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第三回書き出しコロシアム【2nd set】、また遅ればせながら全感想
この記事は小説企画『第三回書き出しコロシアム』の、単なる一読者による感想です。
ネタバレがありますので、未読の方はご注意下さい。
各作品のタイトルのそばに、作品の本文がリンクしてあります。すぐに読みに行けますので、よろしければご利用下さいませ。
第三回書き出しコロシアム2nd Set!
#書き出しコロシアム
— 書き出しコロシアム 運営アカウント (@Genbu_KIKAKU) November 23, 2024
これより2nd setを開催いたします!
投票受付期間は以下の通りです!
11/23(土曜) 20:00〜11/30(土曜) 18:00
何卒よろしくお願いいたします!
会場URL↓↓↓https://t.co/QDasPz3FwL
企画会場リンク
第三回#書き出しコロシアム【2nd Set】会場(小説家になろうのページに移動します)
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/
感想について
2ndSet投票結果、およびFinal Setの第3話は見ない状態での、2nd Setの第2話を読んだ感想です。
リアル多忙につき、また間に合いませんでした。
準決勝の5作品と、敗者復活戦の投票先と候補の4作品の感想が中心です。
敗者復活戦の残り7作品も、少なめですが書きました。
実績無し、Web連載完結作品も無い(ので、無いのは悲しいなと、続きを書いたり準備してる)アマチュア小説書きの個人的な感想です。
単なる私個人が読んでどう感じたか、どう思ったかが書いてある、主観的な感想です。だいたい以下の感じです。
第1話の最後での期待を前提とした、第2話の内容について。
第2話の良かった、面白かったなど、印象的なところについて。
第2話の最後の部分で、第3話にどんな期待をしたか。
筆者の個人的な好みだけで、ここが良かった、面白かったといった興味を惹かれた点について述べたり、個人の感覚で、読んでいてどう感じたり思ったりしたかを述べたりしています。
第1話からの期待と、実際の第2話で感じた点を比べたときに『期待と違っていた』というマイナス点が述べてある場合があります。
苦手な方はスルーしてください。
いちおう何でも読める方ですが、個人の好みの傾向、ジャンルに対する知識量によって、解像度が低くなっていることもあると思います。
違うと思ったところは無視してぽいぽい捨てちゃってください。
感想の内容について、ご不快に思われるなど、何かありましたら、こちらのマシュマロに作品名でご連絡下さい。削除訂正等の対処をいたします。
2nd Set投票先
◇準決勝投票先◇
※投票しなかった理由も書かれているため、作品に対して否定的な内容も含まれます。
うらみあい
奇遇仙女は賽をふる ~悪鬼悪女討伐伝~
Sランク探索者のぜんぜんのんびりできないドラゴン牧場経営
まず『うらみあい』は、期待どおりの内容、1話とはまた違った形で感情や感覚に訴えてくる語りの力、わかりやすい情報提示などで、決定しました。
次に『奇遇仙女~』が、2話になってぐっと面白くなって楽しく読めたので、決定しました。
『「一日勇者になろう!」』は、私自身が2話に期待していた内容ではなかった点と、謎にまつわる情報を示す部分が多く、今現在のドラマ、外的な行動の進行が他の作品より弱かった点から、投票先から外れました。
『贋作公主』と『ドラゴン牧場』の2つのうち、どちらにするかで非常に迷いました。
どちらも2話に期待していたものを読ませてくれ、それぞれに面白く、ジャンルや内容、キャラなどへの、個人的好みの度合いも同じくらいです。
中華料理とでっかいハンバーガー、どっちも美味しいし食べます。
けっきょく、主人公がより能動的で出来事がアクティブな『ドラゴン牧場』を選びました。
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推し票は『うらみあい』に重ねて入れました。
1st Setの結果などを見ると、やはりホラーは苦手な人もいるようですし、一般性の面で厳しいところがあるので、応援したくて入れました。
◇敗者復活戦投票先◇
※投票しなかった理由も書かれているため、作品に対して否定的な内容も含まれます。
幻獣牧場の王 ~不器用男のサードライフは、辺境開拓お気楽ライフ~
Flight to Chaos
2票目がむちゃくちゃ迷いました。1stSet投票先の『Flight to Chaos』『失意の龍操士と霹靂』に加えて、1stSetでも迷った『奥村さんちのガーディアン』がぐっと面白くなっていたからです。
一般エンタメ、独自ファンタジー、SF。どれも面白い。どれも好き。票数が許すなら全部入れます。でも選ばなきゃいけない。となるとマイナスポイントを比べ合うことになります。嫌な作業でした。
難しかったです。たしかに、気になる点みたいなところはあるのですが、面白い、好きだと感じているとき、多少の技術的・構成的な面のアラみたいなものは大して問題にならないからです。
穿った目で見比べた結果
『失意の龍操士と霹靂』1話から期待したエレアさんとの会話が終わったあと、後半のぐっと盛り上がる事態が起こるまでの間がやや退屈。
『Flight to Chaos』後半の操縦席のシーンに若干するっと呑みこみにくい面はある。
『奥村さんちのガーディアン』撃退シーンはコミカルで爽快で面白かったが、方策・内容自体のアイデアは普通と言えば普通。
……ケチつけてるみたいで、嫌な作業でしたよ、まったく!!!
