【格安EDH】1万円EDH その9「至高の審判者、イスペリア/Isperia, Supreme Judge」(統率者・スターターデッキ改造編その4)
ほぼ書きかけて半年近くも放置していたせいで、機械兵団の行進やら指輪物語やらが新たに追加されたので、新規にデッキを作り直して書き直しました。控えめに言ってアホです。
毎回のことながら、空虚の半年間の言い訳タイムです。
まずはですね
家を買ってリフォームしました。中古とはいえ立派な一国一城の主や。これでカードの収納スペースが倍以上になったので、メルカリやヤフオクの胡散臭い詰め合わせ段ボールを買うのに躊躇がなくなりました。今のところ全敗です。
今年に入りチャンピオンズカップはパイオニアシーズンとなりました。
鹿児島のモルテンレインのメンバーも、かつてのモダンと同じような臭いのするパイオニアなら・・・と重い腰を上げてくれる人たちが多く、久しぶりにチーム遠征が楽しい半年間を過ごしています。
残念ながら僕個人の成績はからっきしでして、店舗予選は抜けてもエリア予選までは抜けれませんでした。
現在シーズン2のラウンド1のエリア予選中で、自分も最後のチャンスとなる8月19日の宮崎のエリア予選に向けて猛練習・・・は特にしていませんが、脳内トレーニングだけはしています。
なお使っているデッキはlotus comboです。需要がありそうならlotus comboの初心者向けの記事を書いてもいいな・・・と思いつつ、このような筆不精。確約なんぞ出来ませぬ。書き終わったら誉めてください。
近状報告終了!10000円EDH構築に戻ります。
前回から引き続き、全5回にわけて、スターター統率者デッキの10000円限定構築を行っていきます。久しぶりの四回目は飛行クリーチャー、大量ドロー、打ち消し、全体除去、攻撃制限などいかにも青白っぽい要素が沢山入っているけど、どうやって回せばいいのか漠然としていることで定評(?)のある『はじめての飛行』を改造していきます。
デッキ構築条件は次の通りです。
今回から巷でグループ分けの方法として定着しつつあるこの分類も採用していきます。当10000円構築では、主にBattle~Challengeを目標にしています。感覚的にはBattleの上位層~Callengeの中間ぐらいのレベルかな。この辺の肌感覚が人によって異なるのは重々承知しておりますので、あくまで参考程度に。
んで、いつもの上記の文言に加えて、次の条件を加えています。
デッキリスト
『初めての飛行』のコンセプト
「初めての飛行」のコンセプトは飛行です・・・が、デッキ全体としての目的はもっと複雑な模様です。
飛行クリーチャーと飛行そのものに関するサポートカードが充実していますが、そもそもイスペリアという統率者がなかなかの曲者です。
相手依存のドロー能力を持った6マナの統率者です。攻撃をされた際にカードを引くという受動的な効果を活用するため、サポート要員としてギデオン・ジュラや釣り亀など攻撃を強要するカードが収録されています。
飛行クリーチャーを確認すると「スフィンクス」「スピリット」「鳥」などクリーチャータイプが豊富で、マナコストも満遍なく存在する形となっています。
コントロールの色である青白のお家芸である除去や打ち消しもそれなりに枚数を取られており、攻め一辺倒なデッキ構造になっていません。
選択肢が多いことがこのデッキを回す難易度を上げている理由です。
「はじめての飛行」は今まで取り扱ってきた種族シナジーを軸としたデッキではなく、デッキ全体が一つの方向性・テーマ(=何をしたいのか)で組まれたコンセプトデッキと考えるとわかりやすくなります。
