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第三回書き出しコロシアム【1st set】全感想、遅ればせながら。
この記事は小説企画『第三回書き出しコロシアム』の、単なる一読者による感想です。
ネタバレがありますので、未読の方はご注意下さい。
各作品のタイトルのそばに、作品の本文がリンクしてあります。すぐに読みに行けますので、よろしければご利用下さいませ。
第三回書き出しコロシアム1stSet!
それではこれより第三回 #書き出しコロシアム 1st Set を開催いたします!歴戦の猛者たちの珠玉の作品をどうぞお楽しみくださいませ!
— 書き出しコロシアム 運営アカウント (@Genbu_KIKAKU) November 15, 2024
1st Set の投票期間は 11/15 20:00 ~11/23 18:00 まで!
沢山のご投票お待ちしております!
リンクはこちら↓https://t.co/lccgz3H85w
企画会場リンク
第三回#書き出しコロシアム【1st Set】会場(小説家になろうのページに移動します)
https://ncode.syosetu.com/n3457jt/
1st Set投票先
単純に自分の好みだけで選びました。
※推し順
幻獣牧場の王 ~不器用男のサードライフは、辺境開拓お気楽ライフ~
1setの最推しです。他者に優しい主人公エルンストさんへの好感度が高いです。幸せになって欲しいと応援したくなりました。みんなで幸せになれる道を目指すのもすごく良いです。また、幻獣や魔獣の能力による細かなディティールや、独自の出来事が期待できます。
「一日勇者になろう!」 ~吟遊詩人(アイドル)の私が一日で魔王討伐まで目指す話。い、一日だけなんだからね!~
タイあらだけで面白いアイデアがいっぱいで笑ってしまい、本編を読めばエリナさんがとっても可愛い! さらには笑いだけでなく、ちょっとシリアスな謎も隠れているようで、期待できるところがいっぱいです。
うらみあい
濃厚な闇を感じるホラー! 冒頭の血みどろドバグチャから、この話の世界や次元のようなものがドーンと伝わってきて、展開も早く、続きをどんどん見たくなりました。怖いの苦手でも読めるだけ読みます。
Flight to Chaos
一般エンタメ的な落ち着いた語り口、真顔でクスッと笑わせにくるコメディ要素、有能な警察官だけどとてつもない不運な主人公久我さんの魅力。
超危険人物は誰?というだけでも厄介なのに、癖つよ乗客たちがますます事態を厄介にしそうで……面白そうで期待します。
失翼の龍操士と霹靂
独自設定の異世界ファンタジー! 大きな喪失と痛みを抱えて耐えながら生きてきた主人公ソロさんに好感が持てます。失ったものをどのような形で取り戻していくのか、どのような展開になるのか気になります。
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推し票は『幻獣牧場の王』に重ねて入れました。
システムを知ったときは、投票先迷った作品を応援にしようかなと思ったのですが、蓋を開けたら『ドラゴン牧場』という、経営系で票を取りそうな強そうなライバル作品があったので、後押しで推しました。
感想について
2nd Set開始後に公開していますが、投票結果と第2話は見ないようにして、1st Setのタイあらや第1話だけを読んだ感想です。
今回はリアル多忙で、投票結果発表日に間に合いませんでした。
せめて、2nd Set開始前になんとか全感想仕上げたかったんですが、それも間に合いませんでした。
せっかくある程度書いたので、もう今更感はありますが、全部書いて公開しました。もし何か拾えるところがあれば幸いです。
実績もなければ、Web連載完結作品も無い、単なる一アマチュア小説書きの個人的な感想です。
私個人が読んでどう感じたか、どう思ったかが書いてあります。
良かったところ、面白そうなところに注目しています。
いちおう何でも読める方ですが、個人の好みの傾向、ジャンルに対する知識量によって、解像度が低くなっていることもあると思います。
違うと思ったところは無視して捨てちゃってください。
タイトル、あらすじ、本文について触れています。
タイトルは目次ページでタイトルだけを全部見ました。
あらすじは、スマホに紙を巻いて本文を見ないように操作しながらあらすじだけ全部読みましたが、けっきょくあらすじ感想は少ないです。
コロシアムレベルの参加者の皆さんのあらすじは、どんな作品なのかを的確にプレゼンしているので、どんな要素がどのように示されているのか、本編ではどうだったかを分析する感じになっています。
タイあら面については、タイトルあらすじだけの時点での、私個人の期待の上がり方、何が期待を上げる要素なのかを解析する感じになりました。
どのような物語なのかだいたいわかるほど『面白そう』『読みたい』と感じられました。
どんな作品なのか(世界観や雰囲気、ジャンル、ネタや題材、コメディかシリアスか)
主人公はどんな人物なのか。
主人公はなぜ、何をしたいのか。
だいたいどんなことが起こる話なのか。
最後はだいたいどうなるのか。
その後本文を読んで、要素が修正・追加されると印象も変わり、第2話への期待に影響しました。
タイトルとあらすじで、これらの要素が大まかにわかるほど、期待にプラスされる。
要素自体の具体性や、目を引くアイデア性が高いほどプラスされる。
要素の内容が、自分の好みに合っているほど、さらにプラスされる。
タイトルとあらすじからの予測や期待と、実際の本文の内容との比較で、変化する。(今回はプラスだけでしたが、マイナスもあり得る)
タイトルとあらすじでまだわからなかったことや抽象的だったことも、本文で補完されたときにあとから期待がプラスされる。
なので本文を読んだ後、第2話への期待では、全作品その時点のデータでフラットに比べる形になった。(今回は全部読むので、タイあらで先に期を高める有利不利はあまり出なかった感じですが、もし選んだ何本かの作品しか読めないなどの条件があったり、実際のWeb連載など作品自体読むか読まないかを問われる場面では、圧倒的でかいアドバンテージとなりうる)
といった感じでした。
各作品の感想に、私個人がどう把握したかのメモがありますが、
『どんな作品なのか(世界観や雰囲気、ジャンル、ネタや題材、コメディかシリアスか)』
この要素は無いです。書き出しコロシアムレベルでは、デフォルトのようにプレゼン達成されています。さすがはトップレベルの戦いです。
タイトルだけでもかなりわかる、タイトル+あらすじでもうわかるといった手練の方揃いで、本文も入れば、わからない作品はほぼ無かったです。 つまりこの項目は、タイトル・あらすじへの感想とほぼかぶってて冗長になりますので、省略しています。
その他、筆者の個人的な好みだけで、ここが良かった、面白かったといった興味を惹かれた点について述べたり、個人の感覚で、読んでいてどう感じたり思ったりしたかを述べたりしています。良かった、面白かった、気になったのオンパレードで語彙力がアレですが。
感想の内容について、ご不快に思われるなど、何かありましたら、こちらのマシュマロに作品名でご連絡下さい。削除訂正等の対処をいたします。
各作品の感想(会場目次順・ネタバレ有)
うらみあい
https://ncode.syosetu.com/n3457jt/2/
◆タイトルのみ◆
シンプルで一番目立ちました。
現代日本のホラー、リアルな人間関係のどろどろ?