考えて比較して『だめだ、もう眠いし、頭が疲れて鈍ってる。明日起きてからスッキリした頭で考えて決めよう』と寝て起きたら、うっかり投票を忘れてしまうところでした! あと30分! 危なかった! 運営様のリマインドポストに大感謝でした。
(寝れば頭はスッキリするが、一日が再スタートすれば、また一から色々やるべきことがごちゃごちゃ出てきて押し流してくるという)
時間が刻々と過ぎていく中、何度もぐるぐる変更したあげく、内容の個性の強さや興味深さ、語りと展開の面白さ、内容のアクティブさなどから総合的に『Flight to Chaos』を選びました。
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推し票は『幻獣牧場の王』に重ねて入れました。
投票先迷った作品に入れるか、ここも散々迷いました。
1st Setの結果を見ると、推し票が順位の後押しとして効果を発揮していたので、やっぱり『幻獣牧場の王』に頑張って欲しくて応援することにしました。
準決勝作品の感想(◇が投票先・ネタバレ有)
Sランク探索者のぜんぜんのんびりできないドラゴン牧場経営 ◇
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/2/
タイトルあらすじも含めて、Web小説の見本のような仕上がりで、第1話からこれは強そうだなと思っていましたが、投票結果も予想以上に強かったです。
1話の最後で示され、期待したとおり、第2話はダンジョンが舞台になりました。冒頭からドラゴンとの激しいバトルが繰り広げられ、S級探索者としてのリガさんの実力の高さがわかりました。
主人公リガさんの、目的を阻むものをどうするか以外でいっさい悩まず、やりたいことのために突き進む姿勢とパワーは、2話でもブレていません。
第2話でも、リガさんの勢いにはまったくブレがなく、強大なドラゴンにも、本来なら宇宙一のダンジョンマスターさんにも阻まれることなく、目的のために突き進みます。
主人公の欲求に基づいた動機と、目的、そのための具体的行動がはっきりしている
&
目的へ向かう行動に対して、次から次へと厄介ごとや困難が立ちふさがり、時に失敗しつつ都度解決していく構成
創作論・技術書で超定番の、ベーシックな強い仕組みを達成しています。
第2話では主要キャラと思しきダンジョンマスターさんが出てきて、この世界におけるダンジョンの仕組みも説明されました。ドラゴンの存在が、ダンジョンと深く関わっている設定が面白いです。
ドラゴン肉、乱獲状態だったとは! 乱獲できるほど腕の立つリガさんがすごいですね。膨大な資源を枯渇されたダンジョンマスターさんがとっても気の毒です。(笑えるけど笑っちゃ気の毒)
第2話の最後ではドラゴンの卵が出てきて、次からは育成・飼育に奮闘しそうです。定番的には、生まれたベビーが懐いたり、可愛がってすくすく育てたりしますが、情が湧いたら美味しく食べづらいので、目的がブレる以上、無さそうです。
殺さずしてドラゴン肉も食べるという、ベニスの商人みたいなことになるので、遠慮なく食べやすい感じのドラゴンで、またうっかり殺さないようにしたり、腕づくでやりあう感じかなと思いました。
贋作公主は真龍を描く
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/3/
第1話の最後で期待したとおり、第2話ではなぜ贋作が必要なのか、その背景事情がくわしく語られました。また、彩玉さんの秘密のプロフィールも語られて、情報面が整いました。
秘密のプレゼントだから大丈夫、と言われても、なかなか危ない橋だと感じました。どこかで何かの拍子でもしバレたら、稼いだプラスがマイナスにひっくり返りそうで、彩玉さんを油断できない状況に追い込んでいます。
オリジナル作者がまだ生きている状況も意外で、のちのち厄介ごとを呼び込みそうです。
女性向け中華ファンタジー定番の陰謀や政治、その設定も細やかで、リアル中国のネタを活かした丁寧なつくりです。文章もわかりやすく艶があり端整。これだけうまい方が、もし書籍化作家様じゃなかったら、驚きです。
箸の上げ下ろしまではいかないまでも、侵略国の皇子は何一つ気にくわないという感情が、他の説明や描写内に細かくちりばめられているのが面白かったです。彩玉さんじゃなければ、地位も見た目も能力も高い魅力的な相手役なのに!
