見出し画像

ネガティブなことを正しく伝えることの難しさ。ポジティブな表現を意識する

今日の記事のテーマは、『ネガティブな話をネガティブな単語をなるべく使わないようにする』です。

これだけ目にすると、禅問答のような印象を受けるかもしれませんが、私が普段から心掛けていることを書いてみます。


新人や5年目くらいまででしょうか。

私はド直球で患者さんに対して接していることが多かったです。年甲斐もなく。

良い時は最大限にポジティブに。上手くいかなかったことはネガティブに。ストレートに伝えないと、患者さんには伝わらない。大事なことだからこそ敢えてちゃんと伝えないといけない。

そう思っていたんです。

でも、これをやると上手くいくこともあった反面、逆に信頼関係がその日を境に暫く上手く築けないことも相当数経験しました。

でも、当時の私は
「患者さんには必要な話だった。自分が時には嫌われ役になるのも、リハ職としては必要なこと」
と思っていました。

でも、この一面は確かにあります。間違った考えではないと思います。我々医療職や介護職は別に聖職者ではないので。

ドクターにしろ、看護師にしろ、時々患者さんにとって残酷な対応をせざるを得ないことが臨床ではどうしてもあります。

癌の告知、余命の告知、延命治療の中止の告知などなど。
痛みを伴う処置、患者さんが嫌がる処置を強行するなどなど。

患者さんに正しいことを正しく伝える。


必要な対応です。

でも、正しいことを全て正しく伝えることが、毎回患者さんにとって正解かどうかというと、そうではないんです。

特にリハビリテーションの中ではそうだと思います。

患者さんによっては、その正しい情報を、その時の患者さんの心身では受け止めきれないことが多々あるんです。

特に心のエネルギーはかなり消耗していますよね。日常からかけ離れた生活を病院や施設では過ごしているだけで、既に心はいくらかでも消耗すると思います。

そんな中で、さらにネガティブな情報を、例え正しい情報だとしても、伝え方を間違えると、患者さんの中で消化不良を起こしてしまうか、そもそも情報を遮断しようとしてしまう。

そうなると運動療法も含めて介入自体を受け入れる気力も損なってしまう。結果として信頼を失いかねない、というわけです。


なので、今日最初に挙げた「ネガティブな情報でもなるべくネガティブなワードを使わない」ようにすることが大事かなと。

一番簡単な例として、セラピストはよく患者さんに対して、
「この動作ができないと、おうちで〇〇とかできませんよ!」
「ちゃんと歩けないとこけますよ」
みたいな言い方をしている場面をみかけます。

一般的には正しい情報を正しく伝えているので、間違いではないですよね。でも患者さんの心情として、この言葉をしっかりと受け止めて消化できたり咀嚼できる患者さんばかりではないはずです。

なので、私はここ数年ですが
「この動作が上手くできると、おうちでも〇〇するのに楽だし困りませんね」
「ここで頑張ってこういう風に歩けるようになるとこけにくいですね」
というように、ネガティブな情報も、ポジティブなワードや表現を使ったり、するように意識をしています。

どうしてもネガティブなワードを使わないといけない場面も出てくるので、その時は若手の頃より、相当意識して、気を遣って、使うようにしています。


たかが伝え方ですが、患者さんの心情、心のエネルギーの消耗度合を考えると、とても大事な考え方だと思います。

実際、これを意識すると信頼関係を損ないにくくなるし、信頼を得やすくなったという実感はあります。もちろん上手くいかないこともありますが。

ぜひ、皆さんもご自身の日頃の言葉の使い方を確かめてみるとよいかもしれません。

今回はここまでになります。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!