4 5人の弁護士のセカンドオピニオン
「素晴らしかったですよ。法律的にどうこうとか、訴訟のノウハウとしてどうこうというよりもあなたの人間味が出ていて、すごく良かったと思います。変な話ですが、感動しました。」
東京家庭裁判所での調査官調査を終えて、一緒に帯同して頂いた当時の代理人弁護士が真っ先に話してくれた言葉がこれでした。
私も
「やりきったな。言いたいことはきちんと伝えられたな。」
という手ごたえに近いものを感じていました。
前々回の記事で「どうやっても勝てない」と嘆いていた私の代理人弁護士。
そこから今日の調査官調査までにこれまでにいったい何があったのか。これから3回に分けてそこを記事にします。とても大切な記事で、後編については有料記事の扱いにしますが、大事なところ、有意義なところは全て無料で公開していますので、安心して読み進めてください。
前々回の記事、すなわち1回目の期日の後に裁判官の心証開示をみて絶望に襲われた僕ら2人。代理人弁護士は自分の身近な弁護士に、私は5人の弁護士にセカンドオピニオンちとして意見を貰う事にしました。1人は元検事さん、いわゆるヤメ検と言われる方。残る4人は一般的な弁護士さんです。
ヤメ検の方には刑事告訴の事について伺いたかったのです。少しずつ私も勉強を重ね、未成年略取誘拐罪が親告罪である事や、実親による連れ去りの場合は、平成17年の最高裁判決以降、刑事事件での解決が難しい状況であることを知りつつありました。
法律相談に乗ってくださったそれぞれの弁護士の意見
ヤメ検の弁護士さんは忙しい方でした。こちらの資料を読み込む時間が取れず、私が質問をしたくても、いつも彼の演説だけ聞かされて法律相談が終わってしまったり、事務所のほかの若い弁護士にバトンタッチしてしまったり…。肝心の刑事告訴の実務について、私の場合に当てはめてどうなるのかほとんど話を聞けませんでした。
続いて他の4人の弁護士に資料や時系列を送り、今後の見立てについてお伺いを立てました。みな自己紹介欄には「離婚事件」を得意とするという方ばかりです。
ひとりは職場の仲間からの紹介、残りはネットで調べて職場の近くで伺いやすいところに事務所を構えている方々です。皆さんに今後の見立てとこれから逆転するためには何が大切かを相談しました。
するとどうでしょう、4人+ヤメ検の弁護士事務所の若手弁護士さんの意見、見立てはまるでバラバラ。一致する人は誰もいませんでした。実際に期日で裁判官の心証を見ていなくとも
「この事件は非常に困難である」
とまで言い切る先生から
「権利関係から考えて、よほどの事が無い限り、あなたに分があると考えていいのではないか」
という人まで様々です。5人の意見はグラデーションのように困難←五分五分→勝てると分かれてしまいました。
ちょっと気になったのは
「勝てるかも」
と仰った男性弁護士は大して資料を読み込んでおらずに話されていた事、
「困難である」
と答えた女性弁護士はよく資料を読み込んで資料に付箋や赤線などを引いて検討されていた事です…。今後の見立てもバラバラでした。勝つにせよ、負けるにせよ、どういう道筋を辿って結果がでるか5人とも見立てが異なっていたのです。
難しい戦い
私が戦ってきたこれら親権関係の裁判に勝った後の多くの人の評価として、
「単独親権者だから勝てただけ。」
「俺も単独親権なら勝てた。」
「当職も依頼人が単独親権者なら簡単に勝たせることができますよ」
なんて言葉を耳にタコができるほど聞きます。しかし、実際はそんなに簡単な戦いではなかったのです。
母親が子を連れ去って同居親となった場合、
「父親に問題があったに違いない」
という推定というか、偏見は相当根強く、非常に大きなマイナスからのスタートになるのです。そんな状況では、いくら親権が自分にあって相手に親権がなかろうが、「それなら変更してしまえばいいじゃないか」というのが東京家裁の示した方針でした。
本当にとてもシンドイ状況だったんですよ…。なかなか同じ経験をしたことがある人が少ないので共感を貰えませんが、私も子を奪われたほかの皆さんと同じくすさまじいストレスでした。
5人の弁護士の相談を十分に精査した上で
「勝つのが困難」
だと一番辛口の見立てをしてくださった先生に
「どうすればいい?こんな状況でも逆転するとしたら何をすればいいか?」
と私は問います。彼女の答えは
「調査官調査が鍵でしょう。ここで大きく状況を変える事ができればひょっとしたら勝つ見込みも出て来るかも知れません。」
…なるほど、調査官調査か。そこに全力を注げばいいのだな。
光が見えたわけではありませんが、道筋、方向性が見えた気がしました。
厳しい見立てだとしても調査官調査をなんとかすれば道が見える可能性があるのです。そこに全神経を注ぐしかないと思いました。
代理人弁護士が周りの弁護士に相談した結果も同じでした。調査官調査に全てが掛かっていると。
これで私と代理人弁護士の方針が固まります。
“調査官調査に向けて全力で準備をする”
調査官調査へ向けて
改めて過去を振り返ってみても強く思います。僕ら当事者ができること、それはもうほぼここしかないと言えるでしょう。
“調査官調査”
子の親権者や引き渡しを決める家事手続きの肝がここだと断言できます。
調査官調査は、基本的に代理人弁護士の対応ではありません。当事者が対応 する必要があります。
ここは完全に当事者の仕事なのです。
しかし、大きなチャンスでもあります。裁判所側の人間に自分の人となりを知ってもらうとても大切な機会だからです。
調査官も人ですからいろいろな方がいます。立派な人となりの方もいれば、偏見を持った方もいるでしょう。私やあなたとの相性が合わない人もいるかもしれません。
私は過去に8人の調査官とお話し、調査などを受けてきました。そのうち7人にはそれぞれになんとかそれなりに理解を貰えたと満足しています。もう一人はまた別に述べますが、あまり理解を貰えませんでした。
「あの人が親権関係の裁判で勝てたのは調査官ガチャでスーパーSSレアを引けたから成功しただけ」
と言っている人がいると聞いた事もありますが、果たして「運」だけで、8人中7人もガチャに成功するものでしょうか。もちろん運が影響していることは否定しませんが、私はある程度のノウハウがあるものだと思います。
これからも記事を追加していきます。感想やリクエストなどありましたらTwitterでお知らせいただけると大変励みになります。
よろしくお願いします。
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