◆タイトル+あらすじ◆
現代日本のホラーでした! 僕と俺、二人の男性が主要キャラのようです。どちらの状況もJホラーな感じでコワイ! 二人とも同じ村にやってくるんでしょうか? さらに男と女の話とあって、愛と恨みでどろどろしそうです。
シンプルで短いタイトルの時点で、ジャンルも内容もばっちりプレゼンされていました。
主人公はどんな人物なのか:母が狂った男性と、友人が行方不明になった男性。
主人公はなぜ、何をしたいのか:母を治したい。友人を見つけたい。
だいたいどんなことが起こる話なのか:おそらくは怪しい村を舞台に、ホラーな事件が起こり、男と女の愛憎がどろどろする。
最後はだいたいどうなるのか:ホラーなのでたぶんビター~バッドエンド。
タイあらだけで、作品の面白そう度を判断する情報が揃っている上、謎や興味深さも煽っていて、スゴイ!
第1話では『母が狂った』という出来事を具体的に丁寧に語っていました。のっけからショッキングな狂気のようす、流血描写の迫力がすごいです。臨場感と具体性があり、とてもショッキングで、ホラーものにふさわしい幕開けでした。
警察や病院などで対応していく現実的なようすを追いながら、主人公の日常が唐突に壊れてしまった感覚や感情、身体感覚を、リアルに一緒に追体験できました。
また、その流れの中で、伏線かな?と思われる情報(ネームドの警官、父親が出て行っている、強盗事件など)も自然に織り込まれています。
終盤では、はっきりとホラー要素、呪いの小道具が具体的に登場し、進行も早いです。第1話できっかけの事件だけでなく、すぐにホラーな内容の本番へと、さっそく次の段階へ踏み込んでいきます。しかも冒頭以上のショッキングな場面で引きです。
第2話では、引きを受けての恐ろしいホラー展開や、小道具を手がかりとした次の展開が期待できます。あるいは、今度は構成的に『友人が行方不明になった』の方も語られるのか、そっちも面白そうです。(当事者さんたちは気の毒にも、きっと酷いことになるわけなので、面白そうと言っていいのかちょっと躊躇われますが……!)
のっけからホラーを提供しつつ、次への展開もスムーズで、内容の濃い第1話でした。
ただ筆者は、流血やグロ自体は自分でも書くほど平気なのですが、怪異・悪魔・心霊系のホラーが苦手なのです。その系統の怖いものはヒイイイとなってしまいます。
続きは読みたいですが、これ以上怖くなるとコワイ……!
Sランク探索者のぜんぜんのんびりできないドラゴン牧場経営
https://ncode.syosetu.com/n3457jt/3/
◆タイトルのみ◆
中世風定番異世界ファンタジー、コメディ寄り、ダンジョン要素、超強い主人公、育成・経営もの、スローライフではなく、むしろ前途多難。
タイトルだけでどのような内容なのかめちゃくちゃ分かりやすかったです。
◆タイトル+あらすじ◆ あらすじでは、タイトルから期待した内容がより具体的になり、わかりやすかったです。
主人公の目的も『引退後も好物をずっと食べたい』と非常にわかりやすいです。
主人公はどんな人物なのか: S級探索者。ドラゴン肉が大好き。
主人公はなぜ、何をしたいのか: 探索者を引退しても、好物のドラゴン肉を食べたいから、ドラゴンを飼育する。
だいたいどんなことが起こる話なのか: ドラゴンの飼育は前途多難。それを解決する。
最後はだいたいどうなるのか: いろいろな困難もドラゴン肉で解決してハッピーエンド。
タイあらで判断要素が揃いました。とてもシンプルでわかりやすく、あとは具体的なエピソードやくわしいディティールを、本文を見たくなります。
第1話は、タイあらで期待したものがそのまま出てきて、余計なものや分かりにくいものはいっさい無く、さくさく楽しめるWeb小説として理想的な仕上がりだと感じました。
また、主人公リガさんの造形もこの作品の長所です。有能勝ち組エゴイストで、心理的なストレスはフリーです。
メジャーなヒット作品などにも出てくる、男性読者に人気のタイプだと思います。(若くてイケメンだと女性にも人気かな?)。
高スペックジャイアンみたいな感じで、地位や能力や肩書が強く、まわりを気にせず我が道を突き進み、ポジティブでパワフルで、ネガティブな感情に煩わされません。
このキャラ設定が、アクションやリアクションでまったくブレずに語られ、1話の中で突き進んでいきます。この調子で勢いよく突き進むと感じられます。
タイあらで示されたとおり、目的への困難、厄介ごとが次から次へとぶち当たってきて、それをドラゴン肉と自身の力で撃破したり、テイマー協会のように軽く失敗したりしているので、例えるとアクションゲームを観戦しているような疾走感がありました。
1話の最後で、次のステージは危険なダンジョンだと示されたので、2話では、そこでどんなパワーアップした困難や厄介ごとが待ち受けているのかと期待しました。
転生☆お嬢様育成ゲーム!プリンセス系になりたい私vsパンク系に育てたい転生プレイヤー
https://ncode.syosetu.com/n3457jt/4/
◆タイトルのみ◆
定番中世風異世界転生、貴族令嬢が出てくる世界、育成ゲーム転生? 主人公は異世界の女の子で、相方的に転生者、対立要素。
タイトルだけで世界観や設定、キャラが何となく伝わってわかりやすかったです。
◆タイトル+あらすじ◆ プレイヤーだけでなく、育成されるお嬢様も転生者でした。タイトルが提示した内容が具体化されて、わかりやすかったです。生きる死ぬの危険や事件の無い平和な世界で、ミーティアさんとオリビエさんは譲れない対立で、ばちばちしそうな感じです。
主人公はどんな人物なのか: お嬢様育成ゲームのヒロインに異世界転生。そのゲームの大ファン。
主人公はなぜ、何をしたいのか: 大好きなゲームのヒロインに転生したので、ゲーム同様、自分を理想のお嬢様にしたい、なりたい。
だいたいどんなことが起こる話なのか: 好みと逆のタイプに育成したがる転生者と対立する。→本文を読むと、和平はありえなそう!
