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冬はつとめて

冬は、つとめて。
雪の降ふりたるは、言いふべきにもあらず。
霜のいと白きも。
またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし。
昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりて、わろし。

枕草子

(現代語訳)
『冬は早朝がいい。
雪が降っている朝は言うまでもない。
霜がおりて白くなっている朝も、また、そうでなくても、とても寒い朝に火などを急いで起こして、炭を持って運びまわるのも、冬の朝にたいへん似つかわしい。
しかし、昼になって、寒さがゆるんでくると、火おけの火も白い灰になってしまって、よくない。』

しんしんと雪降る景色は美しいけれど、寒さは決して『心地よい』ものではない。身体もキュッとなって肩もこるし。
少なくともわたしは、あったかい暖房の効いた部屋の中でぬくぬくするのが心地よい。

それでも鼻の奥がツーンとして、頬も凍るような寒さの中見る雪降る情景はあまりに美しい。

美しさと心地よさは共存できるのだろうか。

もちろんデザイン性の素晴らしさを持ちながら人にとって便利さや心地よさも併せ持つ何かというのはたくさんあると思う。

でもやっぱりある種の美しさはその時失われてしまうような気がする。

暖房の効いた部屋から見る美しい雪景色は素晴らしいけど、空気の冷たさがあってこそ『いとおかし』な気がするの。

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