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2024年08月26日 北都プロレス・コンカリーニョ大会、仲川翔大 対 梅沢菊次郎。

今回は08月26日に行われた、北都プロレス・コンカリーニョ大会で行われたHWC選手権試合、仲川翔大対梅沢菊次郎戦についてです。



①試合決定

北都・東京大会が06月下旬に終わり、07月になり仲川選手がXで梅沢さんを逆指名し、08月26日のコンカリーニョ大会でHWC王座をかけての一騎打ちをアピール。

後日、正式にタイトルマッチが決まりました。


仲川選手が逆指名した梅沢菊次郎選手は、現在の北都プロレスの参戦メンバーの中で唯一、旗揚げ戦から参戦している選手で、20周年記念大会に相応しい挑戦者ということになります。

仲川選手が北都に参戦したのが2016年07月16日の雨竜大会からで、梅沢さんはその頃の北都の中心人物の一人でした。

大矢剛功、ジャングル=バード、梅沢菊次郎がレギュラー参戦していて、そこに北都生え抜きの池田昌樹、河原成幸がいたと思います。

そして、仲川選手が北都に参戦して半月後の07月31日に、ワンデイシングルトーナメントが行われ、HWC王座がお披露目となり、優勝した池田昌樹が初代王者となりました。



②一応、触れておきたい2013年12月~2014年までの流れ

HWC王座誕生の経緯は分かりませんが、2013年12月から2014年にかけての梅沢さんの奮闘と、池田選手の成長が大きかったと思います。

2013年12月、当時はコンカリーニョではなく、ことにパトスで行われたタッグマッチで梅沢さんがダイビング・セントーンを決め大矢さんに勝利。

試合後、梅沢さんがマイクを通さずに大矢さんに人差し指を突き出し一騎打ちをアピールします。

単なるアピールに過ぎないと思っていたものの、2014年07月にコンカリーニョで行われた10周年記念大会で、大矢剛功対梅沢菊次郎が実現。

大矢さんは腰の状態が悪かったものの、梅沢さんの猛攻を振り切りバックドロップを連発し、卍固めで勝利します。

そして12月のコンカリーニョ大会で梅沢菊次郎対池田昌樹の一騎打ちで、夕張大会で梅沢さんが獲得したWUW無差別級王座が賭けられ、28分に及ぶ激闘の末、梅沢さんがダイビングセントーンで勝利し防衛に成功しました。

この試合は、池田昌樹が引退後にHBCラジオの「ラジプロ!」のインタビューでベストバウトとして語っていましたが、試合内容もさることながら、池田選手初のタイトルマッチ挑戦ということもあり、思い入れも強かったのかなとも思いました。

北都プロレスが関東から選手を呼んでシリーズを回るだけなら、ワンデイシングルトーナメントやワンデイタッグトーナメント、HWC王座は必要ない訳で、生え抜きの池田選手や河原選手が成長してきたからこそ出来た流れなのだと思います。

そして、池田選手の壁でありライバルだったのが梅沢さんで、2013年12月から2014年の札幌大会の梅沢さんの奮闘があったからこそ、ワンデイシングルトーナメントが出来、HWC王座が誕生したという認識です。

あくまで自分の中では…ですが。



③入場~試合開始前まで

話は08月26日に進みます。北都コンカリーニョ大会は超満員の入りで木箱が増設される盛況ぶりを見せます。

第1試合では松本千穂がデビューし、前半3試合を終え休憩時間を挟み、第4試合のタイトルマッチがスタートしました。

先に入場したのは挑戦者の梅沢さん。テーマ曲が鳴り手拍子のタイミングが合わない光景に時の流れを感じます。

梅沢さんは2017年12月を最後に2年近く北都に参戦せず、2019年12月の復帰後はたまに参戦する感じだったので、観客のリアクションが弱かったのも致し方ないかなという印象です。

そして王者の仲川選手が登場。梅沢さんは仲川選手をにらみ続け、チャンピオンベルト返還から記念撮影を行い試合開始となりました。



④試合開始

ゴングが鳴り、しばらく動かなかったものの半時計回りに動きロックアップ。梅沢がロープに押し込むものの仲川が途中で体を入れ替えブレイク。

ブレイクした際に仲川が顔面を張ると、梅沢さんが張り手を放つと、そこから打撃のラリーがスタート。仲川はエルボー、梅沢は逆水平で応戦。

体格差からか梅沢が優勢となり仲川に向かって突進するも、仲川がかわし梅沢は場外へ転落。仲川はトペ・コン・ヒーロを繰り出しアピール。場外戦でも優位に進めリングに戻す。