最後はだいたいどうなるのか: 不明。対立する好みの落としどころは想像がつかない。
まず面白かったのが、ゲームのプロローグを示す冒頭の天界のシーンです。ヒロインを育てるキラキライメージのゲームなのに、けっこう毒のある世界観や会話がくりひろげられ、童話風の語り口とのギャップも面白かったです。
本編部分も、赤ん坊状態視点での一人称の語り口がコミカルでテンポよく、読みやすく、明るくて楽しいです。しかも転生の状況など、必要な情報も読みやすくわかりやすく、するする理解できます。
転生しても悩まず元気で、将来にも楽観的な明るい主人公ミーティアさんの好感度もあがります。
そして転生プレイヤーであるオリビエさんのキモさ! これは話し合いや落としどころの余地が無さそうだと、プリンセスお嬢様を目指す上での、大変な危機だと感じられます。しかもミーティアさんはまだ赤ん坊で、オリビエさんはもう子供。力関係的に不利です。
でも、ゲームのイベント、育成の方向性を決めるリボンのプレゼントを思いっきり拒否したところは最高でした! がんばれ、ミーティアさん、こんなキモい奴に負けるな! と応援しながら、第2話での対立の行方を待ちます。
かがやき損ねた星たちへ
https://ncode.syosetu.com/n3457jt/5/
◆タイトルのみ◆
シンプルで目を引きました。
現代日本、文芸かミステリー、青春かスポーツ、過去の栄光的な? 敗者/挫折者たちへの哀歌的な印象。
◆タイトル+あらすじ◆ 昭和が舞台の文芸、一般エンタメ、サスペンスな感じでした。昭和のドラマや映画、映像イメージが浮かびました。骨太なシリアスドラマが期待できそうです。
たぶん事件は解決するんだろうけれど、タイトルからして何だかビターエンドの確率が高そうな雰囲気……。
主人公はどんな人物なのか: 二人の刑事。
主人公はなぜ、何をしたいのか: 警察のプライドを賭けて、かがやき構成員を逮捕したい。
だいたいどんなことが起こる話なのか: 公安部と対立しながら犯罪者を追う。→本文を読むと、アウェーな公安部の応援として加わり、逮捕に貢献せねばならないという、さらに厄介な状況。
最後はだいたいどうなるのか。:
ビターエンドの確率が高そう?→本文を読むとハッピーエンド寄りの印象。
タイあらだけで判定要素が埋まりました。何が読めるかわかりやすいあらすじでした。
第1話は、タイあらの印象よりもライトな会話劇要素もあり、昭和という時代設定から感じたイメージよりも明るいものでした。
ですますで回想する語り口から、後年の吉永さんの視点で回想録的に語られる形式のようです。
実際の事件をモデルにしていますが、昭和49年の警察に女性の上司が普通に出てくるなど、リアル昭和とは違うコミックやアニメのテイスト(例えば『るろうに剣心』や『ゴールデンカムイ』の明治など)、ないしはパラレル的な感じなのかもとも思いました。
いずれにせよ、昭和のリアルっぽい事件を題材にしているのが新鮮です。クリームソーダとプリン(おそらくプリンアラモード)が昭和感を感じました。
吉永さんと薫さんが、犯人の足取りをつかむのに、公安の捜査を利用して推測するところは、とても有能感があって面白かったです。見事に探し当てたあとには、さらにこの捜査の本当の意味で驚かされました。
1話の最後では、これからアウェーな状況で結果を出すという、より困難な条件が加わって目的達成の難易度が上がり、2話がより面白そうになりました。さらに公安という新しい場所での出来事や人物に期待しました。
幻獣牧場の王 ~不器用男のサードライフは、辺境開拓お気楽ライフ~
https://ncode.syosetu.com/n3457jt/6/
◆タイトルのみ◆
定番中世風異世界ファンタジー、気楽で楽しいスローライフもの、男主人公(たぶん若くない)育成とクラフト系が楽しめそう。
タイトルだけで内容が分かりやすかったです。
◆タイトル+あらすじ◆
主人公への好感度がすごく上がるあらすじでした。主人公がすごくまじめでいい人で、牧場経営も意義のあるもので、みんなを幸せにする良い試み。
こんな主人公は、元不死鳥のたぶん美人なヒロインともらぶらぶ幸せになって欲しいなあと思いました。ハッピーエンド確約なのも嬉しいです。みんなで幸せになれるスローライフ、いいですね。
あらすじの段階でほぼ推し確定しました。
主人公はどんな人物なのか: 有能だが、自分より他を優先して損してしまう不器用な心優しい男性幻獣使い。
主人公はなぜ、何をしたいのか: 行き場のない幻獣たちのためになる、幻獣牧場を経営したい。
だいたいどんなことが起こる話なのか: ヒロインとともに、辺境で幻獣牧場をのんびり経営してスローライフ。
最後はだいたいどうなるのか: たぶん幻獣牧場が上手くいって、みんな幸せになり、もちろん主人公も幸せになる。
タイあらで大体の内容がつかめて、個人的にとても好感度の高い情報が詰まっていました。
第1話は、いきなり核心に入るギルド退会シーンから始まって、その中でエルンストさんのこれまでの経緯が、ギルド長バンスさんとの会話でわかりやすく示され、フィーネさんの登場でこれからの道が示されて『燃え尽き』→『再燃への火種』という流れが綺麗にまとまってました。あとは本題の幻獣牧場経営に向かう展開をわくわく待つばかりです。
定番異世界ファンタジー世界観でわかりやすく、幻獣やテイマーなど馴染み深い要素を扱いながら、その使い方や、具体的なディティールが深堀りされて独自性があり、とても興味が惹きつけられます。
また、不器用で真面目な主人公エルンストさんが個人的にとても好感度が高いです。あらすじを読んだ印象では、エルンストさん顔のつくりはそんなにイケてない方だけど、目や顔つきに内面の良さが出てるタイプかなと思ってたのですが、本文で『そこそこ魅力的』と出てたのは嬉しいプラスのオマケでした。
あらすじであっさりと『武功』と書かれていた部分は、思っていた以上に大きかったです。伝説の幻獣を従えるほどの強大な戦える強さを持っていただけでも大きいのに、そのフェニックスを失ったあとも、地味で重要な補給や輸送などロジスティクスを担当していたというのがいいですね! しかも魔獣や幻獣の能力を活かして! 具体的にどんな風だったかの部分、とても燃えました!