ヒロインよりも常に上手で、地位も力もあり、命令に従わせてくる『強引な支配』タイプで、想定読者には『ちょっと強引で素敵』と映ると思いました。
設定的にはロミオとジュリエット的な間柄なのに、彩玉さんの好感度の方は超低空飛行というギャップも、いずれこのツンツンが逆に切り替わっていくんだろうな、と予想しました。
第2話の最後で依頼を引き受けたので、第3話ではその贋作作りに入るのか、依頼を引き受けた裏で、復讐のための作戦を展開するのか、それとももう完成して渡してからの展開かなど、贋作依頼を巡る動きを期待しました。
「一日勇者になろう!」 ~吟遊詩人(アイドル)の私が一日で魔王討伐まで目指す話。い、一日だけなんだからね!~
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/4/
第1話のラストで期待した魔王討伐RTAはまだ始まりませんでした。エリナさんの覚えのない記憶、謎にまつわる出来事でした。
RTAは、1日で魔王討伐ができるか否かではなく、謎の多いエリナさんの記憶にまつわる何かを解決するためには1日しかない、そういったタイムリミットかもと思いました。
第1話では、生まれ変わりかなと思っていましたが、第2話を読んで、記憶喪失よりはループ物かなと感じました。
第1話に続いてエリナさんが可愛いです。すべてが全体的に可愛いです。何て言うのか、すべての言動とかリアクションとかに柔らかなかわいらしさを感じて、好感度が高いのです。何をしたからとか、ここがこうだからなど、キャラ造形的な理由も挙げられますが、むしろ存在自体が可愛い、のです。
可愛いだけでなく、記憶が抜け落ちてよくわからない状態でも、魔力暴走したロザリアちゃんを勇敢に助けたり、安心させようと笑ったり、抱きしめたり、本当にいい子です。
聖剣が使えたので、本当に勇者なのか、勇者だったのかするようで、アイドルと勇者、資質が一部重なる感じで意外と似てるかも?と思いました。
ロイ王子の妹ロザリアちゃんの急激な変化や、王子の謎めいたセリフなど、謎に関わりそうなピースが色々出てきて、どういうことか気になります。
第2話のラストで見つかった魔王討伐のための仲間の人は、いったいどんな人なのか、会いに行ったら何が起こるのか期待しました。どうやら謎にかかわっていそうな感じの人なので、謎の答えが一部でもわかるといいなと思いました。
奇遇仙女は賽をふる ~悪鬼悪女討伐伝~ ◇
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/5/
第1話の最後で期待したとおり(期待したというと凌華さんに悪いのですが)分の悪い厄介な状況での勝負になりました。やはり凌華さんには悪いのですが、面白い勝負になりそうで期待が高まります。
凌華さんと喜媚のやりとり、首飾りを尻尾に引っ掛けたところが面白かったです。
そしていよいよ妖妃を封じるための贅沢な宴、顔が良い男しか参加できないのにちょっと笑いました。妖妃でもイケメンが目の保養になってもてなしになるんですね。
玄布さんとの札勝負では、札を取るたびに質問をかわすのが、勝負の緊張感と、男女の駆け引きとの混合で、なんとも色っぽくて良かったです。
また、質問と答えが、読者への情報提示になっていて、世界観や、二人の背景や事情などが自然に語られて、物語としても展開していくのが巧みでした。
妲己さん登場で、空間が変化するのが画的に幻想的でかっこいいです。封神演義でおなじみの名前が出てきて、わくわくしました。
勝負は、負けイベントかと思ったら、勝ちました。意外でした。(取った札の枚数が凌華さんより多ければ勝ちなので、同数だと玄布さんの負けでいいんですよね? 間違ってたらすみません)
なぜ出会うはずがないのに出会ったのかも明かされてすっきりしました。奇遇で結ばれているのが妲己さんだとすると、凌華さんを困らせてくる妖妃の魂が恋敵になる可能性もありそうです。