リングに戻り、仲川はサッカーボールキックを連発。梅沢が起き上がると顔を張りバックエルボーを連発。

リング中央で仲川がエルボーを放つと、梅沢は頭突きで反撃。仲川も頭突きを放ち、自身の額を指さし、「やってみろよ!」と言わんばかりのアピールするが、梅沢が頭突きを放つと仲川が真後ろに倒れダウン。

仲川が起き上がると梅沢はまたしても頭突きを放つが、仲川も頭突きを放ち交互に頭突きを打ち合う。仲川も梅沢もしんどそうな表情を浮かべつつもどこか嬉しそうにしていたのが印象的。

梅沢が頭突き合戦を制しカバーするがカウント2。さらに一本足頭突きからのカバーもカウント2。

この頃には梅沢さんの額が切れ流血。仲川は苦しい表情を見せる。



梅沢が仲川の顔面を張ると、仲川はチョップで応戦するが、梅沢のショートレンジラリアットの餌食にあう。

梅沢は頭突きを入れコーナーに追い込むと逆水平を連発し張り手を繰り出し顔面を張る。仲川も頭突きで応戦するが、梅沢が頭突きを連発しラリアット。

そして梅沢はアルゼンチンバックブリーカー。この技は2017年のワンデイシングルトーナメントでリッキー・フジを破り優勝した時のフィニッシュホールドでもあるが、仲川はスリーパー気味に絞め上げ脱出。


梅沢は串刺し攻撃を狙うが、仲川は両足を出し迎撃。それでも勢いが止まらない梅沢は突進するが仲川がかわし延髄斬り。仲川は串刺し式のバックエルボーからPKを放ち反撃。ミサイルキックからのカバーはカウント2。


互いに立ち上がりエルボーを打ち合い、仲川がエルボーを連発し突進したところを梅沢のスパインバスターが決めるがカウント2。

梅沢は腕パンチを連発。串刺し式のラリアットからスピアが決まるがカウント2。


梅沢はコーナーからリング中央に向かって走りラリアットを狙うが、仲川がかわすと延髄斬りからトラースキック。

仲川はコーナーに上がるが梅沢も起き上がり張り手で顔面を張り、梅沢もコーナーに上がり頭突きを入れ雪崩式ブレーンバスターで叩きつけ、ラリアット、ジャックハマーと畳みかけるがカウント2。

梅沢さんはエプロンでアピールしコーナーに上がってダイビングボディプレスを狙うが仲川がかわし自爆。



仲川は梅沢の上体を起こすと、バズソーキックとトラースキックを交互に放ちカバーするがカウント2。

最後はコーナーに上がりスワントーンボムを決めカウント3。仲川が初防衛に成功した。



試合後、仲川は北の五郎レフェリーからベルトを受け取るとベルトを掲げアピール。

そして、大の字の梅沢さんの前で正座しマイクでお礼の言葉を述べ頭を下げる。

梅沢さんは四つん這いになりながらコーナーへもたれかかるのだが、梅沢さんの泣き顔を見てしまったのか、仲川も感極まってしまったのかマイク無しでお礼の言葉を述べる。

この時、一部の客から「マイクは?」って感じのことを言っていたけど、無粋なんだよなあ…仲川が「マイク持たないで喋る」って言っていたわけだし。

そして改めて感謝の言葉を述べると梅沢さんは仲川に抱きつき仲川の手を掲げリングを降り退場。

リングを降りた時の梅沢さんの表情を見てしまうと、梅沢さんのことがさらに好きになってしまうよね。

仲川はマイクを持ち「王者だけど挑戦者として闘っていた」ことや「30周年も自分が引っ張る」と話し終えると、再びベルトを掲げアピール。

エプロンではおでこを見せ、指をさしアピールしていたが、頭突きを食らって腫れていたのかもしれません。



⑤感想・その他

試合は梅沢さんとの体格差に苦しみ、強引にねじ伏せるような形で辛くも仲川選手が勝利し防衛に成功したという内容だったと思います。

戦前の自分の予想は仲川選手の防衛でしたし、試合内容に関しては「梅沢さんのコンディション次第」と思っていたので、予想以上の好勝負でした。

梅沢さんに関しては、2019年の復帰以降は悪くはないものの、北都プロレスの名勝負製造機と化していた頃に比べれば今一つ物足りないというのが正直なところで、どこまでその頃に近づけるかという気持ちで見ていました。

