【mum.】ふかふかの魔法(インタビューあとがき)
mum.のリエちゃんとエリちゃんと初めて出会ったのは2023年の3月。鶴舞にあるsomeという古着屋さんで開かれたイベントでのことだった。こういうことをしてみたい、こんなことに興味がある、みたいな話をあれこれとしていたのだけれど、話していく中でああわかる、ということがたくさんあった。好きなもの、心地よいと感じること、自分が大切にしたい価値観、「おかあさん」になってから直面したさまざまな課題。
もうすっかり大人になってしまった私は、本当に分かり合える人は少ないのだということを知っている。だからこそこのふたりと出会えたことがとてつもなく嬉しくて、このご縁を大切にしたいと思った。そして何よりやわらかくて飾らない2人の人柄とキラキラした瞳に、私はあっという間に魅せられてしまった。
その後、これから活動を広げていくmum.のフライヤーを作成することになった。それに伴いあれこれとさらに深く話を聞いていったのだけれど、ふたりの真ん中の芯のようなところに今触れたな、という瞬間が何度もあって、そのたびに胸がぶわっと熱くなった。mum.をあらわす言葉も魔法みたいにスラスラと出てきて、あっという間にフライヤーは完成した。
そして4月。岐阜で開かれているサクラビマルシェというイベントに出店するふたりに会いに行った。とにかくもうすごく素敵なイベントだから、というふたりの言葉を受けて、とても楽しみにしていたけれど、それは想像以上だった。緑いっぱいの木々と、あたり一面に咲くタンポポとシロツメクサ。森の中に様々なお店が点在していて、そのどれもが周りとよく馴染んでいる。まるで童話の世界みたい。ところどころには撮影を楽しめるようなフォトブースがあって、しかもこのフォトブースたち、いかにも写真用です! っていう仰々しさが全然ない。周りの木々や草花とうまく調和していて、この空間によく似合っている。一緒に訪れた娘も息子も夫も、みんながあっという間に笑顔になった。
魅力的なお店やブースがありすぎて、思ったよりもたどり着くのが遅くなってしまったけれど、緑の中に現れたmum.のお店を目にしたときはさらに胸が高まった。初めて目にするふたりのお店、お菓子、なにもかもが可愛すぎる。コントラストは違うけれど、同じ青色の服に身をまとい、少し緊張しているエリちゃんとリエちゃんもたまらなくキュートだった。並ぶお菓子のすべてがとんでもなく美味しそうで、選びきれずにいくつも購入したあと、すぐ近くの広場にレジャーシートを敷いて早速頬張った。
こんなにも真摯に向き合うふたりが作るお菓子、絶対に美味しいだろうなーって思っていたけれど、わかっていたけれど、私が想像していた美味しさのレベルを遥かに超えていて衝撃だった。何かを食べるとき、多分このくらいのおいしさだよねーとか、こういう味だよねーとか、ある程度想像しながら口に運ぶと思うんだけど、それが全然足りない。なぜだか鼻がつんとしてきちゃうくらいに胸がいっぱいで、美味しすぎて頬の内側がキューっと痛くなる。
自分がしたいことを形にしていくこと。それはとても勇気がいることで、ドキドキの連続だと思う。それらをまるごと乗り越えて、ひとつひとつ思いを形にしていくmum.のこれからが、私は楽しみで仕方がない。本当に好きだなあとか素敵だなあって思う人たちの活動がどんどん広がっていくのって、こんなにも嬉しいことなんだな。これからも私は頑張るmum.のふたりを全力で推して、応援し続けるね。
インタビュー「揺らめき」に添えて
2024.8
橘ぱぷか