量子の波動性とスピリチュアル
量子論や量子力学をかたるスピリチュアルものが目につきます。
昔からあるのでしょうが、最近「量子医学」系をいろいろ調べているので目につくのでしょうかね。
スピリチュアルの中でも
「引き寄せの法則」
に量子論が引き合いに出されることが多いように感じます。
『私たちの身体を含め、世界のすべては量子からできています。
量子は波でできています。すべての存在は固有の波動(振動数)をもっています。
同じ周波数のものが共鳴しあうように
同じ波動を持った者同士が引き寄せあうのは必然です。』
的なもの。
『全てのものは量子でできている』
これ自体は極論ですが、まあ間違いではないのでこの話はまた今度。
『量子は波でできている』『量子は粒であり波である』
これは間違いです。
波としての性質を持っているだけで、波ではありません。
波というのは「状態」をあらわすもので、物体ではありません。
『すべての存在は固有の波動(振動数)を持っています』
これも間違いです。
楽器や建造物、金属の棒などは固有の波動(振動数)を持っていますが、それらは形状や材質などで決まってくる性質であって、量子の波動性とはなにの関係もありません。
『同じ波動を持った者同士が引き寄せあうのは必然』
これも間違いです。
同じ形の音叉の片方を鳴らすと、もう片方も鳴り始めます。
それは空気の振動を介して共鳴しただけであって、共鳴しあった2つの音叉がそのうち近づいてくっついてしまった、ということにはなりません。
『固有の波動(振動数)を持っている』
というのは『波動医学』や『量子医学』でよく聞く話です。
臓器や細胞、病気や細菌などがそれぞれ固有の波動(振動数)を持っているというものです。
それぞれの臓器には『正しい』振動数があり、そこからずれることで病気になる、みたいなことを述べています。
人によって大きさも形も構成する細胞の数もちがう臓器が、どれも唯一の『正しい』振動数を持つ、というのはありえるのでしょうか。
まちがった(ずれた)振動数をもつ臓器に正しい振動を与えることで正しい振動数になり、病気が治るというようなことを述べています。
これは、
「440Hzの音叉に660Hzの音を浴びせていると660Hzの音叉に変形する」
ということでしょうか。
自分にはよくわかりません。
胃がんを治そうとして、『正しい』胃の波動をあたえていたら、効果が強すぎて全身が胃になってしまった。とかあるのでしょうか。
ホラーですよね。
スピリチュアルの話にもどると、
量子の観測問題にひっかけて
(観測問題というのは、「量子は観測されるまで位置などの情報が確定しない」というもの。観測するまでは存在するのかしないのか、どこにあるのかわからないというものです。)
観測によってはじめて確定する
→人間の意志が物事を確定する
→意思の力で未来を変えられる
という「風が吹けば桶屋が・・」的な都合の良い解釈で
自己実現や未来実現のネタになるようです。
「観測問題」は実際に存在する問題ですが、
実はこの「観測」に人間の意志は無関係です。
人間の存在や意思にかかわらず、観測、測定装置のマクロ部分と相互作用することで存在が確定します。
『観測によってはじめて確定する』
は正しいのですが、次の
『→人間の意志が物事を確定する』にはつながらないのです。
どんなに頑張っても人間は「確定した測定結果」を見ることしかできないのです。
「量子の波動性」
「量子の観測問題」
のほかにも
「量子もつれ」
「量子レポテーション」
「トンネル効果」
など、スピリチュアル系独自のなんちゃって解釈がされているものがたくさんあってなかなか面白いです。
スピリチュアルや量子医学、波動医学を語っている人は
量子論や量子力学を知らないか、知っていても無視しているということになりそうです。
本当のところはどうなんでしょうか。