MyGO!!!!!「ちいさな一瞬」感想
この記事について
11月4日に東京ガーデンシアターにて開催されたイベント、BanG Dream! 12th☆LIVE DAY2 : MyGO!!!!!「ちいさな一瞬」のレポート、感想文です。
筆者はこのライブに現地で参加した後、アーカイブも購入して数回見直しています。そのため、現地で得た感想と配信を視聴して得た感想が混じっている部分があります。
本編
ここから本題。ここでは、ライブ当日の出来事や印象を、まず時系列に従って述べる。例によって敬称は略、曲名は太字とし、また一部の曲名に振り仮名を付した。
○入場前
国際展示場駅で集合。別件でつい前日に新木場から帰ったばかりだったので、また新木場を経由させられて不服な気持ち。有明ガーデン内の茶寮 伊藤園で同行者らと軽食をとり、抹茶で要楽奈要素を得る。店を出るとコンコース内は既に物凄い人混みで、かなり辟易とした。薬局で飲み物を買ってから入場して、物販に向かう。物販ではありとあらゆるものが品切れ、今回のライブグッズらしいものは一切残っておらず、円安と中国市場の力強さを感じた。この後FFに声をかけられたので会いに行ったり。席はアリーナ後方の少し上手側、機材席の真横。舞台前面を覆うようにスクリーンが下ろされており、前日からの既視感があった。客入れ時の映像では、ブシロードのライブだからか、カードゲームの広告という体でありとあらゆる二次元コンテンツの音声が流れていたのが印象的だった。
ここからは、開幕から音一会までを前半、モノローグ演出②から碧天伴走までを後半、として記述する。以下は当日のセットリスト。
○前半
スクリーンに燈のモノローグが投影される演出で幕をあける。焚音打の歌詞からの引用と、「僕らは居合わせていた」という言い回しが印象的。
一曲目は無路矢。燈と楽奈の歌詞を交差するように描くスクリーン演出が傑出していた。特に、「それが嚆矢(交信)になっていた」という部分。「生まれた地球だけ 同じだけだった 僕と君なのに」という歌詞に、前述した「居合わせてた」と通ずるものを感じたりしていた。
名無声を終えたところで、キャラクターとしてのMCへ。つまり、「千早愛音役の立石凛です」ではなく、「ギターの愛音です」という形での自己紹介が行われた。キャストを目の前にしてキャラクターとしてのMCを聞くのはなんだか朗読劇を見ているようで、少し不思議な気持ちに。特筆すべき点としては、千早愛音が長崎そよを「そよさん」と紹介した事が話題を呼んでいた。後述する至る演出、衣装等を加味すると、この部分は10話以前、つまり長崎そよや椎名立希がまだ思惑を秘めている時期のMyGO!!!!!としてのパフォーマンスであったとも思える。
MCの終わりに燈の口から告げられた曲名は、Henceforth。ボカロP・Orangestarの活動再開を飾った個人的にもとても思い出深いカバー曲。千早愛音の演奏がまさにリズムギターといった、一定のリズムを優しく刻み続けるようなものだったのが印象的。アウトロは要楽奈の見事なギターアレンジで終えて、観客のクラップを煽りながらシームレスに次の曲、猛独が襲うのイントロへ。こちらもボカロファンとして非常に思い入れ深いカバー曲で、かつMyGO!!!!!としては初期からカバーし続けている重要な曲。この二つはどちらもリズムの安定した曲で、全体的に演奏やアレンジに余裕を感じて楽しかった。
ここで再び短めのMCを挟む。愛音の「オンベース、そよ!」といった口上に合わせ、長崎そよによるベースソロが始まる。程なくして入った要楽奈のギター、そのメロディから曲目が影色舞だと判り、恐らくこの日二番目になる熱気。サビでは燈の指示に合わせてペンライトをワイパー振り。燈、つまり羊宮はワイパー指示の後も歌詞に合わせて結構色々な動きをしていて、振りコピが楽しめる感じではあったので、ワイパーから振りコピに移行できるとより良かったかも。
