【2024年10月】先月聴いた中でお気に入りのアルバム
こんにちは。やっていきましょう。ヘッダーを作ってみました。いかがでしょうか。
KASHIWA Daisuke『TITAN』(2024)
硬い質感のインダストリアルなビートと美しいピアノの音色が見事に融合した作品でした。しっかり重量感のあるビートが楽曲の骨格を強くさせていてタイトでハリのある質感に仕上がっています。アルバム全編にわたってノイズとも言えるテクノビートが縦横無尽に動き回りその後ろを静かにリバーブの効いたピアノがシンプルなメロディーを奏でていて、漂う空気感はどこか退廃的でファンタジーな雰囲気でした。性質の異なるサウンドを破綻なく見事に一つの文脈に落とし込むアレンジの巧みさが光っていました。余分な音は一切入っていないスタイリッシュさは上品さと同時に大胆さも感じさせました。
Aooo『Aooo』(2024)
バンドメンバーそれぞれの個性がしっかりと発揮されかつそのコンビネーションがとても気持ちよくまとまっていました。メンバーがそれぞれ異なるバンド経験やサポートなどで活動されていたバックグラウンドがあるのでとてもテクニカルな演奏かつ洗練されたアレンジが印象的でした。それとは対照的に楽曲の雰囲気は瑞々しくフレッシュで活気にあふれていました。この駆け出しのストレートな初期衝動的なエネルギーと息ピッタリの熟したバンドアンサンブルとの融合がぴったりとハマっていました。メンバー全員が作詞作曲を担当しているのでそれぞれの楽曲に与えられた個性が活かされている印象を受けました。
muque『Dungeon』(2024)
デジタル世代特有のボーカルと今の時代性を思わせるビートが高いクオリティで繰り出される心地よい作品でした。バンドサウンドに囚われずな感性でトラックメイキングを行っていてクリエイティブなバンドの姿勢が伺えました。と思えばデジタルだけに力が入っているのではなくしっかりとバンドの音色も大事にしていて、ビート色が濃い楽曲だけでなく他ジャンルからの影響も感じさせるリズムや楽器の演奏もありました。それらの要素が絶妙に混ざり合い統一感がありながらもバラエティに富んだ一枚に仕上がっているなと感じました。
She Her Her Hers『Pathway』(2024)
浮遊感のある独特なテイストのオルタナサウンドにいアまで以上にビート感が現れたアルバムでした。決して派手ではないけれどしっかり存在感のあるビートが楽曲のベースにあるので芯のある浮つきすぎないさじ加減になっていました。ダンスミュージックな要素が加わったことで今まで以上に乗りやすい作品になったと思います。そのベースの上に肉付けするように様々な音が個々の主張をしながらも楽曲の雰囲気の中で調和しあうように鳴らされていました。巧みなコーラスワークや緩やかに効果的に配置されたストリングスの音色は楽曲をより上品にエレガンスに仕上げています。曲の展開もJPOPの定番の型にはまらないワールドワイドな雰囲気を演出していました。
baobab『かぜつちうた』(2024)
土着的で神秘的なサウンドが全編にわたって優しく響くアルバムでした。アルバムタイトルの通りに自然に由来したテーマでそれぞれのエッセンスを彷彿とさせる音色とバンド構成が秀逸でした。楽曲によって奏でられる楽器がたくさん登場し変わっていき、複雑ながらもバランスのとれた編成で全ての楽器の調和が保たれていました。登場するサウンド、アコースティック・エレキ含め全てが自然と溶け合うような柔らかさでそれぞれが透明度の高いレイヤーのように折り重なって美しいハーモニーが生まれていました。ボーカルの歌声もとても繊細かつ楽曲に寄り添うような美しい声色で、幻想的な雰囲気作りに貢献していました。
竹村延和『Scope』(1999)
とても前衛的でダイナミックなアンビエントグリッチでした。グリッチノイズがメインで構成されたトラックとメロディアスなものを感じさせるアンビエント志向のトラックが交互に繰り出される不思議なアルバム構成です。比較的メロディーラインがわかる《Kelper》でもトラックサンプリングされた人の声は細かく切り刻まれたりと実験的な要素がたくさん詰め込まれていました。収録楽曲はほとんどが長尺で最後の曲だけは短く、古い教育アニメのエンディングのような雰囲気を感じました。この楽曲のおかげで何か実験的な有象無象のサウンド集ではなく、一つの物語・作品として綺麗に締まっている空気感を体験することができました。総じて個人的には難解で理屈で理解するのには難しい作品に変わりはないのですが、秀逸なエレクトロニカアルバムだと思います。
Various Artist『ミッドナイト・イン・トウキョウ第1集』(1954)
初めて和ジャズというものに触れた機会でしたが、めっちゃよかったです。実際にナイトクラブでの録音ということで本物の息のかけあいとライブ感で、そのライブ感のなかでもしっかりと整列された演奏が素晴らしかったです。イメージとしてソロや即興的なセッションが先行していたのですが、基本というか曲のベースの演奏の方が特に惹かれました。70年前という時代を感じさせる音像ですが、それぞれの細やかなニュアンスが感じられる録音も深みが出ていたかなと思います。人生でジャズをあまりというか全然通ってこなかったものですからあまり深い感想は出てないと思うのですが、これからじっくりとジャズをもっと聴いていきたいなと思わせられた一枚です。
以上。先月聴いたアルバム一覧のリストです↓
ジャズ、いいっすね。今まではそこまで興味がなかったのに急にいいなと感じてしまいました。ライブ盤を聴いたのがおそらく初めてなのでそこがトリガーだったのかもしれません。普段は他ジャンルでもそうですけどライブ盤はあまり聞かないので意外でした。これを書いてる途中に思い出したのですがディズニーシーの「ビッグバンドビート」とか結構好きだったなって。あれは今回紹介したものとはまた少し違うものかもしれませんが。けどそういうのを考えると個人的にはこのライブ感がジャズを聴くにあたって重要な要素なのかなと思ったりしました。JPOPとかでもライブ盤これからはもっと注目していくとナインか発見があるかもしれませんね。そんな感じです。