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オタクの生態:アクリルスタンドの写真を撮るオタクをじっと見つめる友人。
去年の秋。温泉に行った。大好きなシュガーリリックのアクリルスタンドを持って。
和風の旅館にぴったりの和服の衣装のアクスタだったから。これは旅館にぴったりだ。
ぜひ紅葉の綺麗な景色とともに、写真を撮りたいと思った。
旅館につくと友人との会話もそこそこに、私はアクリルスタンドを取り出した。
「ちょっと写真を撮るから、ごめんね」
と2人の友人に断りを入れて、私は窓際で写真を撮り始めた。
しかし、明るい日差しが強く反射してしまい、どうもうまく写真が撮れない。アクリルスタンドは透明なので、強い光がカメラにどうしても入り込んでしまう。私は少し影を作ったり、アクスタの角度を変えたり、試行錯誤を重ねて、きれいに撮れる角度を見つけ出した。
パシャリ。
私がシャッターを切るより先に、友人が私の写真を撮った。
どうやら、夢中で撮影にいそしんでいる私が面白かったようだ。
そして、その友人が撮影した写真を見て、私は愕然とした。
そこには、仕事以上に真剣な表情でアクリルスタンドに向かう自分の素顔があった。
なんて顔だ。
そして気づけば、私はアクリルスタンドの撮影に30分ちかくの時間を費やしていた。自分ではそんなに時間が経っていたとは全く気がつかなかった。
楽しい事はあっという間だと言うが、少し。ほんの少しだけ怖いと思った。
どんだけ好きなんだよ。