【2024年5月】先月聴いた中でお気に入りのアルバム
こんにちは。やっていきましょう。今月はちょっと少なめです。まぁそんな時もありますよね。
Tempalay『((ika))』(2024)
濃厚で密度の高い楽曲がずらりと並ぶ創造性にあふれたアルバムでした。一曲の中で様々な曲想を縦横無尽に駆け回り、どれも表情豊かでカロリーの高い作品群だなという印象を受けました。サイケな雰囲気とオルタナティブな展開を織り交ぜながら外すとこはとことん外し崩すとこは大胆に崩し、複雑で高密度な世界を構築していました。それでも楽曲としては全く破綻せず耳に馴染みやすいメロディーラインやハーモニーで強度の高い曲達に仕上がっていました。アルバム全体を通して心地よいグルーヴがずっと続くので19曲も収録されている大作ですが全く飽きず、エキセントリックなサウンドを隅々まで楽しめました。聴けば聴くほど楽曲に仕込まれたギミックを発見できる一枚です。
海の散歩『僕らのオールシングスマストパス』(2024)
広大な広がりを感じながらもその領域全てを厚みのある轟音が美しく激しく流れていく迫力のあるアルバムでした。猛り狂うようなドリームポップなギターサウンドと、しっかりと芯のあるエッジがハッキリとしたボーカルとのコントラストが素晴らしく、よりボーカルの声が際立った印象を持っていました。アルバム全体を通してミックスのこだわりを感じられました。この轟音の波に押されながらも爽やかで牧歌的な雰囲気や、どこか哀愁の漂うメロディーで尖りすぎてない心地よい肌触りのものになっています。ボーカルも楽曲によって装いが変わるように多彩な表現をしていて、それがより楽曲に深みと説得力を与えていたのかなと思いました。
Quw『思惑』(2024)
DTMネイティブなサウンドワークとフィジカルでの楽器の演奏との合成により一層磨きがかかった作品でした。子気味良いリリックとギターのリズムがより顕著に表れ、このユニットを特徴づける一つのシンボルになっているように感じました。前にもどこかで書いたのですがボーカルのある意味での表情のなさが逆に効果的で、なぜか詞の情景や思いが生々しく伝わってきます。ほんどの楽曲が2分半前後でコンパクトに収まっているのも現代的なアプローチだなと思いつつ、この時間の制約の中で最大限に楽曲の魅力を引き出すような試みがなされているのかなと思いました。もちろんそういう意図的な縛りプレイとかはしてないと思うんですが。
summer eye『大吉』(2023)
膨大なリファレンスを感じさせながらもオリジナリティあふれるポップスへと昇華させた楽曲群でした。全ての楽曲に心地よいグルーヴが流れていて、さまざな音楽ジャンルを複雑に融合させ独創的なサウンドを放っていました。緩やかで落ち着いた音像ですが、耳をすますと細かいサウンドのディテールが詰まっていて細部まで楽しめる音楽になっています。決して肩ひじ張らないリラックスした雰囲気がアルバム全体を包んでいて、そこに少しシュールで浮遊感のある詞が乗っかることでよりいい意味で気の抜けた一枚になっているのではないかなと思います。全体的にとても柔らかな印象で、ユニークで愉快かつ包容力のある作品だなと感じました。
栗原健『In The Mirror』(2023)
多種多様な音楽性が次々と繰り出されるクリエイティブな作品でした。シューゲイザーのような広がりと揺らぎがあると思えば、思いっきりシャウトするパンクも飛び出してきて全てが変化球のようなバラエティーに富んだ一枚でした。アルバム作品というよりは今までの作品をまとめたような一枚なのですが、終盤以外は一曲歌うごとに短いインスト曲が挟まれるのでそういうコンセプトアルバムみたいな楽しみ方もありました。そのインストもvaporwaveのような独特の質感で、一曲ごとに区切り目を明確に分断するのが却って新鮮で曲ごとに分けていながらもアルバムとしては統一感のある仕上がりになっていたのではないかなと思います。
以上。先月聴いたアルバムのリストです。↓
正直なことを言うとあまり集中して音楽を聴けてなかった月でした。あとは曲単位で好きなのはあったけどアルバムとしてだと…もう一声!みたいなのが多かったです。いい作品なんだけどこの部分がな~ってモヤモヤしながら「このアルバムがよかったです!!」みたいな記事で紹介するのもあれなのかなみたいな。自分の感覚なのであまり伝わらないと思いますが。どっかでここで紹介しなかった作品も聴きなおしたいですし、また聴いてみたらよかったなと思うものがあれば紹介したいですしね。そういうの先月以前のリストにもありますし。そんな感じです。