です。
『パラちゃんねる』プロジェクトが目指す社会とは?
『パラちゃんねる』が目指す社会は、『誰もが特性を活かせる、多様な選択肢がある社会』です。
近年、バリアフリーの導入が進み、多様性の推進と共に共生社会の実現が近づいてきました。
しかし物理的なバリアフリー環境が整う一方で、精神的な心のバリアフリーは未だに進んでないようにも感じます。
現在、障害者雇用における課題は3つあると考えています。
1)法定雇用率に囚われた採用が継続されている。
2)障害種別問わず、積極的に採用活動できる場所が存在していない。
3)職場内での多様性の推進が実施されていない。
1つ目に関しては、障害者雇用における納付金制度や社名公表など企業の方針とは関係なく、企業規模によって社会的圧力が生じ、雇用義務が課せられてしまう点です。
法定雇用率による障害者雇用の促進は動力源としては大切な位置づけとなります。しかしこの雇用に取り組む全ての企業が重要性を認識し、前向きに社内整備しているわけではなく、結果的に入社後にギャップが生まれたり、心無い言動や対応が多く見受けられ、早期離職に発展するケースも散見されています。
2つ目は、前述した通り、人材業界の仕組みが本質的な採用活動を阻害している点です。資金力のある企業と可視化できるスペックが揃う人材の、上積みだけのマッチングに終始されており、採用資金の少ない中小企業、A型・B型事業所、社団法人やNPO法人など、意欲的な企業と人とのマッチング機会がごくわずかに限られています。
また、積極的な採用活動の阻害要因として、無知のレッテルも存在しています。例えば、視覚障害の方はPCが使えない、面接に来るまでに事故の危険がある、精神障害の方はトラブル因子になる、身体障害の方は、環境がバリアフリーではないから採用できないなど、勝手なイメージが先行し、書類選考で不合格となり面接まで辿り着かないという実態もあります。実際に働いている人たちと接すると、偏見が世の中に溢れていることを実感するでしょう。無知は、とても怖いものです。
3つ目は、障害者雇用に携わる人事やごく一部の部署以外では、まだ精神的な面での受入れ体制がすごく少ないということです。
日本の義務教育下における体制は、普通学校と特別支援学校のように障害者と健常者という2つのカテゴリーに分ける構図になりがちで、社会に出てからは急に共生を求められるようになります。その際のリスクとして、知識や経験値がない場合、参考書に記載されている特性や対応方法を頼りに障害の定義付けが始まり、一括りにしてレッテルを貼り、一方だけが満足してしまう場合があります。結果として偏見や差別へ繋がり、スムーズな人間関係の構築に支障をきたしているのではないでしょうか。
私たちは、障害者雇用に関する課題は、社会の仕組みがもたらす課題だと考えており、これらを解決する施策として、まず3つのサイトを運営します。
まずは『知る』を増やす活動として耳で聞くラジオ『パラちゃんねる』と目で見るコラムサイト『パラちゃんねるカフェ』を、そして『自由な出会い』を増やす求人サイト『パラちゃんねる』をオープンします。
【第一弾】耳で聞くラジオ『パラちゃんねる』とは?
2020年4月から始まったラジオ番組『パラちゃんねる』は、障害者雇用を促進する企業や就労移行支援事業所、就労継続A型・B型事業所、パラアスリートなど障害・福祉関連に携わるゲストを招いて名古屋MID-FMから情報を発信していきます。
ラジオ番組『パラちゃんねる』の特徴は3つです。
1)障害・福祉の関連情報を分かりやすく発信
2)出演料無料、ゲストが自由に情報を発信
3)Youtube(動画)・Podcast(音声)でも配信
近年は、何をするにしてもお金のかかる時代。
身近で良い取り組み、活動をしているにもかかわらず、資金がなくて情報を拡散できない、知ってもらえない場面も多くあると感じています。
この番組では、多様性の推進や共生社会の実現に向け、尽力する企業や個人を応援しています。情報が社会に溢れることで、小さな気づきや興味に繋がり、新たな一歩が踏み出すきっかけ作りになればと考えています。
2021年9月よりリニューアル。
Twitterのスペース機能を使った公開収録を始め、リスナー参加型の番組を目指して活動の幅を広げていきます。
【第二弾】目で見るコラムサイト『パラちゃんねるカフェ』とは?