個人的な好みからすると、異世界転生を挟まず、100%異世界だけのファンタジーとして読みたいお話でした。
でも最近の傾向としては、異世界転生がある方が、読者が物語に入りやすく、多くの読者から好感度を得る可能性も高そうかなとは思います。
奇遇仙女は賽をふる ~悪鬼悪女討伐伝~
https://ncode.syosetu.com/n3457jt/7/
◆タイトルのみ◆
中華風ファンタジー、女(たぶん美女)主人公で特殊能力が強そう、博奕討ち? 癖の強い敵がいろいろ出てきそう?
◆タイトル+あらすじ◆
中華風ファンタジー! 神仙が出てくる摩訶不思議なスケール感に、宴や妓楼など柔らかく華やかな感じも加わった中華ものでした。
出会いと運命を司る仙女が、絶対に出会うはずのない運命を持つ青年と出会う。ファンタジー的でドラマチックな謎がありそうです。
主人公はどんな人物なのか: その身に妖妃の魂を宿す、出会いと運命を司る仙女。
主人公はなぜ、何をしたいのか: 妖妃を封印しておくため、月に一度の贅沢な宴の費用を稼ぎたい。→冒頭の状況で、物語的なものはまだ不明。
だいたいどんなことが起こる話なのか: 第六天魔王の亡骸探し? 相手役の青年との運命的な恋愛? →本文でも第1話ではまだ具体的には不明。
最後はだいたいどうなるのか: 目的を果たしていろいろ解決しそう。→本文でも第1話ではまだ不明。
タイあら、さらに本文を合わせたあとも『判定要素』はわりとふんわりしていましたが、妖怪や仙人が出てくる中華ファンタジーという点で個人的好みによる加点が高くつきました。中華風イセコイというより、ファンタジーの方寄りの印象で、イケメンとの甘々恋愛は控えめかな?という印象です。
冒頭から、リズム感のある語り口と、妓楼での札合わせ勝負という具体的なシーンで、主人公凌華さんの能力や魅力が良く伝わりました。中華ファンタジーの雰囲気、舞台の華やかさを感じて、作品の世界観も伝わりました。
奇遇仙女という設定も面白いです。自身の能力を利用して派手な勝負を繰り広げて大きく稼ぎ、豪運の相手にはたまには負ける、というのが、能力が有利でも万能ではなく、リアリティがありました。
雉の妖怪が喜媚なら、封印された『姐様』は妲己でしょうか?『封神演義』は大好物です。最近中華ファンタジーが流行ってる気がしますが、後宮や陰謀や政治など固いので、仙人や妖怪が出てくる系の柔らかい感じの中華ファンタジーは新鮮に感じました。
あらすじにもあった絶対に会うはずのない青年(玄布さん)は、次代の君主という、トップクラスのスパダリにして、現王朝を滅ぼすという、波乱万丈な未来もあって、すごくドラマチックな相手役です。
奇遇仙女の相手役として、とてもパワフルなカップルだと思いました。
1話の最後では、都合の悪いときに、重要な勝負の約束をするはめになり(妖妃が出てくるとか、饗応に超忙しいとか、すごく厄介で大変なことになるんだろうなと期待します)、もちろん凌華さんはどうにかしようと奮闘すると思われますが、結果はたぶん負けイベントなので、それからどうなるのか、玄布さんの目的などが、第2話の展開として気になり、期待しました。
保護したおじさんの中から美少女宇宙人が出てきた
https://ncode.syosetu.com/n3457jt/8/
◆タイトルのみ◆
SF・コメディ。なぜおじさんは保護された? ホームレス? なぜおじさんの中から美少女宇宙人が? 着ぐるみ的に人を着てた??? など、疑問と好奇心を刺激されました。
◆タイトル+あらすじ◆ おじさんはスーツでしたか! 美少女宇宙人とのラブコメ要素に、地球全土を巻きこむ大騒動、スケール感のありそうなSFラブコメディのようです。
主人公はどんな人物なのか:
普通の大学生の青年。親切? →本文を読むと、家族をすべて失い、心に傷を負った孤独な青年でした。
主人公はなぜ、何をしたいのか: あらすじからは不明。→本文ラストから『ウーリャさんを守りたいから、全世界指名手配の状況をどうにかする、何か対策をする』といった感じになりそうと予測。
だいたいどんなことが起こる話なのか: 美少女宇宙人に好かれるドタバタに加えて、地球規模の大騒動が起こる。
本文を読むと、コメディ要素はあるが、美少女宇宙人との純愛要素も強そう。主人公の心が再生するサブプロットもありそうです。
最後はだいたいどうなるのか: 美少女宇宙人とくっついて、地球の平和も戻る? →本文を読むと、主人公が救われて幸せになれるハッピーエンドと思われました。
第1話の内容は、タイトル・あらすじで期待したものが具体的に面白く描かれていました。
え、何なにどういうこと、知りたい! という疑問にすべて応えてくれました。
冒頭から、おじさんの中から人外テイストを持つ美少女宇宙人が出てくるという絵面が面白いです。猫が無駄にイケメンボイスだったり、春樹くんに正体がわかる前の回想で、おじさんの姿のウーリャさんがちぐはぐな言動をする色々も面白いです。
タイあらからは、カオスなドタバタコメディを予想していましたが、主人公の春樹くんには思いのほか深い傷があり、絆や愛、人生の再生を描くシリアスな感情ドラマの一面もありました。
これまでの経緯をコミカルに語りつつ、瓜屋さんとの絆が深まっていく過程も語られていているので、ラストのニュース部分を見たときに、春樹君は絶対ウーリャさんを守るだろうな、と感じられました。
第2話からは、全地球を敵に回し、さらに地球を滅ぼせる強大な異星人をも相手取って愛を貫くラブストーリーにもなるぞ、と期待しました。
Flight to Chaos
https://ncode.syosetu.com/n3457jt/9/
◆タイトルのみ◆
第一印象、え、英語読めない! かおすでいいのかな……?
辞書を引きました。
Flight は飛行or逃亡、Chaosはカオスで大混乱とか無秩序など。
現代物で飛行機なのか、ファンタジー系なのか?
◆タイトル+あらすじ◆
現代物で飛行機の方でした。カオスで大混乱な空の旅、癖の強いキャラたちが巻き起こすしっちゃかめっちゃかな状況のなか、おそらくは孤立無援のなか、必死で頑張る主人公のコメディのようです。
丸腰でもボロボロになりながら危機や事件に立ち向かい、善良な市民を守る久我さんに好感度が上がりました。
主人公はどんな人物なのか: 対航空犯罪武装私服警察官。警官としてのプライドを持つ。
主人公はなぜ、何をしたいのか: 善良な市民を守るために、機内で起こる悪事や危機をどうにかしたい。
だいたいどんなことが起こる話なのか: 癖の強いキャラたちが機内で事件を次々に引き起こし、そのたびに主人公が必死で解決する。
最後はだいたいどうなるのか: 主人公はそれなりに報われてくれる……かな?