今はまだ玄布さんとはそういう感情でも仲でもないですが、恋敵の方が正当な運命の相手であり、自分は本来会うことさえなかった相手という、対立要素になりそうです。妲己さんから解放されたら、厄介ごとは消えるけど、もう会えなくなっちゃうジレンマとか。
中華で幻想的な世界観や雰囲気、華やかさ、派手さ、色っぽさ、勝負の緊張感など、ファンタジーな面白さも物語的な面白さも両方楽しめ、内容がリッチな第2話でした。
玉石琵琶精を見つけるという新たな目的が設定されて、勝負後の凌華さんと玄布さんはどうなるのかなど、第3話も面白そうで期待しました。
うらみあい ◇
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/6
第2話はどう続くのかな、1話の続くでもどっちでも面白そうだなーと期待しつつ読んだら、友達が消えた男性の方の話になりました。深澤さんには悪いのですが、別の怪事件への期待が高まります。
のっけから血みどろの恐怖だった第1話と違って、ありふれた日常的な、のどかな田舎のトーンで始まりました。出だしだけで、深澤さんの状況や、舞台が田舎なことなどがさくさくとわかりやすいです。ごく平和な「配達行ってきます」だけで、配達先で何か起こるぞとドキドキし「こんな住所あったっけな」な村が出てきて、ギャー、待ってました、来たー、です。
怪しい集落が! きっとホラーな村が! 出てきました! 深澤さんはごく普通に配達の仕事をしていて、まだ何も出て来なくても、気をつけて後ろ後ろ! という気分です。
幸い、怪しい女性に会っただけで、何ともありませんでしたが、何とも不気味に怪しい声がして、うわ、何かある、何かある! とぞわぞわします。
ちょろっと挟みこまれた深澤さんのマザコン?疑惑、微妙というか絶妙にキモいですね。まだ独身ならともかく、田舎から都会にわざわざ定期的に煮物送ってきますか!? 産地が限定的な地元野菜や食材、季節の郷土料理とかならまだしも。
そして幼馴染の栄太さんが来て、リアルPOV方式ホラー動画視聴の始まりです。浦稀男さん、セリフがお人好しっぽくて好感が持てる人だったので、あの最後は可哀そうでした。(ちなみに、コレ書いてるの家族が寝静まった夜中なので、作品を確認するときも、怖いのが出てくるとわかってるところは目を細めてばばばっとスクロールしました)
動画も怖いんですが、深澤さんのお父さんも別の意味でコワイ! 栄太さんの件は、そっちの始末的な感じだったとは! ラストがサッと終わっているのもまたコワイ!
1話は都市伝説・怪談的な呪いの、2話は村や因習系の怖さが出てきて、どう関わってくるのか、どのような事態なのか、まだわからないままに怖くて、知りたくなります。
次回は、また悠人君の方か、あるいはまた違う面なのか。
夜に一人だと読むのは怖いですが、まだ大丈夫、夜でも人の気配がすれば読めました。第3話も読みます。楽しみに待っております。
敗者復活戦 投票作品・投票候補作品の感想(◇が投票先・ネタバレ有)
Flight to Chaos ◇
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/8/
第1話の最後から自然に続いての機内のシーン、期待どおりですんなりと入れました。
今回一番笑ったのは、久我さんの変態発言モドキです。久我さん自身は大真面目で、純粋な正義感からの行動なのに! また、子供と真顔で会話する久我さん、面白いです。
また、オタク巨漢黒人のダグさん、二座席が要るほどデカかったとは! 久我さんは、そんなでっかい人をビビらせていたんですね。
松永さんと機長との会話シーンは、予想と違って、久我さんをさらに孤立無援にするものでした! 情報共有や、なんらかの指示、バックアップ体制の設定など、プラス的に考えていたら、久我さんは情報から遮断されて、コンタクトを取る道も絶たれてしまいました。うおお、そんな!