格子となっている真のテーマは「差し合い」だと思います。青白という屈指のコントロールカラーを有するだけあり、マス・デストラクション(全体除去)などの防御的手段に優れたカードを複数枚採用することで序盤の攻防を乗り越え、中盤以降は回避能力を持つ飛行クリーチャーを展開し、最終的に優位な立場を確立していくスタイルを目指しているように僕には感じました。
真正面からの殴り合いでは決して勝てるデッキではありません。アウトサイドから挑むために、イスペリアのような相手の攻撃を躊躇させる統率者を使用し、盤面に脅威が並んで来たら全体除去で流し、会心の一撃には打ち消しを合わせる。それを実現するために手数に直結するマナベースと手札をしっかり稼げるように、面晶体の記録庫のようなマナ加速とスフィンクスの啓示のような強烈なドローエンジンを採用している・・・という感じが、「はじめての飛行」の描くプランニングというわけです。
アゾリウスが得意とするコントロールを実現しよう! というコンセプトデッキというわけですね。
とはいえ、開発部というアーキテクトの掲げる構築理念はしっかりと存在していますが、正直言って初心者向きとは言いにくい内容に思います。ある程度統率者戦に慣れた、少し玄人向けのコンセプトです。一方で統率者戦が未経験でも、他のフォーマットで普段遊んでいるような構築プレイヤーだとリスクヘッジのバランス感覚に優れた方が多いので、「差し合い」を上手くこなせる可能性があり、このデッキのポテンシャルをある程度引き出せるかもしれません。
今回の改造案では上記のコンセプトをそのままに「中~長期的視野で飛行クリーチャーによるクロックの確保と、除去・打ち消しによる盤面コントロール」を目指してデッキを組んでいきたいと思います。
でもその前に、統率者戦におけるコントロールデッキという理念を話さないといけないでしょう。それはとても険しい道のりなのです・・・。
統率者戦おけるコントロールという理念
統率者戦において、コントロールというアーキタイプは苦難そのもの。
統率者戦は対戦相手が三人いるので、まともに差し合えばコントロール側が先に息切れします。手札や次の自分のターンまでに使用できるマナは有限だからです。
除去や打ち消しは基本的に1対1交換する手段ですので、それを3人のプレイヤーとし続ければ、いつかリソース切れを起こします。
統率者戦をある程度やればわかると思いますが、多人数戦において一番得をしやすいのは「何もしなかったプレイヤー」というのが多々あります。
差し合いが始まるとき、それは基本的に総力戦であり消耗戦になりがちです。デモコンタッサに打ち消しを合わせ、あるいは相手の統率者を潰すために除去を打ち・・・そんなこんなで1対1交換を繰り返し続けた場合、最後に一番リソースが残っているのは「この攻防に関与しなかったプレイヤー」である場合が多いです。
そんな感じで土地を並べて自分の動きをしていただけの人が最後に消耗しきった3者の前に大ぶりなスペルを唱えてそのままゲームエンド。まぁそういうあっけない幕切れも統率者戦の醍醐味ではあります。だから別にそれが悪いとは思いません。でもそういう「漁夫の利」を狙いやすいフォーマットであるという認識は持っておきましょう。
MTGには優先権という絶対君主制のルールが存在し、順番ごとに優先権が回るので「君から先に動いてね(僕に回答があるかはわからないよ?)」という駆け引きが生じます。ゲームを決するアクションであれば誰かしら打ち消しなり除去を切らねばならないでしょうが、動いた分だけその人は損をするかもしれません。もちろん他のプレイヤーが回答を持っているかはわかりません。・・・損はしますが、ゲームを決する動きをされた場合、大抵のケースで優先権が先に回ってきたプレイヤーが除去や打ち消しを切るでしょう。統率者戦において、卓順は重要な要素だということです。