あらすじまでで、だいたいの内容が把握できました。本文への興味と期待が高まります。
第1話、最初の三分の二は、主人公の久我さんが紹介され、人物像に愉快なほどの不運さがプラスされました。でも彼女は四回出来てるので、男性として魅力的な人物のようです。
さっそくあらすじに出てきたキャラの一部も登場しました。現実でもあり得るけど普通じゃない感じのバランス、うさん臭さが面白いです。かれらとの絡みのなかで、久我さんの性格や能力が示され、自然と好感度が上がりました。
残り三分の一では、さっそく重大な事件が発生、機外側のメインキャラ、久我さんのサポートとなるだろう、上司の松永さんが登場し、第2話への布石が整えられています。飛行機は離陸し、いよいよ本編の始まりという感じで期待が高まりました。
第1話で、話の理解に必要なことは興味深く面白く示され、第2話からは残りの癖つよメンバーの登場、機内で起こる危機や事件など本格的な物語の始動、さらに1話から引いている、松永さんは機長と直接何を話すのかなど、続きを色々期待します。
基本的に真面目で真顔なトーンのなか、淡々と笑いの要素も入ってくる地の文主体の語り口で、現実感のほどよい重みと、密度の濃い面白さを感じる文体が好みです。
奥村さん家のガーディアン
https://ncode.syosetu.com/n3457jt/10/
◆タイトルのみ◆ ラノベっぽい。現代日本+ファンタジー要素のホームコメディ、わちゃわちゃ系?
◆タイトル+あらすじ◆ 人型ロボットもののSFでした。人工知能の進化テーマ?、シリアスっぽい内容のようです。
タイトルの印象はホームコメディラノベでしたが、あらすじ、本文は創元やハヤカワっぽい感じのSFでした。思っていたのと違ってあれ? とは思いつつ、人型人工物の自我や知性を扱うSFものはむしろ好物ですので期待は上がりました。
主人公はどんな人物なのか: 家庭用の女性型セキュリティロボット。人工知能に何かが芽生えている。
主人公はなぜ、何をしたいのか: セキュリティロボに与えられた役目として、奥村家の家族を守る?
だいたいどんなことが起こる話なのか: まずは強盗を撃退せんとする。そのあとは……?
最後はだいたいどうなるのか: シリアス寄りSFなのでビターの可能性も高い。→本文を見ても、強盗事件の顛末からどちらに転がるのか、1話の時点ではまだわからない。どきどき。
王道SF! セキュリティロボのアイ子さんの、人間ではない見方や言葉遣いの一人称で、人ならぬ者の思考が語られていくのが、とてもよかったです! 一人称の武器と言える『当人は気づいていない、わかっていないが、読者は気づいてるし、よくわかる』が活かされて、自我に目覚めるロボの心(といっていいのか)が伝わります。
最初の『◆誕生』のパートだけで、アイ子さんの生真面目な可愛らしさを感じて、好感度があがります。
ロボが普及した近未来の世界観もわかりやすく語られて、しかも笑ってしまうユーモアもあります。ユーザー様の評価のところ面白かったです。
『◆顔合わせ』では、ビンゴの景品で手に入ったといういきさつが、未来の暮らしの一面が見えて面白かったです。また、配属された状況から、アイ子さんが奥村家の皆さんに機能説明することで、アイ子さんの機能もわかりました。というか有能! こんなのビンゴでもらえる時代なんて、すごいな! と思いました。
その後、奥村家の春太君との交流で心が反応して生まれていく過程が、それを理解していないアイ子さんの語彙で語られるところとか、自我に目覚める人工知能物の定番としてこれこれ、これ良い!です。また、アイ子さんが生真面目にセキュリティについてあげた課題点が大げさなのに笑いました。
そして第1話の最後ではあらすじで出ていた強盗が……! ここまで平和でユーモアも入りつつも、底流にシリアスも感じる流れなので、この事件でアイ子さんがどうなってしまうのか、第2話が気になります。セキュリティロボなので勝てると思いつつも、何かあるとか、やっぱり楽観できないバランスに感じました。
贋作公主は真龍を描く
https://ncode.syosetu.com/n3457jt/11/
◆タイトルのみ◆
公主なので中華ファンタジー。贋作の絵を描く公主なのか、偽者の公主なのか? 本物と偽物がテーマっぽい感じのシリアス?
◆タイトル+あらすじ◆
贋作をつくる方の公主様でした。権力争い、陰謀など、水面下の駆け引きや頭脳戦になりそうな感じです。相棒(でたぶん相手役)とは相容れない立場&最悪の出会いからの信頼関係へと変化と、王道の展開が示されています。
主人公はどんな人物なのか: 滅ぼされた異民族の公主。すぐれた贋作師。
主人公はなぜ、何をしたいのか: 贋作の罪で弱みを握られ、自分たちの国を滅ぼした国の皇子に協力する。罪を見逃してもらうためだけでなく、主人公にも利があることらしい。
だいたいどんなことが起こる話なのか: 皇子に協力し、権力争いや陰謀を勝ち抜く。
最後はだいたいどうなるのか: 皇子が皇帝になり、たぶん恋愛的にもくっつく。
タイあらだけで、判定要素が揃っています。しかもそれらの要素だけで、ドラマチックさや対立を内包しています。どのような内容が読めるのかのプレゼンががばっちりです。
まずこの第一話、私なんかがあれこれいうのも変なんですが、すごくうまいです。冒頭の一文から惹きつけるとともに、主人公彩玉さん、相手役暁飛さん、その出会いイベントのきっかけまで完了です。情報密度が濃くて、展開が速いです。
中華風異世界の、独自の設定の説明もなめらかに展開して、読みやすいのに本格的なファンタジーの情報量が盛り込まれています。
一芝居売って近づき、詐欺のカモにしようという一連の流れも、彩玉さんのタフさしたたかさや、それまでの生き方を感じさせます。
その後、贋作を売りつけんとする作戦を展開しながらも、自然な流れで贋作がらみのあれこれや、書画についての情報が説明されます。
言動や出来事には、キャラや設定についての情報が二重三重に織り込まれていて、描写から説明、セリフから説明など、パートごとのつながりが、前を自然に受けてなめらかで、そして読みやすいという……作者様、プロの方かなと思いました。
ひとつひとつ上げていたらきりが無いんですが、例えば自宅と称した屋敷に案内した件を語ると、そこそこの屋敷が空き家になっていて、無断使用できる社会状況や、舞台となる屋敷のようすや、屋敷をリトマスにした暁飛さんの伏線、などの情報が織り込まれていて、こういう情報密度が上手い~!と感じました。
第1話の最後では、暁飛さんが身分を明かし、彩玉さんを脅しての依頼。なぜ贋作が必要なのか、その事情が第2話で明かされるのを期待しました。
深窓令嬢の真相
https://ncode.syosetu.com/n3457jt/12/
◆タイトルのみ◆
異世界恋愛? お嬢様が主人公で、何か驚くべき(正反対の?)秘密があり……韻を踏んでいるのでコメディの印象。
◆タイトル+あらすじ◆
貴族令嬢や社交界が舞台ですが、異世界恋愛よりは、安楽椅子探偵系のライトミステリーな感じでした。周囲の認識とのギャップ、本当のところを隠すなどの対立が笑いを生むコメディ要素もありそうです。
サロンに謎が持ちこまれ、マリさんが謎を解くという話の枠組みがわかりやすいです。
主人公はどんな人物なのか: 見た目から、病弱な美しい令嬢だと勘違いされている引きこもり読書オタク令嬢。謎解きの能力を持つ。
主人公はなぜ、何をしたいのか: 不明。嫌々サロンを開いている? →本文を読むと、社交界に慣れるためサロンを開いている?
