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わたしのメキシコ
一時期アメリカで暮らしていたことがある。アメリカ人よりもメキシカンの方が多い、国境まで車で15分の町で、私は一人のメキシコ人女性と出会った。いつも冗談ばかりで、誰かが引っかかるとうれしそうに踊った。いつも人の輪の中心にいて大きな声で笑っていた。
いつからか、わたしたちはとても近い存在になった。長い休みには彼女の家を訪ねた。スペイン語が全くできないわたしを、平気で放っておいて遊びに行ってしまうその人が、私は大好きだった。
ある日、私はメキシコの別な街に行ってみたくなった。危ないからと彼女は止めたけれど、わたしの心はすでに、まだ見ぬ景色へと飛んでいた。