雑談交じりに誰か対処してくれるか相談も可能かもしれません。この辺の駆け引きを上手くできないと、いわゆる「世界の平和を守っているだけの人」になります。あえてそういう人を目指すロールプレイもありですけども、今回の話からは逸れてしまうのでこの辺にしておきましょう。
コントロールの話に戻しますが、構築戦のコントロールデッキでは「フィニッシャー」が必ず存在します。精神を刻む者、ジェイスの大奥義や変異種(おじカード)といったフィニッシャーが有名ですね。
ところが統率者戦では対戦相手を倒そうにも120点分(統率者ダメでも63点分)のクロックが必要になるので、タイムリミットも長いのです。
その間の差し合いのリソースやマナソース、やがては世界の敵となるはずのあなた自身の延命手段・・・統率者戦でのコントロールの命題です。
要所を弾き、最低限のクロックで相手を削り切ったり、対処の難しいフィニッシャーを出してゲームエンドに持っていく・・・。1対1の構築でありがちなクロックパーミッションやコントロールデッキの実現は困難です。
そのような事情から、早めの幕切れを目指せるような無限コンボや、ひっくり返すのが困難な状況(多くの場合相手のマナ基盤を潰す)ことを目的としたコントロールデッキが古の時代から組まれてきました。
統率者戦でコントロールを実現する場合、先駆者たちは次のような戦略を用いてきています。
見ての通り、コントロールという名のロックデッキ(相手に何もさせないことを目指すデッキ)が多くを占めます。
1はソフトロックに過ぎないので置物破壊や除去、ピッチスペルなどで脱獄されるリスクがあります。
2は統率者を定着させないといったリソース元を潰される方法や、後半のスケールの大きなアクション(例:起源の波や全体除去など)でひっくり返されるリスクがあります。
3はソーサリータイミングでのアクションが多いので、1ターンでコンボ準備が整うような即時性の高いコンボや、そもそも寿司(タッサの神託者+Demonic Consultation)のような打ち消しによる対応ができないと負けてしまうコンボに弱いというリスクがあります。あと勝ち手段が乏しくてグダグダになるケースも多いです。
4は大抵の場合統率者軸のデッキになるので統率者を潰すことでほぼ沈黙しますし、大量ドローするデッキの前に為す術がありません。
そして避けられない最大の懸念事項として、上記のコントロールのためのロック手段を前面に出しすぎると卓の雰囲気が「冷えて」しまう可能性が高いことです。強靭なメンタルを持った使用者と、その攻防を理解してくれる仲間に恵まれている、という前提での使用になります。
コントロールは勝利に対する指向性が強いコンセプトなので、突き詰めるほど対戦相手の行動を否定する戦略へとシフトしてしまいます。本気でコントロールをやるなら基本的には高レベル帯の統率者戦での運用が望ましいと言えるでしょう。大抵の場合はカウンターを有する青が必要になるかと思います。
当10000円構築ではデッキレベル帯が5~7帯(最近のレベル帯表記のトレンドでいえば"party" "battle" "challenge" "game"での"battle" ~"challenge"ぐらい)を目標にしています。
どうやってあまり「冷えず」にコントロールを行うか?
今回自分が選んだ回答としては、殴り合いを演じることです。
泥臭い殴り合いを演じ、少しずつ天秤をこちらに傾かせていくような姑息なコントロールデッキ・・・今回は主に2のコントロール理念を目指します。「ドローを重ねて手数を多く」し、「飛行などの回避能力を持つクリーチャー」で対戦相手たちを一人ずつ倒していくという『はじめての飛行』の理念を生かしたデッキを組んでいきましょう。
お前が泥棒カササギになるんだよ!