だいたいどんなことが起こる話なのか: サロンに持ちこまれる謎を毎回解く。
最後はだいたいどうなるのか: 不明。→本文を読むと、長編ではなく連作短編、毎回のエピソードごとに話が完結してシリーズが続きそうな印象。
第1話は、さっそくサロンに謎が持ちこまれ、謎解きをしてひととおり解決し、オチがつくまでが語られていて、タイトルとあらすじから思ったものが焦らされることなく全部読めました。毎回こういうパターンですよ、というサンプルがていねいに示された印象で、このお話では何が読めるのかがわかりやすかったです。
日常の小さな謎を解くタイプのミステリと、貴族や社交界が、とても相性のいい優れた組み合わせだと思いました。ちょっとした出来事も、貴族的な華やかさや秘密めいた雰囲気のイメージが広がります。謎の手紙も、貴族の書簡だと、何か色々ありそうなドラマチックな印象になります。
また、小さな謎系は、現代物が多い印象だったので、新鮮でした。
第2話でも、またサロンが開かれ、新たな謎が持ちこまれ、謎解きが読めることを期待しました。また、マリさんがサロンを開く理由も気になります。
失翼の龍操士と霹靂
https://ncode.syosetu.com/n3457jt/13/
◆タイトルのみ◆
異世界ファンタジー、独自世界、竜が出てくる、飛べなくなった失意? 霹靂はリアル雷か、突然訪れる何かなのか。
◆タイトル+あらすじ◆ 独自の世界観と設定、失墜と追放からの逆転と再生、運命の出会い。王道的な異世界ファンタジー、ドラマチックな物語が期待できます。
主人公はどんな人物なのか: 相棒の龍を失い、故郷からも追放された失意の元天才龍操士。→本文を読むと、過去の悪夢や無気力感に蝕まれながらも、社会性や常識を備え、人に親切だったりする。
主人公はなぜ、何をしたいのか: もう一度龍操士として飛びたい?
→本文を読むと、龍操士や龍を見ると辛いので避けたい、相棒の龍が生き返ったら、死ななかったら……という叶わぬ夢を願いながらただ生きてきた感じ。この先どうなるかはまだ不明。
だいたいどんなことが起こる話なのか: 具体的には不明だが、どん底から逆転し、心も再生する。
最後はだいたいどうなるのか: ハッピーエンドだろうと予測できる。
輝く若き天才から失墜し、生きがいも無くただ17年生きて歳を取ってきてという、灰色というか、輝きも希望も過去でしかない淡々と無意味な生のなかにいるという、死ぬよりもある意味しんどくてキツい状況にありながら、完全な自暴自棄までは至らず、社会性だったり常識だったりを保っているソロさんに好感度が上がりました。
朝起きて仕事をするソロさんの描写、ディティールから、心に傷を負ったまま、わりと危ういバランスですが、踏みとどまってるなという印象を受けます。
ボロ屋で暮らしてるが、髪は短く切り揃えている、暗くならないよう髭を剃ろうと考える、でも剃刀は刃こぼれしている。
真面目に魔晶採掘の力仕事をする、同じ仕事をしている他の者よりもちゃんとしてる、怪我をした人に魔術の応急処置を申し出る、本当はもっと割のいい仕事にも就けるのに、龍や龍操士を見るのを避け続けている、等々。
相棒の龍の、数百年に一度のありえないような死は、何やらきな臭いというか、自然なものではなく、陰謀の匂いがしました。お別れもさせず、遺体をさっさと片付けてしまうなんて、なんか怪しい! と感じました。
第2話で、人間に生まれ変わった元相棒の龍、エレアさんといったいどんな話をするのか。ソロさんが再び龍操士として飛べるのか、あるいは別の道があるのか。気になります。
死と神男子は眠り姫を目覚めさせたい
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◆タイトルのみ◆
死神じゃなくて、死の男子と神男子の二人? 異世界ファンタジーなのか、男子という言葉は現代・学園ぽさも感じる。
◆タイトル+あらすじ◆
あらすじが短い! 現世=現代日本? 井戸の向こうは別世界の神代? 眠り姫は二人で、メインキャラも二人の男性のようです。
タイあらだけでは判定要素は埋まらなかったので、本文を読みながら埋めていく感じでした。
現代日本、中高一貫校、学園生活が舞台で、片想いや恋愛が主要な出来事ですで、本文だけだとビターな恋愛ものの印象ですが、あらすじの情報から、これはいずれ壊れる日常の描写や、キャラ紹介、人間関係の提示などの、セットアップ的な部分だと把握しました。
主人公はどんな人物なのか: 中等部三年生の不良寄りの可愛い系の見た目の少年、親しくしている高等部二年生のご令嬢のことが好き。
主人公はなぜ、何をしたいのか: 好きな相手に好かれたい、傍にいたい。
だいたいどんなことが起こる話なのか:全体では不明。直近の2話では、好きな相手が別の男とデートをすることになった件をめぐって心が揺れ、何か起こるっぽい。
最後はだいたいどうなるのか: 二人の眠り姫を起こす。具体的には不明。
第1話では、タイトルやあらすじにあった井戸の向こう側の世界や、神代、神といったファンタジー要素はまだ出てきませんでした。
主人公船賭識途くんの、未亜さんに対する片想いの複雑な恋心を詳細に表現しながら、識途くんと未亜さんの背景情報、どのようなキャラなのかが語られ、伝わってきます。
あらすじにあった二人の眠り姫のうちの一人は未亜さんかなと予想しているので、お嬢様育ちで無邪気な未亜さんのようすを見ていると、このさき何か不幸が訪れる可能性を思い、まったく危険性が無いシーンでも、落ち着かないハラハラする気分がありました。
識途くんも、心のうちで熱烈な片想いを抱いてはいるものの、外側からは気だるげな感じで、必要性に対応はしているけれど、目立って積極的だったり行動的ではない印象です。ゆえに、ここに未亜さんの非常事態が投下されたら、圧縮されたものが一気に起爆しそうです。
第1話の最後では、まだ超常ファンタジー系ではなく、恋愛面の爆弾が投下されましたが、リアクションは非常に内圧の高そうな感じでした。
第2話では識途くんがどう行動に出るのか、また陽希先輩とのデートも、恋愛ものとは違った何らかの事件を引き起こすのではないかと予想され、色々動き出すのを期待しました。
官能小説家『海堂院蝶子』は俺のクラスの委員長である
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◆タイトルのみ◆
い、いいのか……高校生(たぶん)が官能小説なんか書いて!
