食品添加物の毒性・作用量のはなし
「食品添加物(以下、添加物)は毒である」、という話は昔からあります。
確かに添加物は摂りすぎれば毒になります。
しかしどんな食品でも摂りすぎれば毒になります。
「添加物は毒」という人の多くには「量」の概念が抜けています。
どんな毒と言われているものも(言われていないものも)ごく少量であれば害はありません。
「毒なんだからどんな少量でも害はあるだろう」
という話も聞くのですが、はたしてそうでしょうか。
乱暴な例えではありますが、毒を自動車に例えてみましょう。
歩行者に時速100kmで自動車がぶつかれば歩行者は死んでしまうでしょう。
良くても大けがです。
これは毒を大量に摂取したら死んでしまうことにあたります。
それではその自動車が時速10kmでぶつかったらどうでしょう。
死ななかったとしても怪我はしそうですね。
ではさらにゆっくりな時速4kmではどうでしょう。
だいたい歩行者と同じ速度です。
ころんだり足をくじいたりしそうですが、衝突の衝撃で死ぬことは無さそうですね。
時速2kmではどうでしょう。さらに半分です。
怪我すらしない人が大半なのではないでしょうか。
このように同じ自動車でもぶつかる速度が異なれば結果も異なってきます。
この場合時速2kmというのが「最大無作用量」というものになります。
最大無作用量というのは、「それ以下であれば影響がない量」ということです。
添加物の場合この最大無作用量が個々に調べられていて、それぞれその最大無作用量の1/100を使用基準としています。
自動車でいえば時速0.02km(時速20m、秒速0.6cm)が使用基準にあたります。
添加物入りの食品を食べた時の毒性というのは、秒速0.6cm以下で自動車にぶつけられたくらいの危険性です。
実際には添加物を基準値ギリギリまで使うことはなく、大抵は基準値の1/10や1/100くらいです。
自動車でいえば秒速0.06cmや0.006cm(秒速0.6mm、0.06mm)ほとんど止まっていますね。
「いや、そんなことはない。添加物はバンバン使うはずだ」という人は多く見かけます。
しかし実際のところ添加物は値段が高いのです。
コスト意識のある企業なら、それこそ悪徳企業なら少しでも原価を下げたいはずです。
わざわざ高い添加物を必要以上に使うことはありません。
それでも1日3食、何年も食べ続けたら、とか
何種類もの添加物が使われている、とか言いますが
毎日3回、秒速0.06cmで走る自動車にぶつかり続けたり、そのような自動車に立て続けに何度もぶつかったりしたらどうでしょう。
確かに悲惨な光景ではありますが、実際にそれで命を落とすかというと別問題です。
ほとんど静止状態の自動車にぶつかったことを気にせず生きていくのと、
毎日何度も自動車に轢かれた、と意識しながら生きていくのと、
肉体的には差はなくとも精神的には大きな違いが生まれると思います。
「添加物は毒だから避けねばならない」と煽る人はたいてい代替え案を提示してきます。
「これは無添加の〇〇です」「これを飲んで解毒しましょう」などなど。
この地球上に(宇宙に)毒にならないものは存在しません。毒性のわかっているものと分かっていないものがあるだけです。
「無添加の〇〇」と言っても大量に摂取すれば害があります。
毒性が判っていて使用基準が決まっている添加物よりも危険かもしれません。(どんな毒がどれだけ入っているかわからない)
死んでしまうかもしてません。
解毒するために飲むそれそのものにも毒性があります。
それらの代替え案を実行する、ということは、秒速0.06cmでぶつかってくる自動車を避けるために、どのくらいの速度で走ってくるかわからない〇〇という自動車の前に飛び出すようなものです。
その〇〇という自動車は秒速0.06cmかもしれませんしもしかしたら時速100kmかもしれません。かなり分の悪い賭けです。
そういうものをさも「無害」を装って高額で売りつけてくる人が多いのは事実のようです。
それで時速100kmで走ってくる自動車の前に飛び出したとしても「自己責任」ですからね。