今回は合計30体以上の飛行クリーチャーを採用しています。
この飛行クリーチャーによるリソース稼ぎの鍵となるのが、青のお家芸の一つであるサボタージュ能力です。
黎明期のMTGにおいて、知恵の蛇や泥棒カササギといった「戦闘ダメージを与えるとドローができる」クリーチャーを軸にしたパーミッションデッキが存在しました。これらはフィニッシャーも兼ねていましたし、ドローと潤沢な打ち消し呪文によって相手のやりたいことを完封できます。
対戦相手は豊満な手札を抱えた青いデッキ相手に「これは通りますか?」とお伺いを立てねばならない、それゆえにパーミッション(許可)という、きわめて利己的で皮肉めいた名前を与えられた素晴らしいデッキです。
この戦闘ダメージでドローを誘発させる「カササギ能力」を与えることが出来る置物としてタッサの二叉槍、沿岸の海賊行為、偵察任務を採用しており、飛行という回避能力と相まって大量ドローを狙いやすくなっています。
潮掬いや風読みのスフィンクスも同様に戦闘でのドローを加速させます。ヴァンガード・サプレッサーは令和の泥棒カササギであり、余ったマナを注ぎ込むことでカササギの群れを作ることが出来ます。
これらのドローによって手札が溢れかえりますが、それを防ぐためにこのデッキには手札上限を撤廃させる置物が採用されています。思考の器やデカンター・オヴ・エンドレス・ウォーター、聖遺の塔はマナ加速も兼ねているので邪魔になりにくいです。ウィザード・クラスはレベル3まで進化させると驚異的な速さでのクリーチャー強化を実現させるため、このデッキでのフィニッシャーを兼ねています。
リソースの確保手段は他にもあります。
幽体のこそ泥は飛行は持ち合わせていませんが、対戦相手が統率者を唱えるだけでカードを1枚引けて、マナはかかりますがドローを進められるのも優れています。何より安価。採用しない手はありません。
エラントとジアーダはこのデッキの真の統率者だと思うレベルのシナジー満載カードです。というか、正直なところイスペリアと入れ替えた方が強い・・・かもね・・・。
肝心の飛行クリーチャーの頭数を増やす手段がこれらです。
エメリアの天使や渡る魂は前線を構築し、ドローを進めるための種を用意するのに役立ちます。天上の調査員は特にドローと飛行クリーチャーの展開を両立できる唯一無二の生物です。
密教の天啓も同様です。スフィンクスの啓示を抜いてこのXドローカードを採用した理由は、前線構築に役立つためです。とにかく飛行を並べてカササギ化させてドローを加速させることを目指していきましょう。
カササギドロー化させる置物を破壊されるとデッキが瓦解しやすいです。
そのため血清の君主や夢を穢すもの、啓蒙のスフィンクス、夢さらい、雲先案内人、熟考漂いなど、それらの置物がない場合でもリソースを確保できる保険となるクリーチャーも数枚採用しています。
とにかくカードを引いて、土地を並べていく。
多人数戦でもコントロールデッキのセオリーは変わらないのです。
コントロールを実現する手段
できるだけ飛行クリーチャーのヘイトベアーを採用できれば理想的なのですが、予算の関係上満足いくレベルまで採用するのは難しいので、今回は複数の置物や打ち消し、除去と散らしています。
打ち消し呪文
青のお家芸である打ち消し呪文は6枚。ドビンの拒否権、秘儀の否定、対抗呪文、否認、禁止、エレンドラ谷の大魔導師の6枚です。値段帯の縛りで採用していないものとしては白鳥の歌や狼狽の嵐などです。
秘儀の否定は統率者戦でよく使われる、使い勝手の良い打ち消しです。
シングルシンボルで使える確定カウンターであり、互いにドローすることになるのが一見弱そうに思えますが、実のところカードアドバンテージ的に動いた側が損をしないで済む(=何もしないプレイヤーが得をしない)ことになるので、気軽に打てるのが優秀です。
エレンドラ谷の大魔導師は飛行クリーチャーかつ打ち消し呪文ということで、このデッキにはぴったりの人材ではありますが、盤面に与える圧が強いのが良くも悪くも働きます。後述する翼の伝令、ドナールがいると、なかなかひどいことになります。
