柵のない草原で自由に生きる「ヨナグニウマ」に恋をした(in与那国島)①
日本最西端の島、与那国島には日本で8種類しか残っていない「日本在来馬」のうちの一種である「ヨナグニウマ」が暮らしている。
与那国島は沖縄県に属しているものの、沖縄本島よりもずっと台湾に近い、西の果ての小さな離島だ。日本語が通じることがもはや奇跡のように感じるくらい、遠い。
ちなみに与那国島は「Dr.コトー診療所」のロケ地としても知られていて、診療所のセットの中も見学できる。
そんな西の果てで出会ったヨナグニウマの話。
ヨナグニウマには「人」も「柵」も必要ない
与那国島には100頭を超えるヨナグニウマが3つの牧草地に分かれて暮らしている。
そして観光客も自由にその牧草地に入ることができる。
牧草地はどこも海のすぐそばにあった。
海と馬。音は似てるけれど、あまりない組み合わせだなーと思う。
ここまで海の近くで暮らしている馬は、国内ではここだけかもしれない。
もうひとつ他と違うこと、それはどの牧草地に行っても人がいないということ。いわゆる「係員」がどこにもいないのだ。
牧場、動物園、競馬場…今まで私が見てきた馬が暮らす場所には必ず係員がいたのに、ここにはいない。
普通の牧場や動物園にある柵も、この与那国の牧草地にはないのだ。
徹底してヨナグニウマの自由を妨げるものが排除されている、そんな感じ。
なので、普通に道路を馬が歩いている。
この与那国の自由な感じが、なんだかとても気に入ってしまった。
牧草地を管理している人はもちろんいるそうだが、日常的に様子を見に行って管理をするという感じではないようで、食べ物も基本的に「草」だけ。(おそらく水分も草から取っているのかな)
誰にも邪魔をされずに馬たちはのんびり生きている。
とは言え、さすがに馬たちが島全体を自由に移動するのはまずいので、牧草地から少し離れたとことの道にこんな仕掛けが。
「テキサスゲート」と呼ばれるこの溝の上を馬は渡れないので、これがいわゆる柵の代わりになっているという。
斜めに渡ったりすると事故につながってしまうこともあるそうなので、車やバイクで通るときは要注意!
ヨナグニウマはちょっと小さい、そしてとてもかわいい
日本古来の在来種であるヨナグニウマは、西洋にルーツを持つ馬と比べると小さく、体高はおよそ110~120cm。体重は200kgだそう。
競馬で活躍するようなサラブレッドは体高160~170cm、体重も500kgほどあるそうなので、だいぶ小柄だ。
それだけに、とてもかわいい。
彼らは牧草地で、ずっと草を食べている。
たまにフンをして、また草を食べる。
そのシンプルな生き方がまた愛おしい。
サラブレッドもそうだけど、馬の目はとっても優しい上に、クレバーな感じがするのがとても好きだ。あのうるんだ瞳に何もかも見透かされている気分になる。すべてを知った上でどんな人間でも受け入れてくれる、そんな懐の大きさ、包容力に尊敬の念を抱かざるを得ない。
(という勝手な妄想。でもきっと合ってる。)
ヨナグニウマはクールな生き物
牧草地には係員のような人がいないので、馬とどう接すればいいのか教えてくれる人がいない。
どのくらいまで近づいていいのか、驚かせたりしないのか、触ってもいいのか、声をかけてもいいのか、何ひとつわからない。。
自由と不自由さは紙一重だな…なんてことを考えながら、せっかくなので恐る恐る近づいてみる。
お食事中、失礼いたします。
ズンズン。
じーーー・・・。
・・・・・・・。
反応なし!!!
結構距離詰めたつもりなんですけど、私のこと見えてないのか?というくらい、反応がない。悲しい。
逃げられたら逃げられたで悲しいけれど、反応されないのもそれはそれで悲しい。
また本州からの観光客が珍しいもの見たさで来やがったな、くらいは思われているのかもしれない。
そうだよね…毎日のようにこんな観光客を相手にしてたらきりがないよね…。
意中の相手にアプローチをかけたものの、全然振り向いてくれず退散した感がすごい。
でも、簡単にはいかないからこそ恋は燃えるもの。
撃沈した私は、その場ですぐさまスマホを取り出し「与那国島 乗馬体験」で検索をかけたのであった。
続く。
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