現代物、学園が舞台、真顔系のコメディ? 男子高校生(たぶん)が主人公、『海堂院蝶子』さんは女子とは限らない……が、たぶん真面目で成績優秀、官能小説とは真逆……!
情報量が多く、いったい何がどういうことなのか気になります。
◆タイトル+あらすじ◆『海堂院蝶子』さんは女性で、タイトルどおり現代学園ものでした。秘密がバレないように苦心するコメディ物のようです。
主人公はどんな人物なのか。男子高校生。→本文を読むと、ごく平凡な男子で家がコンビニ、進学はしないが成績がちょっとピンチ。
主人公はなぜ、何をしたいのか: なりゆきでヒロインのアシスタント。→本文を読むと、高根の花に対する若干の下心と、落第しないため勉強ノートを見せてもらいたいため。おそらくは好奇心や興味もありそうな感じ。
だいたいどんなことが起こる話なのか。ヒロインと交流し、親密になっていく一方で、ヒロインの『官能小説家』という秘密がバレないように四苦八苦する。
最後はだいたいどうなるのか。定番として秘密はバレる可能性が高い。主人公とヒロインはくっつくと思われる。
まず『18歳未満が、18禁作品を書いていいのか??』という点が気になって、すぐ検索して調べてみました。過去にフランス書院にて高校生作家がデビューしており、出版社のサイトで『法的にはセーフらしい』と書いてあったので、いちおう大丈夫みたいでした。
ごくごく平凡な男子が、高根の花の美人ヒロインとひょんなことから関わり、交流し、親しくなっていく、学園ラブコメの定番テンプレでとてもわかりやすかったです。
ヒロインの正体が実は……という定番のギャップ設定に、非の打ちどころのないお嬢様委員長が大人気官能小説家、という組み合わせは、とっぴな派手さと、男子に嬉しいえっちさと、わかりやすい安定感がありました。
1話の冒頭からすぐにきっかけの事件が素早く起こり、すぐにヒロインの秘密を知るくだりに入って、話の展開が早いです。委員長との会話もテンポが良く、笑いもあって、タイあらの期待を裏切りません。
読んでいて迷子になることなく話がつかめ、エロネタの会話もいやらしさがなく、ピアノの耐荷重など、色気よりも愉快さを前面に出して交わされていて、全面的に明るいコメディなのが良かったです。
主人公の高木くんが、エロ要素に対しわりと淡々としていて、高根の花の弱みを握ったのに、下心ギンギンの振る舞いにならないのがいいですね。
最後の方では蓼科さんが書いた官能小説をがっつり読みふけった一方、そのことを抑制された遠回しの語り口で語るなど、年頃高校生男子=エロ大好き・いつでも下心満載、という類型の印象ではなく、普段本は読まず成績は赤点でも、実はそれほど頭悪くない?という感じがしました。
第2話からは本格的なアシスタント活動や、蓼科さんとの会話や交流を期待しました。
魔法好きくんの流され最強譚~平凡教師の悪夢を添えて~
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◆タイトルのみ◆
魔法の存在する現代日本、ないしは異世界ファンタジー。平凡教師の視点で、魔法好きくんが流されて引き起こす事件を描く感じ?
◆タイトル+あらすじ◆
異世界ファンタジー、平凡教師は、魔法好きくん=ラーシュくんの夢に出てくる前世?の記憶でした。祖父に連れられて家を出たあとは、まわりの思惑のままに?流されて行くうちに、やがては最強になるようです。
主人公はどんな人物なのか: 前世?の夢を見る五歳男児。やがては最強になるかもしれない。→本文を読むと、脳筋の家柄で珍しく魔法の才能を持って生まれた五歳男児。
主人公はなぜ、何をしたいのか: 不明。ただただ魔法が好き。→本文を読むと、魔法が好きなので魔法を学んで魔法を生業として生きたい。
だいたいどんなことが起こる話なのか: 家を出てからいろいろ流されながら、やがては最強になるかもしれない。
→本文からもまだ具体的には不明。タイトル・あらすじから、おそらく五歳から歳を重ねて魔法を学び、成長していく流れのなか、都度高い能力を発揮して成功と賞賛を得る型かな?と予想。
最後はだいたいどうなるのか: たぶん、魔法で最強の存在に上りつめて、夢に見る前世?の謎も解ける。
五歳児の一人称とは思えない語彙と語り口なので『過去の記憶を持たず、ゆえに自覚もないまま、自然と大人の思考回路を持っているのでは?』と予想しました。相貌失認の人が小さいころ幼稚園で、まわりはみんな初めて会う子なんだと思って毎日挨拶してたみたいな。
両親やお姉さんの見方、その解析など、どう読んでも五歳児の感じがしません。謎めいた悪夢ともども、ラーシュ君には色々な謎がありそうです。
第1話では、ラーシュ君が家を出るきっかけとなる魔力測定と、実際にスムーズに家を出るための準備や布石が語られて、さっそく話が動き出しました。お祖父さんが超有能です。お父さんの方が見た目文武両道なだけの脳筋、という評価に笑いました。
お祖父さんは、ラーシュ君だけでなく、お姉さんのアマリアさんの将来のことや、お父さんがそれを嫌がった可能性まで準備して考えていてくれて、とても考えの行き渡ったよくできた人だと感じました。ガチムチ文武両道強者老人、カッコいいです。
ドアマットまではいかないにせよ、自分が望む生き方ができない檻から解放される展開は、読者としてすかっとして、この先すなわち第2話以降、どんな楽しいこと、面白いことがあるのか期待しました。
まだ具体的な説明はないですが、魔法を学ぶという目的ははっきりしているので、どんな風にどこで学ぶのかなど、ファンタジー的な期待感が高まりました。お姉さんのアマリアさんとの関係が悪くないのも良かったです。将来、すごく強い女戦士になって力になってくれるかもと期待しました。
「一日勇者になろう!」 ~吟遊詩人(アイドル)の私が一日で魔王討伐まで目指す話。い、一日だけなんだからね!~
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◆タイトルのみ◆
吟遊詩人と書いてアイドル! 一日署長ならぬ一日勇者!