禁止はある意味このデッキのフィニッシャーであり、大量ドロー後は相手の脅威を延々と打ち消し続けることが出来るため、速やかにゲームエンドまであなたの身を守ってくれるお守りとなるはずです。ここはちょっとやりすぎ感もあるので他の呪文に差し替えてもいいかなとは思います。
除去
絞首された処刑人、剣を鍬に、久遠への消失、濾過、浄化の輝き、オンドゥの転置、精霊界との接触、永遠の放浪者を採用しています。
今回は採用していませんが、軽量なクリーチャー除去が欲しい場合は流刑への道なども候補に挙がります。レベル5~6帯では後半以降に大量に並んだ盤面で膠着する場合がよく生じるので、マスデス系を数枚採用しています。
永遠の放浪者は大体何時引いても強いです。相手の統率者をブリンクし続けて統率者領域に置くかを強要できるので、統率者封じにも使えます。
ヘイトベアー・置物
今回採用したのはこれだけです。統率者戦でよく使われるヘイトベア―・妨害置物としてはドラニスの判事、エメリアのアルコン、安らかな眠り、石のような静寂、盲従などがあります。これらは強力な反面、特定のデッキを機能不全にするレベルの妨害となるため、こちらへの攻撃の手が緩まなくなる恐れがあるので今回は不採用です。
低予算デッキでは軽くて強力な呪文が限られるので序盤の攻防を凌ぎきれない可能性が高いため、最初のうちはゆっくりとマナを伸ばすことに専念することにし、中盤以降からマスデスを絡めてマウントを取り直す流れを作ることとしました。
神秘的負荷は英語名から長年「レモラ」と呼ばれてきたお馴染みの カードです。ドミナリア・リマスターを経て日本語名を与えられ、ついに低予算デッキでも採用できる程度の値段まで下落してくれました。
累加アップキープという欠点があるものの、1マナで置ける置物としては破格の強さであり、何ターンか維持するだけで数枚のカードか、さもなくば相手の動きを鈍化することに繋がります。ヘイトを買いやすい置物ではありますが、あくまでドローするだけであり、相手の行動阻害にはつながらないので、この中ではまだマシな方です。メタ的な話になって恐縮ですが、低予算デッキだとバレていると逆にこれを張っていても別に対したカードを引かないと高を括られてドローを許される・・・ことも多いです。
類似のカードにリスティックの研究やエスパーの歩哨があり、これら3枚は統率者戦ではお馴染みです。予算が許せば採用を検討してもいいと思います。
歓喜の天使はテキストがわかりにくいですが、『コスト』としてのクリーチャーの生け贄やライフの支払いを禁止する能力です。よってサクリ台を多用する黒対策になりますが、生け贄そのものを禁止する鷺群れのシガルダとは違いますので注意してください。
特にこのデッキの場合、エレンドラ谷の大魔導師や悔恨する僧侶などの自分を生け贄に捧げる起動型能力を止めてしまうので、出すタイミングには注意が必要です。
統率者とのシナジーの関係で採用していませんが、プロパガンダや亡霊の牢獄などの攻撃制限カードも本来であれば優秀です。代わりに採用しているのが濠の大魔術師で、こちらは飛行以外は攻撃に行けなくなるというmoatと同じ能力を持つクリーチャーです。こちらにとっては非常に都合の良いテキストであるため今回採用しています。類似品にテフェリーの濠がありますが、こちらは色指定された非飛行クリーチャーにしか影響がないので今回は不採用です。
フィニッシャーについて
この手の殴ってドローするデッキで有名な統率者としてトレストの密偵長、エドリックがいます。青いデッキで殴ってドローする場合のフィニッシャーといえば各種追加ターンの連打です。こちらは値段の関係で断念しています。あとは5~6帯レベルでの構築なので実際に殴って勝ちたいという僕の性癖・・・パーティー性の高い戦い方を優先しました。