意外な事実が明かされていく機長と副機長のやり取り、その緊張感。しかも、もうハイジャックされてたなんて! さらにピンチ!
あらすじに出てきたメンバーもすべてそろいました。
特に気になるのはエミリーさんです。コックピットのやり取りから、久我さんに対して、乗務員を通じた連絡等はありえないのにコンタクトし、少しでも武器になるものを渡してきました。怪しいというかうさん臭いというか。
また、四海母子のお母さんも、チーフパーサーが安全確認をしたとはいえ、見知らぬ久我さんの隣に子供を座らせたあたり、何かありそうです。
飛行機は悪の組織の思惑でどこかに向かわされるようですが、悪の副機長スコットさんには、それとは違う目的があるような感じです。ターゲットということは暗殺でしょうか? 手強いという望みが叶えられるということは、久我さん??
いよいよ混沌のフライトの本番となりそうな第3話に期待します。機内でどんな出来事、アクシデントが起こるのか、久我さんがどう対処するのか、期待しています。
奥村さん家のガーディアン
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/9/
1話のラストでは、アイ子さんが強盗を無事にどうにかできるのか、何か問題(やりすぎて危険視されるとか、頑張っても守り切れずに奥村家に傷が残るとか)が起こるのか、どうなるのか不安がありましたが、どうやらそういう展開は無さそうだとわかり、安心しました。
セキュリティロボといっても、戦闘能力は無かったんですね。でも代わりにネットワークで制御できる家中のすべてを自在に操れるので、小規模ながら人工知能の反乱・無双シチュ。これはもう勝ったと思って、アンハッピーな心配は消えました。あとは強盗どもがやっつけられるさまを楽しむだけです。やれやれ~! な応援気分です。
家電を使った強盗退治は、コミカルで面白かったですが、これは一歩間違うと人工知能の反乱、人類を襲うホラーのシチュと同じですね、アイ子さんや姉妹の皆さんが人類への『愛』を感じているから安心して見ていられますが。
とはいえ、今回が強盗撃退編、次回は変態教師駆逐編(駆逐!)と、愛を理由とした過激なコミカルさがまた楽しめそうで、人工知能の敵対や危険視といったシリアス要素は無さそうで、安心しました。
2話に入って、アイ子さんと姉妹の皆さんがさらにパワフルに自我に目覚めて、盛りあがってきました。
サブタイトルから、3話では春太君にピンチが訪れそうですが、アイ子さんがそんなの許すはずもないので、どう駆逐するのかを期待して待ちます。
失翼の龍操士と霹靂
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/12/
第1話で引きになっていたエレアさんとの話からの始まりで、すんなり入れました。
ソロさん、同期の人にむちゃくちゃ恨まれてますね。ざっくりと説明していますが、仕事や生活など、色々な面で邪魔されて、今イチな方へと流される、行かざるを得ない羽目になったこともあるのかなと思いました。
今後も敵対しそうな人たちの存在と、昔の伝手という味方でありそうな存在、今回のエピソードがひと段落ついたあとに関わってきそうです。
第2話は、死んだはずの相棒龍の生まれ変わりというありえない出来事が、本当に現実だと呑みこむ段取りとなりました。
読者はエレアさんが嘘をついていないとほぼ確信していますが、ソロさんにしてみれば、あまりに信じがたく、また、許しがたい嫌がらせとしか思えないという現実的な把握が示されています。
嘘だと思っても、許しがたい地雷を狙ってきたと思っても、怒ってエレアさんを責めたりせず、悪いのは同期だと分けて考えて気を使っていたり、龍関連では諦めようとして心を凍らせている面もあると思われますが、ソロさんは社会的に自制が効いていますね。
経験と年月から丸くなった可能性もありますが、天才時代も嫌な奴ではなかっただろうと思えます。
ノエシスが生きていたころの思い出の夢は、とても輝いて生き生きとしていて、空や風の描写が美しかったです。能力に裏付けされているとはいえ、天才として向かうところ敵なしという感じで、そこらへんが、ソロさんの自覚以上に同期に嫌われたり、墜ちた天才としていい気味扱いされたのかなと思いました。特に見下す言動をしなくても、遥か上に居るだけで加害者になるパターン。
そして後半~終盤では、魔力嵐という大ピンチが発生、ドラマチックな期待が一気に盛り上がりました。
龍操士でなくなっても、できることをして対処しようとする、そんなソロさんだからこそ、ついに感情を爆発させても共感します。すぐにまた制御しようとするのも、絶望が深い。
そんな、二度と取り戻せないはずのものが戻ってきて、舞台も整って、これは劇的になりそうだと感じました。
第3話は、龍操士がどのように魔力嵐に対応するか、飛行アクション面、また、これまで制御し、圧縮されてきたものが解放されるような、ソロさんの再生と活躍を期待しました。
幻獣牧場の王 ~不器用男のサードライフは、辺境開拓お気楽ライフ~ ◇
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/15/
出だしから、柱にしがみつくケイトさんが可愛いです。また、今まで暮らしていた町が、けっこう便利でいいところだったのもわかって笑いました。
さっそく候補地の品定めをする旅に出る展開は、第1話を読んだ期待どおりでした。
旅のなかで、メインの話の本番の前に、辺境開拓ライフと幻獣牧場経営のための情報が、自然な流れのなかでわかりやすく組みこまれています。
文章どおりの意味だけでなく、それが示す別の意味が織り込まれている、サブテクストを読みこんで入りこめる文章は、非常に筆者の好みだったりします。しかも、シンプルで読みやすい!