続いてカバー曲のswim。これは本当にどのような由緒のある曲なのか一切知らないが、彼らにしては随分前向きな歌詞と大きめの数字が印象的。シンプルなアップテンポが賑やかで、燈と楽奈は背中を預けあってみたり、グータッチの後はくるくる回りながらギターを掻き鳴らしてみたり。この流れを引き継いで、次の音一会でも愛音と楽奈、ツインギターのアイコンタクトだったり、そよさんのベースも段々ノリノリになってきたり、楽しげな演奏が続いた。
○後半
一度暗転して、再びスクリーン上で演出が始まる。足音ような音と共に燈の呟きが響き、やがて足音は二人分になる。そしてスクリーンが上がり、高松燈ひとりが現れる。ピアノの音源に合わせて人間になりたいうたを歌唱後、そのままポエトリーリーディングに入ると、どこからともなく要楽奈が現れてギターを爪弾き始める。メロディはいつの間にか聴き馴染んだ詩超絆のイントロへと変わり、椎名立希、千早愛音、長崎そよがひとりひとりステージに現れて演奏が始まる。歌詞が「ふたたび 僕が壊してしまったんだ」と入るタイミングで、ここまで抑えられてきた照明が一息に解放される。つまり、一貫してアニメ10話を意識した演出がなされており、これは大変盛り上がった。長崎そよが現れて演奏を始めるタイミングも、「戻りたい」といった歌詞にコーラスが入らないのもアニメ通り。こちらの期待通りの物を、想定を大幅に上回るクオリティで打ち返された満足感があった。
続いて迷路日々、迷星叫を一気に演奏。前述した詩超絆の後半からキャスト達にも笑顔が目立ち、一度解散の危機を乗り越えたMyGO!!!!!の結束力のような物を見せてもらった気がした。
MCというか、キャラクターとして一人一人が心中をモノローグで吐露する、敢えて言うなら卒業式の呼びかけのようなパフォーマンスを挟み、最後の一曲、碧天伴走へ。ロックバンドのライブらしく、千早愛音と要楽奈のツインギターは曲中に立ち位置を交代して見せ、最後は曲の終わりの音を引き延ばして自由に楽器を鳴らしてから締める。(このような演出は「かき回し」とか「引っ張り」と言うらしい。)この時、楽器を持たない燈が少し手持ち無沙汰気味だったのが良い味を出していた。
○アンコール
Zeppツアー開催の告知映像が終わると再びキャストが登場し、栞の演奏が始まる。インタビューに書いてあったように、長崎そよはフレットレスベース、椎名立希はカホンを演奏。
演奏を終え、キャストとしてのMCへ。改めて「千早愛音役の立石凛です。」という形の演者紹介を行い、キャストとして今日のライブを一通り振り返るような話をしていた。キャラクターとしては口数が少なくなりがちな青木陽菜、林鼓子が異様なハイテンションを見せるところまで、ラジオ番組の「迷子集会」で聞いている通り。
MCを終えて最後のブロックへ。「もしこの雨が上がっても 忘れずに歩いてくよ」という羊宮の歌唱から、壱雫空の演奏が始まる。羊宮の煽りに合わせたコールがとても楽しかった。
いよいよ終わりかと思わせて、そのまま焚音打のイントロへ。羊宮の「皆さんもぜひ、拳を挙げてください」という口上に応えてペンライトを握った拳を掲げると、そこに銀テープが降ってきてかなり面食らった。最後は歌詞通りに「迷うことに もう迷わない」という口上で締めて、演目は終了。
最後はステージの両端まで5人で挨拶に行き、ピックやスティックを投げたりして名残を惜しみつつ捌けていく。最後尾の林鼓子が武士のようなキレキレの最敬礼を披露してステージから消え、終演。
各論
ここではキャラクター/キャスト個人それぞれの印象について、一人ずつ簡単に触れる。
Vo. 高松燈/羊宮妃那
想像していたよりずっとボーカルらしく、フロントマンらしい堂々としたパフォーマンスを見せてもらったな、という印象が強い。影色舞や壱雫空ではしっかり客を煽っていたし、碧天伴走の「いいかな」で手をこちらに差し伸べたり、「ギュッと力込めて」で拳を掲げてみたり。ただ、あれほど中央のポジションから移動しないボーカルは初めて見たかも、という感想もある。燈としては息切れして歌唱が途切れている箇所があったし、アンコール後のMCでは、羊宮としても少しポン気味な部分を見せていたけど、それはそれで。全体を通じて、高松燈の非凡さと未熟さを共存させた表現として、これ以上ないものを示されたように感じた。
