【本】誰が勇者を殺したか 予言の章
著者駄犬さんの「誰が勇者を殺したか 予言の章」を読みました。
この作品は去年出た「誰が勇者を殺したか」のアナザーストーリーのようなものでした。
前作のあらすじ
前作で勇者アレス、騎士レオン、聖女マリア、賢者ソロンの4名が魔王を倒したが、その後勇者は亡くなったという報告を王女が貰い勇者の死の真相について調査していくという話でした。
詳細は省くとして、勇者を導く者として「預言者」という者がいます。この預言者は勇者を導いて魔王を倒すよう促すのですが、魔王を倒せず人間族が滅ぶと、ターニングポイントである数年前にリセットされて何回も何十回もやり直しさせられる世界編纂という能力が働きます。
で、上記4名が無事魔王を倒せたのがトゥルーエンドとなります。
今作について
トゥルーエンドになるまでには何回も失敗し人間側が滅びています。そのうちの1つであるアナザーストーリーが今回の「予言の章」にあたります。今作は、ターニングポイントである「マリカの国の戦争」で生き残ってしまった4人に焦点が当てられています。
お金のためならどんな依頼でも受ける、剣士レナード
元貴族で魔法使いのソフィア
元聖女候補の僧侶ニーナ
槍術の使い手エフセイ
レナードは腕は立ちますが、金の亡者で依頼を受ける時に相場の数倍や数十倍の依頼料を請求すると噂でかなりの悪評がありますが、最期に魔族に立ち向かい返り討ちに遭う運命にあります。
この4人についてあるきっかけで、預言者は興味を持ち接触を試みる所から物語が始まります。
感想
前作で綺麗にトゥルーエンドを迎えた「誰が勇者を殺したか」だったため、トゥルーエンドにはならない、「勇者にはなれなかった者たち」の物語を作っても前作を超えられないのでは?と思っていましたが、想像の斜め上をいき前作を読んでいた人はより感情移入しやすい作品に仕上がっていたのでは?と思いました。
うまくいきすぎた勇者たちである前作と違い、今作は勇者にはなれないが今を必死に生き、魔王を倒せずとも自分たちの実力に見合った功績を積み上げていく姿はかなり現実味があり、勝敗や勝ち方にも納得がいくものでした。
また彼らの生き様やパーティを組んだ理由などは前作と同じようなストーリーの進み方(メインストーリー→各メンバーの過去に遡る→メインストーリー→各メンバーの過去に遡るの流れ…)になっており前作を読んでいればするすると頭に入り読み進めやすかったです。
前作の登場人物も何名かは登場しますし、この4人は結局魔王は倒せませんでしたが、色々な所で人間側が有利になるような功績を残していき、悪いイメージが払拭されていくのも良かったです。
さいごに
前作は綺麗に終わるトゥルーエンドでしたが、今作もアナザーストーリーとして綺麗に終わりましたし、前作で預言者で何回も勇者を導く中での苦難についても深堀りされている今作はしっかり前作を読んだ人にも十分楽しめる内容になっていたと思いました。
この世界編纂という設定のおかげで別の2パーティ分ぐらい作品を出しても全然楽しめそうだなと思いました。
次回作に期待したいと思います。
参考
この作品はの前作は「小説家になろう」に掲載されているので、気になる方はぜひ読んでみてください。
https://ncode.syosetu.com/n1052ib/
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