魔獣を呼び出しての、魔獣素材を利用したクラフト・ビルド的作業が特に面白かったです。ケイトさんのツッコミのとおり、地味にチートで、やろうと思えばいろいろできるしどうにかなるしで、タイトルの辺境開拓お気楽ライフの一端をさっそく楽しめました。
魔獣を利用した具体的なディティールが、ファンタジー的に面白く、他の魔獣や幻獣の力を借りたときには、どんなディティールで何ができるのか、期待しました。
『できること』のカードも示されて、辺境の牧場経営の初期段階が設定されたところで、さっそくお客様第一号のエピソード!
訪れたくだりの描写から、領土持ちの貴族(=お金のあるお客になりそう)だけど、性格は真面目な感じでいい人のようで(=面倒ごとや厄介の心配はなさそう)、これは最初のケースとしてなかなか悪くなさそう、と、読者として品定めできるようになっています。
また、ギルド長バンスさん経由の、今後のお客や依頼の導線ができているのも示されました。(まだ疲れているエルンストさんには、まだちょい有難迷惑みたいですが)
第3話では、バートン男爵の依頼の詳細や、その解決を期待します。ひざを庇う、緊急であるらしい、今生の別れなどの情報から、何か切ない、悲しい事情がありそうで、でもそこをできる限り幸せに解決して欲しいなと思いました。
敗者復活戦作品の感想(ネタバレ有)
保護したおじさんの中から美少女宇宙人が出てきた
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/7/
第1話の最後では、ウーリャさんが指名手配になって、かなりヤバいことに追いつめられるかと思いきや、けっこう世の中の反応はゆるっとしていて、今すぐ危機が迫ることもなく、安心しました。
ウーリャさんの事情、過去の回想が悲しいです。敵対者のヴラードルが実に憎ったらしかったです。
筆者はこういう、自分の力を振りかざし、弱い立場の存在を搾取したり虐待したりする悪者がとことん憎たらしいので、こんな奴には、生きながらに社会的にも肉体的にも感情的にも徹底的にくまなくボコボコに敗北させて欲しいと期待しました。
春樹君とウーリャさんは、手を取り合って運命に立ち向かう、おお……! という流れからの、いつのまにか地下格納庫だったり、SNS大喜利大会だったり、日本の絵描きの反応が早かったり、ゆるっとした笑いを醸したところでいきなり消し飛ぶモスクワ。コメディとシリアスの振り幅!
終盤は、まったく予想もつかなかった展開でした。う、ウーリャさん? しかもこれが反撃手段……!?