定番中世風異世界ファンタジー、ありえないけど、たった一日で魔王を討伐してしまう、わちゃわちゃドタバタする感じのコメディ。
見た目も、たぶん性格もかわいい女の子が主人公。
どんな作品か、タイトルだけでわかり、アイデアが目新しくて面白いです。
◆タイトル+あらすじ◆
一日騎士団長! 一日国王も! 面白すぎる設定です。
独特の設定なのに、話がすごくわかりやすいです!
一日勇者という設定&言い回しだけでも面白いのに、勇者と魔王と、さらには相手役?の王子にまでなにやら謎な秘密が!
コメディ部分だけでも楽しみなのに、若干のシリアスさもありそうな物語の謎解きの面白さまでありそうです。盛りだくさん!
主人公はどんな人物なのか: 地方都市で吟遊詩人(アイドル)をしている16歳の女の子。
主人公はなぜ、何をしたいのか: 魔王討伐なんて無理! 勇者をやるのは一日だけ!
だいたいどんなことが起こる話なのか: 一日で魔王を倒さんとする強行RTAが生む笑いに加えて、勇者と魔王の謎を解く。王子にも秘密がある。
最後はだいたいどうなるのか: ハッピーエンドと予測できる。
タイトルとあらすじだけでどんな話が分かるうえに、面白そうなネタがちりばめられ、プレゼンが万全でした。
一日勇者! 吟遊詩人と書いてアイドル! もうこれだけで興味爆上がりです。
一日○○と、一日で魔王討伐RTAという、それだけで色々面白そうなアイデアの組み合わせ、加えて、魔王と勇者の秘密など、謎解きや多少シリアスな展開も匂わせていて、ドラマ的な面白さまで期待できます。
第1話では、期待どおりに、タイあらで示した設定が具体的に物語として語られていて、その面白さと、主人公のエリナさんのかわいらしさが魅力的でした。
エリナさんはアイドルですから当然見た目がかなり可愛い設定なわけですが、それ以上に中身が可愛かったです。
王都の観客がいい子そうと評したとおり、すごく好感が持てる感じの良さがあります。
相手がイケメンの王子でも媚びたりせず、言うことははっきり言うけどキツさはなく、プロのアイドルとして真摯に頑張るのが行動の芯になって筋が通っているところも良いです。
アイドル活動が、ファンタジー世界の設定に変換されているディティールも面白かったです。
勇者の剣を抜いて、アイドルだから抜けなーい、というネタにする筋立て、王子が『一生エリナ推し』のシャツ、王族でも握手は握手会で! など、定番異世界ファンタジーとアイドルの組み合わせのギャップが面白くて何度も笑いました。
その一方で、何か転生やループなどのドラマを思わせる伏線があちこちにちりばめられていて、いったいどういうことなのか、とても気になります。知りたい!
第2話で、実際に一日魔王討伐という無理ゲーがどう面白く展開するのか、勇者と魔王、エリナさんとロイ王子を巡る秘密や謎はどう明かされていくのか、ますます期待しました
後書き
今回のコロシアムは、とてもレベルが高かったです。
どのような作品なのか、どのような面白さを提示するのか、また冒頭からのスタートも早い作品がいくつもあって、技術力が高いと感じました。
さすが多数の書籍化作家の方が参加している戦いでした。
面白い作品を読ませて頂いた上に、勉強もさせて頂きました。ありがとうございました。
『感想について』でも書きましたが、タイトルやあらすじで高い期待値がプラスされた作品でも、本文を読んだあとでは、全作品同じように面白さを判定するので、純粋な先行のアドバンテージはあまり無かった印象です。
(ただ、タイトルとあらすじだけで判定要素をフルで示し、期待を高められる作品は、本文でも面白く強かったです)
これは書き出しコロシアムという場、それも全部読む読者のケースだからで『読むか読まないか』の選択に晒されるならアドバンテージが馬鹿でかくなるな、と、自分の感じ方を細かく解析しながら実感しました。
まず内容がわかって読まれなければならない、というのは、Web小説のノウハウでも、ハリウッドの脚本術でも(『で、何の映画なの?』by SAVE THE CAT) 定番の基本として語られていますが、自分が読者となり、選ぶ側になったことで、感覚的に腑に落ちた感じです。
コロシアムは、腕利きの猛者の戦いの場なので、全作品面白さを保証されています。読者参加するなら、ぜひ全部読んで見比べて、自分好みの推しを選びたくなります。
もちろん時間の無い方や、ライトに参加する方は、タイトルやあらすじで気になった作品だけ選び、それだけ読んで投票したりすると思うので、やっぱりタイトルとあらすじの時点でどんな内容かがわかり、面白さの判定要素を示すメリットは大きい、と感じました。
Web連載や書籍などでは、海のものとも山のものともつかない作品を『これ面白そうだな』と思わせなければならない。
そのために、何よりもまず『どんな話か』をプレゼンして、読者にとってそれを好きか面白いか判断するための材料を示さなければならない。
……これ、当たり前の定番の創作理論なんですが。メカニズム的に具体化したというか、実感したというか、今回読んでいてそんな感じでした。
第三回書き出しコロシアム、第二回に続いて、1st Setから勉強させて頂きました。ありがとうございました。
参加者の皆様、緒戦お疲れさまでした。これから第2話も全部読ませて頂きます。
更新履歴
◆2024/11/26 記事公開。
何かありましたらこちらのマシュマロまでどうぞ!
コロシアム参加者様は匿名性にご注意下さいませ! 内容に応じて無記名ないし作品名にて、どなたかわからないようにお願いいたします。