未来を「画」く ・ 阿部 広太郎さん
まだ始まったばかりの2021年。どんな年にしますか?
漢字一文字に想いを込めて、教えてください。
──
気がつけば早一ヶ月…。
去る 2020年12月12日。それは私たちにとって特別な1日だった。
コピーライターの阿部広太郎さんが講師をつとめる
《言葉の企画2020》の最終回。
半年前はじめてオンラインで出会って
オンラインのまま講座を受け続けて
ようやく対面…そして卒業する。
半年前には顔も名前も知らなかった人同士で、
笑ったり泣いたり励ましたり励まされたり、
いつかまたねと名残惜しげに解散する。
その上で揺れるハンカチたち。
不朽の名作『幸福の黄色いハンカチ』よろしく、100人分のハンカチが門出を祝う。(あれ、映画はおかえりの方でしたっけ…。)
ハンカチに入っているのは、未来の漢字。
2021年をどんな一年にしたいか。
企画生(講座に参加している私たちの愛称!)それぞれに漢字を考えてもらって。みんなで投票して選んで。最後は手書きの文字をハンカチに。たくさんの協力をいただいて、かたちにすることができた。
──ハンカチに並んだ漢字たち。ばらばらに考えた漢字のはずなのに、並ぶと点と点が繋がっていくようで。最後に、一人ひとりへ漢字に込めた想いを聞いたとき、胸がいっぱいになったのを覚えている。
2020年の中でも、けっこう、ダントツで不思議な日。
これで終わり。そして始まり。
──
そんな日を前に、11月に少しお時間をいただいて
《言葉の企画》主宰の阿部広太郎さんにお話を伺いました。
──
阿部さんの2021年の漢字は 「画」
2020年、たくさん「企(くわだ)」てたから、
2021年は、たくさん「画(え)」にしたい。
いや、もちろん世の中がどうなってるかはわからないんだけど。
気軽に会って、会いに行って、帰り道は電車に乗って、またねって。
「もちろん、自分の目標でもあるんですが、《言葉の企画》に参加してくれたみなさんのモチベーションになるような漢字を。」
そう言って阿部さんが選んだ漢字。
企(くわだ)て、画(か)く
──合わせて「企画」…もうここですでに粋!
そんな漢字を選んだ阿部さんにとっての“企画”ってなんだろう。
「 企画という言葉は…
“企”というのは、つま先立ちする象形文字からきているんです。人は遠くを見て物事を考える…。
企|字源
人と、止(あしあと)とから成る。人がかかとを上げていることから、つま先立ちして遠く望む、ひいて「くわだてる」意を表す。
--出典『角川新字源 改訂新版』(KADOKAWA)
そして“画”には、かく、えがく、など実行するという意味がある。遠くを見るだけじゃだめで、それを画(か)くことが大事。遠くを見て考える。そして、手元でかたちにする。それが企画なんじゃないかなと思っています。」
人と出会うことだって「企画」
「 “企画をする”という言葉は日常的に使うものじゃないけど、なにも特別なことじゃない。コピーライターやプランナーのような職能としてあるわけじゃなく、誰しもが企画している。そう思っているんです。人と会うことも企画。料理をすることも企画。遊ぶのも企画。うまくいかなくてもいい。物事を企てること。それ自体が意味を持っている。」
企画する人を増やしたい…そういう思いで、2015年から《企画メシ》、2019年から《言葉の企画》という連続講座を開いてきた阿部さん。
●AM7:56 一通のメール 阿部さんの企画が動き出した瞬間
B&Bなどでイベントを担当している木村綾子さんへ、阿部さんが早朝ロケの合間に送ったメール。言葉の企画に繋がる「企画でメシを食っていく(通称 企画メシ)」が転がり出した瞬間の高揚感が詰まってます。
https://kikakumeshi.jp/news/article160411.html
──阿部さんの「企画」として積み重なってきた講座たち。最初は確信があった訳ではなかったそう。「画」にしていく中で気づいたこと…
多くの人は、どう転ぶかわからない
「学ぶことと作ることは近い。作る過程を共有することが、一番の学びだなと思っています。課題に向き合う真剣さ や考えを分かち合うことで、場の熱量が高まって、一人一人が変化していく。学びの場に参加してくれる、その多くの人はどう転んでいくか分からないんです。すごく熱くなるかもしれないし、気持ちが離れていくかもしれない。ただ、あなたのことを見ているよと伝えることで、安心してのめり込み、行動していける人を増やしたい。
また…「何かを企画する」ということが生きがいというか、自分自身にとって大事だということも、講座を続けることで分かってきました。」
人は目に見えるものに左右される
「だから、書いてほしい。作ってみてほしい。なんでもいいから、自分から生まれたものをひとつでも多く、増やして欲しいんです。
これを『やってきた』と思えること。どんなものでも、積み上げてきたという事実は確かなことだから…。自分から生まれたものを見返して、自信にしていってほしい。お守りみたいに。そうして、自分を信じられる人になっていって欲しい…そう思っています。」
この先が本番
「学びの場に参加するということは、はじまりなんです。参加しただけで満足して欲しくはない。
ここからあなたが始まるし、自分で歩いていけるようにならないといけない。自分がなにに対して胸が熱くなるのかを感じながら、確かな足取りで。自分に自信を持って、胸を張って、人生を大きく左右する人に出会って…そんな風に生きていって欲しい。」
もう一度また、出会いたい
「《言葉の企画》を続ける理由…究極の理想は、講座を通して、一緒に仕事する人と出会いたい。
この先、仕事や他のことでもう一度出会うことができたら、すごく幸せだなぁと思ってる。」
★★★
──「画」。
阿部さんは、《言葉の企画》という場で、私たちとぶつかり、企てをかたちにしてきた。そしてきっと「画」は、2020年に出会った「企て」を持って、2021年を歩き出す私たちへのエールだ。
私たちは、もう一度 未来で待ち合わせをしている。
すぐには会えなくても。
またねって。
2021年の始まりに、そんなことを思った。
気軽に会って、会いに行って、帰り道は電車に乗って、またねって。
阿部さんが「あなたの2021年、希望の漢字を決めよう」と、Schooで授業もされています(1月末まで誰でもご覧頂けます)
──
阿部さん、ありがとうございました! teamパピコより
聞き手:あべ まなみ(言葉の企画2020 no.3)
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