【格安EDH】1万円EDH その4前編「 Tovolar, Dire Overlord / 不吉な首領、トヴォラー」
こんにちわ、ハルタカです。
EDH(統率者デッキ)を10000円で組むシリーズ第四弾ですが、諸事情で前後編となります。今回は前編です。
まず先に『一ヵ月いち10000円デッキ制作!!』とか謡いながら、12月完成できなかったことを謝ります。12月はじっくりデッキを組む余裕がなくて完成できませんでした。トヴォラーで組むということだけは決まっていたのですが、プライベートに時間が取られたことと、これは言い訳になってしまいますが、年末年始に追い込みで作ろうと思った矢先にwisdom guild様が謎のサーバーエラーを起こして年明けまでアクセスできなくなっていた点なども重なり、デッキが完成しませんでした。改めてお詫び申し上げます。
1月に入り、少し落ち着いてきたのでデッキを何とか完成させたのですが、回していて問題点が浮上しています。デッキとしては概ね納得しているのですが、訳あって個人的に再構築しようと考えている次第です。
そのため今回は前後編という形で、前編ではこの問題点がある形のデッキを、後編はそれを解消したデッキを紹介出来たらと思います。
ではまず今回の統率者の紹介です。
トヴォラーは狼男・狼に特化した統率者です。
トヴォラーを選んだのは、最新のイニストラード2セットで統率者デッキが4セット発売しましたが、主要種族である狼男にフィーチャーした統率者デッキが存在しなかったから。という私情マシマシな理由です。
このトヴォラーは非常に優れた統率者であり、まさに狼男デッキが長年求めていた優秀な要素を複数も兼ね備えています。それは「変身サポート」と「アドバンテージ獲得手段」です。狼男デッキは種族デッキですが、正直言ってスリヴァーやエルフのような爆発力や柔軟性を兼ね備えていません。横並びにして殴るだけなら他の種族でもええやん? となってしまう悲しみを背負っていました。変身というギミックも、多人数戦においては誘発スタックが多くて、地味に紙で遊ぶときに大変だったという欠点もあります。まぁこれは今もさほど変わっていませんが、トヴォラーの能力のおかげでやや管理は楽になった感はあります。
そんなトヴォラーを用いて、今回もシングル価格10000円以内でデッキを組みたいと思います。
デッキ構築条件は次の通りです。
デッキリスト
狼と狼男の寓話
種族としての狼男を分析しましょう。
狼男は基本的に変身前はマナレシオが低めに設定されており、変身後は本来のマナコストよりも優れたクリーチャーになる傾向があります。よって変身を軸にする必要がありそうに思えますが、実際のところ、統率者戦においてほんの少しマナレシオが上がった生物が並んだところでプレッシャーになりにくいです。よって変身という要素はあくまで狼男というデッキを楽しむ上でのフレーバーであると割り切り、勝ち手段としては別の軸を考えていく必要があります。
狼についてはマナレシオはそここそながら、回避能力やパンプアップ能力を持っているケースが多いです。これはトヴォラーの能力と相性が良く、実をいうと狼男より狼を軸にした方がサボタージュ能力を有効に活用できます。
前述しましたが、狼男も狼も爆発力がありません。
種族シナジーカードを増やす方法が有効に思えるかもしれませんが、狼男と狼と種族が分散しているので見た目よりも種族シナジーカードを十分に運用できません。あまり種族シナジーを期待しすぎるのは控えた方がよさそうです。
というわけで殴り勝ちするのであれば、最短距離となる方法はやはりオーバーラン(踏み荒らし)系の使用です。じゃあとりあえずビヒモスで・・・
10000円デッキにはあまりにも高すぎる!!(CV米倉涼子)
それ以外にもオーバーラン系のカードはありますが、ビヒモスを超える爆発力はありません。マナが伸びた場合は破滅の終焉が近いですがこれも結構お高い。州民を滅ぼすもの(100円)だとパワー修正が弱く、自然の秩序とも相性も悪いです。このままオーバーランでの押し込みをメイン戦略にするには少し課題があるかと思います。
そこで軸となるのがサボタージュ能力(プレイヤーに戦闘ダメージを与えたらドロー)です。幸いなことに狼男や狼は2マナ以下が多いので、3ターン目トヴォラー着地から1~2ドローを狙う動きが安定して可能です。
1ターン目と2ターン目に狼か狼男を置きたい形となるので下手なマナクリよりもキープ基準として優先されます。サボタージュ能力でドローを掘り進めることで戦線を拡大し、盤石にしていく形を目指すというわけです。
問題はここからです。沢山カードを引いて、知恵の蛇もどきを並べてそこからどうするか? 先ほどのオーバーラン系に繋げるにも修正値が+3程度ではよくて一人を押し込むだけです。もう少し何か強いアクションはないものでしょうか。
結論からいうと、スタックスします。
土地破壊デッキ
毎ターンカードを引き増し、土地を伸ばすという強みを生かすために土地破壊でのスタックス戦略を取ります。つまりは早期にドローができる状況を作り出し、土地をリセットして、自分は誰よりも早く復旧して殴り勝つという戦略です。この戦略だとマナクリも欲しいところですが、今回はそこにあまりこだわらないようにします。というのも元々このデッキはマナクリよりも1、2マナの狼男や狼が初手にある方が強いからです。そのため確実に3ターン目まで土地を伸ばせる構成にする必要があります。
