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"NEICHEL"は誰?(『星のカービィ ディスカバリー』)
『星のカービィ ディスカバリー』のWELCOME TO THE NEW WORLD!!は星のカービィシリーズのゲームでは珍しい、ボーカル付の曲だ。
そして誰が歌っているのか、気になる人は多い。結論から言えば、私も分からない。というか、フェスまで隠しているのではと考えている。それに至った訳をここに記す。
内容の都合上『星のカービィ ディスカバリー』のネタバレを含んでいる。注意していただきたい。
人物についてだが、Sammy氏だった。
だいぶ遅くなって更新したが、これは特にwikipedia以上の情報を見つけられなかったので「なら更新しなくても…」という気持ちもあり更新していなかった。
08/27追記
フェスが開催され、そこではNEICHELが登壇して「WELCOME TO THE NEW WORLD!」を披露した。しかし誰についてかは明かされなかった。
ゼネラルディレクターの熊崎曰く「NEICHELさんに関しては、その素性はまだ謎ということにさせていただければ」とのこと。
そのため、筆者も仮に"何か"分かったとしても、web上で検索可能な所には公開しないようにする。
NEICHEL氏を見て思ったことを書き記す。
ややオールドなファッション、"かつての流行歌"→ご年配の方?歌唱後の自然なカーテシー→オペラ・コーラス関係者、あるいはそれらに近似した文化で育った方?
少なくとも、声優やアイドルの文化とはまた違った雰囲気を感じられた。ちなみにオールドなファッションというのは、本来NEICHELに「自然」、そして「新緑」という意味があるのにも関わらず、ドレスの色がダークグリーンだったことにも関係していそうだ。設定をしっかり考え、フェスで異世界言語で話し出したゼネラルディレクターの熊崎がドレスの色に無関心とは言えないだろう。長年の経過で"くすんだ"、そう言えるかも知れない。
そうなれば、「WELCOME TO THE NEW WORLD!」がお披露目された時期のNEICHELはうら若き歌姫だった。なんてことも考えていそうだ。
NEICHELが姿を見せる前、「AI説」もジョークとはいえ流れたが、「かつて一世を風靡した、老練な歌姫」という形が仮に一つの答えなのだとしたらなかなか面白いものだと思う。
何故名前が架空なのか
まず、ボーカル付の曲は珍しいが、初ではない。2019年発売の『スーパーカービィハンターズ』のエンディング・クレジットで岩出なつみがボーカルを務めるからだ。
このように、歌手を実名で出すのはおかしくはない。では、何故NEICHELという名前にしたのか。「NEICHELという架空の歌手が歌ったもので、作品の雰囲気を保つため」という説も出された。
作品の雰囲気を保つため?
確かに一理ある。が、これは反論できる。
まず、『ディスカバリー』のクレジット映像に付随する音楽、これは『宇宙へと旅立った人々より』だ。エンディングではない。ワドルディシアターで見られるクレジットだ。このクレジットで流れるのははっきりとした実名だ。宇宙へ旅立った人々ならば架空の名前にした方がより"らしい"。
しかし、ハル研はクレジットが遊び場だと思っていない。名前をロボボアーマーでぶん殴れるようにしても、名前自体を弄ることはしなかった。ディレクターとして有名な熊崎信也の名前を、スージーのしんりゃくレポートのようにシークレット・クマザキにはしない。
だからこそ、NEICHELという架空の名前が目立つのだ。他はしっかりと漢字フルネームに読み仮名を振るという、日本のスタッフリストの中ではほぼ完璧な形をしているのにも関わらず(あるとすれば所属会社を入れるぐらいか)。
テーマソング
『WELCOME TO THE NEW WORLD!』
歌 NEICHEL
作詞 熊崎 信也
作曲 池上 正
編曲 永田 太郎
編曲 小笠原 雄太
エンディングでもこのようになっている。作詞、作曲、編曲は実名で通したのにNEICHELは架空だ。この時点で雰囲気などない。
海外の歌手か?
この架空語は英語と日本語をベースにしているため、そうなると海外、バイリンガルの歌手が担当したとも考えられる。『ディスカバリー』のボイスにいるのでは?とも考えた。結論から言うとあり得なかった。
KAY CAL
CRISTINA LUCÍA JÁUREGUI
FANNIE SENÉCAL
CLÉMENCE DIERYCK
STEFANIA MONTAGNESE
NINA RAU
ELIZABETH SÁNCHEZ LEÓN
SASKIA DOORSCHODT
BONA KIM
数こそ多いが、これはスペイン語、フランス語、ドイツ語など欧州対応のためだ。あり得そうな英語版担当のKAY CALはNintendo of Americaのスタッフだ。彼女のLinkedinでは「Associate Localization Producer」が肩書だ。
声優・俳優ではないのだ。彼女も含めて全員が翻訳こそ過去作品を担当していても、そのボイスをやっていた訳ではない。
ちなみにほかの人の別名ではないのか、たとえば高山みなみ氏がやっているのでは?という考えもあるが、確定だとする分析もないので分からない。「灯火の星」の時シャンチー氏だとする根拠不明の噂が流れたくらいだ。ここまで加工が施されているのに、誰が歌っているか分かると言えるとは思えない。
そもそも、ゼネラルディレクターの熊崎はニンドリのインタビューに対し、テンプレのような回答しかしていない。好きな音楽を1曲答えて下さいという質問に、「サウンド担当それぞれで1曲」とサービスをするぐらいに、彼はおしゃべりな人物だ。その彼が、全文でこれだけの回答しかしていない。
―― 歌っているNEICHELさんはどんな方なんでしょうか?
熊崎 本作のために生まれた架空の歌手です。物語の設定として現在はどこかに行ってしまっていませんが、かつてその世界に存在した歌姫のアーティスト名になります。ちなみに名前は、あの世界で自然や新緑を意味する「ネイチェル」からです。
本当にこれで全部だ。この短い回答で熊崎は物語の設定と名前の意味しか回答していない。ニンドリ側は誰が歌っているかを知りたがっていたようにも思えるが、その回答に導けるような内容を彼は出さなかったのだ。
例えば、フェスまで隠しているというのは、どうだろうか?
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まぁ蓋を開けてみれば結局分からなかった。ともなりそうだが、ニンドリで熊崎が明かさなかったということは、公開すべきタイミングが他にありそうだとは考えられるだろう。
現状、公開に適したタイミングはそこぐらいしかないと思っている。
(ちなみに「本作のために生まれた」という熊崎の発言を拡大解釈すると、ディスカバリーのために機械的に生み出された人工音声の類とも見られそうだが…その線はないと思っている。仮にそうなら、プロデューサー業務をこなす池上正が動く必要が薄くり、テクノの魂を持つ石川淳や安藤浩和の出番となるだろう。)