いったいどうやって反撃に結びつけるのか、第3話で明かされるのを期待しました。
かがやき損ねた星たちへ
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/10/
第1話からのラストを引きつぎ、公安に加わる自然な流れで始まった第2話は、吉永さんのですます調の地の文の語り口が、いっそう面白く冴えてきました。ツッコミや表現が細かく面白かったです。
志村さんとのトリオになって、癖の強い面白会話も弾んできました。私怨で左翼活動家を嫌って公安に行った志村さんが面白すぎます。
以前、書き出し祭りの感想で、文やセリフをピックアップして組み合わせた画像にしたものがありましたが、あの形式で映える感じの、目を引く面白い表現があちこちにありました。
『志村の嫌味は、味方だと心強いものです』『この男に東京の治安を任せていいのでしょうか』『私怨で公安に入った男は言うことが違います』が特に好きです。
後半の、犯人の出身地を推測するくだり、昭和ネタを組みこんでの謎解きの過程が面白かったです。
公安の指示を離れて動いた結果、公安より進んだ成果を上げて、でも志村さんのためには警察には連絡できないけど、他殺体が出ている複雑な状況。
どうやら第3話では、普通に捜査を進めるわけにはいかないのに事件の真相に迫っていくような、奇妙でややこしい事態になりそうです。
魔法好きくんの流され最強譚~平凡教師の悪夢を添えて~
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/11/
第2話は、1話から連続してのラーシュ君の旅立ちのあれこれが語られ、お姉さんやお母さんとのわだかまりを解いてほっこりしたあとの、
前世(?)の夢、怖ええええええ~~~~!
これは叫びます、うなされます、騒ぎます。平凡でも教師として真面目に生きてきたのに、この最後はあまりにもひどすぎる! しかも、教師のくせに何か邪悪な悪事を企てていたクソヤローに殺されてしまうなんて……!
ぬけぬけと思いどおりに生存させず、なかなかエグいざまみろな形で道連れにできただけ良いんですが、平凡教師さんにとってはちっとも良くない!
おそらく教師さんはラーシュ君の前世だと予想しましたが、この事件が、この先いったいどうつながってくるのかが気になります。
第3話では、ラーシュ君がどこに行って何をすることになるのかがわかり、魔法使いへのルートが示されることを期待しました。
深窓令嬢の真相
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/13/
第1話からの期待どおり、第2話からは新エピソードが始まりました。マリさんは、社交界に慣れるためにサロンを開かされているみたいですね。
見た目良し身分良しマリさんの理解と世話もばっちりな新キャラベルナールさんが登場し、ちょっと恋愛要素も入ってきそうです。
今回も、サロンに持ちこまれた小さな謎が、1話完結で解決し、スッキリしました。伯爵様が無事救出されて良かったです。
マリさんが言わんとしていることを翻訳してわかるベルナールさん、ぴったりの相手役です。
2話の最後では、1話で解決したと思っていた事件の後日談、続き的な展開が始まり、小さな謎解きだと思っていた事件が少し大きくなった印象です。どうやら普通のお茶会ではないか、何か起こったぽいです。第3話の謎解きは少しスケールアップしそうだなと期待しました。
官能小説家『海堂院蝶子』は俺のクラスの委員長である
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/14/
第2話では、第1話で期待したとおりの、アシスタント活動と蓼科さんとの交流が楽しめました。
官能小説についての話題、露骨めなエロいネタが飛び交っても、高木君も蓼科さんもとても真剣に考えていてエロくないというギャップが面白かったです。
小説の筋立てと、ヒロインの胸の大きさについて意見を交わすところが特に面白かったです。『爛れた関係』には顔だけでなくもう一押し!
また、どんな濃厚な小説よりも蓼科さんの表情の方が『グッとくる』という述懐が、ラブコメとしてとてもいい感じでした。
高木君は蓼科さんに感嘆や敬意を抱き、蓼科さんは高木君を評価し感謝を抱いている、お互いを立てている気持ちがあるのが良かったです。関係性に品があるというか。官能小説で繋がってるのに!
第2話の最後では、あらすじに出ていた卒業式の話が出てきて、これはもっと先のことだと思っていたので意外でした。卒業したら委員長じゃなくなってしまうので、短めの作品なんでしょうか。
第3話では、あらすじで語られていたバッティングのトラブルをどうにかする話になるのだろうと期待しました。
転生☆お嬢様育成ゲーム!プリンセス系になりたい私vsパンク系に育てたい転生プレイヤー
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/16/
な、オタクに優しいギャルならぬ、変態に優しいJK!
