現地通貨調達
【※2019年9月26日にFacebookノートに投稿した内容を再掲】
昨今のキャッシュレス化,クレジットカードが世に出始めた頃はブームにならなかったものの,スマホ決済の普及と共に一気に加速されている。当初のクレジットカードは,誰でも持つことができたわけではなく,審査基準をクリアしなければ所有できない「信用ステータス」であった。一方,スマホは,今では多くの人が所有している日常生活上の「インフラステータス」になり,スマホ決済に紐づける電子マネーは誰でも持つことができ,クレジットカードも今では学生でも持つことができ,しかも多くが年会費無料。このような社会環境であれば,利便性あるキャッスレス化が進むのはごく自然の成り行きなのかも知れない。
閑話休題。
海外に行くとき,現地通貨をどのように調達するか?以下の四つの方法が代表的であろう。
①国内,現地の銀行や換金所で日本円を現地通貨に換金
②国際キャッシュカード(デビットカード)による国内銀行口座からの直
接引落
③クレジットカードによる海外キャッシング
④現地銀行口座を開設して日本から海外送金(振込)
短期の海外旅行や海外出張の場合は圧倒的に①であると思うが,長期であれば②,③の方法が加わり,更に海外留学や海外駐在であれば④も加わってくるかと思う。
①については説明不要であろうから,ここでは,自分自身,あるいは家族(父母,子供,兄弟姉妹など)が海外留学あるいは海外駐在で現地で生活する場合,②~④のどれがいいかを検討される上での一助になればと思い,私の経験上の視点を参考までに紹介する。なお,これは3年ほど前のお話しであり,ここ最近の情報が気になるようであればご自身で調べて頂ければと思う。
②国際キャッシュカード(国内銀行口座直接引落)
海外で生活する人に対してよく勧められている方法であり,海外ATMで簡
単に引き出せるが,
・カード発行費用がかかる場合がある
・換算レートに為替事務手数料が加算される
・帰国後は利用する機会は少なくなる
などの欠点がある。
③クレジットカード(海外キャッシング)
クレジットカードのキャッシングと言えば「借金」のイメージがあるが,
国際キャッシュカード同様に海外ATMで簡単に引き出せるほか,以下の利
点がある。
・最近は年会費無料のものが多く発行されている
・為替事務手数料がなく換算レートが良い
(通貨流通状況に応じた手数料の影響がなく,クレジットカード払い
より更に良い)
・帰国後もクレジットカードとして利用できる
・超低金利の時代なので利息がほとんどほとんどかからない
特に,最後の点については,現在,年金利が18%なので,月換算で
1.5%,日換算で0.05%となり,短期間で「繰り上げ返済」すれば為替
事務手数料率よりも小さい利息で済む。
例えば、10万円をキャッシングした場合,その日により,
・カード締め日前:1500円(利息期間1ヶ月)
・カード締め日後:3000円(利息期間2ヶ月)
の利息がカード利用額と合わせて請求されるが,カード会社への振り込み
による繰り上げ返済を行えば,
・1日当たり50円
の利息で済む。実際には,海外現地引き出し日から国内請求確定日まで早
くて1日,遅くとも数日程度なので,この日数差が3日であったとしても
利息は150円に過ぎない。なお,国内請求確定の状態はクレジットカー
ド会社に照会すれば教えてくれる。
④現地銀行口座送金
現地銀行口座への海外送金は,送金手数料もさることながら,何といって
も,
・現地銀行で口座開設の手続きが必要
・海外口座開設に費用がかかる
・帰国時に口座解約の手続きしなければならない
など,海外駐在で企業が全面的に手続きしてくれる場合でない限り,個人
対応としては何かと手間がかかり面倒である。
ということで,私の個人的なおすすめは,
③クレジットカード(海外キャッシング)
である。
但し,③のクレジットカードでの海外キャッシングについて,海外留学を計画しているような「学生の場合」は注意しなければならないことがある。学生の場合は基本収入ゼロなので,法律により学生自身のカードにキャッシング枠は付与されない(=ゼロ円)。したがって,親のクレジットカードの「家族カード」を作って持参すると良い。家族カードは,
・無料発行のカード会社が多い
・親の海外キャッシング枠を利用できる
・親のカード利用と合わせて利息請求されるので,国内にいる親が繰り上
げ返済できる
・クレジットカード払いの利用額も親のカード利用額と合算で請求され,
管理が容易
などの利点がある。
また,私個人は「イオンカードのMasterブランド」を利用していた。理由は,
・イオン銀行との連携カードであり,繰り上げ返済のための振込手数料が
無料
・イオン銀行は年中無休のネット銀行であり,土日でも繰り上げ返済でき
る
・MasterブランドはVISAブランドよりも換算レートが若干良い(1%程度の
記憶が)
上記はあくまでもご参考としての情報提供であり,どこのクレジットカードにするかは,各人でもいろいろ知らべて検討頂きたい。
なお,短期の海外旅行や海外出張であっても,①より③がおすすめと考える。特に,ドルやユーロと異なり,世界での現地通貨の流通が比較的少ない国の場合は,高めに設定されている為替事務手数料を負担することなく利用できる。但し,海外ATMのない国では利用できないので念のため。また,帰国後は,利息を最小限にするため,速やかに「繰り上げ返済」することをお忘れなく。