仲川選手が序盤から顔面を張り、サッカーボールキックを連発し挑発することで、梅沢さんが頭突きを中心とした攻めを見せ荒っぽい試合となりました。

仲川選手は挑戦者の気持ちで闘っていたというのは、王者だけど積極的に仕掛けていったことなんだろうと思ってます。

それが結果的に、荒っぽい試合となり、梅沢さんのフィールドで闘い、梅沢さんの良さを引き出したうえで王座防衛に成功し、仲川選手は王者のプロレスをした形になったと思います。

北都に参戦していた頃はどこかチャラチャラした印象があった仲川選手が立派な試合を繰り広げたことや、敗れた直後の梅沢さんの表情を見て私はこの日二度目の涙を流します(苦笑)。

仲川選手に対し思わず「立派になったなあ…」とつぶやき、梅沢さんの負けた時の何とも言えない表情、梅沢さんが10周年記念大会に続き20周年記念大会でも敗れたこと…色々な感情が入り混じったものでした。

梅沢さんのことは大好きだけど、梅沢さんの試合で刺さるのはいつも負けた時のあの表情だったんだ、ということも再認識しました。

自分はあの頃の梅沢さんを求めていたけど、梅沢さんは当然のことですが現在の梅沢菊次郎で勝負を挑み、そして敗れましたが、これで良かったと今は思っています。

タフネスさとオーバーリアクションを駆使して客を魅了していたあの頃の梅沢さんはいなかったけど、小細工なしで真っ向勝負をしさらけ出す姿は見事だったし、それ以上に仲川選手に痺れた試合だっと思います。


仲川選手からしたら、北都でお世話になった先輩たちに勝利することで恩を返したかったというのはあったのでしょう。

最初は北都の中で一番キャリアの浅い選手だったのに、次々と参戦メンバーが入れ替わっていく中で、いつしか北都プロレスを引っ張っていく立場になっていきました。

それは頼もしい部分でもありますが、王者となった時に池田昌樹や河原成幸、大矢さんやジャングル=バードと闘って防衛できないことは何とも言えない気持ちがあるのかなと思って見ていました。

それと、仲川選手からは北都プロレスへの愛着や恩を感じる時があります。

これまで仲川選手は二度ほど、ヒザの負傷で長期欠場をしています。

プロレスのオファーの流れは分かりませんが、1年近い欠場を2年おきにする選手にオファーを出すのは厳しいかなと思います。

ファンは熱しやすく冷めやすいものだと思うから、長期欠場をすればファンだって離れるかもしれません。

だけど、クレインさんは仲川選手が復帰する度に変わらずにオファーを出し続けました。

仲川選手が復帰明けにどれくらいのオファーを貰ったか分かりませんが、欠場前と変わらずオファーを出す北都に何らかの感情が湧くのが人間だと思います。

仲川選手が直接、北都プロレス愛を出すわけではないけど、ずっと参戦し続けることが北都プロレスへの愛情の証なんだと思ってます。

どこか切なくてセピア色に見えたけどいい試合でした。

松本千穂やシドニー昌太スティーブンスの試合が未来の北都を感じさせるものだとしたら、仲川対梅沢の試合は過去から現在進行形の北都を感じた試合でした。


個人的には、北都プロレスに参戦する選手、特に関東から来る選手には「また北都プロレスに参戦してね」という気持ちで見ています。

折角、北海道に来るんだからいい思い出になってほしいし、一度きりの参戦ではなく色んなところを回って北海道のファンに愛されるレスラーになってほしいなって思ってます。

仲川選手の代役だったのか分かりませんが、佐山駿介さんがレギュラーになった時は嬉しかったですし…復帰したばかりですが、鈴木心選手あたりはまた来てほしいなと思います。

今はレッカ選手や磐城選手あたりがレギュラーになっていると思いますが、彼らがHWC王座を巻いたり、コンカリーニョのメインを飾る選手になったら嬉しいなと思います。

仲川選手は「30周年も引っ張る」と宣言し、クレインさんは「体が続く限り北都を続ける」と宣言してましたが、自分も年を取ったせいなのか、とにかくみんな元気でいてほしいなって思います。


ということで、今回はこれでおしまいです。

長々と失礼しました。

それでは。