世の中は平和だけど、キングスコート公爵家の中では『えらいこっちゃ、戦争や……!』なのかと思っていたら、幸せそうで平和でした。
1話からの予想を、とても良い形で裏切られました。
オリビエさん視点の語りから、前世の事情もわかり、そう身勝手な変態ではなかったのだと安心し、今度は幸せになって欲しいなあと思いました。
オリビエさんは、自分よりミーティアさんの好みを尊重してくれるようだし、多少の?変態発言も、ミーティアさんは、優しくて美少年のお兄さまだからと気にしないし、仲良くやっていけてよかったです。
赤ん坊から育っていく新たな人生を、思いきり楽しんで幸せになってるミーティアさん、明るくて前向きで好感度が高いです。オリビエさんの回想に出てきたのはおそらくミーティアさんの前世で、前世でいっぱい愛されてたんだろうなあと感じました。
救いの天使、というには愉快な思考回路なんですが、懐が深くて、オリビエさんの救いになりそうです。
第3話は……ついにオリビエさん好みのパンクアイテムで装うことになるんでしょうか? ミーティアさんもオリビエさんも、新たな家族ともども、仲良く幸せに暮らして欲しいです。
死と神男子は眠り姫を目覚めさせたい
https://ncode.syosetu.com/n9145jt/17/
第1話のラストだと、次は時間が進むかと思いましたが、リアルタイム進行で始まりました。
第2話は、本心をひたすら押し隠して未亜さんとの関係を維持しようとする識途君の、非常に複雑な心理状態が、綿密な描写で語られています。
高身長にマントにワイドパンツ、颯爽たる洋装の古都音おばあ様カッコいいです。ピアスのプレゼントは、何かローファンタジー的なアイテムかなと期待しました。
識途君の未亜さんへの気持ちは、秘めたる片想いだと思っていたので、恋人関係になりたいわけではないというのに驚きました。恋愛よりも複雑で哲学的な感じの、唯一無二の存在でありたい、あり続けたいといった意味のようです。
おばあ様のセリフにあった、識途君は未亜さんの理想を続けられても、未亜さんは識途君の理想ではいてくれないという、維持しきれない危うい壊れ物のような関係性に、識途君の全精神が注ぎこまれているんだなと感じました。
第2話の最後で、未亜さんが大変なことになって、おそらくはタイトルの眠り姫が回収されて昏睡状態になるのではと思われます。
第3話では、眠り姫になった未亜さんを助けるために、あらすじにあった井戸や神代の話が出てくるのではと期待しました。
後書き
第三回書き出しコロシアム、1st Setに続いて、2ndSetでも大変勉強させて頂きました。ありがとうございました。
今回もっとも勉強になったのは、前の話からつながり方でした。
前話から時間が連続するタイプ。
前話からの引きや橋渡しでシンプルにつなぐタイプ。
→つながりは自然で難易度も低い分、刺激は少ないので、次の面白さを要求されがち。
前話の引きからの帰結だけれど、少しひねったりずらしたりしてつなぐタイプ。
次話冒頭から仕切り直すタイプ。
→期待とズレる可能性、うまくつながるかなど、難易度は上がるが、刺激は多く、冒頭から面白さを出せる。
うまく言語化できてないですが、デフォルトでシンプルなわりに、読者の評価への影響力が強い要素だなと感じました。
また、投票のために徹底的に比べたり、感想を書きながら面白さに注目したことで、プラスになる要素がわかってきました。それを言語化したら。
リアルタイムで展開する。
五感や感情が刺激される。
新鮮さや意外性を感じる。
主人公が能動的に行動する。
物理的でも心理的でも状況でも、何か動きや変化がある。
動きや変化は、主人公の能動的な行動が作用した結果である。
動きや変化は、物語の展開に作用する。(ルートやパラメータが変動する)
何のことは無い、技術書や創作理論でよく言われてる内容と一緒でした。
しかし、こうすると面白くなるの逆、面白いところはどうなっているのかという解析で、より実感できました。
普段、色々な作品に対して解析も評価もしますが、おもに普遍的な構成や構造、情報処理など、技術面の分解作業が多く、感情や感覚にどう訴えたかはあまり言語化していませんでした。(要は、自分一人の感性に過ぎず、万人向けでも何でもないため)
面白いところはなぜ、どう面白いのか、ある程度は言葉にしても、ここまで突き詰めて理由まで分解してガン見するような読み方はまずしないので、とても勉強になりました。
書き出しコロシアム運営様と、各作品の作者様に感謝いたします。
参加者の皆様、2ndSetお疲れさまでした。第3話も全部読ませて頂きます。
更新履歴
◆2024/12/02 記事公開。
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