まずは先ほど説明したウィザード・クラスなどのバフによる殴り勝ちです。歓喜の天使や発明の天使といったバフ効果を持ったクリーチャーもうまく使って早く殴り勝つことを目指します。
一見アンセム(全体に+1/+1修正を与える置物の俗称)を少し置く程度では爆発力が足りないように感じるかもしれませんが、このデッキはそもそも横に並べてリソース差をつけて優位性を確保するデッキですので、盤面が固まってからのドローの中にこれらのアンセムを後置きしてキルターンを早めることが出来れば十分です。フィニッシャーではありますが、そんなに枚数は必要ではないということです。
同様に空狩人の打撃部隊もイスペリアを出すことで小粒の飛行クリーチャーたちを会戦で倍増させて物量で押しつぶすのに役立ちます。
光輝王の昇天は古の白いデッキによく使われてきたフィニッシャーです。全体除去や攻撃制限系と相性が良く、このデッキであればイスペリアとのシナジーが存在します。
翼の伝令、ドナールはフィニッシャーではありませんが、このデッキの優位性を確立するのに一役買います。単純に飛行クリーチャーの水増しでもありますが、熟考漂いや風読みのスフィンクスをコピーすることでリソースの大量確保ができたり、エレンドラ谷の大魔導師をコピーすることでソフトロック状態に持っていくことが出来ます。強いのですが、ドナール自体は除去耐性もないのでこれ自体を軸にするのは避けています。
ストリクスヘイヴンの競技場はマナアーティファクトでありながら勝手に統率者戦で「磯野、クディッチしようぜ!」とか言い出すネタカードの一つですが、このデッキでは大マジです。得点カウンターを10個溜めるってことは約8~10回分殴ってのフィニッシュなので、構築だと「先に相手のライフが尽きるやんけ・・・」と虚無な気持ちになるカードですが、安心してください。統率者戦なら40点のライフを削るよりも早くクディッチできます!
いや、どっちにしろ時間かかりすぎやろ・・・と思うでしょうが、大真面目にコントロールしてきて最後にこれかよ!というギャップが面白いので、今回白羽の矢が立ちました。
なお、本気でクディッチで勝とうとすると無限アンタップギミックを入れて競技場で得点カウンターを溜めまくってから、何かのクリーチャーで無理やり本体にダメージを与える・・・という身も蓋もないデッキになるので今回は逆転棒をあえて入れておりません。ご了承ください。
その他のカード
比較的飛行クリーチャーを軸にしている関係から除去耐性を与えるクリーチャーを多数採用しています。自分がマスデスを採用しているのも理由で、自軍の前線を確保しながら露払いができるようになる点は優れています。
墓地利用としては太陽のタイタンとエメリアの番人を採用です。太陽のタイタンはカジュアルな統率者戦ではお馴染みで、とにかく強力な効果の割に再録しすぎて安いです。飛行は残念ながらありませんが、出てすぐ仕事をする彼を抜く理由もあまりないのです。
エメリアの番人は少し重たいものの、性能としては抜きんでた能力を持ちます。何より非伝説で飛行持ちのため、翼の伝令、ドナールでコピーに成功した場合はもう楽しすぎます。
エメリアの天使と合わせて上陸を達成しやすいように、無限地帯や氾濫原といったフェッチランドを少量採用しています。
最後にイスペリアと相性の良いカードを紹介します。
公共の敵は本来相手のクリーチャーにエンチャントして対戦相手同士を焚きつけるためのカードですが、イスペリア自身につけることで、こちらに殴りに来ない対戦相手たちに無理やり攻撃させて大量ドローを狙うといった使い方ができます。これは他の攻撃強制系カードでは真似できません。何故かというと大抵の攻撃強制カードは『殴る相手を指定することはできない』場合が多いからです。使嗾や釣り亀も同様です。
大抵の強制攻撃は「攻撃を強制する」だけで、「殴り先の指定ができない」ものが多いです。つまりはイスペリア以外の対戦相手を殴りにいっても問題ないわけです。使嗾に至っては「自分以外の対戦相手への攻撃強制」なので、そもそもこっちを殴ってくれません。
