真面目な君へ
おつかれ。
曲でも聴きながらゆっくり読んでくれ。
毎日真面目に頑張ってるよな。
ふざけたりなんかしないし、冗談もあんま言わないし、真剣に取り組んでるから肩もすげぇ〜凝るよな。
真面目に頑張ってる君だからこそ、ふざけてるのに評価されるアイツや、頑張ってないのに許されるソイツに、たまにイライラしちゃうよな。
で、さ。
たまに思っちゃうんだよな。
こんっ……………なに頑張ってるのになんで正当に評価されない！？
って。
いつもふざけてるアイツがやったミスや、何故か許されるソイツがやったミスは許されて、いつも頑張ってる自分が犯した小さなミスは、何故かものすげぇ〜叩かれる。
……いつも頑張ってんだからちょっとぐらい目ぇ潰ってくれてもいいのにな…。
って思うよな。
わかるぞ。
君の痛みはよくわかる。
君と似た真面目な人は大勢いる。
遅刻だってあんまりしないし、いつもの会話だって気を遣える立派な君のことを、無神経な奴らが偉そうに言ってくるんだよな。
……こっちが真面目に働いてやってるからオマエラが上手くいってるように見えるだけだぞ。
って、僕もよく思う。
そんな僕だから君の痛いところも知ってる。
君の、本当は不真面目なところも知ってる。
君の、本当はバレないようにこっそりサボってるところも知ってる。
君の、本当は冗談だって言いたいしふざけたいのに上手く出来ない、生きるのが下手なところもよく知ってる。
甘えたいよな。
ふざけたいよな。
もっと素直になりたいのに難しいよな。
役割に押し込められて息苦しくてたまらない。
気付けば周りのことなんて気にしてない奴だけが、伸び伸び幸せそうに生きてやがる。
くやしいよな。
ここから君らに伝えることは、変に聞こえるかも知れない。
でも僕は救われたから、君たちにも教えておく。
HIPHOPを聞いてみて。
真面目な僕らは、頭でっかちで色々うまくいかないことが多いからさ。
色んなことで躓くし、色んな人と上手くいかない。
ハッキリ言おう。
認めたくないけど、いつも底辺だ。
カンのいい君ならもう気付いただろうけど、もう少し話そう。
底辺の辛さが分かる君が出来る事は2つ。
苦しくても前を向いて歩き続けるか、
苦しくても別の道を選んで歩くか、
これしかない。
そう。
僕らには苦しい道しかない。
なんで歩き続けなければならないのかわからない。
しかし僕らは歩き続けるしかない。
真面目に、上向きに、人の邪魔をしないように、いつか認められるように。
なんでこんなに苦しいんだ？
僕だけの、僕の人生だぞ？
そう思えた君にピッタリなのが、意外とHIPHOPなんだよ。
聞いて来なかったかも知れないけど。
頭でっかちな僕なりに言わせてほしい。
彼らはすごい。
いつだって、上手くいってない。
いつだって、底辺だ。
金もない。
仕事もキツい。
酒と女を夢見ながら辛く生きてる。
腕がなければ認められる事もない。
認められても、真面目な層にはウケない。
そんな彼らが、いつかBIGになるために歌うんだ。
見合わない夢なのに、その夢を歌にする。
苦しいのに、その苦しさを歌にする。
見返したいその反骨心を歌にする。
誰よりも苦しい中で生まれた歌は、しかしその苦しみの中でギラギラと輝く命の強さを持っている。
毎日をルーティンのように過ごし、真面目に真面目に少しずつ命をすり減らしながらなんとか生きてる僕らに、あの命の強さが出せるだろうか？
アイツら、オーバーサイズの似たような服を着て、香水やら煙草で臭くて、なんだか暴力的でガラの悪い奴らだって思うかもしれない。
毎日同じ格好の制服やスーツを着崩さず、アクセサリーも付けずに髪も不快感を与えないように気を配る君とは、確かに対極にいるだろう。
でも彼らは夢を持っていて、誰よりも真面目に頑張ってる。
彼はずっと、底辺から歌ってきた。
金や、夢や、家族や友人との愛。
彼らは夢しか見ていない。
だから誰も彼らを止められない。
彼らは正直、バカだ。
だから誰も彼らを止められない。
彼らは底辺だ。
だから這い上がるために誰よりも頑張っている。
真面目な僕らは、どうだろうか？
夢なんて持っているだろうか？
金も無駄遣いしていないだろうか？
愛なんて、知っているだろうか？
彼らの生き方は美しい(彼らはカッコいいと言われたいかも知れないけど)。
僕には無い様々な美しさを持っている。
だから真面目な君よ。
HIPHOPを聞こう。
夢だけ見て底辺から這い上がる努力を続ける、誰よりもカッコいいバカがそこにいる。
そしてな。
HIPHOPを聴きながら歩くと、なんだかちょっとだけワルになった気がして、ちょっと楽しいぞ。
真面目な君よ、お試しあれ。
何を聞くか悩む君は、有名どころで悪いがAK-69を聞いてみてくれ。
THE CARTEL FROM STREETSは名盤だぞ。