私は土地の枚数を(両面土地も含めて)35枚に定めました。
35枚という数字ですが、99枚のデッキで3ターン目に土地を3枚以上引いている確率(=10枚の手札のうち土地が3枚以上)は約75%です。フリーマリガンが1回あるので、そこを加味すると約95%まで上昇します。実際には太陽の指輪もあるのでもう少し条件は緩くなりますし、タップインランドばかり引く裏目もあるでしょう。ただまぁ、概ね3ターン目に土地を3枚置くための基準として土地35枚は理にかなっているといえそうです。
赤い土地破壊は石の雨などの単発系のものから、燎原の火のような大規模なリセット系の二つに分かれますが、基本的に採用するのは後者です。ただ赤のリセット呪文の多くは土地だけでなくアーティファクトやクリーチャーも巻き込むものが多いです。横並び戦略を取る以上、ジョークルホープスみたいなリセットは採用できません。土地だけを破壊できるリセット呪文は赤にはそこまでないのでは・・・と思われるかもしれませんが、意外とあります。
少しマイナーな土地破壊カード。概ね次の自分のアップキープにハルマゲドンが誘発します。2マナという軽さが非常に強力でトヴォラーを置いてからこれを設置できると一気にゲームが傾きます。ただしタイムラグがあるのが無視できない欠点。相手に回答を用意する時間を与えちゃいますからね。
赤単デッキではお馴染みの特殊地形だけを壊すハルマゲドン。強い割にまだ廉価、でも再録回数が少ないカードなので、興味がある方は早めの購入をお勧めします。
モダンのトロウケアの敷石コンボでお馴染みですが、使うのは破綻の方です。6マナと重いですが赤では数少ない癖のないハルマゲドンです。爆裂も揺籃の地やイス卿をつぶすのに使うことがあります。
Xの数だけ全プレイヤーが土地を生贄に捧げるカード。調整が利くのが長所ですが、基本的に自分よりも土地が多いプレイヤーの土地の枚数を減らせないことや、何を残すのかを対戦相手が選んで良い点が欠点。まぁ相手を減速させれたら十分なので採用しています。
ド派手なリセット呪文ですが、使うのはサイクリングの方です。インスタントタイミングでハルマゲドンは流石にゲームエンド級です。起動型能力なので基本打ち消せないというおまけつき。正規コストの方はアーリンが盤面に定着しているとき以外は唱えません。
みんな大好きプロフェシーのレアカードだよ。
しかし実は結構やり手のカードであり、場に出たらお互い土地が3枚になるまで生贄にするという結構なことが書いてあります。基本的に自分よりマナが伸びているデッキをけん制できますし、ソフトロック感がありますのでカジュアルでもなんか使いやすい気がする。何よりプロフェシーのレアだからみんな使いたいだろォ? 安いゾ!
以上の土地破壊6人衆を採用しています。
これらを用いて相手のマナ基盤を潰して、こちらはいち早く展開して押し切ろうというわけです。こうして出来上がったトヴォラーでしたが、何回かオンラインで回しているうちにある問題点に直面することとなったのです。
最大の問題点
実際に完成したデッキを回していた感想としては、予想以上に対戦相手から不評だったということです。
まぁ何となく予想は付くと思いますが、土地破壊デッキはそもそもあまり好かれません。相手の行動を抑制しますからね。
今回のトヴォラーの場合、土地破壊という戦略を取った後に相手をゆっくりしばき倒すという悠長さがあり、多くの対戦相手が疲弊してしまったという点が良くなかったです。場合によっては相手が復旧してきたところで土地破壊を2回以上打つ試合もあり、勝敗の前に対戦相手が全員投了してしまうケースもありました。もっとひどいケースとしては対戦中にずっと愚痴を言い続ける対戦相手もいて空気が非常に悪くなるという事例もありました。
当デッキが低レベル帯の妨害の少ないカジュアル色の強い環境下でのプレイを想定していますので、あまり相手の行動を阻害しすぎると、長時間相手を苦しめるだけなのでよくないと思いました。反省しています。
ちなみに私は土地破壊に限らず歪んだ世界も容認派です。ですが、長年統率者戦をやっているとマスデス食らってグダるなんてのは嫌ほど経験するので慣れてしまっているだけかもしれません。その感覚は共感できる代物ではないでしょう。批判を受けやすいデッキを組んで紹介しても、それを実際使う側・使われる側としては辟易してしまうことに違いありませんから、アプローチを変えてみる方が建設的と言えるでしょう。
つまり土地破壊がダメというより、土地破壊した後の勝ち方に問題があるので今回は土地破壊に頼らない勝ち方をもう一度模索してみることにしたわけです。
長々と語りましたが、そんなこんなでこのデッキはお蔵入りにすることにしました。土地破壊という戦略を否定しているわけではないのですが、今回のコンセプトでは試合が長期化しすぎてしまうので一旦別の方法を考えます。
後編では新しいアプローチを経たトヴォラーを紹介します。
デッキの細部の解説もそのときにしたいと思います。
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