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医療と改善活動(特にQCサークル活動)について② ~全体的な注意点~
QCC活動をする際に心がけたいこと
①「要旨集」と「発表スライド」の内容は同じとする
② 定量的に評価・把握し、相応しい方法で表現する
③ 図・表には番号、タイトル、作成日、作成者、調査期間を記載する
④ 図・表には必ず解釈を記載する
⑤ 大きな・広い視点から詳細な視点へと切り換える
① QCⅭ活動を行った集大成が、聴講者に配布される「要旨集」と、当日の「発表スライド」です。多くの方が発表スライドに注力し、完成度の高いスライド作成を目指しますが、その結果、要旨集と発表スライドの乖離が起きてしまいます。要旨集の締切に間に合わず、その分を当日の発表スライドでカバーすることは本末転倒で、避けなければなりません。
② 次に記載内容についてですが、定量的に評価・記載することが原則です。「多くなった」、「少なくなった」のような感覚を記載するのでは相手に伝わりません。数字で把握する必要があります。表現方法にはTLFの3つから選択すると良いでしょう。文章だけで記載することは極力避けたいものです。
T:Table(表)
L:List(一覧・一覧表)
F:Figure(図)
③ 作成した図や表には、必ず図・表の番号、タイトルのほか、作成日、作成者の記載が必要です。現状の把握など、調査によって得たデータであるのならば、調査期間(〇年△月▢日~◎年♢月☆日)の記載も必要です。
④ ③で作成した図・表ですが、作成、要旨集やスライドに貼付して終わりではありません。必ず、解釈を記載する必要があります。
下の図は、男女別の文系・理系進学割合を示したものです(データは架空)。

上の図であれば、理系・文系の人数は以下のようになります。
男性で理系に進学 55人(55%)
男性で文系に進学 45人(45%)
女性で理系に進学 50人(50%)
女性で理系に進学 50人(50%)
男性は女性と比べ、理系に進学する割合が高いという解釈もあれば、男性は女性と比べ、文系に進学する割合が低いという解釈もありそうです。また、男性・女性問わず、理系・文系の進学割合はさほど変わらないとも解釈できそうです。どの解釈も間違っていないと思います。図表の解釈は、読み手や前後の文脈で異なってきますので、必ず記載する必要があります。
⑤ QCC活動では多くの図表やイラストが登場します。読み手、聞き手にとって膨大な情報であることに変わりはありません。データを示す際、大きな・広い視点から詳細な視点へと切り換えることが重要です。大きな・広い視点を「鳥の目」、詳細な視点を「虫の目」と例えることもあります。鳥が空を飛ぶような視点と、草の中にいるバッタやコオロギのような視点、双方の視点を持ち、適宜、切り換えることが重要です。

職場・サークル紹介
学術集会等で一般演題や講演を聞く際、いきなり本題に入ってしまっては聞きとり難くなります。QCC活動の職場紹介は、今からはじめるカイゼン活動の導入的な役割を果たします。職場・サークル紹介は以下の3つで構成されます。
会社紹介(病院紹介)
職場紹介(所属部署とその業務の紹介)
サークル紹介
会社紹介では、社名、本社所在地、国内・国外拠点、授業員数、事業内容等を紹介します。病院であれば、病院名、所在地(県名・市区町村)、診療科、病床数、関連病院 等になります。ここで病院の理念や設立時のマインド、普遍的なものも一緒に示すことを忘れずに・・・
次に、職場を紹介します。病棟のサークルであれば病棟の、外来であれば外来の紹介を行います。検査やリハビリといった医療技術部門であれば、その部署と業務を紹介します。
最後に、サークル紹介について紹介します。サークルのメンバー構成、力量(個人・総合)について客観的に評価し、現在の立ち位置を示します。ここでの評価は『効果の確認』の一つである「無形効果」と関わってきますので、評価を忘れないようにしてください。また、評価項目についてですが、オリジナルの評価が不可ではありませんが、外部との整合を図るために、日科技連から評価の仕方に関する書籍が出版されてますので、そちらを参考にするとよいでしょう。
職場・サークル紹介は、要旨集の書き始めに相当しますが、比較的書きやすい章でもあります。次の「テーマの選定」から本格的な内容となりますので、ウォーミングアップも兼ねてしっかりと記載するようにしておいてください。