スターターデッキ収録で確実にこっちに殴りに来てくれるギデオン・ジュラは合格ラインのカードではあるのですが、今回は枠の作成のため泣く泣く解雇しました。どうでもいいですが、僕が一番好きなプレインズウォーカーがギデオンです。
このデッキはコンボらしいコンボがそこまで入っていませんが、最後に役立つのがこのヘリオッドの高潔の聖堂です。エンチャントを何度も使い直すので、破壊されたタッサの二叉槍、沿岸の海賊行為、偵察任務を戻すといった使い方以外にも、公共の敵を対戦相手に何度も付け直して、そのプレイヤーが退場するまで全プレイヤーへの攻撃の矛先を向けさせ続けるといったエゲツないコンボも可能です。
簡単なアップデート案
これはですね、悲しいことですが統率者を変えた方がいいですね。
イスペリアがあまりにも重く受動的でありますので、もう少しフィニッシュブローの利いた統率者にするか、先ほどのエラントとジアーダのようなデッキとシナジーが期待できる統率者に変えた方が無難です。
イスペリア自体を強く使いたい!という考えも最初はあったのですが、攻撃強制系のカードを色々サルベージした結果、青白では正直組みにくいな・・・という結論となりました。本来青白は攻撃制限をするカードに富んだカラーなので、これもまた当然の結果か。
少しだけ次回のネタバレになりますが、赤黒の「渾沌の具現」のコンセプトに似てしまうので断念したという部分もあります。
アップデートを図る場合、リソースの継続確保、対戦相手の減速、妨害されにくいフィニッシュという三点で考えていく必要がありますが、多分真面目にやるならcallenge以上のデッキになっていくので、前述の統率者を軸に参考にしていった方がいいかと思います。
今回は泥棒カササギ化させたドローデッキという点で、追加ターン系を入れるという選択肢が残されています。そこもアップデートの参考にしてみてください。
それでは前回同様に個人的にスターターデッキから追加購入した方がカササギデッキを楽しめると思うカードをランキングにしました。強いだけでなく値段によるコスパなども考慮したうえで独断と偏見で決めましたので、適当に聞き流すぐらいの気持ちでご覧ください。
なお、大前提となる沿岸の海賊行為、偵察任務の2枚は必須パーツなので殿堂入り扱いです。
第1位.エラントとジアーダ
イスペリアを解雇してこの子を統率者にした方が強い・・・と思うレベルの性能です。すべての性能がこのデッキに噛み合っています。
もしエラントとジアーダを統率者にする場合は、瞬速を付与できるザルファーの魔道士、テフェリーが投入される可能性が高いので、すごいヘイト値を上げそうな構築になりそうだということは一応明記しておきます。
第2位.サイクロンの裂け目
今回値段の関係で惜しくも採用していないものの、正直言って青い統率者デッキでこのカードを入れない理由が殆ど見当たりません。優位を確立するだけでなく、劣勢を覆す可能性を持つカードでもあり、統率者環境屈指のパワーカードです。値段も日本語版であれば1000~2000円程度で買えますので、統率者をやるのであれば1枚は買ってしまってよいと思います。サイクロンの裂け目を入れる場合は濾過と入れ替えてください。
第3位.ウィザード・クラス
序盤から終盤までデッキに噛み合っている素晴らしいカードです。手札上限を無くす効果と、後半動き出した時の+1/+1カウンターばら撒きはフィニッシャーとして申し分ありません。
第4位.翼の伝令、ドナール
インチキおじさん。なんか飛行クリーチャーを水増ししてリソースをバカバカ稼いでくれる人です。これとエレンドラ谷の大魔導師あたりが揃うと流石に勝ちに近づきます。
第5位.濠の大魔術師
一気に対戦相手の前線が停滞し、自分だけが殴りに行けるようになるといった都合の良すぎる能力です。飛行を持たない殴り統率者を全否定するので、ヘイト値がうなぎ登りになる場合もあるのが玉に瑕ですが。
第6位.密教の天啓