2021年2月16日から始まったコラムサイト『パラちゃんねるカフェ』は、『働く×障害』をテーマに障害のある当事者と障害者雇用を促進する企業の双方からコラムを配信していきます。
コラムサイト『パラちゃんねるカフェ』の特徴は3つです。
1)『働く×障害』をテーマにコラムを配信
2)障害種別問わず、様々な当事者が綺麗事では語れない「生の声」を発信
3)障害者雇用を促進する企業も「生の声」を配信
現在、障害についてメディアで特集される頻度も増え、ネットでの情報や書籍が街に溢れています。『多様性』への認知は徐々に進んでいると言えます。しかし、一方で納得感や安心感を得るために正解を見つけようとする障害の定義付け(ラベリング)が散見されています。カテゴリーではなく、個々で向き合ってこその多様性なので、ラベリングが危険な場合もあります。
「大人の発達障害」や「HSP」など簡易的な診断キットが流行り、芸能人の発信や職場のカミングアウトが増加し、予測や思い込みの下で本当に『生きづらさ』を抱えた人たちが蔑ろにされている現実もあります。
定義付けされることで、旧来からの「障害者=可哀そうな人」「障害者=けなげに頑張る人」などと同様に表面を捉えて「健常者を善」としたラベリングが始まり、個々の中身に焦点が当たることはあり得ません。
善悪や上下に2分化する関係ではなく、全てが異なる人として向き合う姿勢が必要です。
どちらが優れているか、正しいのか、という問題ではありません。
多くの方々が既に気付いていると思いますが、社会が作り上げた奇麗な虚像により差別や偏見を受け苦しんでいる方々もいます。
障害種別や度合いが違えば特性は異なるし、障害は1つだけとは限らない。二次障害の有無でも大きく特性は異なります。
性格や生育環境にもよりますし、努力する人もいれば、しない人もいる。
性格が優しい人もいれば、意地悪な人もいますし、この世に生きている人は全て違うのです。
一方で、受け入れ企業に関しましても、法律や報道に苦しめられる場面が存在しています。
法律を適切に理解できていない中で、一方的に許容を超えた合理的配慮を求める求職者や障害を盾に度を超えた訴えを起こす方など、互いに働きやすい居場所を作りたいはずなのに、歩み寄りができず、一方通行の要求に終始してしまう。
当事者も、雇用を受け入れる担当者も、考え方や生き方はさまざまで、そのことを発信していく場が、このコラムサイトです。
確信に触れず表面的な知識だけ取得している状態での対応は、お互いに『生きやすさ』を生みません。
雇用される人と雇用する企業の双方のリアルな現場の声を発信することで、書籍や参考書だけを正としない個々の違いの深さを認識していくこと。そこで初めて日常のやり取りに寛容さが増すのではないでしょうか。
例えば、新社会人の方々は働く上での心構えや就労におけるトラブル事例や注意点、自分の特徴を話す方法に加え、周囲の反応や企業の困り事なども事前に知ることができます。
障害者雇用を促進する企業は、コラムを通して雇用の推進方法を知ることができ、知識が少なく不安を抱える現場のハードルを下げるきっかけ作りにもなり、面接や個別面談における配慮事項と注意点を知ることができます。
個に向き合って初めて生きやすさは作られていくため、障害の有無や老若男女問わず、全ての方々の思考、行動の一助になればと考えています。
■企業コラム
■障害のある当事者コラム
求人サイト『パラちゃんねる』とは?
障害者専門の求人サイト『パラちゃんねる』は、『自由な出会い』をテーマに障害者雇用を求める求職者と企業のマッチングの場を提供します。
求人サイト『パラちゃんねる』の特徴は3つです。
1)マイページの充実度、採用活動頻度の高さがアピールに繋がる
2)コラムを書くと人気記事は『パラちゃんねるカフェ』で掲載される
3)2023年12月まで求人掲載・スカウトメールなど完全無料
従来の求人サイトでは、求人企業は予算を上積みして多額のコストを投じられることが必要条件となり、求職者は学歴や職歴など目に見える一定のスペックを満たしていることが十分条件でした。
『誰もが特性を活かせる多様な選択肢がある社会』を実現するために必要なことは、企業の資金力や人材の可視化されたスペックではなく、採用活動に真剣に取り組むもの同士が自由に出会える場を提供することだと考えており、それこそがベストマッチングに繋がると信じています。
求人サイト『パラちゃんねる』では、求職者・企業側ともに個々のマイページの情報からマッチングの機会を提供します。それはログイン頻度や応募件数、スカウト件数などの就職・採用意欲などの活動状況から判断しています。
『オススメ人材・オススメ求人』としてお互いに相性の良い組み合わせを選定して表示回数を増やすことでより良い出会いを実現していきます。
また、求職者ページでは職歴数ではなく、アピールしたい職歴や求める働き方を予め提示していただきます。学歴や職歴以上に相性を意識したマッチングを重視しています。
2つ目の特徴は、障害者雇用を促進する企業が求人掲載をするときも、しないときも、コラムは掲載可能という点です。
従来の求人サイトでは、求職者は転職活動中しかサイトに訪問しないため、企業PRとしての効果は限られたものになっていました。しかし『パラちゃんねる』で書かれたコラム記事は内容次第で『パラちゃんねるカフェ』にも掲載されるため、企業のCSR活動の一環としても活用できるだけでなく、社内の取り組み等を、潜在的な求職者へ恒常的にアピールできます。
3つ目の特徴は、2023年12月まで障害者雇用の求人掲載、スカウトなど一切の利用料が無料という点です。(※求職者は全てのサービスを永続的に無料で活用できます。)
私たちは、コロナ禍においても障害者雇用を鈍化させることなく、より一層活性化させ続けるために完全無料での求人サイトの運営を決意しました。
また、2024年1月以降においても、システム利用料で月額5,000円~10,000円/1社の費用に留め、全ての企業が積極的に障害者雇用に取り組める環境を創出していきます。
最後に
日本初の取り組みとなる、多様性を推進するプロジェクト『パラちゃんねる』は、まだまだ完成しておらず、年月をかけ当事者と企業の生の声を集め、リニューアルを継続していきます。
『誰もが特性を活かせる、多様な選択肢がある社会』を目指し、利益にとらわれず私たち自身で1つ1つの仕組み作りができたとすれば、『生きづらさ』は減り、本当の意味での『多様性のある社会』が実現するのではないでしょうか。
ぜひ皆さんも一緒に、多様性を推進するプロジェクト『パラちゃんねる』に参加してください!よろしくお願いいたします。