Gt. 千早愛音/立石凛
とにかく笑顔。現地では上手側の席でよく見えなかったのだけど、千早愛音の笑顔が視界の端にずっと覗いていたような感覚が残っていた。演奏では、Henceforthの比較的ゆったりしたリズムギターを楽し気に弾いていた姿が印象的。キャラMCでは主に牽引役、"まわし"を担っており、楽奈との
愛音「緊張とかないよね?」
楽奈「うん。ライブしたい」
愛音「じゃあ楽奈ちゃんもこう言ってるし、次の曲!」
といった掛け合いが特に良かった。愛音と楽奈の関係性はアニメであまり描かれていなかった部分であり、こうした小さなやりとりも嬉しいもの。
Ba. 長崎そよ/小日向美香
アニメから想像していたよりもずっと楽しそうで、和やかで。よく思い返してみれば、アニメの作中で描かれた長崎そよの演奏シーンは、本性を隠して仮面を被っていた頃のものと、詩超絆を経て情緒がボロボロになっていた時のものが主だった。だから、本来の長崎そよのスタイルはこのような、演奏そのものを割と楽しんでいるように見える物だったのかもしれないと、そのように理解した。どのような経緯、やりとりを経て影色舞でベースソロを弾くことになったのか、想像の余地が広くて楽しいとも、説明が欲しいとも思っている。
Gt. 要楽奈/青木陽菜
お立ち台に何度も上がっては飛び降りたり、ギターを弾きながらくるくる回ったり。かと思えば下を向いて一心にギターを掻き鳴らして見せたり、MCではぼーっと宙を眺めてみたり。要楽奈である故に何をしていても驚きはないけど、ずっと嬉しい。また、そんな中で唯一心情らしいものを感じさせたパフォーマンスが、swim演奏中の燈との背中合わせ、そしてグータッチだったように思う。ここから何を読み取るべきかはあまりわかっていないけど、ゲーム内での今後のストーリーへの期待が高まる。
Dr. 椎名立希/林鼓子
キャラクターとキャストの雰囲気が乖離している事に定評のある、椎名立希と林鼓子。現地で遠目に見ている限りでは確かに仏頂面の椎名立希がそこに居たような気がしていたのに、配信を見返すとニコニコの林鼓子が元気にドラムを叩いているので、何度でも新鮮に驚ける。林鼓子は基本的に笑顔なのだけれど、一口に笑顔といえども色々あって見事だった。特に栞の演奏時、カホンの上に乗りながらとても優しい表情をメンバーに向けていたのが印象的。
総評
バンドリのライブはこれが完全に初めて、配信すら見たことがなかったということもあり、全体的に初めて故の抵抗であったり、新鮮さであったりが印象として大きくはあった。その辺を全く差し引いて考えても、かなり密度が高くて充実感のある体験ができたように思う。もし次の機会があれば、今度の彼らはどんな姿を見せてくれるのか、大いに楽しみ。
付録
ライブ内でのキャラクターとしての台詞、モノローグの一部をアーカイブから書き起こした物を参考までに以下に掲示する。空白、改行をこちらの裁量で適当に追加した。この記事の前半、本編-○入場前の項に掲示したセトリから、ライブ内での位置を参照できる。
モノローグ演出①
ライブ開演からM1. 無路矢の間にスクリーンに投影された物。
モノローグ演出②
M7. 音一会からM8. 人間になりたいうた Piano ver. の間にスクリーンに投影されたもの。
M8. 人間になりたいうた Piano ver. からM9. 詩超絆の間に、高松燈役、羊宮妃那によって朗読されたもの。
MC③ 「迷い続ける中で」
M11. 迷星叫からM12. 碧天伴走の間に、各キャラクターによって朗読された物
(恐らく)M12. 碧天伴走の曲中に、高松燈役、羊宮妃那によって朗読されたもの。