電気自動車(EV)は日本に適してるか?

 先日,とある研究員のツイッターリプライにコメントを返したところ,理由わからないまま速攻でアカウントブロックをされ(苦笑),その研究員の過去のツイッター内容をざっと見てみたら,脱炭素社会に向けた電気自動車(EV)関係(推し?)の内容が多かったので,

  電気自動車(EV)は日本に適してるか?

について少し私見を述べたいと思う(なんちゅう話題の入り方やと思う方もいるかも知れないが,実際にそうなんで...すいません)。

 まず,結論から言うと,自然災害による有事を鑑みれば,日本に適してるのはEVではなく,

  日本に適してるのはプラグインハイブリイドカー(PHV/PHEV)

と考える。気候変動問題に関連して,ガソリン併用では脱炭素への貢献度が低く,EVに向かう世界の潮流に乗っていないという人がいるかも知れないが,自然災害の多い日本にとってはEVは必ずしも適してるとは言えないと考える。

 まず,電気自動車を普及させるためには給電インフラの普及・充実化が必要不可欠である。世界でEV普及を加速させている欧州や中国の主要都市部は地震や台風による被災は基本的になく,給電インフラがこれらの自然災害の被害にあうことは稀と考えることができる。しかし,日本は地震,台風などによる自然災害が広域に亘ることが少なくない国であり,欧州や中国主要都市部とは事情が違う。この「事情」を解決するための方策が給電インフラに対して十分に練られていないし,事実として費用対効果の視点で限界がある。例えば,広域自然災害の場合,広域・長期停電の可能性は高く,たとえ今後蓄電池技術が進んだとしても,自然災害に対する給電インフラの堅牢性が十分でなければ,結局,そこがボトルネックとなって給電インフラとしての使命を果たせないこととなる。

 次に,EVは走行充電ができず,走行距離も概して短い。給電ポイントの多数展開により平時の運転に支障をきたさないようにすることは可能であろうが,給電時間は概して長く,自然災害でこれらの給電ポイントが機能不全や利用制限に陥った場合,EVは実質利用できない状態に至る。実際,東日本大震災の時,自動車が主要交通手段である東北地方の田舎の被災者はガソリン不足に泣かされた方が多かったと思うが,支援者や帰省者が現地入りするために降り立った周辺空港では,走行充電が可能なハイブリッドカー(HV)のレンタカーが非常に活躍していた(当時はまだ,プラグインハイブリッドカー(PHV/PHEV)は普及してなかった)。例えば,被災を免れた山形空港から被災地の仙台市に向かう場合,ガソリンの補給なしで往復できていた。もし,EVであれば,停電状態の中で,このような走行は無理であったろう。

 最後に,EVのエネルギー源は給電による「外部の発電電気」であり,今後蓄電池技術が進んだとしても,いわゆる備蓄という概念は基本的にない。一方,現在のガソリン車のエネルギー源であるガソリンは備蓄が可能であり,搬送も可能である。しかも,生活インフラでもある電気の利用先に係る回復優先性を考慮することなく,独立して自然災害における有事での給油計画が可能となる。電気を「搬送(外部給電)」できなくても,家庭用太陽光パネルからの給電に期待できるという考えもあるかも知れないが,自然災害時に給電システムの健全性確認を一般の家庭人にはできず,被災地域の全戸数の健全性確認を電力会社のように人海戦術で太陽光パネルメーカが実施するには自ずと限界があるし,これを待たずに無理に利用すると漏電による火災等の二次災害が発生する可能性もある。

 以上より,広域の自然災害が少なくない日本では,ガソリン+電気といった駆動源に多様性を持たせたプラグインハイブリイドカー(PHV/PHEV)が適していると考える。

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