インスタントXドロー&飛行クリーチャー展開といった奇襲性の高さと、手札の入れ替えで序盤の土地事故を防ぐといった、いぶし銀の使い道があり、デッキにとても噛み合っています。
第7位.天上の調査員
誘発時にマナを払わずに飛行クリーチャーを展開できる点が優れています。手がかりトークンも青いデッキ特有の数マナ構えてターンを迎えるといった動きに無駄なく起動できたりするので、他のデッキよりは無駄なく使いきれるはずです。
第8位.海門の擁護者、リンヴァーラ
あまりにも安易で雑すぎる防御性能。後半出てくると対戦相手たちが嫌がります。
殆ど忘れていい上記の誘発型能力ですが、このデッキでパーティーを達成するのはかなり運が必要です。リンヴァーラがウィザードなので、幽体のこそ泥(ならず者)、ヴァンガード・サプレッサー(戦士)、悔恨する僧侶or無私の霊魂(クレリック)で達成します。
もう少し達成率を上げたい場合は、戦士は生ける聖人、セレスティン、ならず者はフェアリーの黒幕あたりを追加で採用すればカードパワー的にも丁度よさそうです。
第9位.ドビンの拒否権
空中戦において最強クラスの打ち消しです。意志の力や激情の後見といった高額打ち消しを買うのができない場合は、これと秘儀の否定、余裕があれば白鳥の歌と狼狽の嵐あたりを抑えておけば当分困らないと思います。
第10位.光輝王の昇天
2ターン目に置くとゲームが崩壊することで定評のあるバグカード。これだけ序盤置いてトークン並べておくだけで勝てる試合も多いです。ただし確実に世界の敵となるので、頑張って乗り越えてください。
第11位(番外編).セラの高位僧
番外ですが、こいつだけは最後に紹介しなければならないでしょう。
統率者戦における白の最凶肉弾戦クリーチャーです。値段さえ許せば絶対入れるべき飛行クリーチャーです。素では飛行を持っていないので、ドナールで増やせません。後半ライフが減って劣勢になるとチャンプブロック要員にしかならないのがちょっと残念。
実際に回した雑感とまとめ
めっちゃ手札が溢れる・・・!
流石に回りだすとアホみたいにドローできるので楽しいです。
なお、パーミッションデッキというには打ち消しも少ないですし、ピッチスペルもありませんので相手も差し込む余裕があるという意味で、大逆転を許す可能性があり、この絶妙な隙が生じる点が"battle"での上位~"challenge"の中間程度のデッキなのかなと感じました。
その隙を減らす要素として、マナを使わず動ける各種ピッチスペルやヘイトベアーの採用が次のステップになるのかと思いますが、あえてこの程度で抑える方が周囲と楽しく遊べる場合もあるってことで、自分としてはこれで満足しています。
まぁ追加ターンぐらいは少し採用した方がいいかもしれません。
今回のスターターデッキは『統率者デビュー組』に最適です。是非好きな色、好きなコンセプトのものを手に取って頂ければと思います。そして悩んだときは参考にして頂ければ幸いです。
次回の第五回では最後のスターターデッキ『混沌の具現』をいじる予定です。かなりの曲者デッキ。初心者向けとはいったい・・・と自問せずにはいられない、そんな癖つよな統率者デッキを弄っていきたいと思います。
が、先に言っておくと。初心者向けというか、初心に帰るための糞デッキになります。統率者戦は対戦相手との対話だ!対話の形はラクドス流だけどな!ガハハ!!!
フォロワーが100人超えたらyoutuberになってEDH中心のMTG専門チャンネル立ち上げる公約は継続中です。
半年も更新をサボっていたにも関わらず、週に1~2人ぐらいのペースでフォローを頂きまして、気づいたら3桁まであと少しになっていました。
恐らくスターターデッキを購入した方たちが参考になさっているのかな?と思っています。
2023年も折り返し。目標である100人を目指して頑張っていきたいと思いますので、応援して頂ければ幸いです。
面白かったらいいねやフォローをお願いします。あなたの一票がネットにニッチな格安レシピを増やす肥しとなります。
それではまた会いましょう。では。